Bluemixというツールをご存じでしょうか。

この記事では、IBMのクラウドサービスとして開発されたBluemixについて詳しく紹介します。


Bluemixとは

Bluemixとは、IBM Bluemixと呼ばれるIBMクラウドサービスを総称するブランド名です。

BluemixがあればWebアプリケーション開発をクラウド環境でおこなったりすることが可能です。


PaaS(Platform as a Service)とは

PaaS(パース)とは、インターネット環境下でアプリケーションを行えるサービスのことを指します。

オンライン上で開発をおこなうことができるため、コストを最小限にとどめたシステム開発をおこなうことができるでしょう。


IBM Cloudに名称が変更された

冒頭から書きますが、Bluemixは2017年に「IBM Cloud」という名称に変更されています。

公式の場ではもうBluemixという名称が使われることはありません。

そのため、次項目からはBluemixではなく「IBM Cloud」という名前でツールの紹介をおこなっていきますことをご了承ください。


歴史

2014年、IBMはCloudアプリケーションの構築から管理までを素早くおこなうPaaSとしてBluemixの提供を開始しました。

その後、Bluemixという名称はクラウドサービス全体を示すブランド名となり、2017年に「IBM Cloud」と名称を変更。

そして今に至ります。


開発者

先出のとおり、IBMです。


プログラミング言語

JavaやPython、PHPなど複数のプログラミング言語に対応しています。


同様のサービス

IBM Cloud(Bluemix)の類似サービスとして有名なのは、Amazon社の「AWS」やMicrosoft社が提供している「Microsoft Azure」。

SAP社が提供している「SAP Cloud Platform」などがあります。


IBM Cloudの機能

IBM Cloud(Bluemix)は190種類以上ものIBMのサービスを利用できます。

この項目で紹介するのは、各サービスのことではなくIBM Cloudが持っている機能についてです。


実行環境

IBM Cloudにはサーバーやハード機器を使える機能が用意されています。

性能や使用時間によって金額が左右するので、余計なコストをかけたくない人にはぴったりです。


アプリケーション・プラットフォーム

スマートフォンで使えるアプリケーションを扱える機能です。アプリ開発、テスト環境をおこなえます


モバイル・アプリケーションの開発

iOSやAndroidで動作可能なアプリケーションの開発ができる機能です。


ストレージ

データを保存できる機能も搭載しています。


DevOps

Development(開発)・Operations(運用)という2つを組み合わせた開発手法です。

IBM Cloudではこの機能も使用できます。


高速データ送信

データを素早く送る機能を搭載しています。

大量のデータを送る場合、高速で送ることができればかなり効率性が高まるでしょう。

安全性も確保されているので安心です。


Watson

IBMが開発した「質問への応答・意思決定をサポートするシステム機能」です。

IoT(モノとインターネットを繋ぐ)サービスを提供するのにも一役買います。

その他、「ネットワーク」や「インテグレーション」、「ストリーミング・ビデオ」「Private Cloud」などの機能も使用可能です。


IBM Cloudのメリット

この項目では、IBM Cloudのメリットについてご紹介します。


余計なコストがかからない

IBM Cloudはクラウドサービスです。

そのため、システム環境を構築するために必要となるITインフラを調達したりする手間を省くことができます


時代を先駆けるWatsonが使える

AIシステム市場は急成長を遂げています。

そのため、AI分野で活躍する「Watson」を使用できるのは注目すべきメリットです。

トレンドを把握したり、商品開発スピードを早めたり、コストの削減に貢献したり…。

Watsonは様々な分野のビジネスに活用されています。


実績がある

IBM Cloudにはたくさんの実績があります。そのため、「ここでシステム開発をおこなっても大丈夫だろうか」と心配する必要はありません。


IBM Cloudのデメリット

ここでは、IBM Cloudのデメリットをご紹介します。

IBM Cloudはとても便利なクラウドサービスです。

しかし、気になる点も存在します。「経営資源が2分化している」という点です。

ご存じかもしれませんが、IBMは「サービス事業」だけでなく、「ハードウェア事業」も展開しています。

IBMは経営資源をその2つに分けています。

「ハードウェア事業」に注力した場合、「サービス事業」への投資額が減少してしまって他社より技術的に遅れてしまう恐れがあります。


IBM Cloudの料金体系

IBM Cloudには4つの料金プランが存在します。


Lite

無料プランのことです。

一部の機能・一定量以下という制限はありますが、無料でIBM Cloudを使うことが可能です。


従量課金

各サービスを利用する際、時間やスペックを基に課金されます。

無料で使えるサービス以外で、どうしても使いたいサービスがある場合に選ぶと良いでしょう。


予約済みインスタンス

1年もしくは3年の利用を確約するプランです。

通常よりも料金が割引され、使用する容量も保証されます。


サブスクリプション

全てのサービスを使いたいという人向けのプランです。

月額料金を支払うことになります。


料金見積もりツール

料金の見積もりをしたいなら、公式サイトにある「IBM Cloud料金見積もりツール」でチェック可能です。


IBM Cloudの導入方法

IBM Cloudの基本知識をんだら、実際の導入方法を確認してみましょう。

ここで紹介するのは、IBM Cloudの無料プランを導入する方法についてです。


公式サイトにアクセスする

もしIBM Cloudを利用する以前、Bluemixでアカウントを作成していたなら「同じメールアドレスで登録したい」と考えるかもしれません。

安心してください。

BluemixのIDがあるならそのままIBM Cloudを利用可能です。

もしBluemixのアカウントを持っていない人だけ下記の手順に沿って登録を進めてください。

まずは公式サイトにアクセスし、IBM Cloudのアカウントを作成します。

アカウント情報として、メールアドレスを入力しましょう。

メールアドレスの入力が終わったら、パスワードを設定します。

パスワードは「8文字~31文字まで」「大文字・小文字・数字を1文字以上含める」という決まりがあるのでご注意を。

どちらの入力も完了したら「次へ」をクリック。


メールの確認

少し経ったらIBM Cloudからメールが送られてきます。

そこに7桁の検証コードがあるので、それをコピーしてアカウント登録画面の「2.Eメールの検証」にある検証コード入力欄に貼り付けます。

貼り付けたら「次へ」をクリック。


個人情報の入力

個人情報を入力します。

名前」「」を入力し、「国または地域」を設定します。


IBMの情報をメールや電話で希望するかのチェック

「e-メールを希望する」「電話を希望する」という2つのチェック項目があります。

最初から「電話を希望する」にチェックが入っているので、希望しない場合はチェックを外してください


利用条件を読んで登録する

最後に、製品の利用条件を確認して「アカウントの作成」ボタンを押しましょう。

これでIBM Cloudの登録は完了です。

クレジットカードの登録など、口座情報の登録は必要ありませんので安心してください。

課金されるのは有料のサービスを使用した時だけです。


プライバシーについてを確認する

初めてログインする時、アカウントに対するプライバシーについての情報が提示されます。

同意するのであれば「次に進む」をクリックしてください。


IBM Cloudのサポート

IBM Cloudには3つのサポートプランがあります。


基本

基本的なサポートプランで料金は無料です。

電話やチャットなどを通して24時間年中無休でIBM Cloud技術サポートチームとコンタクトが取れます(従量課金、サブスクリプションの利用者のみ)。

初期応答までの時間については決まりがありません。


アドバンスト

優先的なサポートを受けることができます。

料金は月額2万1000円もしくは月額使用料金の10%(どちらか高いほう)。

初期応答までにかかる時間については「重大度」ごとに目標時間が設定されています


プレミアム

アドバンストプランのサポートに加え、「テクニカル・アカウント・マネージャー」や「四半期ごとのビジネス・レビュー」、「専門家へのアクセス」などのサービスが提供されます。

初期応答までにかかる時間の目標時間はアドバンストプランよりも短縮されます。

料金は月額105万円もしくは月額使用料金の10%(どちらか高いほう)。


IBM Cloudの使い方①サーバーの立ち上げ

この項目では、IBM Cloudの基本的な流れについてご紹介します。


IBM Cloudにサインインする

IBM Cloudにサインインして、さっそくサーバーを立ち上げてみましょう。

ログインしてすぐ表示されるのは「ダッシュボード」という画面です。


カタログ画面を開く

上の黒い部分(メニューバー)にある「カタログ」をクリックしてください。

様々なサービスが出て来ます。

スターター・キットを選んで「アプリ作成」ボタンを押しましょう。


アプリの設定をする

アプリ作成画面に移行します。

アプリ名」は英字で入力してください。

次に、ホスト名(URL)を入力します(他アプリと重複不可)。

無料枠で使う場合、「デプロイする地域」を「米国南部」に設定しましょう。

しばらく立ったら、アプリケーションをスタートしたことを知らせるポップアップの表示が出ます。

これでサーバーの立ち上げは完了です。


実際にアプリ画面を確認する

アプリURLにアクセス」というところから実際のアプリ画面を確認できます。

URLが入力したホスト名になっていることが確認できるはずです。


IBM Cloudの使い方②アプリのデプロイ

アプリをデプロイするには、「CLI」もしくは「コンソール」を使います。


CLIを使ったデプロイ

CLIを使ってデプロイするためには「ibmcloud dev deploy」コマンドを実行してください。

詳しいことは公式サイトを参照しましょう。


コンソールを使ったデプロイ

まず、「アプリの詳細」ページを開いて「アプリのデプロイ」を押してください。

デプロイ・ターゲット」を選び、ツールチェーン設定を選択しましょう。そして「作成」をクリック。

新規ツールチェーンの「パイプライン・ステージ」を開いてビルド・デプロイのプロセスを表示させましょう。

数分待つと、新しいアプリが表示されるようになります。


IBM Cloudの使い方③Watson

「IBM Cloudの機能」でも少し触れましたが、この項目ではWatsonについてご紹介します。


Augmented Intelligence

WatsonはAI(Artificial Intelligence・人工知能)ではなく、Augmented Intelligenceです。

人の知能を拡大するもの」という意味を持っています。

Watsonは扱いやすくわかりやすいツールです。

学習データを渡しておけば、何かしらの応答を示してくれます。


できること

Watsonができることについてご覧ください。

  • 検索
  • 機械学習
  • 画像を認識する
  • 性格診断をする
  • 音声認識
  • チャットボット など

上記を含めた10以上のサービスを作れます


活用現場

「検索」機能は医療現場でも活用実績があります。

医療現場にはたくさんの患者カルテや医療記録が存在します。

それらを照会し、病気の種類を見抜くことも。

人間がデータを照会するよりも正確な上に短時間で検索することが可能です。

他にも銀行業界でコールセンター業務にも試験的にWatsonが使用されたり、人材サービス業界への投入も考えられています。

このように、最適な人材のマッチングを実現することが期待されています。


無料枠で活用してみる

WatsonはIBM Cloudの無料枠でも扱うことが可能です。

APIの1つである「Personality Insights」を使い、自分のTwitterアカウントと連携して「性格診断」をおこなったりできます。

その他気になる機能があれば、「カタログ」からWatsonのAPIを選んで試してみましょう


IBM Cloudの使い方④その他

IBM Cloudにはチュートリアルが用意されています。

詳細なIBM Cloudの使い方を知りたい人はチェックしてみると良いでしょう。

チュートリアルには機能ごとにまとめられた内容がおさめられています。

技術文書一覧」から必要な情報を選び取りましょう。


まとめ

以上、BluemixことIBM Cloudについてご紹介しましたがいかがだったでしょうか。

IBM Cloudはアプリケーション開発の頼れる相棒としてぜひ使って欲しいクラウド環境(PaaS)です。

IBM Cloudがあれば、ローカル環境がなくてもアプリケーションを開発できるのが嬉しいところ。

この記事を読んでIBM Cloudに少しでも興味が湧いたなら、ぜひアプリケーション開発をおこなう際に取り入れてみてください。

コグニティブ・コンピューティングであるWatsonも無料枠で使えるIBM Cloud。

有料サービスを使うことを躊躇っているのであれば、無料枠をとことん使い倒してみてください。

「これは自分にとって必要なツールだ」と感じた時初めて有料サービスを課金すると良いでしょう。

この記事が、IBM Cloud(Bluemix)に強い興味を抱くキッカケを作れたなら幸いです。