MCP(マイクロソフト認定プロフェッショナル)になる方法を徹底解説!マイクロソフト認定資格の種類と難易度・学習法もご紹介
MCP(マイクロソフト認定プロフェッショナル)
「Windows」OSで知られるマイクロソフト社は、Windows以外にも多種多様な製品を開発しています。
エンドユーザー向けの製品としてはMicrosoft Officeもまた有名です。
同社の製品に対して、IT技術者の知識を認定するために同社が開始したメーカー認定の資格付与制度があります。
それがMCP(マイクロソフト認定プロフェッショナル)です。
どんな人がMCPを取得しているのか
マイクロソフト社のテクノロジーやソリューションを取り扱う業務に従事するIT技術者が主に取得しています。
具体例としては以下の職種です。
- システムエンジニア
- データベース管理者
- ソリューションデベロッパー
MCPの取得者数はどのくらいか
マイクロソフト社は受講者数や合格者数を公開していませんが、日本国内だけで10万人以上は取得しているといわれています。
IT技術者にとっては身近な資格であり、ITのプロフェッショナルとして技術的な専門知識を有することを示すワールドワイドな資格です。
認定資格の種類
ここまで「資格」と記載してきましたが、MCPは以下で解説する「MCSA認定資格」と「MCSE/MCSD認定資格」で構成される資格の公称です。
すなわちMCPそのものに対する個別の試験や資格は存在しません。
MCSA
マイクロソフト認定ソリューションアソシエイト(Microsoft Certified Associate)とは、主にシステムアドミニストレータを対象とした資格です。
Windowsを基盤とするシステム環境の管理およびトラブルシューティングのスキルを持ったエンジニアであることを証明できます。
認定資格は以下の14種類です。
- MCSA: BI Reporting
- MCSA: Cloud Platform
- MCSA: Linux on Azure
- MCSA: Dynamic 365 for Operations
- MCSA: Office 365 Management
- MCSA: SQL 2016 BI Development
- MCSA: SQL 2016 Database Admin
- MCSA: SQL 2016 Database Dev
- MCSA: SQL Server 2012/2014
- MCSA: Universal Windows Platform
- MCSA: Web Applications
- MCSA: Windows 10
- MCSA: Windows Server 2012
- MCSA: Windows Server 2016
MCSE/MCSD
- マイクロソフト認定ソリューションエンジニア(Microsoft Certified Solutions Expert)
- マイクロソフト認定ソリューションデベロッパ(Microsoft Certified Solutions Developer)
いずれもMSCAの上位資格となります。
オンプレミスとクラウドの両方において、同社の複数のテクノロジーに関するソリューションを構築するスキルを有していることが証明できます。
MCSE認定資格がエンジニア向け、MCSD認定資格がデベロッパー向けであるという点が異なりますが、レベルは同程度です。
認定資格は以下の通りです。
■MCSE
- MCSE: Business Application
- MCSE: Cloud Platform and Infrastructure
- MCSE: Core Infrastructure
- MCSE: Data Management and Analytics
- MCSE: Mobility
- MCSE: Productivity
■MCSD
- MCSD: App Builder
MCSAやMCSE/MCSDを取得する際の注意点
これまで挙げた認定資格(MCSA, MCSE/MCSD)は、追加・廃止されたり名称変更や統廃合されたりすることが頻繁にあります。
試験を受ける前にマイクロソフト社の公式サイトで最新の情報をご確認いただくことをおすすめします。
MCPを取得する手順は?
MCP資格の取得条件
「MCP資格取得」とはMCSA認定資格もしくはMCSE/MCSD認定資格のうち1つ以上を有することと同義です。
つまり「MCP資格保有」だけでは受験済みの下位資格内容によって知識に差があります。
そのためMCP資格保有者というだけでは仕事に生かしにくい点にご注意ください。
「MCSE/MCSD認定資格」の取得条件
「MCSE/MCSD認定資格」は「MCSA認定資格」の上位資格です。
そのため受験条件として「MCSA認定資格」の試験に合格して資格を取得することが必須となります。
両者の組み合わせ(どの下位資格がどの上位資格に対応しているか)は複雑かつ変更があるため、古い情報が誤っていることがあります。
マイクロソフト社の公式サイトで最新情報を確認してください。
MCP取得の難易度は?
MCP取得は難しい?
難易度はこれまで挙げた資格の試験によってさまざまであり、一概にはいえません。また各資格の合格率は非公表です。
ただし正しい学習法で勉強すれば難易度はそれほど高くはないため、対策を練って試験に臨めば問題ないでしょう。
MCPは「手続き」が難しい
MCPを取得するためのMCSE/MCSD、さらにMCSE/MCSDを取得するためのMCSAと、MCPへ到達するには2つのプロセスがあります。
さらにMCSE/MCSDとMCSAの関係が非常に複雑なことから、事前に公式情報を押さえておかないと不要な資格の試験を受けてしまう可能性があります。
MCP関連のネット記事は複数ありますが、MCPおよび関連資格については概要を知るのみに留めてください。
具体的な手続きについてはマイクロソフト社の公式サイトにて確認しましょう。
MCP取得のメリットは?
MCPはステータスとして価値の高い資格である
マイクロソフト認定プロフェショナルは、世界中の技術者が受験する資格です。
現場でのスキルは試験だけで測ることはできませんが、MCPを取得していること自体が技術者のステータスであるといっても過言ではありません。
MCPへ到達するためには複数の資格を取得する必要がありますが、その労力とハードルに見合った価値の高い資格であるといえるでしょう。
現場でも生かせる知識が多い
クライアントに対して技術や原因の調査・システム設計を行う際に、製品に対する最新の知識は非常に役立ちます。
また提案をする際の技術的な立証になるため、クライアントに対する説得力やクライアントからの信用度が高まります。
ロゴの使用権が得られる
MCPを取得すると「Microsoft CERTIFIED」のロゴを自身の名刺などで利用できるようになります。
職務において具体的に何かが変わるということはありませんが、相手に自身の存在を印象づける要素となるはずです。
MCP取得のためのステップ
MCSAを取得する
まずは、MCSA(マイクロソフト認定ソリューションアソシエイト)の取得です。前提資格として最低2つは試験を突破する必要があります。
自分が目指すべきキャリアに応じて取得すべき資格が変わってきます。詳しくはマイクロソフト社の公式サイトで、該当する資格を調べてみてください。
試験は名称ではなく「試験番号」で呼称されるので、間違えないようにご注意ください。
また取得すべき資格が2つ以上と記載しましたが、「and」だけでなく「or」が含まれることにも注意が必要です。
MCSE/MCSDを取得する
晴れてMCSAの公称を得ることができた場合、その時点でMCPと名乗ることは可能です。
しかし実際に肩書きとして、また現場で知見として生かすにはまだ現実的ではないでしょう。
おそらく有識者のクライアントからは、どの資格を取得したかを問われるはずです。
そのためMCSE(マイクロソフト認定ソリューションエンジニア)/MCSD(マイクロソフト認定ソリューションデベロッパー)を取得していきます。
取得すべき前提資格が2つ以上となり、こちらも「and」だけでなく「or」も含まれます。
MCPの公称を得る
MCSE/MCSDの公称を得た場合、これらの資格もMCPに含まれるため『MCP保有』と名乗れます。
ただしこれまで「or」となっていた資格は、マイクロソフト社においてその資格に必要な知識と見なしています。
ですから、余裕があれば他の試験も振り返って受験しておくとよいでしょう。
MCP取得に向けた学習法
学習時間の目安
平均160時間が学習目安です。仕事を終えて1日2時間としても、単純計算で80日は必要です。
難易度はそこまで高くないものの覚える知識の幅がとても広いため、余裕をもって学習に臨みましょう。
試験対策テキストによる学習
MCPの取得を独学で目指す場合、市販の試験対策テキスト(教科書・問題集など)を購入することで学習が可能です。
「マイクロソフト ラーニング 試験対策テキスト」で検索すると、その時点で最新のテキスト一覧が参照できます。
1冊あたり2,000円台から5,000円台までと価格帯は幅広く、数冊揃えると多少の出費にはなります。
しかし自分のペースで学習できることやスクールに通うよりはコストが低く抑えられるのは大きなメリットです。
この場合、テキストを参照しながら実際にソフトを触って使いこなすという手段も有効です。
デメリットとしては、やはり自身で学習するために160時間という長時間モチベーションを維持することが難しい点でしょう。
また丁寧に教えてくれる人がいるわけではないので、不明な部分はネット検索や職場の先輩・同僚に質問する必要があります。
目安時間は平均よりオーバーする可能性も踏まえ、最後まで諦めずにやり抜く精神力も問われます。
MCT(マイクロソフト認定トレーナー)が開講しているスクールに通学する
マイクロソフト社のソフトウェアにおける最上級のエキスパートとして、個人単位で付与されるMCTという資格があります。
MCTを目指す個人がMCTの試験に合格すると、以下の2つを個人で提供することが可能です。
- マイクロソフト認定トレーニング(OMLP)
- マイクロソフトダイナミクストレーニング
2つ目の手段はMCTが開講するスクールを受講することです。
個人で開講しているため、企業単位で認定される「マイクロソフト認定ラーニングパートナー」が開講するスクールより安価なのがメリットです。
なおMCP対策のスクールはMCT資格を保有していなくても開講できます。
優劣を決めるのは大変難しいですが、少なくともMCT資格を有する講師の元で受講するほうが安心感があります。
したがって、受講を検討する場合は講師のプロフィール(講師がMCT資格を所持しているかどうか)を事前に確認しておくとよいでしょう。
マイクロソフト認定ラーニングパートナーが開講するスクールに通学する
個人単位で付与されるMCTとは真逆、企業単位で付与される「マイクロソフト認定ラーニングパートナー」が開講するスクールを受講することが3つ目の手段です。
「MCP 認定ラーニングパートナー スクール」で検索すると、全国のスクールを公式サイトから検索することができます。
認定ラーニングパートナーのスクールは設備や教材も整っているため、確実性の高い学習法です。
コスト面では一番高額(相場は約20万円程度)となるため、金銭的に余裕がなければ難しい学習法だといえます。
実際に見学に行ってみるなどして、コストパフォーマンスを勘案してみてください。
まとめ
MCPの取得や、それに付随する下位資格であるMCSAやMCSE/MCSDについて紹介しました。
まずはMCSA、MCSE/MCSDを取得するためにどの試験を組み合わせるのか検討することがMCP取得への第一歩となります。
試験が決まったら学習法を決めましょう。
コストを下げたければソフトを触りながら独学での学習が最適です。
近場にMCT(マイクロソフト認定トレーナー)がいれば個人の開講するスクールでの学習が効果的でしょう。
さらに予算に余裕があればマイクロソフト認定ラーニングパートナー企業が開講するスクールに通学して学習する方法もあります。
ご自身の状況や希望に応じて合うものを選んで学習を進めてください。
目安としては160時間ですが、受ける試験の数や学習法によって変動します。また難易度についても試験の種類によってさまざまです。
あくまで目安と考えて万全な対策を施してください。
MCP取得は選択的に試験を受けて幅広い知識が得られるため、自身のキャリアプランに合った試験を選択して、インプットを深めていくことが最重要です。
資格を取得することだけに囚われず、今後のキャリアに有用なスキルを見極める能力も必須といえるでしょう。