JSTQB認定テスト技術者資格の難易度をレベル別に徹底解説!資格取得のメリットと勉強方法・ISTQBとの違いもご紹介
JSTQB認定テスト技術者資格とは何か
JSTQB認定テスト技術者資格のことを深く掘り下げるにあたって、まずはJSTQB認定テスト技術者資格の基本情報をご紹介します。
資格の内容
JSTQB認定テスト技術者資格とは、ソフトウェア技術者のテスト技術を認定する国際資格(世界中で通用する資格)です。
正式名称
Japan Software Testing Qualifications Board認定テスト技術者資格。
主催
日本においてはJSTQBが運営しています。
JSTQBの構成は下記の3つの委員会です。
- 運営委員会(方向性の議論や意志決定を担う)
- 技術委員会(試験問題の作成を担う)
- 諮問委員会(産業界や大学からの意見を取りまとめて提案する役割を担う)
各委員会のメンバーは、国内で品質保証に関わる研究をおこなっている研究者や高い技術力を持ったテストエンジニアなどがメインとなっています。
レベル
JSTQB認定テスト技術者資格は3つのレベルに切り分けられています。
- Foundation Level(FL)
- Advanced Level(AL)テストマネージャ
- Advanced Level(AL)テストアナリスト
また、上記3つの資格を取得すると認定される「Full Advanced Level Professional」という資格も。
試験時間はFoundation Level(FL)が60分、Advanced Levelは180分。
受験資格
Foundation Levelには受験資格は存在しません。学歴も不問です。
ただ、Advanced Levelについては下記の受験条件が存在します。
- Foundation Level合格(日本国内でなくても可)
- 申し込み時点で業務経験が3年以上(業務経歴申請書の提出を要する)
上記2つの条件に当てはまる人だけがAdvanced Levelに挑戦することができます。
Advanced Level受験の業務経験について
JSTQBが定める業務経験とは、テストエンジニア・テストアナリスト・テスト担当者・テストマネージャ・ソフトウェア開発者などの業務のうち、1つ以上の業務に就いた経験が申し込み時点で、通算3年以上あることです。
Advanced Levelを受験する際には業務経歴書を提出するのですが、経歴書に記載した連絡先へ確認することも。
費用
Foundation Level、Advanced Levelともに22,000円(税抜)。
試験形式
Foundation Level、Advanced Levelどちらも複数の選択肢から答えを選びます。
1つだけが正解の問題もありますし、複数の正解を選ぶ問題もあります。
試験実施場所
Foundation Level(FL)は東京・名古屋・大阪・福岡などで試験を実施。
Advanced Level(AL)テストマネージャは東京・大阪など。
Advanced Level(AL)テストアナリストは札幌・東京・名古屋・大阪・福岡・那覇で試験を実施します。
試験日程
Foundation Levelは2月中旬と8月下旬の年2回。
Advanced Levelは不定期開催です。開催日時が決まったら「JSTQB認定テスト技術者資格試験実施要領」に記載されます。
試験の結果
JSTQB認定テスト技術者資格試験は、採点だけしてテスト合否を発表するということはありません。
得点調整が必要な場合は委員会で検討したり、設問にミスがないかのチェック。
試験会場運営の問題で受験者が悪影響をこうむっていないかの調査などをおこなった上で、合否を決定します。
要するに、試験日から大体3ヶ月ほどしてから合否がわかるということです。
万が一、やむを得ない事情で合否発表に3ヶ月以上の時間を要する場合は公式サイトでその旨が知らされます。
JSTQB認定テスト技術者資格とISTQBの違い
この項目では、JSTQB認定テスト技術者資格とISTQBの違いについて明らかにします。
ISTQBとは
ISTQB(International Software Testing Qualifications Board)とは、国際ソフトウェアテスト資格認定委員会のことです。
ソフトウェアテスト技術者の国際的な資格認定団体として存在しています。
認定資格試験の出題範囲を定義したシラバスの作成・公開。各国のISTQB加盟委員会との連携や相互認証を仲介する役割を担っています。
JSTQBはISTQBに加盟している団体
JSTQBはISTQBに加盟し、ISTQBのシラバスを基にした試験内容の作成を担当。
JSTQBとISTQBが互いに認証・承認しているため、両者の資格は同等の存在として扱われています。
なお、JSTQBが担当するのは日本語版シラバスと試験内容の作成のみ。試験の実施については「日本科学技術連盟」が担っています。
JSTQB認定テスト技術者資格の難易度・合格率①Foundation Level(FL)
ここからは、JSTQB認定テスト技術者資格の難易度・合格率についてレベル別に解説していきます。
まずはFoundation Level(FL)の難易度・合格率についてです。
難易度
ソフトウェアに関係する基礎知識を求められる試験内容となっており、ソフトウェアテスト全般の理解が必要です。
難易度はそれほど高くはありません。
合格率
約60%の合格率となっています。
JSTQB認定テスト技術者資格の難易度・合格率②Advanced Level(AL)テストマネージャ(TM)
次に、Advanced Level(AL)テストマネージャ(TM)の難易度と合格率を見てみましょう。
難易度
TAはテスト全体におけるマネジメントと計画や提案など、テストをマネージメントするスキルが求められる試験内容です。
実務経験3年以上という条件の厳しさからわかるとおり、難易度は高めといえるでしょう。
合格率
約20%。年度によっては約6%しか合格者が出ないという難しい試験です。
JSTQB認定テスト技術者資格の難易度・合格率③Advanced Level(AL)テストアナリスト(TA)
Advanced Level(AL)テストアナリスト(TA)の難易度と合格率は、Advanced Level(AL)テストマネージャ(TM)と異なるのでしょうか。
難易度
TAはテストケース選びや実施などアナライズスキルが求められる試験内容となっています。
TMと同じく難易度は高めです。
合格率
約10%~20%の合格率となっています。
JSTQB認定テスト技術者資格を取得するメリット
この項目では、JSTQB認定テスト技術者資格のメリットについてご紹介します。
ソフトウェアテストの技術を学べる
JSTQB認定テスト技術者資格の勉強をするうちに、自然とソフトウェアテストについての知識・技術を学ぶことができます。
ソフトウェアテストに関する知識やスキルを身につけられるのは、テスト技術者を目指している人にとって大きなメリットです。
テスト技術者スキルの証明となる
テスト技術者としての実力を第三者に認めてもらえる……それが、JSTQB認定テスト技術者資格です。
仕事相手にも「JSTQBが認定しているということは、テスト経験を積んでいるのだろう」という評価を下されるでしょう。
JSTQB認定テスト技術者資格の注意点
JSTQB認定テスト技術者資格について気をつけるべきことは「受験条件がある」ということです。
先に述べたとおり、JSTQB認定テスト技術者資格のAdvanced Levelを受験するためには2つの要素(FL合格・実務経験3年以上)が必要です。
なので、初めてJSTQB認定テスト技術者資格を受けようと思っている人・実務経験が3年に満たない人は、Foundation Levelを受験する必要があります。
どんなにテスト経験があって知識が豊富だとしても、2つの条件に当てはまらない場合はAdvanced Levelの受験ができません。
JSTQB認定テスト技術者資格を持っていると役立つ職種
JSTQB認定テスト技術者資格は、ソフトウェアテストに関係する全ての人に役立つ資格です。
- ソフトウェア開発者
- テストエンジニア
- テストコンサルタント
- テスト担当者
- ユーザ受け入れテスト担当者
- プロジェクトマネージャー
- 品質管理者
- IT部門長 など
JSTQB認定テスト技術者資格のカバー範囲
JSTQB認定テスト技術者資格の出題範囲については、ISTQB作成のシラバスが基となっています。
Foundation Level
FLシラバスと概要(日本語版)のダウンロードは、JSTQB認定テスト技術者資格公式サイトの「シラバス(学習事項)・用語集」からおこなえます。
過去のシラバスを閲覧することも可能です。
Advanced Level
ALシラバス概要とテストマネージャ・テストアナリスト(日本語版)最新版のダウンロードは、JSTQB認定テスト技術者資格公式サイトの「シラバス(学習事項)・用語集」からおこなえます。
なお、テクニカルテストアナリスト(TTA)のシラバスも公開されてはいますが、TTAの試験は現在JSTQBでは取り扱っていません。
シラバスは不定期に更新される
どのレベルのシラバスも、不定期に更新されるので、試験を受ける際には最新版のシラバスで出題範囲を確認するようにしましょう。
JSTQB認定テスト技術者資格の申し込み方法①Foundation Level
JSTQB認定テスト技術者資格を受験しようと決めた時、どんな流れで申し込めば良いかについて解説します。
まずはFoundation Levelの流れから。
Webページから申し込む
申し込み完了後、自動返信で受付メールが届きます。
Web登録受理メールが届く
指定の期日までに受験料を振り込んでください。
受験登録完了メールが届く
振込完了から10日以内に受験登録完了メールが届きます。
受験の案内(会場案内図)・受験票が届く
試験の3週間ほど前に届きます。
JSTQB認定テスト技術者資格の申し込み方法②Advanced Level
続いて、Advanced Levelの申し込みの流れについてです。
Webページから申し込む
申し込みをおこなう際に、Foundation Level認定証番号が要ります。
書類を送る
Webページで申し込みが完了、というわけではありません。
提出書類(業務経歴申請書)を郵送しましょう。
書類を送らなければ書類審査がおこなえず、受験することができません。
振込案内メールが届く
書類審査を通過した人のみ届きます。
指定された期日までに受験料を振り込む
振込期日については振込案内メールに記載されています。
これ以降は、Foundation Levelの申し込みの流れと同じです。
JSTQB認定テスト技術者資格の勉強方法①シラバス
JSTQB認定テスト技術者資格の公式サイトで入手できるシラバス。
そのシラバスにはJSTQB認定テスト技術者資格試験で問われる知識がまとめてあります。
シラバスが掲載されているページには「用語集」も準備してあります。
JSTQB認定テスト技術者資格の合格を目指すなら、シラバスや用語集には必ず目を通しておきましょう。
ただし、シラバスは学習事項が表記されたものであって問題集ではありません。
問題を解くための基礎知識については参考書を購入する必要があるでしょう。
JSTQB認定テスト技術者資格の勉強方法②書籍
JSTQB認定テスト技術者資格のテキストを購入するのも勉強方法の1つとしてありでしょう。
ただ、日本国内ではAdvanced Levelの参考書は販売されていないようですのでご注意ください。
JSTQB認定テスト技術者資格の勉強方法③オンライン
スキマ時間などのちょっと手が空いた時に勉強する方法として最適なのが、オンラインで勉強する方法です。
アプリやWebサイトの中には「JSTQB認定テスト技術者資格」の問題が解けるものがあります。
おすすめはオリジナル模擬試験、シラバス収録など内容が充実している「テス友」です。
必要とされる人材となるために
現代社会の中に溶けこんでいるソフトウェアは欠かせない存在です。
そんなソフトウェアが「安全・信頼に使える」と保証するためにはソフトウェアのテストは絶対に必要な業務。
JSTQB認定テスト技術者資格について学ぶことで、大切な業務・ソフトウェアテストに対する知識・スキルを体得することができるということがおわかり頂けたでしょうか。
Advanced Levelの資格を保有すれば、トップエンジニアと名乗ることができるでしょう。
高いスキルを持っていることの証明として、ぜひ取得を検討してみることをおすすめします。