オラクルマスターの取得メリットを徹底解説!難易度の違いと出題範囲も紹介!おすすめの参考書や効果的な勉強方法にも迫る
ORACLE MASTERについて徹底解説!
SIer系エンジニアなら、「ORACLE MASTER(オラクルマスター)」という資格について聞いたことがあるでしょう。
PostgreSQやMongoDBのシェアが増加傾向にあります。
Oracleのデータベースはシェアを減らしてはいるものの、市場シェア48.8%とまだまだ業界1位の座をキープしているのです。
SIer系エンジニアとして働き続けるのであれば、Oracleのデータベースに携わる可能性は高いでしょう。
そうなると、Oracleのデータベースにかかわる資格を1つは取得しておきたいところです。
しかし、ORACLE MASTERはいくつかのランクに分かれており、各ランクの受験料も高いです。
取得によるメリットがわからないと手を出しづらいという人もいるのではないでしょうか。
そこで、今回はORACLE MASTERの取得のメリットを具体的に紹介します。
ORACLE MASTERのランク別の難易度や出題範囲、勉強方法なども見ていきましょう。
ORACLE MASTERを取得するメリットは?
オラクル社の認定資格であるORACLE MASTERですが、民間資格ではあるものの、取得すればSIer系エンジニアに大きなメリットをもたらします。
メリット①自分の知識やスキルを証明できる
知識やスキルがどれだけ高くても、それを証明するのはむずかしいものです。
口頭や文章で表しても、それは本人の主張でしかなく、本当にそれほどの知識やスキルがあるのかはわかりません。
実際にやって見せれば証明はできますが、例えばクライアントのところに営業に行ったとして、その場でシステムを構築してみせることはできないでしょう。
しかし、ORACLE MASTERを取得していれば、ORACLE MASTERを取得できるレベルのOracleのデータベースに関する知識やスキルがあることが客観的に証明できます。
フリーランスにとっては、とくに知識やスキルの証明は重要です。
クライアントは、求人・採用・プロジェクトなどに多くのコストをかけており、予算の上限や納期も決まっているので失敗はできません。
そうなると、当然「高い知識やスキルを持つ人に依頼したい」と考えます。
しかし、見た目では知識やスキルは判断できないので、仮に候補が2人いた場合、「資格を持っていて、確実に知識やスキルがあるとわかる人に頼もう」となるのです。
もちろん、資格だけですべてが決まるわけではありませんが、認知度が高いORACLE MASTERを取得していれば選ばれる確率が高まります。
メリット②データベースやSQLに関する理解を深められる
ORACLE MASTERの認定試験は、基礎的な内容を問われる試験から、プロフェッショナルな技術を求められる試験まで、いくつかの段階に分かれています。
そして、下位ランクの認定試験に合格しないと、上位ランクの認定試験は受験できない積上げ式の資格体系になっているのです。
つまり、どんな人でもOracleのデータベースやSQLの基礎から始めなくてはなりません。
すでにOracleのデータベースに携わっている人、DBAとしてのキャリアを積んでいる人などは、今さら基礎から始める必要性を感じられないでしょう。
しかし、知識が増えてからあらためて基礎に戻ると、過去に何となく流していた部分がより深く理解できるものです。
また、今の自分のレベルでは合格がむずかしいランクの認定試験に挑戦すれば、さらに知識やスキルが増え、SIer系エンジニアとして成長できます。
メリット③自信がつく・モチベーションが上がる
今までわからなかったことが理解できる、できなかったことができるようになるといった経験は自信につながります。
自信がつくと、さらに新しいことに挑戦したくなるなどモチベーションも上がるでしょう。
エンジニアに限った話ではありませんが、フリーランスの悩みとしてよく挙げられるのが、「モチベーションが維持できない」ということです。
自宅で作業するとプライベートとの区切りがつけにくく、作業効率が落ちやすくなります。
また、仕事がうまくいっても1人、悩みが出ても1人で感情を共有する人、反応してくれる人がいないため、モチベーションが下がりやすいのです。
このようなときに、ORACLE MASTERの認定試験にチャレンジするなど、新たなことを始めると気持ちが前向きになります。
また、仕事をこなしつつ認定試験の勉強時間を確保する必要があるので、スケジュール管理をさらに徹底するようになり、仕事の効率も上がるでしょう。
ORACLE MASTERのランクと難易度
ORACLE MASTERは、難易度別に4つのランクに分かれています。
- ORACLE MASTER Platinum:最も難易度の高い試験
- ORACLE MASTER Gold:最適なDB構築を行うことができるレベルが問われる試験
- ORACLE MASTER Silver:上位技術者の下で作業することができるレベルが問われる試験
- ORACLE MASTER Bronze:IT業界で働くうえで最低限知っておくべき知識が問われる難易度の低い試験
ORACLE MASTER Bronzeが1番下位ランクの入門編、そしてSilver、Goldと難易度が上がっていきます。
そして、ORACLE MASTER Platinumが最高難易度の専門家レベルの資格となっているのです。
2002年までORACLE MASTERは日本国内のみで通用する資格でした。
しかし、2003年にOracle Certification Programとの連携が行われたことで、ORACLE MASTER Silver以上であれば国外でも通用する資格になりました。
ORACLE MASTERのランク別出題範囲
ORACLE MASTERは、Oracleのデータベースのバージョンによって対応する試験が異なります。現行の認定試験は以下の3つです。
- Oracle Database 12c
- Oracle Database 11g
- Oracle Database 10g
ここでは、最新の「Oracle Database 12c」の出題範囲を紹介します。
なお、過去にOracle Database 10gやOracle Database 11gを取得している人が、最新バージョンに合わせるためにOracle Database 12cを受験する必要はありません。
古いバージョンのオラクルマスターを取得した人が資格をアップデートできるように移行試験が用意されているので、そちらを受験しましょう。
ORACLE MASTER Bronzeの出題範囲
ORACLE MASTER Bronzeの認定試験では、SQLとDBAの基礎知識が問われます。
名称 出題範囲 出題数 合格ライン
Bronze SQL基礎 ・基本的なSQL Select文の作成
・単一行関数 40 問 70 %
など
12c SQL基礎 ・Oracle Database 12cの概要
・SQLのSELECT文の使用によるデータの取得 75 問 65 %
など
Bronze DBA12c ・Oracleデータベース管理の概要
・Oracleインスタンスの管理 73 問 70 %
など
入門編なので、すでにOracleのデータベースに携わっている人であれば、それほどむずかしい内容ではないでしょう。
しかし、SIer系エンジニアとして働いている人でも、実務でOracleのデータベースを扱うことがない人や初心者が、楽に合格できるほど簡単なものではありません。
事前にしっかりとOracleのデータベースやSQLについて学ぶ必要があります。
ORACLE MASTER Silverの出題範囲
ORACLE MASTER Silverの認定試験では、データベースの運用・管理・保守に関するより専門的な知識があるかを問われます。
名称 出題範囲 出題数 合格ライン
Oracle Database ・Oracle Databaseのアーキテクチャの確認
12c Administration ・Oracle Databaseインスタンス 67 問 64 %
・パフォーマンスの管理: SQLチューニングなど
Oracleのデータベース固有の機能を活用する知識も必要になってくるため、OracleのデータベースのDBA経験がある人は有利でしょう。
ORACLE MASTER Goldの出題範囲
ORACLE MASTER Goldの認定試験では、Oracleのデータベースの上級DBAとしての知識が問われます。
名称 出題範囲 出題数 合格ライン
Oracle Database ・バックアップとリカバリ
12c: Advanced ・リカバリ能力の構成 80 問 60%
Administration ・マルチテナント・コンテナ・データベース
とプラガブル・データベースの作成など
とくに、Oracleのデータベースのバックアップ・リカバリ・マルチテナントデータベースなどについての専門知識が必要です。
現在DBAとして働いている人でも経験が浅いと合格は難しいでしょう。
なお、ORACLE MASTER Goldでは、認定試験を受ける前にオラクル社が定める要履修コースを1クラス受講する必要があります。
要履修コースは複数あり、自分で自由にコースを選択することが可能です。
どれを選択してもいいですが、出題範囲で不安がある点を解消できそうなコースや、今後の業務に役立ちそうなコースを選ぶといいでしょう。
ORACLE MASTER Platinumの出題範囲
ORACLE MASTER Platinumの認定試験では、Oracleのデータベースの専門家になれるレベルの知識やスキルが問われます。
名称 出題範囲 出題数 合格ライン
ORACLE MASTER ・一般的なデータベースとネットワークの管理
Platinum Oracle ・データ・ウェアハウスの管理 – 全体で60%
Database 12c実技試験 ・Grid Infrastructure など
ORACLE MASTER Platinumは実技試験である点が、これまでのランクの認定試験とは大きく異なります。
Oracleのデータベースのバックアップやリカバリ、ネットワークの構成などの知識があるだけでなく、実際に使用できるスキルが求められます。
そのため、かなり難易度の高い試験になるでしょう。
なおORACLE MASTER Platinumは、認定試験を受ける前にオラクル社が定める要履修コースを2クラス受講する必要があります。
やはり要履修コースは複数あり、自分で自由にコースを選択できますが、1つは「Oracle Database 12c: ORACLE MASTER 12c Platinum 特訓」にするのがおすすめです。
「Platinum 特訓」というだけあって、ORACLE MASTER Platinum Oracle Database 12c実技試験と同等の環境で、認定試験の重要点をマシン演習します。
そのため、ORACLE MASTER Platinum合格に大きく役立つのです。
ORACLE MASTERを取得するための効果的な勉強方法
ORACLE MASTERは全体的に難易度が高いです。
「普段からOracleのデータベースやSQLを扱っているから大丈夫だろう」と安易に受験すると、ORACLE MASTER Bronzeでも落ちる可能性があります。
ORACLE MASTER Bronzeの受験料は、SQL試験とDBA試験を合計して4万円以上かかります。
落ちたら再受験しようと気軽に考えることができる金額ではないでしょう。
受験料を無駄にしないためにも、しっかり勉強した上で挑むことが大切です。
人それぞれ自分に合う勉強方法は異なると思いますが、ORACLE MASTERを取得するための効果的な勉強方法を参考として紹介します。
まずはOracleをさわってみることが重要
ORACLE MASTERを取得したいのであれば、何はともあれORACLE のデータベースをさわってみましょう。
参考書などにはていねいな解説と図が載っていますが、文字と図だけでは理解しにくかったり、操作方法がイメージできなかったりします。
参考書を読んで実機で動作検証すると理解が深まりますし、苦労して出した結果は記憶に残りやすいので、勉強用の環境を構築しておきましょう。
Oracle Technology Networkで、無料の評価版Oracle Databaseがダウンロードできます。
「ORACLE MASTER合格プロジェクト」の計画を立てる
ORACLE MASTERの認定試験は毎年複数回開催されており、他の資格の認定試験に比べて受験しやすいのが特徴です。
しかし、いつでも受けられると思うと準備や勉強が進まなくなりやすいため、受験を1つのプロジェクトとみなして、しっかりと計画を立てましょう。
計画の立て方は自由ですが、以下の流れで進めるとスムーズです。
1. 資格取得の目的を明確にする
2. 期限(受験日)を決める
3. スケジュールを決める
まず、なぜORACLE MASTERを取得したいのかを考えます。目的が明確であるほどモチベーションが上がりやすいからです。
「フリーランスになって収入を○万円上げるのに役立てたい」など、できるだけ具体的に書き出しましょう。
次に、期限を設定します。
仕事があるからと先延ばしするとだらけやすくなるので「ちょっと大変だけど頑張ればいける」という程度の日にちに設定するのがおすすめです。
目的と期限が決まったら、スケジュールを決めましょう。1日何時間勉強に充てるのか、何日までにどの範囲まで終わらせるのかを考えます。
あまりにタイトなスケジュールにすると途中で挫折しやすくなるほか、急な仕事が入ったときなどに対応できなくなるので、ある程度余裕を残しておきましょう。
インプットとアウトプットを繰り返す
スケジュールが決まったら、あとはスケジュール通りに勉強を進めます。
1. 参考書を読む
2. 1章読み終わったら問題集を解く、実機で動作検証する
3. ミスがあった箇所を参考書で復習する
このように、インプットとアウトプットを繰り返して、苦手な箇所を減らしていくと効率的に勉強が進むでしょう。
ORACLE MASTER取得のための勉強時間の目安は?
ORACLE MASTERの各ランクの勉強時間の目安は、以下の通りです。
- ORACLE MASTER Platinum:360時間程度
- ORACLE MASTER Gold:40時間程度
- ORACLE MASTER Silver:40時間程度
- ORACLE MASTER Bronze:15~40時間程度
ただし、ORACLE MASTERを取得するためにどれくらい勉強が必要かは、現時点での知識やスキル、経験や理解力などで大きく異なります。
上記はあくまでもスケジュールを立てる際の目安程度に見ておいてください。
ORACLE MASTER の勉強におすすめの参考書
ORACLE MASTER について勉強するための教材はいくつかありますが、代表的な教材は参考書です。
どの参考書がいいのか、おすすめのものを紹介します。
オラクルマスタースタディガイド
「オラクルマスタースタディガイド」は白本と呼ばれる、ORACLE MASTERの代表的な参考書です。
BronzeからGoldまで各ランクの参考書があるので、受験するランク対応の参考書を購入しましょう。
オラクルマスタースタディガイドは各章に章末問題が設けられているため、毎回その章の内容を理解できたかをチェックできます。
また、巻末に認定試験の内容に近い模擬試験が付いているので、この模擬試験で高得点が取れるまでインプットとアウトプットを繰り返せば、認定試験合格の確率が高まるでしょう。
オラクルマスター教科書
「オラクルマスター教科書」もORACLE MASTERの代表的な参考書で、黒本とよばれています。
オラクルマスタースタディガイドと同じくBronzeからGoldまで各ランクの参考書が揃っているので、非常におすすめです。
別途参考書に対応した問題集もあるので、両方揃えておくといいでしょう。
無駄な解説が省かれていてシンプルなので、初心者や経験が浅い人に向いています。
1週間でORACLE MASTERの基礎が学べる本
多くの参考書は、ある程度データベースやSQLの知識があることを前提に解説されている箇所があります。
そのため、OracleのデータベースやSQLの勉強を始めたばかりという人は、参考書の解説が理解できない可能性もあるのです。
しかし「1週間でORACLE MASTERの基礎が学べる本」は、初心者でも理解しやすい基礎の基礎を解説してくれています。
そもそもデータベースとは何なのか、ORACLE MASTERの勉強を始める前にどのような準備が必要かといったことまで、やさしく解説してくれているのです。
まずこの本を読んで、その後認定試験対策の参考書に移ればスムーズに勉強が進められるでしょう。
ORACLE MASTERのオンライン講座も便利
ORACLE MASTER取得のためのオンライン講座もあります。
参考書だけでは不安がある、もっと知識を深めたいなどという人は、オンライン講座の利用もおすすめです。
スクールに通う方法もありますが、受講の時間が決まっているので仕事をしながらでは参加しにくいでしょう。
オンライン講座であれば好きな時間に受講できるほか、費用も安く済むケースが多いので、どちらがいいか考えてみましょう。
独学に限界を感じたら勉強会への参加も検討
参考書を使って独学でORACLE MASTERの認定試験に挑戦しようとしている人もいるでしょう。
しかし、独学では何かでつまずいたときに相談する人がおらず、先に進めなくなることがあります。
そのようなときは勉強会に参加することも考えてみましょう。
講師やORACLE MASTERの認定試験を受ける人と話すことで、問題解決のきっかけがつかめる可能性があります。
ORACLE公式の研修やブログも活用しよう
オラクル社は、ORACLE MASTERの認定試験を受ける人向けに、試験の練習問題を確認できるブログや集合研修などを用意しています。
研修費用は高額ですが、公式の研修なので合格率は確実に高まるでしょう。
教室での研修だけでなく、ライブ配信やオンデマンドなども用意されているので、うまく活用しましょう。
まとめ
ORACLE MASTERの取得には、自分の知識やスキルに自信がつく、客観的に知識やスキルを証明できるといったメリットがあります。
フリーランスは知識やスキルが証明できると仕事が取りやすくなるため、取得のメリットは大きいでしょう。
また、ORACLE MASTERの取得にチャレンジすること自体が、モチベーションを上げることにつながるというメリットもあります。
ORACLE MASTERには4つのランクがあり、それぞれの受験料も高いですがそれだけの費用をかける価値は十分あるでしょう。