プログラマーとして働くうえで資格を取得するかどうかは悩みどころです。

資格を取得するのであれば勉強のために相応のコストや時間を投資する必要があります。

一方で資格は不要で大切なのは実務経験だ、という意見もよく見かけることでしょう。

今回はプログラマーに必要な資格やおすすめの資格や資格を取得する大切さも解説します。


プログラマーに資格が必要といわれる理由

プログラマーとして働くうえで資格が必要なのかと問われると答えは「ノー」です。

プログラマーの資格とは能力を示すものです。

資格がなくてもプログラマーとして働くことができるのに、なぜコストや時間をかけてまで資格を取得するのでしょうか。

当たり前ですが資格を取得することにはメリットがあるからです。

資格を取得するうえで大切な考え方が、資格を取得するメリットが投資するコストや時間を上回るかです。

では実際にどのようなメリットがあるのでしょうか。

  • 自らのスキルやレベルを客観的な数値で示すことができる。
  • 実務経験のなさをカバーできる。
  • 成長意欲が高いことを示すことができる。

大きくはこの3点といえるでしょう。

具体的にどうメリットとなるのか、一つずつみていきます。


スキルの客観的な数値化

スキルの客観的な数値化は就職や転職に関わらずフリーランスとして働くにも、そして自分のためにも重要なのです。

資格をみせることは、みせた相手に自分がどの程度のスキルや知識を持っているかを示すことになります。

自分のレベル感を相手に知ってもらうことは就業後の仕事の難易度とのギャップを埋めることにもつながります。

更に資格があれば自らのスキルや知識の現状のレベルも認識できます。


実務経験のなさをカバー

実務経験がない、または乏しい状態で仕事をもらうために資格は重要です。

企業としても人柄やコミュニケーション能力だけで採用する、または業務を委託するにはリスクがあります。

そこで資格があれば、どの程度のスキルや知識があるのかを相手に知ってもらうことができます。

上級な試験では実務試験も含まれるため、プログラマーとして働いた経験がないからと転職や単価の高い仕事を諦める必要がないのです。


成長意欲をアピールできる

資格をもつメリットとして軽視されがちなのが成長意欲のアピールです。

ただ成長意欲のアピールというと新入社員の謳い文句のように思われるかもしれません。

しかし技術の進化の早い分野だからこそ成長意欲が高いことはどの年代でもプラスの印象を与えます。

資格を取得することで学ぶ姿勢をアピールする、これも資格を取得する大きなメリットの一つです。


プログラマーの資格にはどのようなものがあるのか

資格を取得することにメリットがあるとわかったうえで資格にはどのようなものがあるのか。

試験対策や取得した資格をどうアピールするかをイメージするためにも、おおまかに把握しておきましょう。


国家資格と民間資格

プログラマーの資格はほとんどが民間の資格となっていますが、なかには国家資格もあります。

そしてプログラマーとして持っておいて損のない国家資格にIPA基本情報処理技術者試験があります。

情報技術の総合的な知識や体系的な知識が保証される資格であるため、エンジニアには取っておいて損のない資格となっています。


筆記試験と実技試験

必要な資格を取得する際その試験が筆記試験だけなのか、それとも実技試験もあるのか知っておくのは重要です。

それによって対策の度合いも変わっていき更には今の自分が受けられるレベルなのかどうか、そういったこともわかります。

基本的にどの試験も初級はマークシートや選択式の試験が多いです。

そして上級の試験になってくると実技試験が入り数年の実務経験や高度な専門知識が必要になってきます。


SIer系に必要な資格

具体的にどの言語のどの資格を取得すればよいのか。

今回はわかりやすくSIer系のおすすめの資格、web系のおすすめの資格、それにエンジニアに共通のおすすめの資格と分けました。

まずはSIer系のおすすめの資格からみていきましょう。


ORACLE MASTER

ORACLE MASTERはデータベース系の資格がほしい人が真っ先に取るべき資格といえます。

この資格を取得できれば日本国内の使用率が半数にまで達するデータベースを扱える証明になるのです。

試験は初級の「Bronze」、中級の「Silver」、上級の「Gold」、そして最上級の「Plutinum」があります。

初級から順番に受けていく必要があるので注意です。

Bronzeではデータベースの管理経験やSQLを使ったことがある人はもちろん、実務経験のない方でも合格はできます。

勉強時間については人によって勉強方法に違いがあるため一概には言えません。

しかしBronzeは実務経験がなくとも十分合格可能であるため難易度は低いといえるでしょう。

一方、Silverでは大規模なデータベースを扱えるかどうかを問われるため実務経験はほぼ必須です。

Silverの合格率は60~70%といわれていますが、受験者数が少なくなるため合格率が比較的高くなっています。

Goldは状況に応じて適切な対応をすることが求められるため充分な実務経験が必要です。

Plutinumは実技試験があり、これまでの試験よりも難易度は更に上がります

実務経験はもちろんですが、試験のための勉強も重要です。

参考書はもちろん問題集も繰り返し解くことが必要となるため、資格を取得するのであれば長期的に勉強のプランを立てる必要があります。

ORACLE MASTERの資格、データベースの基礎を学びたい方はまずは「Bronze」の取得を目指しましょう。


Oracle認定Javaプログラマ

特定の資格が必要であるわけではないが何か資格が欲しいという方が検討するべき資格の一つです。

Oracleの試験は受験料が高いことで知られていますがJAVAの開発元の公式ベンダー資格でもあります。

そのためJAVAの資格の中で最もポピュラーで知名度の高いものです。

試験は初級の「Bronze」、中級の「Silver」、上級の「Gold」です。

Bronzeは初心者向けとなっており、JAVAの基本文法や基本的な考え方が問われるため難易度は低いです。

JAVAの知識や実務経験がない方でも、一から勉強して取ることのできる資格です。

Silverは上級者の指導のもとで適切な実装コードが書くレベルが求められます。

初級プログラマー向けではありますが、実務経験がないと合格は難しいでしょう。

Goldは設計から実装まで包括して行えるのかが問われるため、実務経験が最低でも3~4年は必要です。

他のJAVAの試験と比べると全体的に難易度は低いといわれていますが、公式ベンダー資格であるためぜひ取っておきたい資格です。


マイクロソフト認定試験

C#の資格について調べれば真っ先にこの資格が出てくるほど人気の資格です。

マイクロソフトが実施する試験であり、合格すれば全世界共通の資格をもつことになります。

試験は分野ごとに分かれているため、C#の言語の資格が欲しい方は「試験70-483 Programming in C#」を取得しましょう。

C#の公認資格でありC#の全般的な知識を問うものとなっています。

C#のスキルを示すうえでは最も適した資格です。

ただし1年以上のアプリ開発経験者が対象となっています。


Web系に必要な資格

次にWeb系のおすすめ資格の紹介をしていきます。


Ruby技術者認定試験

Rubyは多方面から必要とされている言語であるため、仕事の幅を増やすことにつながります。

Ruby技術者認定試験は、初級の「Silver」と上級の「Gold」があります。

Silverは基本的な技術内容を問う試験であり、対象者はシステム開発者から言語を学ぶ学生と幅広いです。

そのためSilverの難易度は高くありません。

Goldに関してはRubyに関しての深い知識が問われるため実務経験がないと厳しいでしょう。

ただし中級から上級者向けの試験であるため、Rubyを使っているのであれば参考書や過去問をしっかり勉強すれば充分です。


PHP技術者認定試験

PHPもRuby同様需要が高いため、仕事の幅を増やせる言語といえるでしょう。

PHP技術者認定試験は初級と上級に分かれています。

初級はPHPを学習している学生や1~2年目のエンジニアに向けたものであり難易度は低いです。

上級は言語使用はもちろん、実用的なプログラミングのテクニックが問われます。

そのため合格するには知識だけでなく3年前後の実務経験も必要となってきます。


職業を問わず有効な資格

職業を問わず有効な資格が基本情報技術者試験です。

この試験はITパスポートとともにIPA基本情報処理技術者試験の一つでもあります。

この資格のメリットは認知度が高いだけではありません。

情報セキュリティやネットワーク、それにデータベースなど総合的な知識が問われるため自らの仕事以外でも幅広いITの知識を習得できるのです。

エンジニアとしての経験がある人なら1ヵ月程度の勉強で合格できるといわれています。

しかし一からのスタートの人は、3ヵ月から半年間ほど時間がかかります。


おすすめの資格の中から独学可能なものは

SIer系、Web系、職業を問わずおすすめの資格を紹介していきました。

おすすめの中からコストを抑え独学で学べるものをピックアップしました。

資格は必要だけど、現状コストをかける余裕がない方は以下を参考にしてください。

  • ORACLE MASTER Bronze(SIer系)
  • Oracle認定Javaプログラマ Bronze(SIer系)
  • Ruby技術者認定試験 Silver(Web系)
  • PHP技術者認定試験 初級(Web系)
  • 基本情報技術者試験

以上の5つは書籍を読み込んだり過去問を繰り返すことで独学での取得が可能です。


資格を取得するためにやるべき勉強方法

本を使って勉強をする

独学でプログラミングを勉強する最初の一歩として本を使っての勉強があげられます。

本を使うメリットは自分のペースで勉強できることはもちろん、試験を開催する団体が発刊する対策本があることです。

資格を取得するのに特化した勉強ができるでしょう。

本で知識を吸収することは大切ですが、実践しないと知識も定着しないので実践と合わせての勉強となります。

また過去問を解くことも、知識の吸収と同じくらい重要な資格を取得する勉強となります。


オフラインスクールを利用する

オンラインスクールのメリットはなんといっても時間と場所を選ばず専門的な勉強ができるところです。

そのため時間があまりない方でも隙間時間を有効活用してプログラミングや資格の勉強ができます。

また無料で受けられる授業もあるため授業内容を下見することや自分の学び方に合ったものか、支払う前に確認できます。

ただしプログラミングスクールと違い一人での学習となるため、モチベーションの維持が難しいという点もあります。


プログラミングスクールに通う

現在プログラミングスクールでは学ぶだけでなく、その後の就職や転職支援などのサービスもあります。

またわからない部分は、適宜対面やチャットで尋ねられるため挫折しづらいというメリットも。

そして一緒に学ぶ仲間もいるためモチベーションの維持にもつながります。

デメリットはコストがかかること、それに時間を確保する必要があることです。


資格手当は実際にどれくらいもらえるのか

資格を取得するモチベーションになるのが資格手当や報奨金

資格手当の場合は取得から数年間給与に上乗せされますが報奨金の場合は一度きりとなっています。

資格手当の額は企業によります。

一方、共通していることは中級または上級レベルの資格を取得しないと手当や報奨金が受け取れない点です。

資格手当や報奨金はモチベーションにもつながり報酬をあげる重要な要素になります。

そのため自らが働く会社が資格手当や報奨金にどれくらいの額を出しているか、事前に確認しておくとよいでしょう。


資格を取得する意味をもう一度考える

繰り返しになりますが資格を取得するにはコストも時間も必要です。

そのため闇雲に資格を取得してもコストや時間の無駄になり、最悪取得した資格に意味がないことにもなります。

なぜ自分がその資格を取得するのか、何のために資格を取ろうとしているのか、現状必要なのか、現状取得する余裕があるのか。

まずは目的をはっきりさせてから取得したい資格を考えましょう。


資格以外にプログラマーに必要な能力とは

プロフェッショナルを目指すためには資格やスキルだけでは不十分です。

プログラマーとして働くうえで重要な要素が「コミュニケーション能力」「問題解決能力」です。

チームでの作業はもちろん、クライアントとの密なコミュニケーションも欠かせません。

当たり前ではありますが「コミュニケーション能力」が欠けていてはプロとはいえないでしょう。

それに「問題解決能力」も、プログラマーとして必須の能力です。

技術が進歩すれば新たな問題も生まれるので常に新しい知識や技術をアップグレードしていく必要があります。

プログラマーにとって資格は重要ですが、それだけではないことも理解しながら、適宜自らに必要な資格を取得していきましょう。