ビジネスの世界では知っているのが常識になりつつあり、今多くの企業で導入が進んでいるのが事務系システムです。

ビジネスにおいて効率化や生産性を向上するために、無くてはならない存在といえるでしょう。

事務系システムの中には基幹系システム情報系システムが含まれますが、今回はそれぞれを説明しながらその違いを詳しく解説していきます。

またフリーランスのシステムエンジニア向けに、事務系システムの開発案件を請け負うメリット需要の現状を紹介します。

基幹系システムとは

会社の業務を遂行する重要な存在

事務系システムの一つである基幹系システムは、会社を経営するための業務を効率よく遂行する上で必要不可欠なものです。

逆にシステムの機能が停止すると業務に多大な悪影響を及ぼします。

モノやサービス、ヒト・カネに関するシステムも基幹系システムの一つです。

例えば生産管理在庫管理・仕入れ管理、販売に関わる受注・発注、勤怠管理人事給料管理財務・会計のシステムなど。

これらはまさに会社の「基幹」となるシステムで、会社を営むことに直結するものです。

ただ企業には多種多様な業種があるので、会社にとって経営上不可欠な基幹となるものがそれぞれ違ってきます。

基幹系システムは、業務と直接関わってくるので高い安全性や安定性、正確さが必要とされます。


基幹系システムをさらに効率化

様々な基幹系システムを一元管理するソリューションが、ERP(エンタープライズ・リソース・プランニング…統合基幹業務システム)です。

複数のシステムを一つにまとめることで業務を可視化し、更なる効率化や意思決定のスピードアップを図ることが可能になります。

ERPが欧米諸国から日本に上陸した当初は、外資系大手の海外製のものを日系企業が導入していました。しかし、それらは海外規格のものです。

日系企業がそのシステムの利用に不便さを感じたり、導入費用が高かったりしたため、IT(情報技術)投資に失敗する例がありました。

現在は日本産のERPの開発が進んでいます。

これにより国産・海外産問わず既存のシステムを各企業の要望に合わせて、オリジナルに改良することが可能になりました。

しかも、ERPを安価に導入できるようにもなっています。その結果、大企業だけでなく中小企業のERPの導入も進んでいます。


情報系システムとは

もう一つの事務系システムが、情報系システムです。

基幹系システムのように経営の中核となるシステムではありませんが、企業の経営活動を支えるために必要になります。

グループウェアメールシステムデータウエアハウス・スケジュール管理・社内ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などです。

それらの機能が停止しても、企業のビジネス活動には直接致命的な支障が出ないものです。


基幹系システムとの違い

基幹系システムは企業の経営に関する情報の管理を行い、業務の効率化や属人化の防止や人的ミスの削減を目的します。

一方情報系システムはコミュニケーションツールとして社内外の情報の共有や、経費削減などを目的に利用されます。


業務システムとは

業務システムは、企業によって様々な捉え方があります。

「業務システム=情報系システム」と定義する企業もあれば、基幹系システム以外の業務に関するシステムを指す企業もあります。

後者は、顧客管理や営業支援システムなども業務システムの一部という考え方です。

最近では基幹系システムや情報系システムという言葉が、ビジネス業界で頻繁に使われるようになりました。

しかしその分業務システムの定義も曖昧になったり、誤解されやすくなったりしてきています。


基幹系システムと情報系システム、どちらを優先するか

企業の業績が下がり経営不振に陥ると、ビジネスの要である基幹系システムを保守情報系システムを切る企業があります。

ところが、これをすることでIT投資に失敗する例がよくあるのです。

基幹系システムは、確かに業務の「基幹」ではあります。

ですが、だからといって会社にとって基幹系システムの方が情報系システムに比べると、会社の利益を出す上で必ずしも大事とは限りません

事務系システムを扱う社員が業務を遂行する際に依存していて、会社の業績とより関係しているのはどちらなのかを分析する事が必要です。

基幹系システムと情報系システムはどちらが大事なのか。それは企業の業種状況によりけりといわざるを得ません。

ともあれ会社内での使用価値を見極めることが、導入・運用の成功へとつながります。


システムエンジニアはWeb系かSIer系

現在システムエンジニア業界には、Web系SIer系の2種類が存在します。

これらは収益の出し方が違いますが、以下に2つに相違点を詳しく説明していきます。


Web系とは

Web系は、ウェブサービスを自社で開発し、広告や集客・サービスの利用などで収益を上げます。

例えばFacebookGoogle、日本ではメルカリクックパッドなどがあります。

Web系は、企業そのものに専属のシステムエンジニアを置く場合が多いです。


SIer系とは

SIer(スアイアー)とは「システムインテグレーター」の略。

SIer系はシステム開発の依頼を受けてシステムを構築、導入し利益を出す存在です。

まず、企業や行政などからどういったシステムを作って欲しいのか依頼を受けます。

次にコンサルティングを行い、その要望に合ったシステムを設計と開発をし納品して運用します。

国内大手企業だと、NTTデータ富士通野村総合研究所日立製作所、さらにNECなどがSIer系です。

これらの企業が、国内のシステム事業の案件をの多くを請け負っています。

その業務を下請けの会社やフリーランスのシステムエンジニア、子会社が請け負っているのがSIer系の構造です。

この記事で説明してきた事務系システムは、SIer系の仕事となります。


事務系システムはフリーランスでも売り込みやすい

システムエンジニアがフリーランスになることで、最も気になるのが収入ではないでしょうか。

独立すれば今までの人脈を生かして仕事を得ることもできますが、自ら営業して新しい案件を取りにいく必要もあります。

持続的に安定した収入を得るための工夫も必要です。


顧客のニーズに沿ったオプション展開

企業が事務系システムを取り入れる際、まず考慮するのがその導入方法です。

企業側はコストを低価格に抑えたい一方、システムの質使いやすさも重要視しています。

売り手側は、それに応えるために複数のオプションを提示することがほとんどです。

事務系システムはそれが明確に提示しやすいため、システムエンジニアが売り込みやすいメリットがあります。

ではシステムを導入したい買い手である企業側には、どのような購入の選択肢があるのでしょうか。

企業側のメリットとデメリットを含めて説明します。


フルスクラッチ開発

企業が依頼した事務系システムを一から作り上げる開発方法です。

開発に時間とコストを費やしますが、システムを長期的に使用することができます。

そうすることで、企業が必要とする独自性のあるシステムが完成するのです。

システムを導入する企業の要望が実現し、ランニングコストがかからないのもメリットといえます。


クラウド/SaaS


導入においてコストを抑えることができ、即日の納品が可能です。

しかしカスタマイズが効かず、インターネットの接続環境下でしかシステムを利用できないのがデメリットといえます。


パッケージソフト

既存のシステムを活用した導入で、クラウドと同様に安いコストで導入が可能です。納期にも時間がかからない点もメリットとして挙げられます。

ただ、ソフトをインストールしたパソコンしかシステムを利用できず、ソフトならではのバージョンアップの定期的な更新が必要です。

その際に課金が発生する場合もあります。


パッケージソフトのカスタマイズ

すでに構築されたシステムを活用して開発するシステムです。

価格を抑えながらも、導入する企業のオリジナル性に応えることもできます。

導入にも比較的時間がかかりません。しかし、ソフトの更新時に費用がかかることがあります。

フルスクラッチ開発はシステムエンジニアにとって利益が多い一方、導入企業の独自性を持ったシステムです。

そのためもちろん構築に手間と時間はかかりますが、他は既存のシステムを利用して納品できます。

システムエンジニアである売手側は一度システム構築して売り込めば、効率よく持続的に収入を得ることが可能です。


案件を獲得しやすい情報系システム

SIerのフリーランスシステムエンジニアは、システム開発を売上の軸にしています。

このため開発や設計、要件定義のスキルの高さが見てうかがえるでしょう。

スキルを最大限に発揮する場を獲得するためにも、どのシステムでの案件を取りやすいかを見極めることも大事になってきます。

事務系システムの中で基幹系システムは、企業の経営の中核を担っているため、長期的な利用を目的に作られています。

一方情報系システムは、システム自体の向上を目指して切り替えやすいのが特徴です。

システムを納品した企業とのコミュニケーションをとり、情報系システムの切り替えのタイミングを見極めて営業することもできます。


事務系システムの案件獲得でフリーランスが必要とされる総合力

事務系システムの開発といっても、もちろん企業や業種によってニーズが異なります。

企業で働くシステムエンジニアの中には開発のみに集中し、周囲とのコミュニケーションが必要なかった人も多いはずです。

フリーランスとなったら顧客とコミュニケーションを図り、システムの導入意図を的確に捉えなければいけません。

システムを導入したい企業が必要とするものが、最高の技術をもって構築されたシステムとは限らないからです。

買い手である企業が何を望んでいるかをくみ取り、企業側と技術を提供する側との着地点を見つけることが顧客満足度につながります。

技術的な正解が、システム的な正解と必ずしもイコールではないということです。


クラウド化で進むERP導入

従来よりもコスト低下で中小企業にもニーズが増加

基幹系システムを一元化管理するERPが日本に紹介された当初は、コストが高く海外の導入システムをそのまま取り入れていました。

そのため大企業しかシステム導入できなかったり、日本企業の商業的な慣習に合わなかったりしたので、なかなか導入が進みませんでした。

しかし最近は日本企業のERPベンダーが増えたことに加えて、基幹系システムのクラウド化とともにクラウドERPが登場します。

これにより安価に導入できるようになり、中小企業へのERPの導入も進んでいます。


追い風を商機に

中小企業のERP導入が増えたということは、フリーランスのエンジニアが請け負うことができる案件が増えたということになります。

単純に考えれば、中小企業は大企業に比べて営業がかけやすいです。企業数も多いので、それだけビジネス商機も増えやすくなります。


事務系システム自体が求められる社会的背景

昨今政府が推進している働き方改革の推進により、幅広い業種での省人化が進んでいます。

加えて企業の人材不足も、様々な企業で事務系システムの需要が高まっている理由の一つです。

各業種の国内の需要が飽和状態となり、企業の海外進出が進んでいることも事務系システムの需要拡大の要因となっています。

グローバル化に対応するためにも、業務の可視化や一括管理・標準化が必要とされ、IT投資を押し進める企業も増えているのです。


事務系システムの需要の拡大は見逃せない

事務系システムについて解説しました。

事務系システムは今、企業にとって経営活動を行うために非常に重要視されているシステムとなっています。

また時代の背景とともにシステム導入のコスト的なハードルが下がったことで、需要も増えつつあるのです。

大手のSIer系の最近の決算発表をみても、本業のシステム事業が好調で業績を伸ばしている企業が多いことがうかがえます。

この事務系システムへの高まる需要は、フリーランスのシステムエンジニアにとってもビジネスチャンスが到来しているということです。

業務を効率よく進め利益を拡大するためにも、基幹系システムや情報系システムの特徴などをしっかりと理解していく必要があるでしょう。