システム監査という仕事

現代社会において、もはや「IT」は欠かせないものとなりました。

ありとあらゆる業界・現場でITシステムが導入され、もはやインフラといっても過言ではないレベルまで生活とITは密着しています。

ITがなければ便利で快適な生活を送れないほどに、切っても切り離せない密接した関係性を築くようになりました。

そんなITシステムなどの信頼性や企業活動や経営活動に役に立っているかどうかをチェックするのが「システム監査」です。


システム監査技術者試験

今回の記事では、そんなシステム監査という仕事に結びつくIT国家資格「システム監査技術者試験」に注目していきます。

試験対策として午前試験や午後試験、論文のコツや効率的な勉強方法まで様々な観点から解説。

過去問の確認方法なども含め、システム監査技術者試験合格のために必要となってくる要素・勉強を一気にチェックしていきましょう。


難易度が高いシステム監査技術者試験

IPA(日本情報処理推進機構)が実施しているIT系国家資格の最上位レベルである「レベル4」。

ITストラテジストやデータベーススペシャリストなど様々な専門分野に特化した試験が実施されていますが、その中でも特に難しいといわれている試験が幾つかあります。


最難関ともいわれる

システム監査技術者試験は、その「特に難しい」カテゴリーに区分される試験の1つです。

ITストラテジストやプロジェクトマネージャ試験などと共に「最難関の一角」といってもいいでしょう。

その反面、ITストラテジストほどは難しくはないといわれているのも事実。


合格率はITストラテジスト試験と同程度

とはいえ、合格率という観点で見れば「14〜15%」となっており、受験者数や条件などは異なるもののパーセンテージ自体はITストラテジストと同程度の合格率となっています。

やはり非常に難易度の高い試験だということが分かるデータです。


試験の形式による難しさ

システム監査技術者試験は、試験が午前・午後でそれぞれ2部に分かれ、合計4つの試験で構成されています。

午前I・午前IIが四択問題で、午後Iが記述式、午後IIは論述式の問題が出題。

午後IIは2時間(120分)で2,200字以上4,000字以下をその場で考え、小論文(論述)を完成させなければならず、非常に難易度が高いです。

そのため午後I・午後II試験に関してはIT技術に関する知識やスキルだけでなく、国語力も必要になってきます。

午後IIの論文で時間が足りず不合格になってしまったという方も少なくないため、そのハードルの高さはやはり明らか。

仮に他の3試験が完璧であったとしても、午後IIを落としてしまえばシステム監査技術者試験には「不合格」になってしまいます。

その逆も同様で、午後IIをクリアしたとしても他の部分が基準に満ちていなければやはり「不合格」です。

全てを合格まで持っていかなければならず、精神面でも体力面でもタフな試験といえるでしょう。

当然難易度の高さの要因の1つです。


システム監査技術者試験は合格者の平均年齢が高い

そして、合格者の平均年齢も高め。

合格者の平均年齢は40歳を超えており、他の試験と比較してもやはり高めです。

同じく最難関のIT系国家試験といわれるITストラテジストの合格者平均年齢は39.0歳とされているため、それ以上ともいえます。

年齢が高いということは、それだけIT業界への深い知識や理解、現場での実務経験などが必要となってくることが推測できるでしょう。

やはり簡単な試験ではなく、かなり難易度が高い試験だということが分かります。

ITストラテジスト試験やプロジェクトマネージャ試験と並んで最難関試験の一角といわれる理由の1つともいえるかもしれません。


システム監査技術者試験の試験対策

それでは、システム監査技術者試験の試験対策方法を解説していきます。

とはいえ、基本はやはり「勉強」です。

試験対策様の参考書を購入して、じっくりと勉強を進めていく必要があるでしょう。


必要とされる勉強時間

さて、様々な資格試験では目安とされる勉強時間というものが情報として入手できます。

ただし今回紹介しているシステム監査技術者試験の勉強時間目安は人によって差が生じやすいといえるでしょう。

というのも、やはり実務経験の有無や論文という問題形式による「国語力」などが問われるからです。

そのため、数十時間で合格できたという方もいれば、100時間〜300時間など非常にバラツキがあります。

ただ、100時間程度で合格をできたという人が多く見られるため、目安として「100時間」を意識して勉強に取り組んだり、計画を立てると良いでしょう。


合格のための論文作成のコツ

さて、既に記事中でも論文で不合格になってしまう方が多いということをお伝えしました。

とはいえ、合格に近づくための「論文作成のコツ」というものも確かに存在しています。


システム監査基準とシステム管理基準について理解を深めておく

システム監査技術者試験は他の高度情報処理技術者試験以上に「暗記」が重要になってきます。

先ほど「システム監査基準」という単語が出てきましたが、まずは経済産業省のサイトからPDFをダウンロードして読み込みましょう。

加えて「システム管理基準」についても同じように読み込む必要があります。

「システム監査基準」と「システム管理基準」、この2つをしっかりと記憶として定着できれば、論文作成に役立つでしょう。


論文の書き方を練習する

本番の試験では試験時間という明確な「時間制限」があります。

時間が足らずに論文を完成させられずに不合格になる方もいらっしゃいます。

もし「あと数分時間があれば完成していた、内容も完璧だった」としても完成していなければ意味がなくなってしまいます

そういった事態にならないためにも、予めしっかりと論文の練習をしておくことが大切です。

ただ知識や論文の内容を「頭で考える」だけでなく、実際に指を動かしてアウトプットしてください。

最初は時間を気にせず、ある程度慣れてきた段階で本試験と同じく2時間(120分)でタイマーなどをセットして実践していきます。

もし時間内に終わらなかったとしても回数を重ね、次第にスピードを上げて時間をコントロールできるようになっていけば大丈夫です。

論文を書く「練習」も午後II試験の論文を突破する重要なコツの1つといえるでしょう。


午前対策は「過去問をひたすら解く」ことに尽きる

さて、これまでは午後問題…主に午後II試験の論文への対策を解説してきました。

ここからは「午前試験」になります。

IT系国家資格の午前試験は、レベルや試験区分を問わず「過去問をひたすら解く」ことが非常に重要です。


過去問が午前試験対策に有効な理由

もちろん過去問を解くことで実際の試験の問題に触れ、独特な言い回しや選択肢の傾向などをに慣れておくというメリットもあります。

しかし、理由はもっとシンプルかつ明確です。

それは過去問が「流用」されるからという理由。

文字通りの意味で、システム監査技術者試験では過去に出題された問題が「そのまま流用」されます。

全く同じ問題が出題されるということです。

つまり、過去問を解いて正答を暗記(記憶)しておけば考えることなく一瞬で解答できてしまうということです。

もちろん新しい問題も出題されますが、過去問を解いて解説もしっかりと理解していけば、自ずと解ける問題も増えていくことでしょう。

過去問で不足している部分はしっかりと他の勉強でカバーすることも重要ですが、基本軸は「過去問を解く」という勉強法がおすすめです。

毎日少しずつでもいいので、必ずコツコツと過去問を解くようにしましょう。


当日の温存へと繋がる

考え方によっては「午前試験合格が近づく」以外のメリットも挙げられます。

システム監査技術者試験は丸一日かけて行われるため、試験当日は午後も控えているタフな試験です。

予め過去問を大量に解いておいて正答を暗記しておけば、当日精神的にも体力的にも午後試験へ「温存」できるかもしれません。


過去問をチェックする方法

そんな魅力的な過去問ですが、システム監査技術者試験の過去問はどうすればチェックできるでしょうか。


参考書を買う

最もオーソドックスなのは過去問を取り上げている参考書を購入することです。

参考書のメリットは、大抵解説も一緒にしっかりと掲載されているというポイント。

ただ読み込むだけでなく、問題を解いたあとに間違っていた部分をしっかりと復習し頭へ定着させられるメリットを持っています。


Webサイトを活用する

しかし、参考書ばかり購入していては金銭的に負担がかかります。

その分を午後・論文対策などの参考書に回したいという方もいらっしゃるでしょう。

そういった方はWebサイトを活用すれば無料で過去問を勉強できます。

例えば、下記のようなサイトたちを活用できるでしょう。

参考:システム監査技術者過去問対策.com

参考:情報処理技術者試験 過去問

どちらも試験ごとに過去問をしっかりと学習できます。


アプリをインストールする

また、スマートフォン向けアプリをインストールするというのも選択肢の1つでしょう。

高度情報処理技術者試験で共通となる午前I試験過去問アプリはもちろん、システム監査技術者試験独自問題となる午前IIの過去問アプリもリリースされています。

Webサイトやアプリの利点は、スマートフォンでどこでも気軽に過去問を解けるというポイントです。

通勤中やちょっとしたスキマ時間に過去問に取り組めるでしょう。

また、防水端末であればお風呂の中でリラックスしながら勉強したり、寝る前に布団やベッドの中で学習することも可能です。


公式サイトで配布されている問題冊子のPDFを利用する

また、IPAは試験後に問題冊子のPDFを配布しています。

年度ごとにそれぞれの試験の問題冊子のPDFがダウンロードが可能です。

公式で無償で提供されているものですからぜひ活用していきましょう。


勉強の計画を立てる

さて、午前・午後ともにどのように学習したらよいのかといった勉強方法、試験対策をお伝えしてきました。

ただし、今回お伝えしたものに対して闇雲に取り組むだけでは意味がありません。

勉強の「計画」を立てることも非常に重要です。


100時間を目安にする

記事中でも触れた通り、システム監査技術者試験は100時間程度で合格している受験者が多く見られます。

そのため、まずは「100時間」という明確な勉強時間の目安を作り、それに向かって勉強の計画を立ててください。

毎日少しずつある程度の期間勉強するのか、それとも一気に集中して取り組むのかまで計画し、勉強を進めます。


計画を立てるだけでなく「実行」に移す

もちろん、計画をするだけでなく「その計画に沿って実行」することも重要です。

計画を立て、それに沿って実際に勉強を進めていきましょう。

また、その際には午前試験・午後試験の勉強配分について考えるのも忘れないように注意してください。


資格を装備した魅力的なエンジニアを目指す

今回様々な観点から試験対策方法を解説してきた「システム監査技術者試験」は、非常に難易度が高い資格でした。

IT系国家資格の中でも最難関の一角とされている理由や背景についてもご理解頂けたかと思います。

確かに、システム監査技術者試験は取得が非常に難しい資格試験です。

しかし、だからこそ高い「価値」を持っている資格ともいえるでしょう。

もしシステム監査技術者試験を取得しているのであれば、間違いなくそれは「武器」になります。

自分のキャリアにもプラスに働くほか、周囲の人たちからの期待や信頼を厚くすることにも繋がるでしょう。

ぜひ「難易度が高いからむり」とは思わず、むしろ「難しいからこそ欲しい」と思えるように上手くモチベーションを高めてください

より魅力のある人材になれるよう、資格という「武器」を装備できるよう努力していきましょう。