WebSphereとは?概要や導入・実行方法を解説!Application ServerのSSL設定やデプロイ手順も確認
はじめに
ここでは、WebアプリケーションサーバーのWebSphereについて解説します。
WebSphereの技術は、これからやってくるインテグレーションの技術を支えていく存在である技術者にとって必須のスキルであるといえます。
WebSphereの専門的な知識やスキルに関して数多くのガイドブックが発売され、セミナーなども頻繁に開催されています。
この記事ではWebSphereの基本的な知識と、使用方法の導入をご紹介します。
WebSphereを活用するときの具体的な実行方法や設定方法を知り、日々の作業に役立てていきましょう。
WebSphereの概要
WebSphereについて説明します。そもそもWebSphereとは一体何を指すのでしょうか。
WebSphereの基本情報
読み方は「ウェブスフィア」で、IBM社によって提供されているWebアプリケーションサーバー製品を中核とする、業務用ミドルウェア製品群のブランド名のことを指します。
プログラミング言語にはJavaを用います。このWebSphereの主な使い道は「アプリケーション基盤と統合」です。
ただし、WebSphereという名称はIBMが提供する中核アプリケーションサーバー、「WebSphere Application Server(WAS)」という最も有名な製品のことを指す場合も多いので、覚えておく必要があります。
バージョンアップについて
また、WebSphereはバージョンアップを繰り返しています。
どんどん改良を重ねることによって、IBM社が提供するアプリケーションサーバーは、複数のシステムを独立したサービスとして実装し、それらを連携して運用させるという形に移行していきました。
これらの構築・運用のことをSOAと呼びます。
プログラミングの現場において、この概念は頻出なのできちんと覚えておきましょう。
WebSphereのライセンス課金方法
ソフトウェア製品を導入する際に気になるのが金銭的な問題です。
IBM社が提供するソフトウェア製品を購入する際の課金方法は3つあります。
使い方や利用人数によって適切な課金方法を選択することが大切です。
では3つの課金方法をご紹介します。
プロセッサバリューユニット(PVU)課金
これは、導入するサーバー、プロセッサ、コアそれぞれに対して課金していくライセンス体系のことです。
購入したライセンス数量は導入するサーバー、プロセッサ、コアによって増減するので臨機応変に対応することができます。
ユーザー課金
これは製品を利用するユーザー、つまり人に課金するライセンス体系のことです。
購入するライセンスの数量は、使用する人をカウントして算出します。
会社など、多くの人数が同時に製品を使うような場合はこのユーザー課金を行うことが多いようです。
ソケット課金
これは該当製品を購入するサーバーの「実搭載ソケット」に課金していくライセンス体系です。
マルチコアプロセッサを利用する場合に、コストを抑えるために提供されるようになったライセンス体系のことです。
家庭などで製品を利用する際にはおすすめのライセンス体系です。
WebSphereによってできること
前章では、WebSphereの主な使い道が「アプリケーション基盤と統合」だとご紹介しましたが、具体的には何ができるのでしょうか。
基本機能は以下のものです。
- システム管理
- ワークロード管理
- セッション管理
- パフォーマンス管理
- セキュリティー
また、WebSphereには相互に関連のあるコンポーネントが含まれています。
ですのでこれらのコンポーネント同士が互いに調和するように調整していく必要があります。
相互接続されたコンポーネントから構成されるグループのことを、キューイングネットワークと呼んでいます。
キューイングネットワークを構成するキューのほとんどは、クローズ・キューと呼ばれる公開されていないものです。
これらのキューは存在する要求の最大数に制限を設けています。システムリソースに対する厳格な管理をサポートするためです。
数の制限があることで業務上困難な部分もありますが、これがあることによってWebSphereの安全性が守られているといえるのです。
WebSphereの導入方法
WebSphereの導入方法について解説していきます。
WebSphere導入のメリット
WebSphereは安全なJava EEおよびMicroProfileアプリケーションサーバーであり、導入することで圧倒的な軽さと速さを実現してくれます。
またWebSphereの導入は簡単で、構成ファイルはserver.xmlのみです。
導入時は再起動不要で、構成変更は即座に反映してくれます。
WebSphereのインストール方法
導入に必要なファイルはWASdevのLiberty Repositoryからダウンロードできます。
- Installation Managerを導入する
- Installation Managerを使ってWebSphere本体とJavaを一括導入する
- プロファイルの作成(ウイザードあり)
- IVPを行うとファーストステップが起動する
また、この他にも自己展開圧縮Jarファイルの展開による導入や、Eclipse上のWebSphere Application Server Developer Tools(WDT)による導入もあります。
アプリケーションを動かすための環境づくり
WebSphereをインストールするだけでは、機能は不十分です。
以下の設定を行い、アプリケーションを作動できるようにする必要があります。
- プロファイルの作成
- アプリケーション稼働環境の準備(サーバーの設定やリソースの定義など)
- アプリケーションの導入
これでアプリケーションの稼働環境が整います。
セットアップするWASが複数台ある場合は、同じ手順を台数分繰り返してください。
導入時に実行できる言語はJava、JACL、Jython、ANT、BAT/SHです。
WebSphereの使い方
WebSphereの機能は上記で紹介したように様々なものがありますが、基本的にはアプリケーション開発者の手助けとなるものばかりです。
メイン画面には「チュートリアル」「新機能の説明」などのページが設定されているので、わからないことがあれば逐一調べるようにしましょう。
Javaプログラミング作成の方法
- Javaアプリケーション用のパースペクティブに切り替える
- メニューバーから「ウインドウ」→「パースペクティブを開く」→「Java」を選択
- メニューバーから「ファイル」→「新規」→「プロジェクト」を選択
- ウイザードの選択画面で「Javaプロフェクト」を選択し、「次へ」を選択
- プロジェクト名を入力し、「次へ」を選択
- 実際にプログラミングを行うためにクラスを作成
- エディターを表示させて、Javaコードを作成する
- Javaを実行し、結果を確認する
メイン画面からサンプルやチュートリアルでも上記のような機能があるので、練習までに触っておくことをお勧めします。
実際にアプリケーションを実装する前に練習ができるのが初心者にもやさしいポイントです。
業務開始までにしっかりとコツを掴んでおきましょう。
アプリケーションの作成方法
- 作成するアプリケーションのシステムの前提条件の確認
- 作成作業の実施と導入中の問題への対処
- Fixpakの適用
- 作成完了後のStudioの起動
基本的には、メイン画面に表示される指示にそってアプリケーションを導入していきます。
わからない部分は逐一調べるか、カスタマーサポートに問い合わせて疑問を残さないようにしましょう。
WebSphereのSSL設定
SSLの設定について解説します。
SSLとは
そもそもSSLとはTLS(Transport Layer Security)の別名で、インターネットなどのコンピューターネットワークにおいてデータを暗号化して送受信を行うためのプロトコルを意味します。
個人情報やクレジットカードの情報といった重要なデータを扱う際にSSLは用いられています。
個人が使うアプリケーションにおいて、機密情報は切り離すことができないものです。
顧客に不審な思いをさせないためにも徹底的なSSL化をし、安全なアプリケーションを作っていく必要があります。
WebSphereのメインページでは、アプリケーションのSSL化の手順がわかりやすく誘導してくれています。
そのため実際に作業を行う際にはわかりやすいかと思います。以下にSSL化の詳細をご紹介します。
SSLを有効にする手順
WebSphere上では、管理コンソールからSSL構成を管理することができます。
- 管理者ユーザーとしてDashboard Application Services Hubにログイン
- 「管理者コンソールの設定」→「一般」→「WebSphere管理コンソール」を選択
- 「WebSphere管理コンソールの起動」を選択
- SSL構成のリストから「セキュリティー」→「SSL証明書と鍵の管理」→「SSL構成」→「NodeDefaultSSLsetting」を選択
- 「デフォルトのサーバー証明書別名」「デフォルトのクライアント証明書別名」を更新(残りの設定は定義済みのデフォルトのまま)
- 「OK」をクリック
- 「SSL証明書および鍵管理」→「鍵ストアと証明書」→「NodeDefaultKeyStore」→「個人証明書」を選択し、netcool個人証明書が利用可能であることを確認
- 「SSL証明書および鍵管理」→「鍵ストアと証明書」→「NodeDefaultTrustStore」→「署名者証明書」を選択し、npi_ca署名者証明書が利用可能であることを確認
- WebSphere Application Serverを再始動
- 署名者証明書情報が表示されたら「SSL署名者プロンプト」ウインドウで「y」を押す
これで、WebSphereにおけるSSL化は完了です。
SSLを有効にした後は本当にきちんとセキュリティー機能が動いているかダブルチェック、トリプルチェックをしていく必要があります。
しっかりと確認をして堅牢なアプリケーションをつくりましょう。
WebSphereのデプロイ手順
デプロイとは
デプロイとは「配置する」「配備する」「展開する」という意味を持つ語句です。
ここではソフトウェア開発の工程のうち、開発した機能やサービスを利用できるようにする作業のことを指します。
具体的にいうとウェブアプリケーションの開発現場において、作成したプログラムをサーバーにアップロードして、該当のサーバー環境で利用可能にするという手続きのことです。
これは必ずしもリリース作業を指すわけではありません。
開発現場からテスト用の環境にアップロードし、テストに使える状態にすることもデプロイといいます。
デプロイの作業をしっかりしておかないと、実際にアプリケーションを動かしていくという段階にもかかわらず問題が発覚してしまうという可能性もあります。
顧客を巻き込んでのトラブルは避けたいものです。
きちんとデプロイを行うことで、安全確認をしておくことが大切になります。
WebSphereをデプロイする手順
- アプリケーション・ファイルのインストールに使用するメソッドを決定する
- アプリケーション・ファイルをインストールする
- 「管理コンソール」「wsadmin startApplication」「ApplicationManagerまたはAppManagement MBeansを使用するJavaプログラム」を使用して、デプロイ済みアプリケーション・ファイルを起動する
デプロイに問題があった場合
デプロイメントを行った際にエラーなどの問題が発生した場合は、基本的な診断の実行とシステム構成の検証を行うことでその問題を解決することができます。
手順
- アプリケーション・デプロイメントの問題とトラブルシューティングのヒントに関するトピックを参照する
- IMBサポートで入手可能な既知の問題および解決方法についての情報を調べる
- 問題を修正してアプリケーションを再開する
IMB社はサポート体制が手厚いことでも高い評価を受けています。
自分で調べてみてもトラブルの原因がわからない時は、気軽にIMBのサポートセンターまで問い合わせてみましょう。
自分で調べるよりもすぐに解決できるでしょう。
アプリケーションの失敗処理後のポイント
インストールを失敗したアプリを再インストールする前には、失敗の前に作成したSIBus宛先、またはJCAアクティベーション・スペックを削除しなくてはいけません。
この削除の最も有効で簡単な方法は、「保存」→「すべて破棄」を選択することです。
こうすることでインストールを失敗してしまっても十分に悪影響を残さずに挽回して再インストールすることができます。
アプリケーションのインストールの際の失敗はどのようなシチュエーションでもありうることです。
焦らずに落ち着いて対処していくことが大切です。
最後に
この記事では、WebSphereについてご紹介しました。
プログラミングにあたって必要不可欠であるサーバー、WebSphere。使い方は理解できましたか?
様々な用途に使える製品であり、常にアップデートが図られています。
定期的に更新情報を確認して、日々の業務や作業に役立てていくことが大切ですね。
また作業をするうちにわからないことがあったら、積極的にIBM社のサポートセンターを頼りましょう。
IBMのサポート体制は、Q&Aやよくある質問の紹介のほか、オープンチャットでもそれぞれのユーザーに寄り添った回答を得ることができます。
また常に最新の情報が公開されているので、定期的に確認するようにしましょう。
プログラミングの世界は急速に変化が起きます。それに伴い、WebSphereでもできることがどんどん進化していくでしょう。