インターネット上で動画や音声を再生させるには、プラグインが必要です。

そのプラグインはAdobe社のFlashが有名ですが、実はSilverlightというMicrosoft社が開発したものもあります。

Silverlightはどのようなプラグインなのでしょうか。

Flashとの違いやインストール手順、またインストールしても動画が再生されない場合の対処法を解説します。


Microsoft Silverlightとは?

普段インターネット上で、動画や音声を表示・再生させる機会は多いのではないでしょうか。

ただ、WEBページ上で再生させるためには、プラグインというものをインストールしなければなりません。

その際性をできるようにしてくれるプラグインの一つがSilverlightです。

Silverlightは、Microsoft社が開発したWEBブラウザにインストールするプラグインで、正式名称は「Microsoft Silverlight」です。

主に、音声や動画を表示・再生するために使うものになります。

Silverlightを使った動画については、このSilverlightをインストールしていないと表示・再生することができないのです。

似たようなものでFlashというものもありますが、こちらもSiverlightと同様、インストールしていないと使用することはできません。

Silverlightは、2007年にリリースされて、現在の最新バージョンは5.1です(2020年2月20日時点)。

なお現時点では、バージョン4以下はすでに非対応となっています。


Flashとの違い

Adobe FlashとMicrosoft Silverlightは、共に動画や音声等のコンテンツをWEBページ上で表示・再生させるためのプラグインです。

しかしながらどちらかといえばFlashに比べたら、Silverlightの方が動画再生には適しています

動画サイズや転送速度が、Flashで作られたものに比べたら、早いというのが利点です。

また、SilverlightにはDRM技術というものがあります。

著作権として保護をしながら、動画などを配信するため(例えば、映画やドラマ・アニメのようなもの)の配信に向いている技術です。

どちらかといえば、知名度としてはFlashの方が有名でしょう。しかし上記の点を考慮して、Silverlightを選択したサイトもたくさんありました。

ただし、最近ではHTML5という規格が出てきて、どちらも規模を縮小し続けているのが現状です。


Silverlightの特徴

Silverlightは、Microsoftの開発環境であるVisual Studioととても相性が良いです。

そのためC#やVisual Basic.NET、Jscript.NETなどで開発が行われています。

特徴的な機能としては、

  • Windows標準のWMV(Windows Media Video)形式の動画を利用できる
  • 独自の著作権保護機能(Silverlight DRM)で、コンテンツを保護できる

以上のような点などが挙げられます。


Siverlightが現在の形になるまで

Silverlightの機能の変遷

Silverlightは当初、アニメーション・ベクターグラフィックスの表示や、動画・音声の再生機能を備えたサブ的なもので開発されました。

現在の形に近づき始めたのはSilverlight3からです。これはプラグインではありますが、画期的な機能を兼ね備えています。

たとえば

  • デスクトップアプリケーションのように動かせるOut of Browserと呼ばれる機能
  • 疑似3D
  • エフェクト機能

このようなものが実装され、後れを取っていたFlash playerに近づくことができるようになりました。

また、DeepZoomやPhotosynthといった、他のRPAプラットフォームには存在しない機能も実装済みです。

その後は時代に合わせるように次々と機能が追加されていくことになります。


Silverlight4への進化

Siverlight4では、

  • Webカメラ・マイクのサポート
  • オフラインでのDRM対応
  • マルチキャストストリーム
  • コピーアンドペースト
  • ドラッグアンドドロップ
  • マウスホイール
  • 右クリック
  • 印刷のサポート

といった機能が追加されました。

その他にも、ブラウザの外で実行できる機能が拡張されていくことになります。

  • ローカルファイルへのアクセス
  • アプリケーション内でのHTMLレンダリング
  • COMオートメーション

以上のような様々な機能がサポートされました。


Silverlight5へ

そして現在の最新版であるSiverlight5では、さらにパワーアップすることになります。

  • 動画のハードウェア・アクセラレーション
  • メディアコンテンツの変則再生
  • パワーマネジメント
  • リモートコントロール
  • 印刷機能の強化
  • グラフィックのハードウェア・アクセラレーション
  • 自動UIテストの対応
  • 64bit版ブラウザ対応

などが追加されて、今日に至ります。


Silverlightのサポート期限

最新版のSilverlight5についてはHTML5の普及に伴い、2021年10月12日をもってサポートを終了するとのことです。

これは主なブラウザソフトである、GoogleChromeやFirefoxがSilverlightから撤退するのも大きな要因でしょう。

しかし一番大きな要因としてはWindows10と共に、EdgeがSilverlightではなくHTML5を採用している点が挙げられます。

Edgeは、これまでのInternet Explorerに代わって標準ブラウザとして発表されたものです。

ただし、現時点でもSiverlightで作られた動画や音声データは、Siverlightをインストールしていなければ視聴することができません。

そこで、次にインストール方法などをお伝えします。


Siverlightのインストール


Silverlightのダウンロード

Silverlightは、https://www.microsoft.com/silverlight/のページからダウンロードができます。

全文英語のページのため、慣れていないと難しそうに思ってしまうかもしれません。

しかしながら、そんなに難しく考える必要はないので安心してください。

「Download Now」をクリックした後、リンク先でWindowsを使っていたらWindows、MacOSであればMacintoshと書いてある所を選択します。

そこをクリックするだけで、ダウンロードが始まるのです。


Silverlightをインストールする

ダウンロードが終わったら、あとは簡単。ダウンロードされたファイルを開いてください。

Windows10の場合、その前に「このアプリがデバイスに変更を加えることを許可しますか」と聞かれるので「はい」を選んでください。

次の画面では、

  • 「Bingをデフォルトの検索エンジンにするか」
  • 「MSNをホームページに設定するか」

という、2つのチェックボックスが出てきます。

必要がないのであればこのチェックを外して構いません。「今すぐインストール」を押すと、インストールが始まります。

インストールが完了したら、「閉じる」ボタンをクリックすればインストール作業は完了です。


Silverlightのアンインストール方法

入れてはみたものの、やっぱり使わないからアンインストールしたいという人もいるでしょう。

そうなった場合のアンインストールの方法も紹介しておきます。


Windowsの場合

Windowsでのアンインストール方法としては、スタートメニューからコントロールパネルを選びましょう。

その中の「プログラムのアンインストール」を選択します。

そうすると「プログラムのアンインストールまたは変更」という画面が出てくる筈です。

その中から「Microsoft Silverlight」を選んで、ダブルクリックしましょう。

「アンインストールしますか?」と聞かれたところで「はい」を選べば、アンインストールが完了します。


MacOSの場合

次はMacOSでのアンインストール方法です。まずFinderを開いて、画面上の方のメニューバーから「移動」を選択します。

リストが出てくるので、その中から「コンピュータ」を選択してください。

画面が開いたら、「Macintosh HD」を選択してから、「ライブラリ」を選択します。

その後「インターネットプラグイン」を選択して、その中にあるSilverlight.pluginというものを探してください。

それを「ゴミ箱」に入れて中身を空にしたら、アンインストールが完了です。


インストールしたものの、再生できない時

インストールの手順通りにインストールしたにもかかわらず再生できない。そういったことが残念ながら多々あるようです。

そのような事態が起こった場合はどうしたら良いのでしょうか。


InternetExplorerの場合

InternetExplorerの左上の、歯車のようなマークの「ツール」をクリックしてください。

表示されたメニューの中から、「アドオンの管理」という場所をクリックします。

その後、左側の「アドオンの種類」の下にある、「ツールバーと拡張機能」が選択されていることを確認してみましょう。

その右側に表示されたアドオンの一覧の中の、「Microsoft Silverlight」を探してみてください。

もし再生されない場合は、これが無効になっているはずです。

この「Microsoft Silverlight」をクリックすると、左下に、「有効にする」というボタンが表示されます。

ここをクリックすれば有効になるので、再び試してみてください。


Google Chrome・FireFox・Edgeの場合

Google Chromeについては、バージョン42.0以降はSilverlightの対応を終了してしまっているため、残念ながらSilverlightは使えません。

FireFoxについても、バージョン52以降はSilverlightの対応は終了しているとのことです。

さらにEdgeも対応していないため、この場合はInternetExplorerを使ってください。


Silverlightの規模縮小、サポート終了の理由

技術の進歩

なぜSiverlightがどんどん衰退し、ついにはサポート終了ということになってしまったのでしょうか。

それは前出でも解説した通りHTML5が登場したことや、通信速度の向上などが挙げられます。

Silverlightに限った話ではないのですが、どうしてもプラグインを間に介したやり方の場合は様々な弊害があります。

通信速度が余分に必要になったり、データ転送速度の問題でスムーズな動画の再生・音声データの視聴が難しかったりする状態でした。

しかし現在は技術の進歩で携帯端末回線の速度がどんどん早く、大容量データでもスムーズにいくようになっています。

その上HTML5の出現によって、プラグインを介さずにもっとシンプルな送信方法が確立されてきたのです。

このような時代背景として、もうSiverlightに頼らなくてもデータを公開することができるようになりました。

Silverlightの需要も減っていったというのが、サポート終了まで行ってしまった理由ですね。


Flashの存在

また、Flashの存在もSilverlightがそれほど伸びていかなかった理由の一つといわれています。

Flashは大手動画配信サイトのニコニコ動画など、幅広いサイトで使われていました。

一方SilverlightはHulu、Netflixなどの動画配信サイトでは使われたものの、仕組みがややこしいなどの理由であまり利用されませんでした。


DRM技術

Silverlightは、DRM技術というものを組み込んで作られるため、作成されたデータには、著作権保護を目的としたものが多くありました。

しかしながら、それがかえって前出のFlashに勝てない理由になってしまった可能性があります。


Internet Explorerのサポート終了

Windows10になってから、Internet Explorerについてはアクセサリーという立場でした。

しかしそれについても、バージョン102020年1月30日バージョン112021年10月12日で、サポートが終了することが発表されています。

先述でもお伝えしたとおり、現状Silverlightを見ることができるブラウザがInternet Explorerしかありません

そのブラウザ自体がなくなってしまうとあっては、Silverlightも終了せざるを得ないのでしょう。


まとめ

このように様々なコンテンツで愛用されてきたSilverlightなので、終了してしまうのは残念なことです。

とはいえ、現時点でもまだInternet Explorerを使えば試聴することができます。

最後のチャンスとして、Silverlightを使ったコンテンツを観ておくのも悪くないのではないでしょうか。

ちなみに最近では、HuluNetfrixといった配信サイトでSilverlightを使った動画が見られます。