学校教育でも導入が決まり、ますます需要が伸びることが予測されるプログラミング技術。

その時代の波を受け、2019年から新たに実施されたのが日商プログラミング検定です。

まだ新しい試験ということで情報が少なく、興味はあるもののどのような試験なのか分からない人もいるでしょう。

そこで日商プログラミング検定試験のレベルや、試験内容などについて詳しく解説します。


日商プログラミング検定とは?

昨今のIT技術、インターネット技術の進化は目覚ましいものがあります。

IT、IoT時代を迎え、プログラミング技術は今の時代に必要なスキルです。

しかし、IT業界においては以前から人材不足人手不足が叫ばれているのも事実でしょう。

IT技術の需要は増すばかりですが、ITスキルを持った人材不足は解消せず、課題となったままになっています。

このような状況の中、2019年1月から日本商工会議所主催の新しい検定試験が作られています。

それがプログラミング技術の学習を支援、資格認定をする「日商プログラミング検定」です。

「日商プログラミング検定」では、C言語、Java、VBAの3つの言語に関する内容が出題されます。

そのため、1つの言語に偏らないプログラミングスキルを資格試験の勉強を通じて身に付けることができるのです。

また1つのプログラミング言語に依存しないことで、様々の企業の求人ニーズに対応することもできる可能性も広がります。

そこで、今回「日商プログラミング検定」がどのようなものか、試験レベルや受験方法、試験対策についてご紹介していきましょう。


検定試験の特徴

この検定試験の特徴としては、初心者から段階的に受験できるように4つのレベルに分けて試験が実施されるようになっています。

4つのレベルの試験の中で上位レベルの試験では、より実践的な試験内容です。

プログラミング言語としてはC言語やJava、VBA、それに加えて今後はAI(人工知能)の開発に使用されるPythonの追加が予定されています。

そのため、かなり実用的なプログラミングスキルを習得しているという認定を受けることができるようになるでしょう。

知識だけでなく、実際に設定された課題をプログラミングする実技試験も実施されているのです。

結果は自動判定するシステムによって採点されるようになっています。


試験の各レベル

試験の特徴として4つのレベルがあることをお話ししましたが、ここでは各レベルの試験について解説します。


ENTRY

検定試験を受験するにあたり、いわゆる初級レベルがENTRYレベルです。

このENTRYレベルはプログラミングの初心者向けとなります。

プログラミングの初学者にビジュアル言語「Scratch」を楽しんで学んでもらうのも目的のようです。

日々の学習成果を問う一つの指標として、試験勉強を活用してもらうことを目標とした試験内容となっています。

「Scratch」はIT技術者でも聞いたことがない人もいるかもしれません。

これはMITメディア・ラボのLifelong Kindergartenグループによって開発された言語です。

主に子供向けのプログラミング言語で、ビジュアルプログラミング言語といわれています。

まさにENTRYレベルの試験、勉強に向いている言語といえるでしょう。詳しくは、以下のURLをご参照ください。

https://scratch.mit.edu

ENTRYレベルの試験は、資格試験としての難易度は比較的易しい方に分類されています。


BASIC

ENTRYレベルの1つ上の段階になるのがBASICレベルの検定試験で、2019年4月より実施されている試験です。

このレベルになると、プログラミングに関するITの基本知識、簡単なアルゴリズムを問う(プログラミング学習の基本)ものとなっています。

企業人の素養として求められる、プログラミングの基本知識を習得していることが前提です。

ENTRYレベルと異なるのはプログラミング言語を問わずという試験内容になっています。

受験料は税抜き4,000円です。


STANDARD

STANDARDレベルになってくると少し難しくなってきます。

主に高校・大学・専門学校等でのプログラミング学習の習得度を問う内容です。

企業においてIT化を先導できる、プログラミングに関する基本知識・スキルを習得していることというのが前提の試験内容になっています。

この試験もBASICレベルと同様に2019年4月から実施が開始された試験です。

言語もC言語、Java、VBAとなっており、今後、AI開発で用いられるPythonが加えられる予定となっています。

受験料は税抜き5,000円です。


EXPERT

EXPAERTレベルの試験は2019年10月より実施の試験で比較的新しい試験ですが、4つのレベルで一番上位レベルの試験です。

この試験はプログラマーとしての基本能力を問う試験内容になっています。

仕様書を読んでソフトウェアの一部が作成できることが前提の試験です。

そのため、より実践的で企業等でプログラマーとして活躍できるレベルといえる試験になります。

使用する言語はSTANDARDレベルと同様にC言語、Java、VBAの3種類。

今後、AI開発で用いられるPythonが加えられる予定となっています。

受験料は税抜き6,000円です。


受験方法

認定試験を受験するにあたっての受験資格ですが、これは特にありません。誰でも受験することが可能です。

試験方法はインターネットを使ったオンラインの試験で実施され、その後すぐに採点・合否判定を行う試験となっています。

また、試験はいつでも受験可能です。

試験日程は各試験会場によって決まっていますので、詳細は受験予定の試験会場まで問い合わせの上申込みます。

受験の流れですが、まずネット試験会場を確認し、自分が受験したい会場を選んでください。

会場を確認したら、受験できる試験日を確認して受験の申し込み方法も確認します。

試験会場と受験日程を確認したら、次に受験申込みをしましょう。

そして試験当日、受験者本人であることが分かる身分証明書を持参して受験するという流れになります。

合否発表は試験終了と同時に採点し、合否結果を判定する形です。その場で合格か不合格が分かるようになっています。

合格した場合は、後日受験した会場から合格証を受け取りましょう。

配布日時や方法は試験会場で確認になりますが、カードは受験後約1ヶ月程度で、受験した試験会場より交付されます。

合格証は再発行されないので、受け取ったら失くさないように大切に保管しましょう。

なお、受験レベルについて必ずENTRYレベルから受験しないとBASIC、STANDARDレベルを受験する資格がないわけではありません。

既にプログラミング経験もあり、最初からより上位レベルの試験を受験したい人もいるでしょう。

その場合は最初からBASICレベルやSTANDARDレベルから受験することも可能です。


試験会場

試験会場については、商工会議所ネット試験施行機関で確認してください。

以下のURLで自分が受験したい都道府県をクリックすると、受験できる会場一覧が表示されます。

いつでも受験可能な会場やそうではない会場もあるため、その辺りは注意してください。

会場の場所と日程を確認して、その中から受験しやすい会場を選びましょう。

https://links.kentei.ne.jp/organization/


検定試験の内容

検定試験の出題形式や内容ですが、レベルごとに異なりますので、各レベルの試験内容をご説明します。


ENTRY

出題形式は択一知識問題で試験時間は30分と短めの試験です。

プログラミング言語として、Scratch(Scratch3.0対応)となっています。試験範囲は以下の通りです。

  • 変数
  • 条件分岐
  • 繰り返し
  • 配列
  • ブロックの定義
  • 並列処理
  • メッセージング
  • クロ一ン
  • ペン機能(コンピュータグラフィックス)
  • サウンド機能
  • 開発環境(IDE)の使い方
  • ネットリテラシー、モラル


BASIC

出題形式はENTRYレベルと同じ択一知識問題ですが、試験時間はENTRYレベルより10分多く40分です。

プログラミング言語によらない試験で、試験範囲として以下が出題されます。

  • コンピュータの仕組み
  • ハードウェアとアーキテクチャ
  • ソフトウェア
  • 2進法、8進法、16進法
  • 情報表現
  • 流れ図
  • データ構造
  • 情報モラル


STANDARD

出題形式は一知識問題が30分プログラミング実技が30分合計60分の試験です。

プログラミング言語は広く普及し学習者も多いJavaC言語VBAの3つからそれぞれ試験が実施されます。

また今後はAI開発で用いられるPythonが加わる予定です。試験範囲は以下が出題されます。

Java

  • 値とリテラル
  • 変数とデータ型
  • 分岐と選択
  • 繰り返し
  • 配列
  • 参照型

C言語

  • 値とリテラル
  • 変数とデータ型
  • 分岐と選択
  • 繰り返し
  • プリプロセッサ
  • 配列
  • ポインタ

VBA

  • 値とリテラル
  • 変数とデータ型
  • 分岐と選択
  • 繰り返し
  • 配列
  • シート
  • 簡単なExcel関数


EXPERT

出題形式は択一知識問題が40分プログラミング実技が40分合計80分の試験です。

プログラミング言語はSTANDARDと同じで、JavaC言語VBAの3つからそれぞれ試験が実施されます。

また今後はAI開発で用いられるPythonが加わる予定です。試験範囲は以下が出題されます。

Java

  • 再帰定義
  • 多次元配列
  • クラス定義
  • クラス定義の応用
  • 継承とインターフェース
  • 並び替え
  • 簡単なコンピュータグラフィックス
  • 応用プログラミング

C言語

  • 関数定義
  • 多次元配列
  • 構造体
  • 共用体
  • 標準関数
  • 再帰定義
  • 並び替え
  • 応用プログラミング

VBA

  • 副手続きと関数
  • 再帰定義
  • 多次元配列
  • クラス定義
  • 並び替え
  • 応用プログラミング


合格基準と合格率

ENTRYレベルとBASICレベルは知識科目として70点以上が合格基準となっています。実技科目はありません。

STANDARDレベルとEXPERTレベルは知識科目として70点以上、実技科目として3問完答する必要があります。

3問完答とは3問すべて回答してあれば良いということではなく、全問正解でなければなりません。

検定試験の合格率については、どうやらまだ公開されていないようです。

数年後には少しずつ受験者数や合格率も公開されるでしょう。


受験の注意事項

商工会議所の検定試験で、受験にあたっての注意事項が幾つかあります。

ここではすべてではありませんが、幾つか紹介しておきますので確認しておきましょう。


受験料

一度申し込むと、受験料の返還や試験日の変更ができないので注意が必要です。

会場と試験日程は確実に行ける日を選ぶようにしておきましょう。


本人確認

受験申込者本人であることを証明できる身分証明書を持参しましょう。


情報端末の禁止

この試験は、携帯電話や腕時計型情報端末等、外部との通信が可能な機器の使用を一切禁止しています。


試験内容、採点に関する質問

試験問題の内容や採点内容、採点基準・方法についての質問には、一切回答できないようになっています。


答案の公開、返却

答案の公開、返却は行われません。


試験対策

試験対策ですが、商工会議所のサイトに日商プログラミング検定のサンプル問題がありますので、まずはこちらを確認してみてください。

レベル毎のサンプルがPDFでアップロードされていますので、簡単にダウンロードできるようになっています。

また、商工会議所のサイトには各レベルに応じた参考書籍も紹介されていますので、こちらも参考にしてみてください。

このような検定試験主催者の商工会議所のサイトでも、サンプル問題や書籍を紹介しているので参考にしてみてください。

また出題される言語としてSTANDARD、EXPERTはC言語JavaVBAと指定されています。

Amazonでもプログラミング言語の参考書籍が見つかると思いますので、それを見てみても良いでしょう。

独学だけでスキルを習得するのが難しい場合は、パソコンスクールでもプログラミング教室があるので、それを活用するのも手です。


まとめ

プログラミングスキルは、今後ますます需要が高まるのは間違いありません。さらに今後もっと注目されていく分野になるでしょう。

既に社会人として活躍している人でも、この検定試験の勉強を通じてプログラミング言語を学ぶことは大きなメリットがあります。

STANDARD、EXPERTレベルまで到達すればプログラマーとして活躍できる可能性が広がるでしょう。

サーバエンジニアやネットワークエンジニアでも、プログラミングが出来た方が良い場面に直面したりするものです。

プログラミングの概念やスキルがあるだけで、実際の業務効率化に役立つ場面があります。

プログラミングに興味がある・資格という形でスキルを証明したい人は是非この日商プログラミング検定を受けてみましょう。