エンジニアとして経験を重ね自信がついてきたので、そろそろフリーランスエンジニアとして活動しようと検討しているが、「フリーランスエンジニアの現実は甘くない」という話を聞いたことのある方もいるのではないでしょうか。

どれだけフリーランスエンジニアの実態は厳しいと言われたとしても、根拠がなければアドバイスを受け入れるかどうかは判断しにくいでしょう。

そこで本記事では、フリーランスエンジニアの現実をお伝えします。

また、フリーランスエンジニアと会社員エンジニアの違いやフリーランスエンジニアになるメリット・デメリット、デメリットへの対処法などもお伝えします。

フリーランスエンジニアの現実は?

はじめに、「フリーランスエンジニアの現実は甘くない」となぜいわれるのでしょうか。

以下などが不安視されていることが理由として考えられます。

  • フリーランスエンジニアの需要は低いのでは?
  • 年収は低いのでは?
  • 案件を獲得することが難しいのでは?
  • 働き方に自由がないのでは?
  • 将来性がないのでは?

それでは、フリーランスエンジニアの現実とはどのようなものなのでしょうか。

こちらでは「フリーランスエンジニアの現実」についてご紹介します。

フリーランスの需要が高まっている

経済産業省を旗振り役として、DX(デジタルトランスフォーメーション)が推進されています。

2023年に独立行政法人情報処理推進機構が発表した「DX白書2023」において、DXを推進する人材の量が確保できているかどうかについて、次のような結果が出ました。

項目やや過剰である過不足はないやや不足している大幅に不足しているわからない
割合1.3%9.6%33.9%49.6%5.6%

「やや不足している」「大幅に不足している」と回答した企業の合計は83.5%を占め、DXを担う人材が不足していると感じている企業がほとんどであることがわかります。



一方、DXを推進する人材の獲得・確保の方法については上記のグラフのような結果が出ました。

「社外の専門家との契約」が37.1%、「特定技術を有する企業や個人との契約」が28.3%となっており、DXを担う人材の不足を外注によって補おうとする企業の意向がうかがえます。

これらのことからDXが推進される2023年現在、フリーランスエンジニアへの需要は高まってきているのが現実だと言えるでしょう。

フリーランスエンジニアの年収


参考:プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会│「フリーランス白書2023」

フリーランス協会が発表した「フリーランス白書2023」において、フリーランスとして働く878人を対象に年収についてたずねてみたところ、「エンジニア・技術開発系」で年収400万円以上の人は77.0%でした。

厚生労働省が発表した「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況」では、一般労働者の平均年収が311万8千円だったので、フリーランスエンジニアの7割程度は一般労働者よりも90万円程度年収が多いことがわかります。

フリーランスエンジニアの年収についてもっと詳しく知りたい方は、次の記事もごらんください。

フリーランスエンジニアの平均年収や年収アップのコツをご紹介!

また、フリーランス協会について知りたい方は以下の記事を参考ください。

フリーランス協会とは?フリーランス協会の概要や評判から、入会メリットや入会方法について解説

フリーランスエンジニアの案件獲得方法


参考:プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会│「フリーランス白書2023」

「フリーランス白書2023」でフリーランス850人を対象に、「直近1年間で仕事につながったことのあるもの」「その中で最も収入が得られる仕事の獲得経路」についてたずねたところ、上記のグラフのような結果が出ました。

フリーランスエンジニアだけを対象にしたアンケートではないので、フリーランスエンジニアの案件獲得の実態をそのまま表す結果ではありませんが、こちらを参考にフリーランスエンジニアの案件獲得方法を5つご紹介します。

・人脈・知人の紹介

フリーランスエンジニアは会社員エンジニアだった時に仕事で知り合った人や、知人から紹介を受けた人から仕事の依頼を受けることがあります。

フリーランスエンジニアが案件獲得をするうえで時間がかかるのがクライアントとの信頼関係構築ですが、信頼関係がある程度できている状態なので、仕事を依頼されやすくなるのがメリットだと言えるでしょう。


・過去・現在の取引先

過去や現在の取引先から、別の案件についての相談を受けることもあるでしょう。

未経験の内容が含まれていることもあるため、新たなスキルを身につけるチャンスともなります。

過去や現在の取引先から案件を紹介してもらうためには、継続的に良い関係を築いておきましょう。

良い関係を築くためには、取引先との細やかなコミュニケーションや横柄な態度を取らずに謙虚な姿勢でいることなどを大切にしてみてください。


・自分自身の広告宣伝活動

自身をPRするホームページやSNSなどを使うことによって、案件についての相談や問い合わせを受けることができる可能性があります。

作った実績をポートフォリオとしてホームページに掲載することで、関係者の目に留まるかもしれません。

また、求人に応募する際にホームページを添えることで、フリーランスエンジニアとしてのスキルのアピールにつながります。

利用されている具体的なSNSについては、以下の記事で解説していますので興味のある方は参考にしてみてください。

フリーランスエンジニアはどのように案件情報を収集している?アンケート結果を交えて紹介


・エージェントサービスの利用

フリーランスエンジニア向けのエージェントサービスを利用すると案件を紹介してもらうことができます。

フリーランス向けのエージェントサービスとは、フリーランスエンジニアの方々を対象に、案件の紹介から契約交渉、案件稼働後のサポートまでを一気通貫で支援してくれるサービスです。

SHIFTフリーランスは、SHIFTグループがプライムとして参画している独自案件をフリーランスエンジニア向けに紹介する唯一のプラットフォームサービスです。

エージェントによるサポートもありますので、ご利用を検討してみてはいかがでしょうか。


・クラウドソーシング

クラウドソーシングとは、不特定多数の人に仕事を外注(アウトソース)することを指し、クラウドソーシングサービスは「クラウドワークス」や「ランサーズ」などが挙げられます。

クラウドソーシングサービスでは発注者と受注者がお互いを評価し合うなどの機能が搭載されています。

こちらでは「フリーランス白書2023」を参考にフリーランスエンジニアの案件獲得方法をご紹介しましたが、さらに詳細について知りたい方は以下記事を参考にしてください。

フリーランスエンジニアの案件の探し方、獲得方法は?メリット・デメリット、注意すべきことを交えながら紹介!

フリーランスエンジニアの働き方


参考:プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会│「フリーランス白書2023」

上記はフリーランスに対してコロナ以前とコロナ以後の出金頻度についてアンケートを取った結果になります。

コロナ以前では42.2%が「毎日出勤」と回答していましたが、コロナ以後では「毎日出勤」と回答した人の割合が11.6%となっており、約30%減少しています。

また、コロナ以前では20.2%が「完全リモート」と回答していましたが、コロナ以後では42.2%が「完全リモート」と回答しており、約2倍以上の割合となっています。

コロナ以前とコロナ以後でフリーランスの出勤形態がリモートワーク中心になっていることが分かります。

フリーランスエンジニアの将来性


引用:経済産業省 商務情報政策局 情報処理振興課│「参考資料(IT人材育成の状況等について)」

経済産業省では「IT人材の需給モデル」を構築し、2030年までのIT人材不足数が推計されています。

将来の市場拡大の見通しに応じて低位・中位・高位の3種類のシナリオに分けて予想が行われましたが、低位シナリオで約41万人、中位シナリオで約59万人、高位シナリオで約79万人のIT人材の不足が予測されました。

このことからフリーランスエンジニアをはじめとしたIT職種の需要は、今後も高まることが予想されます。

フリーランスエンジニアと会社員エンジニアの違い

「フリーランスエンジニアの現実」をお伝えしてきましたが、フリーランスエンジニアと会社員エンジニアには、どのような違いがあるのでしょうか。

フリーランスエンジニアと会社員エンジニアの違いをご紹介します。

適用される法律が異なる

フリーランスエンジニアと会社員エンジニアでは適用される法律が異なります。

会社員エンジニアは法律上「労働者」にあたるため、次のような法律に守られています。

法律の分類法律名概要
個別的労働関係法労働基準法・労働条件に関する最低基準を定めた法律
労働安全衛生法・労働者を使用する事業者に対し労働者に対する安全配慮義務を定めた法律
最低賃金法・最低賃金制度について定めた法律
賃金確保法・賃金の支払いの適正化を図るための法律
労働者派遣法・労働者派遣事業を適切に行い労働者を保護するための法律
高年齢者雇用安定法・企業に対して70才までの就業機会の確保を努力義務として示した法律
障害者雇用促進法・障がい者の雇用と在宅就労の促進について定めた法律
男女雇用機会均等法・男女の雇用の均等と待遇の確保を目標とした法律
育児介護休業法・育児や介護をする労働者が仕事と両立できるようにするための法律
パートタイム労働法・短時間労働者の雇用管理などについて定めた法律
健康保険法・病気やけがなどをした場合受けられる保険給付について定めた法律
厚生年金保険法・民間企業で働く人が加入する厚生年金保険について定めた法律
雇用保険法・労働者が加入する雇用保険制度について定めた法律
労働者災害補償保険法・業務や通勤において災害にあった際に給付を行う保険制度について定めた法律
集団的労働関係法労働組合法・労働組合の規律などについて定めた法律
労働関係調整法・労働争議の予防や解決を目的とした法律

※法律名に通称があるものは通称で表記

会社員エンジニアの場合、労働条件や賃金、福利厚生に至るまでたくさんの法律に保護されているのがわかります。

一方フリーランスエンジニアは労働者にはあたらないため上記の法律は適用されませんが、2023年5月に「フリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)」が公布されました。

「フリーランス新法」はフリーランスの取引の適正化と就業環境整備を目的とした法律で、対象者はフリーランスの中でも企業を相手に取引をしている人です。

「フリーランス新法」のポイントについて、以下グラフにまとめましたのでご参考ください。

ポイント概要
取引条件の義務化・業務内容、成果物、報酬額、納期、検収方法、支払い期日、
秘密保持などについて契約時点で確認・合意をしておく
支払い期日・発注者はフリーランスエンジニアが業務を完了、納品してから60日以内に報酬を
支払う義務がある(フリーランス同士の取引は除外)
禁止行為次の7つが禁止行為となる
・一方的な受領拒否
・一方的な報酬減額
・一方的な返品
・買いたたき
・一方的な押し売り
・金銭、役務などの利益提供の強要
・不当な変更、やり直しの強要(継続的な業務委託の場合に適用)
正確で最新の内容での募集・募集内容に変更があれば最新の内容に訂正しなければならない
育児や介護への配慮・フリーランスエンジニアからの申し出に応じて納期やスケジュールを調整し、
リモートワークにするなど配慮をしなければならない
ハラスメント対策・従業員向けのハラスメント相談窓口を、フリーランスエンジニアにも使えるように
するなどの配慮をしなければならない
契約の中途解除の事前予告・契約期間内に発注者から中途で契約を解除する場合は、
原則として30日前までの事前予告が必要となる

クライアントとフリーランスエンジニアの当事者間では解決できない、悪質性が高い、労働者性が疑われるなどの場合は公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省のいずれかの省庁に申し出ることで発注者に対して適切な対応をしてもらえます。

また命令違反や検査拒否に対しては50万円以下の罰金も発生する可能性があります。

フリーランスエンジニアと会社員エンジニアでは保護される範囲と内容が異なりますが、いずれにしろ法律に即して業務をする必要があるのを覚えておきましょう。

契約の種類が異なる

フリーランスエンジニアと会社員エンジニアでは企業と結ぶ契約の種類が次のように異なります。

契約者契約の種類概要
フリーランスエンジニア準委任契約・民法第656条に定められている、法律行為以外の事務を委託する契約のこと
請負契約・民法第632条に定められている、受注者が受託した業務を完了し
それに対して発注者が報酬を支払う契約のこと
会社員エンジニア雇用契約・民法第623条に定められている、労働者が使用者(雇用主)のもとで労働をし、
使用者はそれに対する賃金を支払う契約のこと

同じ民法に定められている契約ではありますが、フリーランスエンジニアは、通称「業務委託契約」と呼ばれる契約を結びます。

業務委託契約は、「準委任契約」と「請負契約」に分類されます。 

一方会社員エンジニアは期間の定めのない雇用契約を結ぶことで「労働者」と定義づけられ、前の項目でご紹介した法律に守られるようになると同時に、企業の指揮命令に従って業務を行います。

参考:フリーランス協会│独立・副業の手引き

税金の納め方が異なる

フリーランスエンジニアは、所得税や住民税、消費税などを自身で確定申告し、税金を納める必要があります。

確定申告に関しては国税庁のホームページにその年度の確定申告の特集ページが作られ、納付期限やe-TAXで簡単に納税できる方法などが解説されています。

参考:国税庁│令和4年分確定申告特集

一方会社員エンジニアの場合は、年末調整で所得税の調整を行い、企業の担当者が税金を納めてくれます。

フリーランスエンジニアが抑えておきたい税金や控除について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考ください。

フリーランスとして働く場合の税金や控除について、抑えておくべきポイントを交えながら解説!

また確定申告において、経費の計上も重要なポイントになります。

フリーランスエンジニアが経費にできる項目等を以下の記事でまとめておりますので、

併せてご参考ください。

フリーランスエンジニアが経費にできる項目とは?フリーランスエンジニアが経費に出来ない項目や経費を計上する際に注意すべきポイントについても紹介

消費税に関連した制度として10月1日よりインボイス制度がはじまりました。

インボイス制度について疑問のある方に向けて、「特集国税庁インボイス制度特設サイト」が作られ、手続きに関する窓口の一覧や説明会の開催案内、コールセンターの案内などの情報を掲載しています。

インボイス制度の概要や影響、対策について詳しく知りたい方は、以下の記事もご参考ください。

インボイス制度の概要と、免税事業者の個人事業主やフリーランスへの影響と対策についてわかりやすく解説

社会保障が異なる

フリーランスエンジニアと会社員エンジニアでは、加入できる社会保障に次のような違いがあります。

職種社会保障
フリーランスエンジニア・国民健康保険
・国民年金
会社員エンジニア・社会保険
・厚生年金
・雇用保険
・労災保険

会社員エンジニアは前の項目でもご紹介したように企業と雇用契約を結んで労働者になるため、労働者を保護するための社会保障の対象となりますが、フリーランスエンジニアは労働者ではないので対象にはなりません。

フリーランスエンジニアと会社員エンジニアの健康保険の違いについて知りたい方は、以下の記事も参考ください。

フリーランスが加入できる健康保険とは?健康保険の種類と保険料の節約方法について詳しく紹介

定年制度の有無が異なる

フリーランスエンジニアと会社員エンジニアには、定年制度の有無に違いがあります。

フリーランスエンジニアに定年はありませんが、実態として何才まで働くのでしょうか。

2022年に厚生労働省が発表した「令和4年度フリーランス実態調査結果」で2,119人のフリーランスを対象に調査を実施したところ、次のような結果が出ました。

年代回答数割合
20歳未満1人0.0%
20歳~29歳13人0.6%
30歳~39歳82人3.9%
40歳~49歳306人14.4%
50歳~59歳795人37.5%
60歳~69歳670人31.6%
70歳以上252人11.9%

60歳以降も働いている人の割合が43.5%と半数に迫る勢いとなっています。

一方会社員エンジニアには定年制度がありますが、労働者に適用される「高年齢者雇用安定法」の一部が改正され、企業は次のような措置の中からいずれかを講ずるよう努めることとなりました。

・70才までに定年年齢を引き上げる

・定年制の廃止

・70才までの継続雇用制度の導入

・70才まで継続的に業務委託契約を結ぶ制度の導入

・70才まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入

    ⦁事業主が自ら実施する社会貢献事業

    ⦁事業主が委託、出資(資金提供)などをする団体が行う社会貢献事業

企業に定年年齢の引き上げを義務付けるわけではありませんが、高齢者になっても働き続けられる環境が整えられてきています。

フリーランスエンジニアのメリット

フリーランスエンジニアになるとどのようなメリットがあるのでしょうか。

フリーランスエンジニアのメリットを5つ紹介します。

自分の希望に合った働き方ができる

フリーランスエンジニアは会社員エンジニアよりも、働く時間や場所、仕事のペースなどを比較的自由に選ぶことができます

受注する案件によって条件は変わりますが、リモートワークで働くことができれば好きな場所に住んで仕事をすることができます。

また、仕事のペースも自分で決めることができれば用事を済ませてから仕事を行うことも可能です。

収入が増える可能性がある

会社員エンジニアの場合は収入を自分で決めることは難しいですが、フリーランスエンジニアは案件によって収入が左右されるので、高単価の案件を受注することができれば収入が増える可能性があります。

交渉力に自信のある人や営業スキルを会社で身につけた人であれば、フリーランスエンジニアになってから収入が増える可能性はより高くなるでしょう。

スキルアップできる

フリーランスエンジニアの場合、比較的自由に案件を選ぶことができるのでスキルアップにつながる案件を担当しやすいです。

会社員エンジニアの場合は、担当する案件は上司の判断に左右されますが、フリーランスエンジニアは自分がその判断をするため、未経験の案件などにもチャレンジしやすいでしょう。

積極的にスキルアップすれば企業へのアピールにつながり、案件を獲得することができる可能性があります。

人脈を広げることができる

フリーランスエンジニアは新たなクライアントと仕事をするたびに人脈が広がっていきます。

人脈が広がることによって、案件についての相談が増えたり、新たなクライアントと知り合ることができたりするなどの可能性があります。

成長につながる

フリーランスエンジニアとして活躍し続けるためには、新しい技術を身につけることが必要なので、成長につながります

また、会社員エンジニアであれば会社の意向に沿ったキャリア構築が求められますが、フリーランスエンジニアは自身でキャリアを構築することができます。

そのため、フリーランスエンジニアは、「成長につながる」と思うキャリアを選択することができるでしょう

フリーランスエンジニアのメリットについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もご参考ください。

ITフリーランスのメリット

フリーランスエンジニアのデメリット

フリーランスエンジニアになるデメリットとはどのようなものでしょうか。

フリーランスエンジニアのメリットだけではなく、デメリットも理解しておきましょう。

社会的信用が低い

会社員とは異なり、フリーランスエンジニアは社会的信用が低くみられることがあります。

会社員エンジニアと比較すると、収入が不安定などの理由が挙げられます。

社会的信用が低いことによって、ローンの審査やクレジットカードなどの申込みが通過しにくい可能性があります。

営業や事務作業など本業以外の仕事に時間を取られる

会社員エンジニアの場合、案件は営業が受注し税金の納付は経理が計算も含めて行ってくれるため、自分の担当する仕事にのみ集中することができます。

しかしフリーランスエンジニアの場合、案件獲得や報酬の交渉、確定申告など本業以外のこともすべて自分で行い、相応の時間を割かなければいけないことを覚えておきましょう。

社会保障が少ない

前述のとおり、フリーランスエンジニアになると社会保険、厚生年金、雇用保険、労災保険などの社会保障がなくなります。

会社員エンジニアは税金や保険、年金などの社会保障としてかかる分をあらかじめ引いた金額を給与として受け取ることができますが、フリーランスエンジニアの場合は報酬から税金や保険、年金や仕事をするうえでかかる経費なども支払わなければなりません。

仕事の相談が難しい

フリーランスエンジニアの場合、仕事について相談できる上司や同僚が周りにいないので、トラブルも含めすべて自分の力で解決しなければなりません。

また、同じフリーランスエンジニアの仲間を持つなど、交流を深めて相談相手となってもらえるかどうかも自分の努力次第となります。

自分で学ぶ必要がある

フリーランスエンジニアは会社員エンジニアとは異なり、研修やトレーニングが用意されているわけではないので、知識やスキルを身につけるためには自分で学ぶ必要があります

しかし案件対応などに時間を取られ、なかなか学ぶ時間を作れない場合もあるでしょう。

フリーランスエンジニアのデメリットについてもう少し詳しく知りたい方は、以下の記事もご参考ください。

ITフリーランスのデメリット

フリーランスエンジニアのデメリットへの対処法

前の項目でご紹介した「フリーランスエンジニアのデメリット」には、具体的にどのように対処すればよいのでしょうか。

それぞれのデメリットに合わせた対処法をご紹介します。

フリーランスエンジニアとして活動する前に申請しておく

ローンの審査やクレジットカードなどの申請が通過しにくいというデメリットについては、ローンやクレジットカードなどの申し込みを企業に在職している間に申請することで通過の可能性を高めることができます。

また、収入を増やすなどの方法で社会的信用を上げることで対処することができます。

ここまで読んで、「フリーランスエンジニアはクレジットカードを作れない」と思った方もいるかもしれませんが、フリーランスエンジニアはクレジットカードを作ることができます。

クレジットカードの審査に通過するためのポイントやおすすめのクレジットカードは以下の記事で紹介していますので、ご参考ください。

フリーランスはクレジットカードを作れる?クレジットカードの審査に通過するためのポイントやフリーランスにおすすめの法人カードなどを紹介

本業以外の仕事についてあらかじめ学んでおく

フリーランスエンジニアになると本業以外の仕事に時間が取られてしまいがちですが、ウェブサイトやビジネス書などで営業や契約などを学ぶことで効率的に進めることができ、本業に割ける時間を増やすことができます。

また、「営業や事務作業に時間が取られている」と感じたら、フリーランスエージェントを利用するという方法もあります。

SHIFTフリーランスなどでのフリーランスエージェントは、契約を代行したり、インボイス制度に詳しいエージェントが一人一人に合った対処方法を提案したりといったサービスを幅広く行っています。

独立前に貯金し生活にかかるコストを見直す

社会保障が少ないことへの不安を完全に解消することはできませんが、フリーランスエンジニアとして活動を始める前に、ある程度貯金し生活にかかるコストを見直すといった準備はできます。

一般的にはなりますが、電気やガス料金などが月にいくらかかるのかを把握しておき、不要な保険などを契約していないかも見直しましょう。

フリーランス交流会やコミュニティに参加する

フリーランス交流会やコミュニティに参加することで、仕事の相談相手を見つけることができる可能性があります。

フリーランス交流会やコミュニティに参加することで仕事の相談相手が見つかるだけではなく、スキルアップの機会の獲得や人脈が増えるなどのメリットも出てきます。

具体的なフリーランス交流会やコミュニティについては、以下の記事でご紹介していますので、興味のある方は参考にしてみてください。

フリーランス交流会に参加するメリットや事前に準備するべきこと、意識するべきことは?フリーランス交流会の探し方や代表的なフリーランス交流会も紹介

コミュニティ

スクールの利用を検討する

自分で学ぶことが難しい場合は、スクールの利用を検討しましょう。

要点を絞った学習プログラムが用意されているスクールもあるため、目的に合わせて効率的に学習することができます。

また、講師と直接コミュニケーションできる場合は、その場で疑問や質問を解決することができます。

フリーランスエンジニアに向いている人の特徴

フリーランスエンジニアに向いている人にはどのような特徴があるのでしょうか。

フリーランスエンジニアに向いている人の特徴をご紹介します。

収入の波を気にせずにチャレンジできる人

収入の波に一喜一憂せず時間をかけて営業し、高単価案件にチャレンジできる人はフリーランスエンジニアとして収入を向上し続けられます。

会社員エンジニアよりも自身の成果が収入に直結するため、会社員エンジニアとして働く場合よりもフリーランスエンジニアとして稼げることに自信のある方はフリーランスエンジニアを検討してみてはいかがでしょうか。

コミュニケーション能力に自信のある人

クライアントの信頼を得て案件を獲得するためには、自身のスキルや経歴などをアピールし、粘り強くコミュニケーションを行っていく必要があります。

また、案件獲得後も他のプロジェクトメンバーとコミュニケーションを取りながら、業務を遂行していかなければいけません。

コミュニケーション能力が求められる場面が多いため、コミュニケーション能力に自信のある人はフリーランスエンジニアに向いていると言えるでしょう。

レベルの高いIT資格を持っている人

IT人材に必要とされる能力を職種や専門分野ごとに明確にして、個人のIT関連能力が測定できるように定めた指標を「ITスキル標準(ITSS)」と言いますが、ITスキル標準である程度レベルが高い資格を持っている場合は、フリーランスエンジニアとして活躍できる可能性があります。

ITスキル標準と資格の関係を示した表は、「特定非営利活動法人スキル標準ユーザー協会」のホームページからダウンロードできるので、参考にして自分の客観的なスキルを把握しておきましょう。

自己管理能力が高い人

フリーランスエンジニアに向いている人の特徴として、自己管理能力が高いことも挙げられます。

フリーランスエンジニアは案件やプロジェクトのスケジュール管理、体調管理などの自己管理を求められます。

案件やプロジェクトのスケジュール管理、体調管理ができない場合は、自分1人で対応できる限界の仕事を引き受けてしまい、体調を崩してしまう可能性があります。

リスクやトラブルに対処する覚悟のある人

フリーランスエンジニアとして働くと、会社では経験したことのないリスクやトラブルが起こることもありますが、リスクやトラブルに対処する覚悟のある人は独立するのに向いていると言えるでしょう。

厚生労働省の運営する「フリーランス・トラブル110番」などのサービスを利用することができるため、リスクやトラブルで困った際には利用を検討してみてはいかがでしょうか。

フリーランスエンジニアに向いている人の特徴について、ほかに詳しく知りたい人は、以下の記事も参考ください。

フリーランスエンジニアに向いている人はどんな人?向き不向きの特徴について解説

まとめ

本記事では、フリーランスエンジニアの現実やフリーランスエンジニアと会社員エンジニアの違い、フリーランスエンジニアになるメリット・デメリット、デメリットへの対処法などをお伝えしました。

フリーランスエンジニアと会社員エンジニアは適用される法律や契約などが違ってはいますが、フリーランスに向けた法律が整備されはじめているなど、フリーランスエンジニアとして働きやすい環境に変化してきています。

フリーランスエンジニアのデメリットはありますが、本記事を参考にデメリットへの対処法を押さえておけば、フリーランスエンジニアとして活躍できる可能性があります。

本記事がフリーランスエンジニアとして独立するかどうかの判断材料となれば幸いです。