統合開発環境(IDE)とは?Web開発が楽になる便利な機能やメリットを解説!
コーディングという工程
システムでも、Web開発でも欠かせない作業工程である「コーディング」。
プログラムやマークアップ言語を実際に記述する作業のことです。
世の中に存在しているシステム・ゲーム・Webサイト・アプリケーションなどは、基本的にコーディングという工程を経てリリースされています。
この作業は、シンプルにいえば「記述するだけ」なので、メモ帳などテキストエディタでも作業できなくはありません。
メモ帳は文字コードなどの問題で避けられることが多いですが、プログラミングやWeb開発向けのテキストエディタはかなりの種類がリリースされています。
そのため、エディタでプログラミングを行う方も少なくありません。
プログラミング・コーディングを快適にする統合開発環境(IDE)
エディタの持つ役割は、あくまで「コーディングだけ」といえます。
実際にプログラムを実行するためにビルドやコンパイルはできないため、他のソフトウェアなどを使用しなければならないケースは少なくありません。
エディタでコーディング、コンパイラでコンパイル、デバッガでデバッグをするなど数々のツールを目的に応じて使い分けたり管理するのは、正直面倒に感じる方も多いでしょう。
そんな悩みを解決し、活躍するのが統合開発環境(IDE)です。
統合開発環境はその名の通り「統合」、エディタからプログラムの実行環境まで、全ての機能をまとめたソフトウェアです。
Web開発にも最適
統合開発環境は、頻繁にプログラムの実行テストを行うシステム開発はもちろん、Web開発にも非常に役立ちます。
昨今のWebサイトは、シンプルにHTML・CSSファイルだけで構成されているわけではありません。
JavaScriptやPHPなどを用いた動的なWebページが当たり前になってきています。
Web開発にはプログラミングも絡んでくる
そうなると、JavaScriptなどのプログラミングをするのに統合開発環境は非常に役立ち、強い味方になってくれるでしょう。
もちろん、HTMLファイルなどを「コーディング」するのにも役立ちます。
統合開発環境といえばプログラミングで、Web開発はエディタが主流と捉えている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、Web開発でも統合開発環境は便利だということを認識しておきましょう。
統合開発環境に注目
今回の記事では統合開発環境に注目していきます。
統合開発環境を使うことでどんなメリットを得られるのかという点や、選び方についても解説しています。
また、記事後半ではWeb開発が楽になる統合開発環境や、プログラミングにオススメのIDEをピックアップしてみました。
統合開発環境を使いこなして、システム開発・アプリケーション開発・Web開発の効率化を目指していきましょう。
統合開発環境の便利機能
統合開発環境には、開発に役立つ数々の便利な機能が搭載されています。
全ての統合開発環境に必ず搭載されているわけではありませんが、大抵のものに備えられている便利機能を幾つかチェックしていきましょう。
- コード入力補完
- 構文エラーの発見
- エラー箇所・原因を教えてくれる
今回は上記3つの便利機能について、1つずつ紹介いたします。
コード入力補完機能
コーディングという作業は、基本的にはひたすらにコードをタイプし続ける作業です。
その中に、入力が面倒なものも多いコードも少なくありません。
Web開発でHTMLを扱う場合であれば、毎回タグを書き、閉じタグまで入力するのは非常に面倒でしょう。
「<strong></strong>」など、一々打つのは非常に面倒です。
しかし、統合開発環境には補完機能が搭載されているものが多く、コードが特定できる部分まで入力したら、あとは自動で補完してくれる機能が搭載されています。
時間効率も上がるほか、誤字を未然に防ぐことにも繋がる便利な機能です。
構文エラーを発見してくれる
プログラミングなどをしていて避けられない問題が、エラー。
どれだけ慣れ親しんだ言語だったとしても「つい」構文エラーを起こしてしまうことは少なくありません。
構文エラーは記述しているときは気が付かないことが多いため、正しく書いたつもりなのに動かないというケースが発生しがちです。
しかし、統合開発環境であれば構文エラーを自動で発見してくれます。
エラーの場所を強調表示してくれるなど、視覚的にエラーに気が付きやすいよう工夫されているのも特徴です。
エラー箇所・原因を教えてくれる
同じくエラー関連の機能として、プログラム実行時に「エラー発生箇所」を教えてくれるのも嬉しい機能です。
ただエラーが起きているだけでは、全てのコードを読み直すという手間が増えます。
小規模なプログラムであればそれでも問題ないかもしれませんが、ある程度文量の多いコードや大規模なプログラムの場合、大きな手間になってきます。
統合開発環境は、○行目にエラーがあるということを教えてくれることが多いです。
また「null pointer exception」といったエラー原因についても教えてくれるため、原因の特定や解決がしやすいともいえるでしょう。
仮にエラーが発生してしまったとしても、統合開発環境を利用していれば解決しやすいということです。
統合開発環境を使うメリット
統合開発環境が備えている便利な機能について紹介しましたが、それによってどのようなメリットが得られるのでしょうか。
効率よくコーディングできる
便利機能で最初にお伝えした「入力補完機能」。
こちらの機能を賢く使えれば、間違いなくコーディングの効率が向上します。
全てを手入力でタイピングするのではなく、数文字打ってあとは補完していけば間違いなくコーディングのスピードが速くなるでしょう。
必然的に開発の効率も上昇します。
また、補完した部分に関して「誤字・脱字」といった初歩的なミスを気にする必要がなくなります。
コードの質も高くなることが予想でき、効率面以外でもメリットがあるといえます。
エラーを起こしにくい
2つ目に触れた「構文エラーの発見」に関しては「エラーを未然に防げる」というメリットがあります。
コーディングをしている時には気が付きにくい構文エラーですが、強調表示などされれば嫌でも目に入ってくるでしょう。
変な挙動をするプログラムを実行してしまう前段階でエラーに気が付き、修正に取り組めるため、やはり開発効率の上昇にも繋がるはずです。
エラーを解決しやすい
コード上にミスがあったり、処理が間違っているものを実行した際には具体的にエラーの内容が表示されるということを先ほどお伝えしました。
これにより、仮に実行したプログラムがエラーを吐いても「場所の特定やエラーの解決に取り組みやすい」環境を作り出せます。
特定の行を指し示してくれるため、まずはその周辺の処理や、その行に繋がっている関連処理・コードなどをチェックできるでしょう。
エラー原因の特定や解決が素早く、そして適切に行えるのも大きなメリットだといえます。
共通するのは「開発効率が上がる」ということ
統合開発環境を利用するメリットにおいて共通していえるのは開発の効率が上がるというポイントです。
これは、システム・アプリケーション・Web、どの開発分野にも共通していえることです。
統合開発環境は優秀な入力補完機能やエラー処理、ソフト単体でコーディングからプログラムの実行まで行えるため、他のツールへ切り替えたりする手間を省けます。
そのため、統合開発環境を使うメリットを一言で言い表すならば「開発の効率が上がる」といえるでしょう。
シンプルではありますが、非常に大きなメリットではないでしょうか。
初心者にオススメの統合開発環境をピックアップ
統合開発環境のメリットなどに注目してきましたが、続いては実際にオススメの統合開発環境を紹介していきます。
今回ピックアップした統合開発環境は、どれもプログラミング・Web開発初心者の方でも安心して扱えるものばかりです。
1つずつ紹介していくのでチェックしてきましょう。
Javaを扱うならコレ:Eclipse
最初に紹介するのは「Eclipse」。
Javaの統合開発環境として非常に有名で、世界中で広く親しまれているIDEになります。
無料でありながら多機能で、使いやすいのが特徴。
学生の学習用途や、プロの開発現場でも使われており、無料だからといって決して質が低い統合開発環境というわけではありません。
日本語化もPleiadesというものを利用すれば非常に簡単にできるのも大きなメリット。
Javaのイメージが強いですが、プラグインを導入すればC#やPHP、Ruby、Pythonなど非常に数多くの言語を追加可能です。
「これがあれば安心」といえるほど、便利な統合開発環境だといえるでしょう。
MacでiOSアプリを作るならコレ:Xcode
続いて紹介するのはXcode。
Macでのみ利用可能な統合開発環境で、iOSアプリ開発が可能なSwiftおよびObjective-Cのプログラミングが可能です。
XcodeはPlaygroundという機能を備えています。
Playgroundはコードを書くとリアルタイムで処理内容(結果)をプレビューできるという機能であるため、ちょっとしたサンプルコードなどを記述するのに最適です。
学習にも適しているといえ、Swiftなどを実際に処理しているさまを見て、プログラミングを楽しみながら勉強に取り組めるでしょう。
iPhoneなどで開発中のアプリのテスト実行が簡単にできるというのも大きなメリットです。
Androidアプリ開発ならコレ:Android Studio
先ほどはiOSアプリ開発にオススメな統合開発環境を紹介しましたが、Androidアプリ開発に特化しているものも存在します。
それが、Android Studioです。
以前まではEclipseでの開発が推奨されていましたが、2015年にGoogle公式サポートが終了して以降、こちらの統合開発環境へ移行されました。
Androidアプリ開発には欠かせない統合開発環境になっているので、興味のある方はぜひインストールしておきましょう。
IntelliJ IDEAなどJetBrains社製のIDEもオススメ(有料)
最後にチェックしたいのは、JetBrains社がリリースしている有料の統合開発環境です。
JetBrains社は、IntelliJ IDEAをはじめとして各言語ごとに最適化された統合開発環境を複数リリースしています。
数多くの統合開発環境をリリースしている
IntelliJ IDEAはJava、PhpStormはPHP、WebStormはHTMLやJavaScript、RubyMineならRuby、PyCharmであればPython…といった具合です。
他にも多数リリースされているので、こちらの公式サイトリンクからどんなIDEをリリースしているのかチェックしてみてください。
JetBrainsが提供するすべての開発者ツールと製品
有料ではありますが、その分高機能で強力な補完機能やメソッドの呼び出し機能などが備わっており、値段分の価値があるといえるでしょう。
InteliJ IDEAとAndroid Studio
IntelliJ IDEAはJava用のIDEですが、HTMLやJavaScript、Python、Rubyなども扱えます。
また、プラグインを導入すればPerlやPHPなども使えるようになるため、非常に幅広いシーンで活用できる統合開発環境だといえるでしょう。
余談ですが、先ほど紹介したAndroid StudioもIntelliJ IDEAをベースに開発されています。
統合開発環境の選び方
統合開発環境の選び方というポイントですが、大切なのは「自分が扱う(扱いたい)言語」を基準にすることです。
適当に評価が高いからという理由で統合開発環境をインストールしたとしても、自分が使いたかった言語に対応していなければ意味がありません。
まずは「言語」が対応しているかどうかをチェックしましょう。
それで絞り込んだ後に、その中から特徴を比較したり、デベロッパを基準にしたり、エンジニアの評価などを参考に選ぶことができるでしょう。
年々エディタの機能も豊富になってきている
さて、今回は統合開発環境に注目していますが、エディタも年々進化を遂げ続けています。
BracketsやSublimeTextなどは、プラグインを導入することで非常に多岐に渡る言語に対応させることが可能です。
ライブプレビュー機能が利用できたり、コード入力補完などを実現するプラグインなどもリリースされています。
そのため、コーディングを行う際には統合開発環境だけでなく、エディタも選択肢の中に組み込んでみてください。
特にWeb開発に関しては、エディタが親しまれていることも多いです。
ぜひ「自分の開発スタイル」に合うものを探し出し、快適に効率よく開発できるものを見つけましょう。
統合開発環境を使いこなして快適な開発を目指す
今回の記事で注目してきた統合開発環境は、使いこなせれば間違いなく開発の効率を上げることができます。
統合開発環境を使う場合は、ぜひ「使いこなす」ことを意識して、様々な機能を使ってみてください。
試行錯誤していくことが開発効率を上げることに繋がるはずです。
システム開発にもWeb開発にも、様々なシーンで活躍する統合開発環境を、これから有効活用できるようにしていきましょう。