はじめに

WebアプリケーションやAPIの開発に欠かせないスクリプト言語として人気のPHP

基本部分の学習がある程度済んで、これからWeb開発に本腰を入れたいというエンジニアの方にはPHPフレームワークの使用がおすすめです。

ここでは、数ある中から初心者におすすめのPHPフレームワークとその学習方法についてまとめました。


PHPフレームワークを使うメリット

PHPフレームワークを使うと、どのようなメリットがあるのでしょうか。

全くフレームワークを使用しなくても同じ挙動のWebアプリやAPIは作成できますが、主に効率面で多大な差が生まれます。

これらはPHPに限らず、他のRubyやPythonといったスクリプト言語用のフレームワークについても同じことがいえます。


開発スピードが速くなる

PHPフレームワークでは、よく使う汎用的な機能を呼び出しやすい形でまとめて骨組みとして提供しています。

開発者は、自分の開発したいWebアプリやAPIに特有の部分だけをその上に乗せていく形でコーディングしていけば良いのです。

そのため、コーディング量は圧倒的に少なくなり、開発のスピードアップが可能となります。

ただし、フレームワークごとに覚えなければならない独自ルールが存在するため、この学習コストがかかる点には要注意です。


コードの作法をチーム内で揃えられる

複数名で開発する場合、ピュアPHPだけで全ての機能を実装すると、分担ごとに様々なコーディング方針が入り乱れることがあります。

例えば一つのファイルに全ての機能をベタ書きしてしまう人、汎用性の高いコードはモジュール化する人、といった具合です。

こうなると、別の人が引き継いだ時に可読性が悪いばかりでなく、メンテナンス性にも悪影響があります。

フレームワークを使用すれば一定の規則に従いコーディングすることになるため、読みやすく整った方式に統一できるのです。


バグが少なく堅牢である

フレームワークは、アプリケーションとして動作する際に起こりうる何通りもの使用方法を想定して組み立てられたものです。

また、PHPフレームワークが世に出始めてからの約10年間に渡り、何千何万というWebサイトやAPIで導入された実績があります。

そして、もし重大なバグやセキュリティホールがあれば、その都度報告されアップデートにより対応されるのです。

このことにより、フレームを使って実装したコードはピュアPHPで書いたコードよりもバグの心配が少なく堅牢といえます。


おすすめPHPフレームワーク①Laravel

現在リリースされているPHPフレームワークは数十種類にのぼりますが、その中でも特に初心者におすすめのフレームワークを紹介していきます。

最初におすすめするのはLaravelです。アップデートが頻繁に行われることで利便性が確保されるため、非常に人気があります。

Laravel公式ページ


Laravelの特徴

Webアプリケーションの開発にはなくてはならない存在のLaravel。

他のPHPフレームワークでもアプリケーション開発はできますが、Laravelは開発のハードルを下げています。

開発が簡単であればメンテナンスや変更もしやすくなります。これがLaravelの大きなメリットです。

MVC(データ処理・インターフェイス表示・制御)モデルによる設計がベースになっています。

開発スピードを上げるためにArtisanというコマンドラインインターフェイスが使われています。


Laravelのおすすめポイント

Laravelは、インターネット検索数やGitHubでのスター獲得数において他のフレームワークを大幅に抜いて1位となっています。

この要因は開発のしやすさだけではありません。

開発・メンテナンスがしやすければユーザーが増えるため、情報交換が活発に行われます。

解説書も多く発刊されるため、欲しい情報がすぐに手に入り、学習・開発スピードは更に加速します。

こうした背景から人気が高まっているのです。

フレームワークによっては海外ユーザーが多いものもありますが、Laravelは国内ユーザーが多くいます。

そのため日本語の情報が豊富に得られるのも人気の理由でしょう。


おすすめPHPフレームワーク②CakePHP

CakePHPは、PHPに触れる開発者なら誰もが同じように高速開発できるように考えられたフレームワークです。

CakePHP公式ページ


CakePHPの特徴

Laravelと同じく、MVCをベースにしています。

また一般的なPHPフレームワークとは異なり、CakePHP単体で開発が可能です。外部のライブラリーを参照する必要はありません。

この手軽さが人気の理由でしょう。


CakePHPのおすすめポイント

PHPフレームワークの中でも歴史が長いため、ドキュメント類が充実しており学習しやすいのがおすすめの理由です。

独学でPHPを学びたい方にとっては大きなメリットといえるでしょう。

また、独立フレームワークであり環境構築が簡単なのですぐに開発が始められます。

PHPコミュニティの運営団体が定めるPSR(PHP Standards Recommendations)に準拠しているのもメリットの一つです。

これはより洗練されたコードを書くための規約集で、これに沿ったCakePHPを使用することで自然とより良いコーディング習慣が身に付きます。


おすすめPHPフレームワーク③FuelPHP

FuelPHPは比較的新しいフレームワークです。

新しさゆえの大きなメリットを存分に生かしています。

FuelPHP公式ページ


FuelPHPの特徴

Webアプリ開発に必要な機能は全て揃っており、MVCを複数取り入れるHMVCをベースにしています。

一見複雑ではありますが、それでも動作が軽く高速というのがこのフレームワークの最大の特徴です。


FuelPHPのおすすめポイント

他のフルスタックフレームワークと比べると、機能がより絞り込まれたシンプルな構成になっています。

そのため、できることの種類は多くありつつも、覚える事が少ないので速く習得する事が可能です。

FuelPHPは歴代PHPフレームワークの良い部分を取り入れて開発者の利便性を確保しています。


おすすめPHPフレームワーク④Symfony

Symfonyは安定性や堅牢性により長い間信頼性を維持しているPHPフレームワークです。

サイトの大小にかかわらず使用されており、淘汰されることなく人気が継続しています。

Symfony公式ページ


Symfonyの特徴

複数のコンポーネントで構成されているうえ、そのコンポーネントを外部に移すこともできます。

Symfonyのコンポーネントは信頼性が高いため、こうした機能はSymfonyの人気を高める大きな要因といえるでしょう。


Symfonyのおすすめポイント

大規模サイトに採用されるほど高い信頼性を得ているSymfonyは、他のフレームワークから多くのコンポーネントを使用されています。

そのため、Symfonyさえ理解できていれば他の様々な案件で応用が効きやすいといえます。

様々なPHPを試してみたい方はSymfonyから始めてみてはいかがでしょうか。

しっかりとしたベースが出来上がれば、他のPHPの習得が比較的簡単になります。

公式ページに日本語ドキュメントが少ない点が不便ではありますが、日本人ユーザーは多数存在するので、その分書籍が充実しています。

インターネット上でのやり取りも盛んに行われているので、必要な情報を検索するのも容易でしょう。


効率よく学習するには

まずはWebアプリケーションを作成してみましょう。

実際に手を動かしてみることで、スキルと知識を同時に吸収することができます。

インターネット上や書籍にはサンプルが掲載されていることがあるので、それをうまく活用するとよいでしょう。

また、各フレームワークにはインターネット上にユーザーコミュニティフォーラム等、交流できる場が用意されています。

不明なことがあれば、そういった場を利用して他のユーザーに相談するのも良いでしょう。

もちろん書籍や解説サイトを利用して答えを探すのが第一ではありますが、答えにたどり着かないまま挫折してしまえば元も子もありません。


わかりやすい学習サイト

ここでおすすめした4つのPHPフレームワークは、いずれも公式ページでのチュートリアルがとても充実しています。

まずはこれらの公式ページチュートリアルを一読してざっくりとした全体感を掴みましょう。

さらに一歩進んだ使い方については、インターネット上に有志の方がまとめている記事が多数存在します。

参考になる分かりやすい学習サイトを厳選しましたので、公式チュートリアル後に一読することをおすすめします。


Laravel学習サイト

ブログ形式でLaravelの様々なトピックを連載しています。分からないことがあったらこのサイト内で検索すると良いでしょう。

ララ帳 – PHPフレームワークLARAVELの学習帳 –

Laravelの更新に合わせて内容も更新されているようです。

流れが早いIT技術を正確に習得する際は、最新の情報が得られているかどうかは重要です。

その点では上記サイトは非常に頼りになる存在だといえるでしょう。


CakePHP学習サイト

簡単なWebアプリケーションサンプルの作成と動作確認を通して全体の流れを学べるようになっています。

初心者のためのCakePHP3 プログラミング入門

所々情報が古い箇所もありますが、適宜公式ページを確認しながら読み替えれば問題ありません。

なお、Kindle本もリリースされています。


FuelPHP学習サイト

お問い合わせフォームや認証画面、簡易掲示板といった具体的なWebアプリケーションを例に使い方を説明しています。

FuelPHP学習帳

こちらも多少情報が古くはなっていますが、FuelPHP自体のリリース頻度がそこまで高くないため、大きな問題はないでしょう。


まとめ

初心者の方におすすめのPHPフレームワークとその学習方法についてご紹介しました。

どのフレームワークも情報が充実していて十分習得しやすいです。まずは気に入ったものを1つ選び極めてみましょう。

最新情報については各フレームワークの公式ページもご確認ください。