AWSの使い方をわかりやすく解説!料金やサービス内容・できないことは?フリーランスにおすすめのAWS資格も難易度別に紹介
時代はクラウドコンピューティング
昨今のIT業界は「仮想化」や「クラウドコンピューティング」というものがトレンドとして浸透しています。
物理的なマシンやサーバではなく、クラウド上の仮想マシンや仮想サーバを利用するのはすっかり定着してきました。
今回注目していく「AWS」もそのクラウドコンピューティングの1種。
レンタルサーバはもちろん、データベースやIoTサービスの構築など、多岐にわたるシステムに活用できるため多くの企業が採用しているウェブサービスです。
AWSに注目
通販のイメージが強いAmazonですが、AWSは一体どのようなサービスを展開しているのでしょうか。
使い方はもちろん、利用料金やサービス内容など様々な観点から「AWS」に注目していきましょう。
フリーランスの方が挑戦するべきAWSの資格についても紹介いたします。
世界的に有名な「AWS」
AWSは世界的に広く受け入れられているクラウドコンピューティングサービスです。
NetflixやAOL、Autodesk Tailorといった超有名な大企業も採用しています。
世界中で100を超えるデータセンターを設置しており、AWSを扱えるようになれば日本はもちろん、海外でも活躍できる可能性があるといえます。
エンジニアとしてAWSについての知識や理解を深めておくことで、必ず仕事に繋げられるでしょう。
日本でもANAやPanasonic、キヤノンなど数多くの有名企業・サービスがAWSを利用しています。
AWSのサービス内容
それでは早速、AWSの使い方を解説していきます。
まず最初に頭に入れておきたい点として、AWSが展開しているサービスについてです。
AWSは大きく分けて90以上、細かく分けると700以上という膨大な数のサービスを展開しています。
今回はその中でも特に有名・需要の高いEC2、S3、RDS、Lambdaの4つについて、それぞれがどんなサービスを示しているのか紹介します。
EC2
EC2こと「Elastic Compute Cloud」は、EC2サーバを構築・運用できるというサービスです。
メモリやコア数、OSなど好きなスペックで仮想マシンを構成・作成して実行できます。
構築の手順がわかりやすくシンプルというのもポイントの1つで、数分でサーバの構築ができ、すぐに運用をスタートさせることが可能です。
そしてそのクラウドコンピューティングの構成は後から変更も可能。
ハードウェアの制約を受けずにアプリケーション開発ができます。
S3
S3こと「Simple Storage Service」は、ストレージサービスです。
インターネットを経由して様々なファイル(例:各種データ、Officeファイル等)を保存できます。
格納したデータは1つのデータセンターではなく、複数のデータセンターに保存されます。
99.99%の可用性と99.999999999%の耐久性を実現するよう設計されたそうで、信頼のできるストレージサービスといえるでしょう。
RDS
RDSこと「Relational Database Service」は、データベースサービスです。
サーバーを準備せずにクラウド上のデータベースを構築すれば即座に利用できます。
利用できるサービスも多岐に及んでいます。
OracleやMySQL、MariaDBをはじめとして、Amazon Aurora、PostgreSQL、Microsoft SQL Serverまで6つのデータベースを選択できます。
Lambda
Lambdaは、JSON形式などでアプリケーションコードのみをデプロイすれば、自動的にコードが実行できるというサービスです。
サーバーを用意せずにバックアップや他サービスとの連携までできるという利便性の高さが売りとなっています。
以前は最大駆動時間が5分でしたが、15分まで引き伸ばされたということも大きな話題になりました。
AWSの使い方を解説
それではここからは、実際にAWS各サービスの使い方・セットアップ方法について解説していきます。
今回はEC2、S3、RDSの3つの使い方をチェックしていきましょう。
どのサービスを利用するためにもAWSのアカウントを作成する必要がありますので、こちらのリンクから作成してください。
EC2のインスタンス作成の流れ
それでは、AWSで有名なサービスであるEC2の使い方・セットアップ方法を解説していきます。
アカウントが無事作成できましたら、コンソールへログインします。
先ほどまで紹介していたサービスなどがズラーっと列挙されていますので、EC2を選択してください。
次の画面で「インスタンスの作成」というボタンが表示されるので、そちらをクリックしましょう。
これで、実際に細かくインスタンスのスペックを設定する画面に遷移できます。
OSやCPU、メモリなどを指定できたら確認画面が表示されますので「確認」ボタンをクリックでインスタンスの設定が終了です。
続いてはキーペアを作成・ダウンロードすれば、インスタンスの作成が完了します。
S3のバケット作成方法
ストレージサービスであるS3を利用するにも同じくアカウントが必要です。
AWSアカウントをお持ちでない方は先ほどのリンクから作成してください。
こちらもAWSのコンソール画面から「S3」を選択します。
そして「バケットを作成」をクリックしてください。
バケットの作成画面でいくつかの設定を行う必要があります。
バケットの名前は世界でユニークな名前をつける必要があります。
また、DNS命名規則に沿って、以下の点を守るように命名してください。
- 24文字以内
- バケット名の末尾に数字・ハイフンは禁止
- 英数字とハイフン以外は使用しない
上記3点を守り、バケット名を設定しましょう。
リージョンは自由に決められますが、もしEC2と連携させたい場合はEC2インスタンスと同じリージョンを選択してください。
既存のバケットから設定をコピーは空欄のままで問題ありません。
次画面へ進むとオプションの設定ができます。
バージョニングはS3のバケット内に格納されているファイルの過去のバージョンを復元・復旧できます。
サーバーアクセスのログ記録はその名の通りで、バケットへのアクセスログを記録してくれます。
必要に応じてチェックを入れてください。
その後、アクセス許可の確認をしたら完成です。
作成したバケットをクリックすると、ローカルからファイルをアップロードなどが可能になります。
RDSのセットアップ
続いてはRDSのセットアップです。
こちらも同じくコンソールからRDSを選択して、セットアップをスタートします。
インスタンスを作り出すとデータベースエンジンの選択画面に遷移しますので、使いたいエンジンもしくは環境に応じて選択しましょう。
商用利用かどうかを問われるので、目的に応じて設定してください。
商用利用の場合は当然料金が発生するプランになるので、お試しで使ってみたいだけという場合は注意が必要です。
次の画面では様々なオプションを設定できます。
有料のデータベースエンジンのライセンスを既に所持している場合は、ライセンスモデルなどの設定を触る必要があるでしょう。
DBインスタンスのクラスで最小のdb.t2.microは無料で1年間利用可能です。
必要に応じてオプションを設定していきましょう。
続くと、更に具体的に設定を行っていく必要があります。
既にEC2インスタンスを立ち上げている場合は既にVPCができているでしょう。
サブネットなど利用目的や環境に応じて細かく設定していく必要があります。
データベースの名前などもこちらで設定しておきましょう。
また、バックアップ作成間隔もこちらの画面で指定できるので確認しておく必要があります。
全ての設定をしっかりとチェックしたら、DBインスタンスの作成ボタンをクリックしてください。
ステータスが利用可能になっていれば、接続が可能になります。
AWSの料金
AWSを利用する上で気になる「料金」ですが、無料枠も用意してくれているのがAWSの特徴です。
しかしビジネス用途で使用するとなると、当然料金を頭に入れておかなければなりません。
料金体系が少し複雑で分かりにくい部分もあるため、ざっくりとチェックしてしまいましょう。
EC2の料金体系
EC2には3種類の料金体系が存在しています。
- オンデマンド(従量制課金)
- リザーブドインスタンス(予約することで最大75%の割引)
- スポットインスタンス(使用されていないEC2インスタンスを利用することで最大90%割引)
どれもそれぞれのメリットやデメリットが存在していますが、共通していえるのはAWSは導入の初期費用が低額で済むというポイントです。
通常、サーバを構築するとなると高額な初期費用等々が必要になります。
しかし、AWSは基本的に使った時間に応じて課金されるという料金体系をとっているため、初期費用を抑えられます。
上記3種のうち、スポットインスタンスに関しては「使用されていないEC2インスタンスを利用する」ことになります。
つまり「自分で好きなスペック・構成のEC2インスタンスを構築することはできない」ということになるので注意が必要です。
EC2の料金については公式でもそれぞれを詳しく解説しているので、もっと具体的に情報を知りたい方は以下のリンクからご確認ください。
S3の料金体系
続いて解説するのは「S3」です。
こちらは3種類の課金要素があります。
- ストレージ
- データ転送
- リクエスト数
ストレージはシンプルに、そのストレージ容量に応じて課金されます。
データ転送は「アップロード」つまり「S3がデータを受信する」という点は無料です。
S3からのデータ送信に料金が発生するので注意してください。
また、仮に同じリージョン内のAWSサービスとの通信は送受信ともに無料とされていますので、こちらも把握しておきましょう。
リクエスト数は複雑で分かりにくい課金要素です。
GETやPUT、POSTなど様々なリクエスト数に対して課金がされていきます。
EC2同様に公式で具体的な料金体系解説がなされています。
リクエストに関しても触れられているので、詳細を知りたい方はこちらのリンクからご確認ください。
RDSの料金体系
データベースサービスであるRDSの料金体系はどうでしょうか。
RDSインスタンスは2019年4月25日以降、秒単位での課金となっています。
インスタンス・ストレージともに最低10分間分の請求が発生するので注意が必要です。
また、RDSインスタンス作成で選択したデータベースエンジンによっても料金が異なります。
使用されるデータベースエンジンごとの詳しい料金が公式で紹介されているので、こちらのリンクからご確認ください。
エンジンを選択すれば、具体的な料金情報が確認できます。
AWS 簡易見積りツールが便利
具体的にAWSサービスを利用する場合、細かい数字を計算して料金を計算するのはなかなか苦労します。
細かい数字になるため誤差も発生しやすいです。
そこで便利なのが、AWSが公式で用意している簡易見積もりツールです。
こちらを利用すれば、リージョンやサービスごとに発生する料金を具体的に見積もりできます。
日本語にも対応しているので安心です。
AWSでできないことに注意
AWSは便利な面も数多くありますが、反面不便な点もあります。
その最たる例が、料金が変動制であるというポイント。
初期コストがかからないというメリットであると同時に、固定費ではないため毎月の費用が読めません。
また、トラブルが発生した際には自分たちで対処しなければならないというのも注意点の1つです。
手厚いサポートを受けることはできません。
AWS re:Inventというイベント
AWSは、毎年「AWS re:Invent」というイベントを開催しています。
これはAWS最大のグローバルカンファレンスで、最新技術の展示やデモンストレーションを間近に見ることができます。
また、体験できるプログラムなどもあるため、AWSについて強い興味関心がある方はぜひ参加してみましょう。
新たに発表される製品や機能などもあるため、世界中に存在しているAWSエンジニアたちにとって非常に大きなイベントです。
フリーランスが持っておきたいAWS関連資格
さて、AWSには資格も存在しています。
特にフリーランスのエンジニアにとっては、自分のAWSスキルを証明できる資格が多くあります。
ぜひとも取得に挑戦してみましょう。
AWS認定資格
AWSはベンダー資格として「AWS認定資格」という試験を実施しています。
自分のスキル証明になるというメリットはもちろんのこと、AWS認定資格保有者限定のイベントや割引など特典も多いです。
難易度は3レベルに分かれています。
- 基礎(Foundational)
- アソシエイト(Associate)
- プロフェッショナル(Professional)
そして、試験がレベルやスキルに応じて細分化されています。
AWS認定資格の種類
まず、基本となる5種類は以下の試験です。
それぞれにレベルが設定されています。
- Cloud Practitioner(基礎)
- Solutions Architect(アソシエイト、プロフェッショナル)
- SysOps(アソシエイト)
- Developer(アソシエイト)
- DevOps Engineers(プロフェッショナル)
そして、より専門的な分野に特化した資格試験は以下の5種類が存在しています。
- Security
- Big Data
- Advanced Networking
- Alexa Skill Builder
- Machine Learning
こちらの5種類はレベルが分かれておらず「Specialty」とされています。
合計で11種類の認定資格があるため、全てを取得したことを「11冠」などと表現する場合もあります。
AWS認定資格はフリーランスのエンジニアとしてどれも大きな武器になるので、ぜひともレベルの高い分野で取得を目指していきましょう。
エンジニアとしてAWSは知っておかなければならない
今回の記事では、AWSに注目して基本的な使い方から料金体系までをチェックしてきました。
AWSは昨今のIT業界で非常に親しまれており、あって当たり前の存在です。
エンジニアとして働いていくうえで知っておかなければならない技術ともいえるレベルにまで浸透してきています。
フリーランスの案件でもAWS関連のものは多数掲載されています。
今後エンジニアとして生活していくうえで、AWS認定資格などを取得して「AWSに強い」人材は必ず重宝されていくはずです。
積極的に挑戦してみましょう。