
ABAPの基礎をわかりやすく解説!ABAPの難易度とおすすめの勉強法とは?
こんにちは!
toiroフリーランス編集部です。
ABAPはプログラミング言語の一つですが、聞いたことがないという人も多いのではないでしょうか。
世界でもトップシェアを誇るSAP製品を使うには必須の言語となります。
ABAPを勉強することでどんな恩恵が受けられるのでしょうか。
習得するメリットや難易度について解説します。
ABAPとは
ABAPは「Advanced Business Application Programming」の略で、「アバップ」と読みます。
世界中で使われている言語ですが、かなり知名度が低いということもあってそれほど有名な言語というわけではありません。
ABAPはSAPシステムや、R/3・S/4HANAなど、SAPシステムやアドオン開発に使う高級言語です。
SAP専用のプログラミング言語でもあり、COBOLと似ています。
SAP専用とは、つまりABAPはSAP製品のプログラミングでしか使えません。
他の場面で使うことはできないので注意してください。
「SAP製品の中でしか機能しない」というあたりは、C言語やJavaとはまったく異質な言語といえるでしょう。
ABAPを知る上で理解しておきたい用語解説
システム
システムと一言でいっても、色々な意味があります。
ここでいうシステムとは、コンピュータで機能しているハードウエアやソフトウェアのことです。
高級言語
高級言語とはプログラミング言語のうち、より自然語に近く人間にとって理解しやすい言語を指します。
そもそもプログラミング言語とは、コンピュータプログラムを記述するための形式言語です。
コンピュータは0か1かの世界で稼働します。というのも、コンピュータは0か1しか理解できません。
しかしながら、人間は0と1だけでは何のことか理解できないのです。
その間を埋め合わせ、コンピュータでも人間でも理解できる言葉がプログラミング言語となります。
中でも高級言語は、より人間がスムーズに理解しやすい言語です。
逆にコンピュータの方が分かりやすい言語を「低級言語」と呼びます。
どちらにしろコンピュータを動かすために、人間が分かり易くした様な言葉といえるでしょう。
言語というだけあり、対コンピュータへ伝える言葉です。
アドオン開発
導入済みソフトに新しい機能を追加し、機能拡張を行えます。導入企業が違えば必要になる機能も違うのです。
アドオンは既存の機能やシステムはそのままに、必要な機能分だけを自社で開発し追加することができます。
アドオンは直接システムを開発する場合もあれば、専用のソフトウェアを使って機能を追加する場合もあるでしょう。
必要な機能を後から追加しても、システムの基本設計は変わりません。
システムの見直しや、オープンソースを使って自社で開発するよりも、コストを抑えることが可能です。
SAPシステム
SAPはSAP社が開発したERP(統合業務基幹システム)製品のことで、複数のモジュールから成り立っています。
ちなみにSAP社とは、ドイツのヴァルドルフに本社を置くヨーロッパのソフトウェア会社です。
ここでいうSAP製品はSAPが提供する「ERPのパッケージ」と捉えてください。
ERP自体は、SAP社以外にも様々な企業が開発しているシステムです。
SAPについては以下の記事で詳しく紹介していますので、SAPに対する理解を深めたい方はこちらも併せてご参照ください。
SAPの基礎知識、使用方法を入門者向けに解説!SAPとERPの違いも紹介!5大製品の特徴と導入のメリットとは?
R/3
R/3は、ドイツSAP社のERPパッケージのことを指します。
これは経営資源有効活用のために、全社で業務を統合的に管理するソフトウェアです。
クライアントサーバシステムで、UNIXやWindowsなどの環境が混在するオープンシステムでも動作できます。
機能は基盤を除き業務や業種ごとに部品化していて、必要なものの組み合わせで業務に合ったシステムを構築することが可能です。
ERP
ERPは、企業が持つ資源(人材、資金、設備、資材、情報など)を統合的に管理・配分し、業務の効率化や経営の最適化を目指す手法。
導入・利用する統合型の業務ソフトウェアパッケージになります。
コンピュータにはアプリケーションとしてインストールして使うことになるので、覚えておいてください。
S/4HANA
S/4HANAは、ドイツSAP社のインメモリーデータベース「SAP HANA」を標準プラットフォームとした第4世代ERP製品です。
ABAPを学ぶ
ABAPは、処理の内容や対象の機能によって大きく3つに分けられます。
- もっとも基本的な「レポート」
- 使用頻度の高い「バッチインプット」
- 画面を作成していく「Dynpro」
以上3種類です。
他にもいくつかプログラムが存在しますが、大体この3つの開発が9割以上を占めています。
ここでは上記3つについて解説していきましょう。
レポート・レポートプログラム
レポートとは、「データを出力することを目的としたプログラム」です。
レポートプログラムといったら、データを取得して一覧表示するプログラムのことをいいます。
パッチインプット
バッチインプットとは、いわゆる「バッチ処理を行うプログラム」です。バッチ処理は、簡単にいうと「まとめて処理すること」。
大量のデータをまとめて一度に処理できます。
Dynpro
Dynproとは、「対話型画面入力に関するプログラム」です。
画面を作成し利用者の操作内容に応じて処理内容を変えるような画面遷移をすることができます。
ABAPを学ぶための基礎知識
ABAPを学ぶには、以下の基礎知識が必要です。
- 命令文は半角英字
- 個々の単語は半角スペースで区切る
- 命令は”ABAPキーワード”で始まり”ピリオド”で終わる
- 大文字と小文字は区別されない
- 同じPキーワードが続く場合は、チェーン命令を利用する
- コメント文は「*」が行頭
- 行の途中からコメント文は” “でくくる
- 複数の命令の群はキーワード毎にピリオドを付ける
- コピペで記述が基本
まずは、アドオンテーブル構築とレポートプログラム作成を学ぶのがおすすめです。
ABAPの勉強方法
Webサイトで学習する
ABAPの勉強方法は色々ありますが、Webサイト検索することもできます。
特におすすめなのが「Biz.Online」の記事です。
ABAPを1から勉強したい人・復習したい人向けの記事になっています。
始めて勉強する人にも、また改めて勉強したいと考えている人にも有益な情報がのっているので、覗いてみると良いでしょう。
基本的な知識とルールがほとんどですが、最低限ABAPを使う上で必要なスキルが載っています。
また、SAPそのもののスキルについても掲載されているため、案件への参画を考えている人も見ておいた方が良いでしょう。
参考URL:BIZ.Online公式
書籍で学習する
プログラミング言語の習得といえば紙の本で勉強するのがメジャーです。
もちろんABAPにも入門書があるので、それらを買って学習するのも効果的です。
ただし、ABAPは世界中で使われているとはいえマイナーな言語となります。
紙の本の場合、あまり日本語の入門書がありません。まったくないわけではないのですが、高い評価を得ているのは全文英語の本ばかりです。
英語が苦手で日本語でABAPの学習をしたいという人は、書籍よりもWebサイトで学習するほうが快適かもしれません。
色々な選択肢があるので、自分に合った方法を見つけましょう。
ABAPの難易度
ABAPはサブルーチンを幾つも呼び出す構造があり、解読が困難になるかもしれません。慣れが重要となります。
難易度は個人差がありますが、事務処理言語という側面からそんなに難しいわけではありません。
オブジェクトの意味さえ分かればそんなに大変ではないので、あまり身構える必要はないでしょう。
入門書なども1日で読み切れてしまう分量です。
ただし、他のプログラミング言語とは全く異なる言語であることも事実です。
C言語やJavaなどと同じ感覚で勉強しようとすると、つまずいてしまうかもしれません。
ABAPのメリットとは
ABAPは知名度も低く、SAPでしか使えないのであまりメリットを感じられない人もいるかもしれません。
たしかにSAP製品を使わないエンジニアにとっては必要のないものです。
そう考える人も多いからこそ、ABAPを使えるエンジニアもなかなか増えていません。
しかしながら、むしろそれがABAPを学習するチャンスといえます。
ABAPを使える数少ないエンジニアになれる
ABAPのできるエンジニアはまだ少ないので、習得できれば重宝されるエンジニアになれます。
先に解説した通り、世界規模で見てもABAPを使えるエンジニアはあまりいません。
つまり逆にABAPを使えるということは、エンジニアの中でもかなり貴重なのです。
SAPを使った案件が増加傾向にある
SAPは世界一導入実績があるため、大手企業ではほとんど導入しています。その導入率は87%。
さらには中小企業の実績も一番です。つまり、ABAPを生かせる仕事は多いということです。
最近は日本でも、SAP製品を使う案件が急増しています。
SAPは2025年でサポートが終了する
ABAPはSAPシステムでのみ使われる言語ですが、SAP製品のサポートは2025年で終了します。
メリットで解説した「ABAPを生かせる仕事は多い」と解説したのは、このサポート終了に向けて案件が増えているからです。
つまりSAP製品のサポートが終了したら、ABAPを使う機会もなくなるということになります。
長い目で見ると、ABAPだけで活動するのはあまり現実的とはいえません。
ABAPを習得すればSAPを扱える?
ABAPはSAPに特化した言語であり、SAP製品で開発するなら必須と解説しました。
しかしながら、ABAPを習得すればSAP製品を扱えるのかといえばそれは違います。
言語以外にも、SAP製品そのものの扱い方を習得しなければなりません。
SAP製品の扱い方については書籍なども出版されていますし、Webサイトにも載っています。
しかし業務で扱えるレベルのSAPのスキルを身につけるには、独学だけではかなり難しいのが現状です。
SAPスキルを身につけるにはセミナーに参加する
SAPのスキルを身につける場合、「SAPアカデミー」というセミナーに参加するのが通常です。
この製品のスペシャリストが教えてくれるため、基礎的な技術力を身につけることができます。
しかしながら、このセミナーはなんと1週間で30万円もかかる有料セミナーです。
個人で支払うにはあまりにも高いため、会社にお金を出してもらって参加することが多いでしょう。
今会社勤めでこの先フリーランスに転身しようとしている人は、会社に勤めている内に参加しておくことをおすすめします。
E-LEARNINGを受講するのも手
セミナーに行く時間がないという人は、E-LEARNINGというオンライン講座を受けるのも手です。
これはSAPが公式に提供している講座で、インターネットを使って授業を受けることができます。
ただし、E-LEARNINGは全世界に向けて配信されている講座です。そのため授業は英語で行われることがほとんどになります。
こちらも受講料はかなり高額なので、会社にお金を出してもらう方が現実的でしょう。
最初からSAP製品を扱う案件に参画するのも手
SAPスキルを身につけるにはかなりの費用がかかります。会社も力になってくれない場合、とてもそんな余裕がない人も多いでしょう。
その場合は、割り切って最初からSAP製品を扱う案件に参加してしまうのも選択の一つです。
最初から「SAP製品を扱うのは初めて」と宣言しておけば、チームのメンバーも嫌な顔はしません。
分からないところは教えてもらうことで、実践的な知識を得ることが可能です。
その代わり、SAPに関わる部分以外はしっかりとこなすことも重要なことといえるでしょう。
まとめ
ABAPの基礎について解説しました。
あまり有名ではない言語ですが、SAP製品で開発を行う案件ならば習得必須の言語です。
日本でも需要は増えていますし、もちろん世界でも活躍できる可能性を秘めています。
また、ABAPを使えるエンジニアは世界に目を向けてもあまりいません。だからこそ、習得すれば価値の高いエンジニアになれるのです。
SAP製品は2025年にサポートが終了してしまいますが、それまでにこの製品を使った開発をしたいという企業や顧客が多くいます。
この機会にABAPを勉強してみるのも、キャリア形成につながる大きなチャンスにつながるのではないでしょうか。
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