Webクリエイター能力認定試験の特徴や難易度を徹底解説!合格のメリットは?過去問やおすすめの学習法も紹介。有効期限も確認
Webクリエイター能力認定試験はWebサイトを制作するために必要なスキルレベルを判定する試験です。
制作能力をアピールして実務に繋げる手段でもあります。試験の概要や受験対策、合格後の実務への影響など幅広く解説します。
Webクリエイターという職業
試験制度に触れる前に、まずWebクリエイターとは何かを確認しておきましょう。
WebクリエイターはWebサイト全体の構成を立案・設計し、コンテンツの制作に直接関与する役目を担うものです。
似たような職種にWebデザイナーがありますが、こちらはWebサイトのビジュアル的なデザインを担当します。
サイトに掲載する画像やイラストなどの制作や選定を手掛けます。
一方のWebクリエイターはデザインも含めたサイト全体の設計・制作が仕事です。デザイナーに較べ守備範囲の広さが特徴です。
Webクリエイターに求められるスキル
職業としてのWebクリエイターにはどのようなスキルが求められるでしょうか。Webクリエイターの実像にフォーカスしてみたいと思います。
Web上でのクリエイティブな仕事を遂行するにはグラフィック、映像、音楽など多岐に亘る能力が求められます。
デザイナーとして活躍するケースもあり、HTMLやCSSなどのスキルが必要とされます。ロゴやバナーなどを作る時のデザイン力も軽視できません。
画像やテキストの管理にはCMSのシステムに通じていると便利です。
双方向性、対話性のあるシステムを構築するにはJavaScriptを書ける力が求められることもあります。
Webクリエイター能力認定試験の概要
Webクリエイターに求められる役割とスキルが把握できたところでWebクリエイター能力認定試験の中身に迫ります。
認定試験の主催者
株式会社サーティファイが運営するWeb利用・技術認定委員会が主催者となっています。
受験資格
学歴や年齢などの制約はありません。誰でも受験することができます。
コースの分類
HTMLというWebページを作る時のマークアップ言語があります。
命令書であるソースコードのブラウザーでの読み込み、ページ移動に際してのハイパーテキストリンクなどが主な役目です。
このHTMLのバージョンによってコースは3分類されています。HTML5、XHTML1.0、HTML4.01の3つです。
HTML5とXHTML1.0ではスタンダードコースとエキスパートコースが、HTML4.01には上級と初級コースがそれぞれ用意されています。
スタンダードではHTMLやCSSといった言語に関わるマークアップなどの基礎的スキルが備わっているかを判定します。
エキスパートにあっては更に実践的な技量がチェックされます。レイアウトや色彩設計などのデザイン力も試されると考えて下さい。
HTML4.01の初級というのはHTML、CSSの基礎知識及び仕様書に基づくレイアウトのアレンジなどが主眼です。
上級では更に高度なCSSレイアウトやWebページデザイン力などを測定することになります。
HTMLバージョンの選択
HTMLのバージョンによってコースが分かれていますが、認定試験はどれか一つを選択すれば良いこととされています。
3種類履修する必要はありません。
基礎的な部分はどれも同じですが、バージョンには当然新旧があります。
将来的には最新のバージョンをカバーしておくことが得策ですから、HTML5の履修をお勧めします。
受験料
受験料はコース毎に設定されています。エキスパートと上級は7,435円、スタンダードと初級は5,806円となります。
合格率
主催者発表によれば2018年の合格率は89.9%でした。
合格基準
HTML5とXHTML1.0は知識+技術の合計得点(スタンダードは技術のみの得点)の得点率が65%以上、HTML4.01では60%以上が合格ラインです。
試験時間
これもコースによって時間は異なります。
HTML5のエキスパートでは知識が20分、テキストエディターを使う場合の実技が110分、Webページ作成ソフト使用の場合の実技は90分です。
スタンダードの方は実技試験のみですが、テキストエディター使用なら70分、Webページ作成ソフトの場合で60分と決められています。
XHTML1.0のエキスパートコースでは時間が若干長くなります。テキストエディター使用ですと120分です。他はHTML5の場合と同様です。
HTML4.01では上級の規定問題が10問50分、自由問題はテキストエディター使用なら120分、Webページ作成ソフトで90分です。
初級では規定問題が8問50分、自由問題でテキストエディター使用だと90分、Webページ作成ソフト使用の場合が60分となります。
尚、主催者はテキストエディターとしてWindowsの「メモ帳」、Macの「テキストエディット」だけを推奨しています。
それ以外のソフトはWebページ作成ソフトの方を使って受験することを求めていますから注意して下さい。
出題形式
知識と実技、それぞれの出題形式についても掘り下げてみましょう。
HTML5のエキスパートの知識問題ですが4択形式でWebサイト全般に関する知識が問われます。
デザインカンプ15問、文書15問の合計20問が出題され、制限時間は20分です。
XHTML1.0の知識問題も20問ですが4択形式とは限りません。
実技試験は問題、素材の各データを元に編集し、設問に対する解答を提出する形式です。
1つのテーマに基づいてHTML、CSSの作成やJavaScriptの読み込み、画像表示などが要求される試験となります。
テキストエディターとWebページ作成ソフトのいずれかの使用が必要です。
スタンダードは知識問題がないので実技試験のみです。エキスパート同様、問題データ、素材データに基づいて解答を提出します。
HTML、CSSの作成以外にHTMLの最新バージョンであるHTML5の変換が含まれることに注意して下さい。
スタンダードの実技も、テキストエディターかWebページ作成ソフトのどちらかを使います。
尚、テキストエディターを使って解答を保存するとソースが改変されるリスクがあり、ブラウザー搭載の開発者向けツールは使用できません。
HTML4.01での規定問題もテキストエディターを使って、上級10問程度、初級8問程度の出題となります。
自由問題ではテキストエディター、Webページ作成ソフトどちらも使用可能です。
又、HTML4.01の受験に際しては受験者用リファレンスという参考資料が配布されます。
受験環境とブラウザー
試験問題は冊子でなく、プログラムで提供されることになっています。
OSがWindowsの場合のブラウザーはInternet Explorer10、11、Chrome、Firefox、Edge+ Internet Explorerとされています。
ただ受験会場により異なる場合があるので、事前に会場へ問い合わせておくと良いでしょう。
Macの場合はSafari6、7、Chrome、Firefoxですが、やはり会場により異なります。
尚、Edge+Internet Explorerですが、「Edgeが更新され、解答に不具合が生じるため使用を見合わせる」旨の公表がされました。
受験方式
Webクリエイター能力認定試験は、個人で受験する場合と団体で受ける場合とで少し方式が異なります。
団体受験
教育機関や法人などの団体が自ら保有、設営する施設に於いて試験を開催する場合は団体受験の方式を採ることとなります。
試験日は任意設定が可能です。
中学・高校・大学・専門学校などの教育機関や法人組織であること、各種規約を順守することの2つの要件をクリアすれば成立します。
この規約には受験会場規約が含まれます。備品・採光・静粛性・試験問題の保管などが定められており、試験監督官も団体が配備します。
受験申込手続料は1回2,240円です。
個人受験
一方、個人受験の場合は主催者が設営する試験会場に於いて随時試験を受ける形式です。
全国で開催され、専門学校、語学教室などが会場として選ばれています。
受験の申し込みや受験料の納入は各会場へ直接行います。尚、団体の場合に発生した受験申込手続料は免除されます。
有効期限
認定試験合格証には有効期限はありません。パーマネントに有効な合格証です。年次更新手続きも必要ありません。
能力認定試験の理念とスタンス
Webクリエイター能力認定試験の基本的な立場はW3C(World Wide Web Consortium)と呼ばれる世界標準への準拠です。
そこに準拠したスキルレベルを試験に於いて測定・評価する、という点にあります。
W3CはWeb上で用いられるスキルの標準化や教育を推進する非営利団体です。
2014年時点で388の団体が加入しています。
イギリスのティム・バーナーズ=リーという科学者が創設者でインターネット関連の基礎的技術の普及に多大なる貢献を成し遂げました。
Webクリエイター能力認定試験では2005年よりこの標準に完全準拠しています。
W3CはHTMLやCSSなど多くの規格を公開しました。CSSはCascading Style Sheetというレイアウト指定のための技術です。
文書構造とレイアウト・デザインとを分離する仕様を意味しており、Webページの汎用性を高めます。
認定試験はCSSの理念を重視しているということが特徴です。
出題される問題は多様化するインターネット閲覧環境を意識してInternet Explorer、 Chromeといったマルチブラウザに広く対応しています。
当然OSもWindowsとMac両方をカバーしています。
現場での実践的スキルを見る目的で、ワイヤーフレームやデザインカンプを用いた問題がよく出題されました。
因みにワイヤーフレームはサイト上の骨組み、デザインカンプは完成イメージと考えて下さい。
試験に向けての準備
受験に臨む準備として過去に出題された問題から傾向を探ることはとても重要です。
全体的な出題範囲は「Web利用・技術認定委員会」の公式サイトから調べることができます。
出題範囲
HTML5、XHTML1.0、HTML4.01のバージョン毎の範囲が示されていますが要約すると次の通りです。
- Web言語としてのHTMLとCSS
- 技法・カラー、文字装飾、ビジュアルデザイン、画像加工などによるWebデザイン技術
- ドメイン・リンク・ユーザビリティ・アクセシビリティなどのWebページの基礎
- ファイルの取り扱い、ブラウザー、テキスト・ソースの扱いを含む制作環境管理
- レイアウトと構成を中心とするサイト設計
- オブジェクト・コントロール
- テーブル・フォームの定義
これらの項目は知識・実技どちらの試験にも関係しています。
エキスパートとスタンダード或いは上級と初級いずれにも跨っていると理解しておきましょう。
出題傾向
合格者が語る出題傾向を読み解くと、CSSファイル・画像ファイル・HTMLファイルを用いてWebサイトを構築するのが基本パターンのようです。
公式問題集と参考書
「Web利用・技術認定委員会」の公式サイトではそれぞれのコースに対応した問題集を紹介しています。
HTML5、XHTML1.0、HTML4.01それぞれのバージョン別にエキスパートとスタンダード、上級と初級の問題集がネット購入できます。
問題集は教育機関向け書籍・テキスト類を扱う株式会社ウイネットが販売元です。
同委員会は問題集と併用できる参考書の案内も行っています。
いずれも学習効果を高める効果が期待できるもので、参考書のタイトルは次の通りです。
- HTML+CSSクイックマスターHTML5対応(初心者向けWeb制作テキスト。株式会社ウイネット発行)
- WebクリエイターのためのベーシックデザインHTML5対応(Webデザインの概論。株式会社ウイネット発行)
- デジハリデザインスクールシリーズ(Webの基本とアプリの解説書。株式会社技術評論社発行。)
- 詳解 HTML&XHTML&CSS辞典 第4版(Web標準体系の解説。株式会社秀和システム発行。)
Webクリエイター能力認定試験合格の意味
認定試験に合格することでどんなメリットがもたらされるのでしょうか。それぞれのフェーズ毎に考えられる点を挙げてみます。
就職・転職活動
終身雇用制度の崩壊に伴い個人ベースでキャリアデザインを描き、スキルを磨くことの必要性が増しています。
認定試験合格証はそのニーズに応えるものと言えるでしょう。
Webクリエイター能力認定試験は特殊技能の習得、職務遂行能力のアップなど実務に於けるスキルレベルを具体的に証明してくれるものです。
実務への反映
Webページの制作ワークフローに沿った実務的スキルを身に付けることができます。実務処理のスピードや効率性の証明にも寄与します。
自社サイトのコンテンツを内部制作する場面では、クリエイターやデザイナーなどの専門職以外の事務職・一般職の方々にとっても活用可能な能力です。
学習方法
学習カリキュラム
エキスパート、スタンダード各々の合格のために要する学習時間はエキスパートで38時間、スタンダードで24時間と言われています。
学習教材としては公式テキストや問題集の他、標準学習カリキュラムが公開されていますので確認して下さい。
HTMLやCSS、Webサイトの基礎知識などポイントとなる要素を知ることができます。
サンプル問題
サンプル問題というのは本番の試験と同じファイル形式で使えるプログラムです。
本番試験では問題冊子の配布が行われないため、代わりにこのプログラムが提供されることとなっています。
問題文はWebブラウザーに表示されます。ZIP形式でダウンロードがされるので、解凍して使うことになります。
Webクリエイター以外の資格試験
Web利用・技術認定委員会が主催する検定試験は他にも2つあります。どんな内容かチェックしておきましょう。
ネットマーケティング検定
効果的なインターネットマーケティングの手法を身に付けているかを測定するものです。
拡販や顧客満足度の向上のみならず、業務の効率化や宣伝広告費の削減なども志向しています。
ホームページ制作能力認定試験
HTMLをベースに、ホームページ制作のための標準スキルを測定します。
受験勉強を通じて、内部制作スキルを習得できることが魅力です。
合格者の声
Webクリエイター能力認定試験を見事突破した合格者の声を集めてポイントを整理してみました。
この試験制度の特徴や合格後の道筋なども浮き彫りになってきます。
通学or独学
専門学校や教室に通って学ぶ方法もあります。
ただこの試験に関しては学習カリキュラムの充実、教材の整備状況、本番試験との効果的連携などから独学でも充分対応可能との印象です。
エキスパートorスタンダード
試験勉強を通じての負担はどちらも大差ないと考える人が多いようです。受験するならエキスパートというのが主流です。
団体or個人
これはどちらがどうという問題ではありません。団体の場合、自社施設が使えて移動も簡単、移動コストも不要ということで魅力的な方式との評価です。
大勢の社員に受験させることができたので、社員のスキルの可視化に成功したという意見もあります。
Webクリエイターの活躍の場
Webクリエイターが備える能力は単なる実務的スキルのレベルを超えて、社会的貢献が実現できるパワーです。
これからの時代を生き抜くための「雇われる力の源」と呼んでも決して過言ではありません。
どんなビジネスシーンが待ち構えているのか、そこでの活躍に向けて期待は膨らむばかりです。
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