プロジェクトマネージャー試験は、「プロジェクトマネジメント」の資格を取るための情報処理技術者試験の一つです。

システム開発の中核を担う存在としてIT業界では重要視される資格ですが、その試験はどのようなものなのでしょうか。

プロジェクトマネージャー試験の内容と対策法について見てみましょう。

プロジェクトマネジメントとは?

プロジェクトマネジメントとは様々な予算・期限が設定されているプロジェクトにおいて、予定通りになるように具体的な計画を立て、実務の管理をする人のことをいいます。

高度なIT人材としての専門分野を持つ、システムの開発プロジェクトの責任者です。

プロジェクトの立案及び必要な人員や資源を確保し、計画通りに品質・予算・納期の達成をするための管理者ともいえるでしょう。

今後、AIの発達・発展によって、仕事の大半は”人”から”AI”に移りゆくとされています。

しかしこのプロジェクトマネジメントでは、より高いリーダシップが求められ、AIでは現時点では代替出来ない仕事の一つです。

今こそプロジェクトマネジメント(プロジェクトマネージャー資格)を習得し、未来のビジネスへ繋げていくことが重要となってくるでしょう。


プロジェクトマネージャー試験の難易度と合格率について

受験にあたり、プロジェクトマネージャー試験(以下、PM)の難易度と合格率を知りましょう。


難易度

PMは、情報処理技術者試験中でも最高難易度の「レベル4」に相当します。


合格率

実際にPMの合格率は、IPA 独立行政法人情報処理推進機構によると、12.7%〜14.5%だとされています。

しかしながら、本試験の合格率の内訳を見てみると1桁台の合格率で、概ね8%前後が実際の合格率です。

結果的に、他職種の国家試験と比べても非常に低い合格率だということがわかります。


プロジェクトマネージャー試験の資格取得の流れと合格点について

プロジェクトマネージャー試験の流れとしては簡単で、午前に2つ・午後に2つの合計4つの資格試験が用意されています。

これら4つ全ての試験の問題で、満点中60%以上の点数がとれれば合格です。

資格取得にあたり、必要な点数は低く感じられるかもしれません。

しかし先述の通り合格率が低いことから、出題される問題と正確な解答ができるかがカギとなっていきます。


資格取得に必要な知識

非常に高いITリテラシー(知識)や実績があったとしても、それ相応の勉強時間が必要であったり、試験問題の解答に必要な非常に高い文章力が求められる資格です。

常日頃から自分自身のブログやSNSでの情報配信を行っているなど、文章力を高める機会を設けることで、合格率を高める近道になるといえます。


独学合格に必要な勉強時間や書籍など

『PMBOK』

代表的な参考書といえるものは、PMBOKでしょう。

PMBOK(ピンボック)は「Project Management Body Knowlendge」のことで、プロジェクトマネジメントに必要な関連知識をまとめたものです。

このPMBOKは、現在までのところプロジェクトマネジメントの世界基準です。

PMBOK自体は「高品質・ローコスト・納期の迅速さ」の所謂「QCD(品質・費用・納期)」の管理を目的とした構成。

これらを体現するための具体的な計画の構築・実行することが目標です。


『情報処理教科書 プロジェクトマネージャ』

また、プロジェクトマネージャー参考書としては、三好康之氏の『情報処理教科書 プロジェクトマネージャ』を参考にすると良いでしょう。

同氏の参考書は、非常に評判がよく、参考になったとの意見が多いのが特徴です。

午後1の試験対策にも最適かと思われます。


プロジェクトのプロセス概要

さて、ここでは、PMBOKのプロジェクトのプロセス定義についてのおおまかな解説です。

PMBOKでは、5つのプロセスに分割して定義付けてあります。

具体的には、「立ち上げ」「計画」「実行」「コントロール」「終結」です。


プロセス1「立ち上げ」

プロジェクトを計画するに当たり、立ち上げプロセスが必要だとPMBOKで定義されています。

具体的には、予算成果目標の定義付けです。

これに付随して、プロジェクトの憲章作成及び利害関係の特定を実行します。


プロセス2「計画」

プロセス2では、プロジェクト自体の目標達成に際し、作業計画を具体的に立案し作成していくのが主です。

プロセス2においても詳細なプロセスが定義されており、このプロセスにおいて目標の定義やプロジェクト実行時の行動基準も含め規定していきます。


プロセス3「実行」

このプロセスでは、計画に基づいて限りある資源や人員を調整し、実際にプロジェクトを実行するというプロセスです。

プロセス3「実行」においては、非常に資源を消費するプロセスでしょう。

本プロセスの結果によって計画を調整し、プロセスのベースを再定義・設定する作業が発生します。


プロセス4「コントロール」

このプロセスでは、プロジェクトの進捗状況を常に確認し計画とのズレが生じていないかを継続的に監視しコントロールする場面です。

その際、差異が発生・確認された場合に修正を実行します。


プロセス5「終結」

「終結」はプロセスが完了していることを検証し、プロジェクト実行により獲得した情報・経験を次のプロジェクトに活かす必要が出てくるプロセスです。

しっかりと保管し還元していくことが重要と定義されています。


他に参考書は?

PMにおいては、公式テキストが存在しません

先述の著者の参考書など、情報処理技術者試験では定番の出版社の参考書を選ぶことをおすすめします。

「翔泳社」「技術評論社」「TAC出版」「アイテック」などの出版社からリリースされている参考書を読破するのを良いでしょう。

ここでは、いくつか参考書を紹介したいと思います。

まずは、翔泳社の王道ともいえる参考書から紹介しましょう。


『情報処理教科書 プロジェクトマネージャ 2020年版』

この参考書は非常に高い人気をほこり、市場シェアも一位を獲得するほどの人気シリーズです。

同書では、プロジェクトマネージャ試験に合格するためのメソッドがふんだんに盛り込まれています。

基礎知識の解説に加え、解答テクニックやモチベーションアップのためのコラムがぎゅぎゅっと凝縮されています。

過去問も徹底解説されており、非常に実用的な参考書でしょう。


『平成31年度 プロジェクトマネージャ合格教本』

プロジェクトマネージャ試験に一発合格を目指す人や、論文試験に自信がない人をターゲットとした参考書です。

実際に合格率の低いプロジェクトマネージャ試験において、ベテランの講師が手取り足取り丁寧に解説しています。そのためこちらも非常に人気のある参考書です。

プロジェクトマネージャ試験は、午前午後と分かれています。

この本は午前2問題対策の基礎知識をひとまとめにし、午後1問題の記述方式や解答の導き方を丁寧に解説しているのが特徴です。


『ALL IN ONE パーフェクトマスター プロジェクトマネージャ 2020年度(情報処理技術者試験)』

次に紹介したいのは、TAC出版の『ALL IN ONE パーフェクトマスター プロジェクトマネージャ 2020年度(情報処理技術者試験)』

こちらの参考書では、午後1試験のための長文読解汎用テクニック「三段跳び法」や、汎用論述テクニック「ステップ法」などが収録されています。

出題頻度の高いキーワード・キーフレーズの解説や、実用的な解答法があるのが特徴です。

特に午前2〜午後2までを重点的に、最も効率の良い勉強方法を収録しています。

また出題頻度の高い分野やテーマ、設問要求パターンを分析し厳選した過去問演習もできるなども網羅済みです。


アイテック教育研究開発部 参考書

最後に紹介したい参考書は、アイテックより出版されている参考書です。

正確にいうなら、これは午後1及び午後2対策コースの通信教育となります。

午後1及び午後2の試験を重点的に、eラーニング・書籍・公開模試の通信教育が受けられるのです。

最難関ともいえる午後1と午後2対策が参考書だけでなく、eラーニングと公開模試が受けられるのは非常に大きなメリットではないでしょうか。

既に午前1・2試験に自信があり、午後1・午後2に不安な人には、こちらの通信教育コースがおすすめです。

実際書籍を手にしても読むのが億劫になってしまったり、緊張感・刺激が無くどこかサボってしまうという人には、この本格的な通信教育コースが良いでしょう。

参考書を手に取り読破するのも重要ですが、日々の生活の中でインプットするのは大変です。

しかしこちらの通信教育では、参考書以外にもe-ラーニングのほかに公開模試が受けられます。これはモチベーションを上げる大きなメリットになるでしょう。

着実にステップアップしたい人は、この通信教育コースも選択肢として入れておくことをおすすめします。

通信教育コースでは自宅での学習の他に、外出先でスマートフォンやタブレットを用いて手軽に動画と電子書籍で学習できるのも特徴。

何回もスマートフォンで問題演習ができます。

疑問点は同社のベテラン講師に即座に質問ができるので、疑問はすぐに解消することができるのも大きいですね。

既に教材を持っている人には、割引価格で同通信教育を受けられます。

いくつか参考書などを紹介しましたが、気になるものはあったでしょうか。

気になる参考書があれば、すぐにWEB検索をしてチェックするといいでしょう。

弱点克服や合格への近道となることは間違いありません。


特に難関なのは午後対策

高い文章力を求められる午後の試験は、特に難関とされています。

問題数自体は少なくても、文章力に泣されることが多いのです。論述の苦手な場合は、不合格連発の予感がします。

この文章力は日頃からブログやSNSなどで文章を書く機会を意識して作り出し、練習することのがおすすめです。

多くの場合、先述の参考書をベースに論述を意識した文章を書き続けることが文章力向上につながるでしょう。

実際にコラムを書くような感覚で、SNSに今日起こった事柄などを綴るのをおすすめします。

そこまでするほどに、非常に難関なのです。午後1と午後2対策は特に力を入れて対策しましょう。


勉強時間の目安

実務経験次第では、数十時間程度の勉強時間で合格するケースも”稀に”あるようです。

しかし、通常ならある程度まとまった学習時間を設けることができないと、半年〜1年以上は時間が必要だと考えたほうがいいようです。

ただ文章作成が得意な方は実務をこなしながら、数カ月の学習で合格したケースもあります。やはり文章力が本資格では最重要課題といって良いでしょう。

中には”スクール”が存在しますので、講座を受講する手段もあります。

受講期間が3ヶ月前後で、サポート期間は1年が目安としているスクールが大半のようです。

実際に独学では厳しいと感じた場合は、講座を受講する選択肢も1つ頭の中に入れておくべきでしょう。


その他の勉強法は?

最近では、YouTube上でも簡易的ではありますが、参考になる動画が配信されています。

先述の参考書の著者が動画を配信しているのもある程なので、是非参考にすると良いでしょう。

電車内などの移動時間やすきま時間に視聴するのをおすすめします。

またTwitter等のSNS上でも、プロジェクトマネージャーについての情報交換などが行われています。そのためSNSを活用するのも良いでしょう。

SNSは多くの情報があり、活用することでより最新情報を入手することができます。積極的に使うことで良い刺激になるのではないでしょうか。

また、情報交換の場としても役立つのがSNSの特徴です。

もしかしたら、自分と同じ試験に挑むユーザーもいるかもしれません。

自分の弱点を克服するためにも、資格取得のために勉強する人同士でお互いに交流を深めたり相談し合ったりできます。

またやり取りの中でも文章力を意識することが大事です。

午後1・午後2対策もできる大きなチャンスでもあるので、SNS上での交流を深めるのはかなりおすすめできます。


終わりに

プロジェクトマネージャー試験について解説しました。

しっかりと勉強し、理解を深めるのはプロジェクトマネージャー試験の合格への近道です。

そして日頃から参考書を読んだり、SNSで交流するという何がない行為が合格の道標になるでしょう

合格した後は取得した資格を活かし、エンジニアとして活躍できるのは間違いありません。

AIでは代替できない仕事と見込まれるプロジェクトマネジメントの資格は、是非今の内にとっておきたい資格といえます。