IT業界は他の業界よりも動きが大きいのが特徴です。

そこで今回は、2019年のIT業界のおさらいと2020年以降のIT業界の動向について詳しく解説していきましょう。


2019年のIT業界の市場規模

IT業界の市場規模は拡大へ向かっています。

とくに2019年は消費税増税と軽減税率制度に対応するためのシステム改修が行われることから、プラス成長が予測されました。

また、2020年1月Windows 7のサポート終了に伴い、2019年のうちにPC更新需要が増えたことも要因に挙げられます。

今後もIT業界はさらなる市場規模の拡大が見込まれているようです。

今後のIT業界の動向について詳しく見ていきましょう。


IT業界の動向

2019年までにインフラのIT化が随分進みました。

今後はよりIT業界の中でも専門分野の需要が増えていくとみられています。

社会的にはスマートコミュニティ(環境配慮型都市)を実現する方向性に向かっていくことが予想されているのでしょう。

そのため、エネルギーの効率化や環境に配慮したインフラとIT技術が求められるようになるとも予想されます。

IT技術を進歩させながら、自然と共存していく方向性に向かっていくのではないでしょうか。


2019年IT業界のトレンド

2019年のIT業界には大きく分けて3つのトレンドがありました。それぞれのトレンドについて振り返っていきましょう。


AI

AIの技術は2019年には多くの人が利用するまでに実現しています。

自動運転の実用化が見えてきたり、AIスピーカーの普及率も格段に上昇中です。

今後は蓄積されたデータをどのようにAIに学習させていくかが鍵となっていくでしょう。

AIに記憶させるデータを操作することで、偏った思考のAIを作成することも可能です。

そのため、AIを悪用する人も出てくれると考えられます。AIを扱う人が何を願っているのかが表れることになるでしょう。

今後、AIがより実用化されていくことによって人が試されることになっていくと考えられます。


ビッグデータ

ビッグデータは既に多くの企業が活用するまでに発展してきました。

これから増えていくデータをより効率的に分析できるようAIも同時に活用されていくでしょう。

今後はより個人的なデータを活用し医療分野にも貢献することになります。

ビッグデータやAIを組み合わせた診療や検査を行うことで、医師によってバラつきのある診断結果を統一させることが可能です。

また、個人で開業している歯科から大学病院までデータを集積させることで、災害時のスムーズな連携も実現できます。

ビッグデータを活用することは、これからも目に見えないところで私たちの身近なところで活用されていくでしょう。


IoT

IoTといえば2019年には家電とITの連携を誰にでも連想させるまでに浸透しました。

しかし、これからのIoTは家電にとどまらず植物や機械、動物などと通信できるようにさらに発達します。

また、IoTは様々な企業で開発されバラバラの機器が製造されている状況です。

そのため、対応可能なものと対応不可のものがあるのが現状になっています。

今後はIoTについても統一化が進み、より身近に多くのものと通信が可能になるでしょう。


IT業界今後の課題

IT業界には様々な課題があります。その中でもとくに深刻な課題をご紹介します。


深刻な人材不足

IT業界の市場規模拡大に伴い、人材不足も加速の一途をたどっています。

2019年では約17万人のIT業界の人材不足が進み、2020年は37万人、2030年には79万人の不足状態に陥るでしょう。

それに伴って、ITスキルの一般常識化が進んでいます。

現在、ITスキルを必要としない業界にいたとしても、これからは必須スキルとなる場合もあるでしょう。

かつて紙ベースだった職場にPCが導入された時代のように、プログラミング言語やITスキルが常識となっていきます。

ITスキルやプログラミングなどの専門スキルがない方は、これから勉強を強いられることになるでしょう。

そうなる前に、今からプログラミング言語などの基礎知識を学んで備えておく必要があるかもしれません。


スキルのベースアップ

現在はプログラミングの義務教育化がやっと日本でも始まろうとしています。

このプログラミングを義務教育化することで、全体的なスキルのベースアップが可能です。

海外の先進国では2003年頃から義務教育に取り入れられているので、日本はだいぶ後れを取っていることになるでしょう。

近年、日本が後進国に含まれるといわれるようになったのも、高度経済成長から変化できていないことにあります。

この成果が出るのも10年以上はかかるといわれているので、今後さらに日本は取り残されることになるでしょう。

優秀な人材は海外へ流出していくことが懸念されているので、成果が出るまでにどう対処するかが問題となります。


IT業界の動向予測

これからのIT業界はどのような方向性に向かっていくのでしょうか。IT業界の動向予想を見ていきましょう。


医療事業への本格参入

現在ではITと人体の融合が進められています。映画のような世界観ですが現実味を帯びてきています。

現在実現可能なものには、人間の脳波によって義足や足を操作できるようになりました。

今では脳波だけでゲームを自由自在に操作できるまでに発達しています。

実際に手足を使わずにゲームを操作する様子がYouTubeなどで動画もアップされているようです。

これらが実用化されれば。人のサポートが必要な医療人材への負担も軽減されることになります。

問題になっている介護や福祉、医療の負担軽減になり、人手不足も解消されていくことでしょう。


環境問題への取り組み

世界的に環境問題への取り組みが重要視されています。

IT業界も利便性を追求するばかりではなく、自然との共存が目指されることになるでしょう。

原子力を廃止の方向性になり、風力発電や太陽光発電の開発がメインとなり進んでいくこととなります。

新たなITインフラ設備が登場することによって、さらにIT業界は拡大していくことが予測できるでしょう。

再生可能エネルギーの開発もITの技術力を導入することで今後さらに進んでいくはずです。


IT業界の需要が高まる職種

今後IT業界で需要が高まっていくとみられる職種についてご紹介していきましょう。


現在ある職種の細分化

IT業界の市場が大きくなるにつれて今ある職種の細分化が行われます。

とくにAI、ビッグデータ、IoT事業でより細かい専門分野が分かれていくことになるでしょう。

より専門性の高い職種に振り分けられることになるので、専門分野の中でもスキルアップを目指しておくべきです。


セキュリティ関連

今後はセキュリティ関連の需要も増えていきます。

より詳しい個人情報を管理し、個人的なデータを扱うことになるためセキュリティの強化は必須課題です。

また、AIが個人を評価する時代が来ることが予測されています。

それらの個人データを守る高度なセキュリティが常に求められるでしょう。

戦争に至ってはサイバー攻撃で行われることも予測されています。

国家を挙げてITセキュリティのスペシャリスト育成が課題となるでしょう。

現在セキュリティエンジニアとして活躍しているなら、より高度な技術を身に付けておくべきです。


IT×医療分野

IT業界は医療分野での実用化が進められています。

だからこそ、ITだけではなく医師などの専門的な医療知識やスキルを兼ね備えた職種や人材が必要です。

IT技術は診断だけではなく、手術やサポート器具などより医療の中枢で使われていくことになります。

医師免許を取得したIT技術職が必要となってくるため、新しい職種として注目されていくのではないでしょうか。


IT業界で生き残っていくために必要なスキル

これから市場が拡大していくIT業界で生き残っていくためにはどのようなスキルが必要なのでしょうか。


より専門的なITスキル

IT業界の今の分野で生き残っていくのであれば、より専門スキルを磨いていくことが必須課題となります。

今後はITスキルが一般常識化されるので、一般常識の範囲のスキルでとどまっている人材は必要とされなくなるでしょう。

そうならないためにも、今のスキルで満足することなく高度なスキルや知識を身に付けるための努力が必要です。

全体のスキルアップが行われることで、よりIT技術が進歩し急成長を見せることも可能でしょう。

もし今のスキルで甘んじているのであれば、可能性をどぶに捨てているようなものと心得るべきです。


クリエイティブな思考力

これからは基本的な操作やIT技術よりもどう生かしていくのか、どう使うのかが課題となります。

そのため、クリエイティブな発想が求められることになるでしょう。

IT技術を使ったクリエイティブな発想を得るためには、ITスキルについて理解していなければなりません。

幅広く基本知識があることと最新の技術にも精通していることが求められるでしょう。

AIにできない人間ならではの自由な発想力を持つ人材こそ、これからのIT業界でより求められます。

現在は主に芸術分野に使われるクリエイティブな仕事も、IT分野でのクリエイティブな仕事として確立されていくかもしれません。


IT業界以外の専門スキル

これからは医療・科学・農業など、IT×専門スキルの分野の開発が進んでいくことになります。

それに伴ってITと専門分野の両方の知識とスキルを持つ人材が求められることになるでしょう。

先ほどのIT×医療分野の項目でもご紹介したように、今後はITとIT以外の専門スキルを有していることが武器になります。

現在専門分野で活躍している方であれば、ITスキルを身に付けることで今後需要の高まる人材となるでしょう。

また、IT業界に属しているなら他の分野について理解を深めておくこともおすすめです。

今後ITスキルは一般常識化されるので、IT業界で働き続けるのであればより専門性が求められることになります。

ITスキルを含めて専門性を磨くことがこれから必要とされるスキルとなるでしょう。


AIに管理される時代が来る

AIを使用した個人の評価システムの導入が予測されているため、IT業界に関わらなくともITと常に関わることになります。

評価基準は明確に公表されていないものの、世界規模で行われていくこととなるでしょう。

社会的地位が評価されるような今の価値観はなくなっていくことが予想されます。

それに代わって、地球環境や社会貢献していくことで高評価を得られる時代に合わせた評価システムが登場するでしょう。

IT業界を発展させることも大切ですが、IT業界を通して環境や社会貢献にどう生かしていくのかを考えていくべきかもしれません。


IT業界に携わることは世界を変えられる

今までは政府機関に携わることが世界を変えることに最も近い位置にいました。

しかしこれからは政府が目を光らせていることから明らかであるように、GAFAがより力を持つようになるでしょう。

それに伴い、IT業界が政府機関より力や影響力を持ち世界を変えていくことになっていくと考えられます。

だからこそ、変えたい未来があるのならIT業界に目を向けるべきです。

世界で影響力を持っている企業はIT業界に集約されています。

あなたが変えたい未来があるのなら、IT業界の最高峰を目指すべきといえるでしょう。


IT業界は可能性の宝庫

ここまでIT業界の動向や予測を行うと、IT業界には可能性が無限にあることがわかりますね。

しかし、IT技術は扱う人によって正義にも悪にもなれるツールです。

だからこそ、使う目的を良い方向へと導くのが人間の使命といえるでしょう。

AIの技術力が浸透することでAIに対する不安要素が叫ばれていますが、扱う人間がどうあるかが課題です。

IT技術の進歩に伴って、これからのITのあり方についてもっと議論されるべきでしょう。

IT業界に関わる人はもちろん、今はIT業界に関わっていない人ももっと関心を持つべきです。

IT業界が目指すこれからの未来こそ、自分たちが向かっている未来であることを知っておきましょう。

そして、時代にただ流されるのではなく自分が参加できるように力を付けておくことも必要かもしれません。

これからはITスキルを身に付けることで、自分だけではなく未来を守っていくことにも繋がるでしょう。