アプリケーションの開発について

アプリケーションの開発はどのように行われるか

普段の生活で何気なく使用している、アプリケーション

AndroidやiOSを始め、WindowsやmacOS上で動く便利なツールです。

それらは一体どのように開発されているのでしょうか。

今回は、簡単な開発の手順からおすすめの開発環境の使い方までをわかりやすくまとめました。

アプリケーションに興味がある方、これから開発をしてみたいと考えている方はぜひ参考にしてみてください。


統合開発環境(IDE)で行われるのが一般的

統合開発環境(IDE)という言葉を聞いたことはあるでしょうか。

そもそもアプリケーションを作る際には、複数のツールが必要です。

  • プログラムを書くのに必要なエディタ
  • 書いたプログラムを実行させるコンパイラ
  • プログラムのバグなどの検出を行うデバッガ

これらのツールを別で揃えて開発していくのももちろん可能ですが、統合開発環境(IDE)には開発に必要なツールが全て揃っています。

IDEを使用しての開発は、複数のツールを切り替えて作業するよりも分かりやすく、作業の速度も当然上昇します。

そのため企業や個人にかかわらず、アプリケーション開発の際には統合開発環境を利用するのが一般的です。


複数のプラットフォームに対応しているDelphiがおすすめ

開発の際に便利な統合開発環境(IDE)ですが、ネットで軽く調べただけでもかなり多くのものがヒットします。

IDEを利用する際、どの環境を使って作業をするかは「どのような製品を開発したいか」によって変わってきます。

Android向けのアプリケーション開発かmacOS向けの開発か、などそれぞれ目的はあるでしょう。

目的の開発によって、選ぶ環境も違ってくるはずです。

ただ、スマートフォン・PCどちらの開発も行いたい場合には、クロスプラットフォーム対応のIDEを選ぶ必要があります。

今回は、初心者でも比較的簡単に使うことのできるDelphiというIDEをチェックしていきましょう。


Delphiについて

Delphiとはどんなものか

Delphiとは、アプリケーションの開発ができるツールの揃った統合開発環境 (IDE) です。

Delphi自体はWindows上でしか動作しません

しかし作成可能なアプリケーションのプラットフォームが幅広いです。

そのためWindows以外にも、以下のOS向けアプリケーション開発が可能です。

  • mac OS
  • iOS
  • Android
  • Linux

とはいえ、開発そのものはWindowsでやらなければいけません。

その部分を除けば、比較的簡単に様々なプラットフォームのアプリケーションを開発できる優れた環境です。

またC++に代表されるようなオブジェクト指向の要素もあるため、比較的高速で大きなプロジェクトにも対応ができます。

開発初心者からでも幅広いアプリケーションが開発できるということで、近年は人気も高まりつつあるようです。


Delphiの特徴

他の統合開発環境(IDE)と比較して、Delphi にはどのような特徴があるのでしょうか。

一つは、アプリケーションをクロスプラットフォームで開発していけること。

更にコンポーネントと呼ばれるソフトウェア部品をツールとし、独自のフォームやデータモジュールに貼り付けることで開発ができます。

このコンポーネントは、VCL(ヴィジュアルコンポーネントライブラリ)と呼ばれるライブラリ上にあり、開発の際にも視覚的に操作が可能です。


Delphiで開発するメリット

統合開発環境(IDE)を選ぶ際に、Delphiを選ぶメリットとは一体何なのでしょうか。

まず、様々な環境で動くアプリケーションを開発することが可能な点です。

さらに、Delphiは他のIDEとは異なり、開発の際に画面上で視覚的に開発を進めていくことができる点も挙げられます。

コンポーネントというソフトウェア部品を画面上で組み合わせるだけで、実際のアプリケーションデザインをそのまま開発することができます。

実際の画面デザインを確認しつつ開発が進められるので、開発者の負担を大きく減らしての作業が可能です。

また、コンポーネントそのものも独自で作成ができます。

作業の負担を減らしつつ、実際の作業環境を拡張してさらに利便性を高めていける環境でもあるのです。


Delphiで開発する際の注意点

開発の際のメリットの大きいDelphiですが、人によっては当然注意点も生じてきます。

まず、Delphi自体がメジャーな統合開発環境(IDE)ではないという点があげられます。

独学で学ぼうと考えた際に、自分に合った学習方法に出会うまでに少し時間がかかる可能性があります。

また、Delphi専門のエンジニアという職種はほとんど存在していないようです。

企業でこのDelphiだけでの開発を活かしたい、となると難しい場合も考えられます。

ですがオブジェクト指向の開発経験やIDEでの開発そのもの自体は、十分活かせるものだと考えられます。

また、Delphi自体がWindows上でしか開発できない環境であることも、人によってもデメリットとなり得るでしょう。

ただmac OS上でも、Boot Campなどの仮想マシンを利用すればDelphiでの開発は可能です。


Delphiの導入方法

どこでDelphiを手に入れるか

Delphiは、家電量販店などで実際のパッケージを売っているわけではありません。

現在の開発元であるエンバカデロ・テクノロジーズのホームページ上から、無料版・有料版どちらも最新版のダウンロードが可能です。

ダウンロードには、開発元への会員登録が必要です。

名前やメールアドレスや国籍、企業で利用する場合には法人名・電話番号の入力も必須となっています。

会員登録を済ませるとシリアル番号がメールで送られてきます。

送られてきた番号を使ってインストールすれば完了です。

https://www.embarcadero.com/jp/products/delphi

旧バージョンの購入を希望する場合も、最新版の購入で旧バージョンが使用できます。

旧バージョンが公開されているのは有料版のみとなりますので注意して下さい。


Delphiのどのバージョンを使えばいいのか

ホームページを見てみると、Delphiにはいくつか種類があるのが分かります。

まずは大きく分けて無料版・有料版の2種類です。

無料版は、有料版に比較して機能と商用での利用が制限されています。

また、有料版については主に企業向けの製品です。

とはいえ、有料のサポートも30日間のトライアルがあります。

企業においてDelphiでの開発を考えている場合には必要な機能を確認してEditionを選ぶのがオススメです。

無料版のDelphiの機能について

無料版の利用条件について

無料版のDelphiには、開発元のエンバカデロ・テクノロジーズから公式に出されている商用利用の制限規約があります。

  • 利用している企業の年間売上が5,000 USドル以上に達した場合、Professional以上にする
  • 利用規定に該当しない企業ユーザーは、有償エディションを購入するか無料のトライアル版を使用する

このように規約で定められているので、無料版の利用ができるのは収益の小さい個人・または小規模法人となります。

上記の条件内であれば、基本的には無料で使い続けることが可能です。


無料版Delphiの機能について

無料版のDelphiでは、有料版の機能に比較して一部制限がかかっています。

有料版の最も基本的な機能を持つProfessional Editionとほとんど同じ機能です。

しかし、商用利用は売上が5,000 USドル(約50万円前後)未満と定められています。

また、ツールを利用したデータベースとの接続や、Linuxのサーバ構成などの機能についても制限されています。

制限はあるとはいえ、個人での開発や小さい規模での開発には十分な環境が整っているといえます。


有料版Delphiの機能について

有料版のDelphiは、

  • Professional Edition
  • Enterprise Edition
  • Architect Edition

の3種類があります。

有料版については、Professional Editionが一番基本的な機能を持ったバージョンです。

次いでEnterprise Edition、Architect Editionという順番で利用できる機能が拡張されています。

機能拡張されると

  • データベースへの接続が可能になる
  • 各プラットフォームに対しての大規模なデータ駆動ができるようになる

とかなり規模の大きい開発も可能になっていきます。

無料の30日間のトライアル期間には、全ての機能を試すことが可能です。

有料版で購入を検討している場合には、どこまでの機能が必要か確認をしてからの購入が良いでしょう。


Delphiの言語仕様について

Delphiで使われている言語について

視覚的に開発のしやすい環境のDelphiですが、実際の言語仕様はいわゆるオブジェクト指向性の高いものとなっています。

Delphiで作ったものを実際に動かす際には、Delphi言語と呼ばれる言語でのコンパイルが必要です。

このDelphi言語ですがObject Pascalとも呼ばれ、元はPascal言語にオブジェクト指向の考え方を付け加えたもの。

C++などの言語と同じくオブジェクト指向を持っているので、開発の際の大人数での作業や大掛かりな開発にも耐えうる環境を持っています。


オブジェクト指向とは

開発の現場では、「オブジェクト指向」という言葉がよく出てきます。

今回紹介しているDelphiも、このオブジェクト指向の性質がある環境・言語です。

開発のツールとして紹介するにあたり、このオブジェクト指向にという概念についても理解が必須でしょう。

通常のプログラミング言語が、プログラムの骨組みそのものから組み立てるものだと仮定します。

もしその骨組みの中の一本を変更するとなると、そこに関連したデータや他のプログラムも一緒に変更する必要が出てきます。

オブジェクト指向というのは、この骨組みを一まとめにし、変更が生じた際にはそのまとまりごと変更が可能なように生み出された概念です。

このオブジェクト指向をもつ言語は、いくつかの関数などを一つのまとまりとして扱うために複数人での作業も効率化出来ます。

また、開発の工数を減らすことができるため、大規模なプロジェクトで対応可能というメリットがあるのです。


Delphiの使い方

Delphiでの開発操作

では、実際のDelphiでの操作について解説していきましょう。

実際にDelphiをダウンロードして立ち上げると、まずRAD studioというアプリケーションが起動します。

違うプログラムの名前にはなっていますが、このRAD studio上でDelphi環境での開発が出来るようになっているのです。

立ち上がってすぐの状態で対応させたいプラットフォームを選ぶと、画面の真ん中にキャンバスのようなものが出てきます。

これはフォームと呼ばれるものです。ここにコンポーネント(ソフトウェア部品)を置いてソフトウェアのデザインや大枠を完成させていきます。

コンポーネントでの編集により、画面上のコマンドや表示させるテキストなどのほとんどを作成することが可能です。


ツールを動作させるには

大枠の構築は、コンポーネントの操作でほとんど出来上がります。

あとはこの大枠に対し、細かい変数や数値の指定などをDelphi言語で行っていけばアプリケーションは完成します。

細かい指定をし、画面上からコンパイルして正しく動作すれば作業は終了です。

基本的な部分についてはコンポーネントの操作で開発可能。

Delphi言語をきちんと学べば、短い時間でアプリケーションを作成することが出来る環境です。


Delphiを学習するのに最適な講座とは

ここまでで紹介した通り、Delphiでの開発は操作もかなり簡易なものとなっています。

使い方はかなり直感的なものなので、初めて触る人でもコンポーネント操作までは比較的すぐ覚えられるのではないでしょうか。

肝心のはDelphi言語(Object Pascal)の学習ということになります。

しかし残念ながら、直接Delphi言語の勉強がきちんとできるWEB上のセミナーや講座といったものはあまり無いようです。

個人のホームページなどで入門講座のような記事を公開してくれているところもあります。

しかし、バージョンが少し古いものが多くなっているというのも事実です。

少数ですが対面で有料のセミナーでDelphi講座を行っている会社も存在はしています。

余裕がある方はそういった場所で学んでみるのも良いかもしれません。


ネット上でDelphiを学ぶには

前の項でも記載したとおり、一からきちんとDelphiをWEB上で学ぶとなると少し難しく感じる可能性もあります。

ただ、元はPascal言語から開発されたものとなっています。

まずはPascalを学んでからDelphiに挑戦してみるというのも有用な学習方法でしょう。


今後の需要の高まりそうなDelphi

ここまでDelphiについて詳細を解説してきましたが、開発環境としては初心者でもかなり手が出しやすいことがお分かりいただけたかと思います。

  • 優れた環境で複数のプラットフォームの開発にも対応
  • 視覚的な操作で、負担なく開発が可能
  • 無料版や有料版の30日間トライアルで誰でもすぐに体験できる
  • いきなりDelphiが難しい場合にはPascalからの学習もオススメ

初めて開発をやってみたいという方を始め、今後も需要の高まっていく統合開発環境といえるのではないでしょうか。

クロスプラットフォームに興味がある方は、ぜひ一度インストールしてみることをおすすめします。


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