ソフトウェアなどを探している時、オープンソースという言葉を見かけたこともあるのではないでしょうか。

今回は、そのオープンソースについてわかりやすく解説します。

  • オープンソースとは何か
  • オープンソースのメリット・デメリットは?
  • オープンソースを使う時に気をつけなければならないことは?
  • オープンソースの使い方を知りたい
  • 有名なオープンソースを使ったソフトウェアは?
  • オープンソースはこれからどう発展していくのか

そんな疑問に対する答えが詰まっています。

オープンソースについての理解を深めたい人は、ご一読ください。


オープンソースの基礎知識

この項目では、オープンソースとは何かということ、ソースコードの簡単な概要を詳しくご紹介します。


名称

オープンソース(open source)とは、名前から察することができるとおり「公開しているプログラムソースコード」ということです。


ソースコードとは

ソースコードとは、プログラムの設計書(プログラミング言語で書かれた文章)です。

プログラムを実行する際、コンピュータは機械語を使って命令を出します。

しかし、この機械語は人間には理解しづらい言語です。

逆に人間の言葉もコンピュータは理解できません。

そこで、人間でもコンピュータでも理解できる言語で記述したものがソースコードです。

ソースコードで命令を記述すると、コンピュータはそれに書かれた文章を機械語に翻訳します。

これが「コンバイル」です。

コンパイルしてできたものがバイナリコードになります。


オープンソースとは

ソースコードのことを理解した上で、オープンソースとは何かについて改めて考えてみましょう。

要するに、オープンソースはソースコードが誰でも手に入れられる状態にあるということです。

なお、一般的なソフトウェアビジネスの場合はバイナリコードの実行のみを許可しています。

オープンソースではないプログラムのソースコードを入手することはできません。

一方オープンソースのソースコードは、無償で配布されていることがほとんどです。

更にオープンソースは誰でも改良や修正を加えたり、再配布したりすることができます。


オープンソースソフトウェアとそうでないソフトウェアの違い

通常のソフトウェアは、オープンソースソフトウェアと違って「利用料金」が必要となります。

また、ソースは非公開です。改良や修正といったことは開発者以外はできません。

そのため、自由にカスタマイズすることが不可能です。

逆にオープンソースは無償で配布できて、さらに配布された側が自由にカスタマイズできます。

そしてカスタマイズしたものをさらに再配布することもできるのです。

この配布物を「ディストリビューション」と呼びます。

有名なディストリビューションはLinuxから生まれたUbuntuでしょう。

またオープンソースになるには他にも条件があります。

オープンソースはソースコードを必ず公開し、かつ再配布を許可しなければなりません。


オープンソースソフトウェアとフリーウェア

どちらも無償で使用可能なため、同じものと勘違いされがちですが両者は似て非なるものです。

オープンソースはソースコードが公開されています。

一方フリーウェアはソースコードの公開がされておらず、カスタマイズも再配布も許可されていません。

そして、広告課金などによって無料で配布していることもあるため、オープンソースとは別物と考えてください。

なお、フリーウェアとよく似たものとしてフリーソフトウェアがあります。

フリーソフトウェアは権利関係がフリーです。カスタマイズも再配布も可能。

となるとフリーソフトウェアとオープンソースはかなり似ていますが、同じというわけではありません。

フリーソフトウェアは「自由」ということが強調され、権利的に企業が採用しにくい側面があります。

知的所有権などの保持が保証されないため、開発物の権利を放棄してしまう可能性があり敬遠されてしまうのです。

つまり、配布した先が「0から全て自分が作りました」と言えてしまいます。企業はこうしたことを避けたいのです。

しかしオープンソースはあくまでも「このソースコードを元にして作って良い」とし、権利を放棄していません

実際にUbuntuも、「Linuxから生まれた」ということを強調しています。

逆にフリーウェアはカスタマイズを許可しておらず、あくまで「無料で使える」だけのソフトウェアです。


種類

オープンソースソフトウェアには様々な種類があります。

OSやデータベース、アプリケーション。サーバーやCMSなど。

ここでは挙げきれないほど多岐に渡します。

なお、オープンソースには上記で紹介した「ソフトウェア」以外にも3次元プリンタや自動車、コンピュータ基板などの「ハードウェア」にも使われています。

この記事で解説するオープンソースは「ソフトウェア」に限定してご紹介することにします。


ライセンス

オープンソースを名乗るなら、ライセンスを獲得しておくことを推奨されています。

さらにオープンソースソフトウェアには様々なものがあり、それぞれ異なるライセンスを採用しています。

コピーレフト型」なら「GPL(GNU General Public License)」が有名です。

GPLは著作権の表示、複製や改変・頒布の自由が認められるライセンスです。

なお、このGPLのライセンスのソフトウェアを使用したプログラムを提供する時のライセンスもまた、GPLで提供しなければなりません

準コピーレフト型」なら「MPL(Mozilla Public License)」。

Mozillaソフトで使われるライセンスで、頒布・ソースコードの取得が自由に行えます。

GPLに近い決まりを持つライセンスです。

非コピーレフト型」のライセンスの中では「BSD License」が有名です。

BSD License」は再頒布する時に著作権を表示すれば良いだけで良いという、緩やかな決まりを持つライセンスです。

PHPなどがこのライセンスを採用しています。


ソース公開によるメリット

無償

Microsoft Officeなどのソフトウェアのデメリットとして第一に挙げられることが多いのが「ライセンス費用の高さ」です。

一方、オープンソースのソフトウェアならライセンス費用がかかりません。

そのため高額なライセンス利用料に溜め息を吐くこともなくなります。


カスタマイズができる

ソフトウェアを使っている中で「ここを変更したい」と思った時に自分でソースコードを改変できるというメリットがあります。


問題の修正が自分でできる

どんなソフトウェアでも(たとえ有償のものであったとしても)、バグなどの問題点が見つかることがあります。

そんな時オープンソースソフトウェアなら、自分でバグの修正などをおこなうことが可能です。

通常のソフトウェアの場合、開発元にバグを修正してくれるよう頼んだりしなければなりません

迅速に対応してくれる開発者なら良いですが、対応が遅くてうんざりしてしまう可能性も。

その点オープンソースなら、面倒なバグを自分のタイミングで修正できます。


原石がゴロゴロある

有名なWordPressOS・Linuxもオープンソースです。

両者の名前を聞いて驚く人もいるかもしれません。

有償ソフトウェアよりも高品質と評価されることも多い両者。

2つとも、オープンソースだからこそ発展したといえるでしょう。

世界中の素晴らしい技術者たちがバグ修正や改変に取り組み、アップデート時に内容が反映される。

そんなことができるのはオープンソースだからこそなのです。


使えなくなる可能性なし

開発元である企業などが倒産してしまったり、開発をやめてしまったり。

これはよくある話です。

こうなると通常の場合、ソフトウェアまで閉鎖されて使えなくなってしまうことがあります。

オープンソースならそんな心配は無用です。改良しながら使い続けることができます。


オープンソースを利用する際の注意点①問題点がずっと残ったままの可能性あり

ここまで、オープンソースのメリットを挙げてきましたが、利用する際に気をつけたい注意点もあります。

最初は「問題点がずっと残ったままの可能性がある」ということです。

有償ソフトウェアは開発元しかバグの修正ができません。

そのため、バグ修正は開発元の義務といって過言ではないでしょう。

一方、オープンソースの場合は開発元にバグ修正をおこなわなくてはならない義務がないという現状があります。

開発者によってはバグを放置したままにする可能性があるということを肝に銘じておいてください。

ただし、有名なオープンソースの場合は開発元が修正してくれることが多いです。


オープンソースを利用する際の注意点②マニュアルやサポート不足

有償ソフトウェアを購入すると、きめ細やかなマニュアルやサポートの恩恵を受けることができます。

ですが、オープンソースの場合は最低限のマニュアル・サポートしかおこなっていないことがほとんどです。

使用者は自分でソースコードを読み解き、使いこなすことになるでしょう。

うまく使いこなすのは、経験がないとなかなか大変です。

利用している人が多いオープンソースなら、インターネットで使い方を解説してくれるサイトがある場合もあります。


オープンソースを利用する際の注意点③ライセンス

「オープンソースの基礎知識」でも説明しましたが、オープンソースソフトウェアにはライセンスが存在することがほとんどです。

どのライセンスを適用しているかは、オープンソースソフトウェアによって違います。

ライセンスによっては禁止されている使い方などもあるので注意が必要です。

場合によっては訴訟に発展する可能性もあります。

必ず確認しておきましょう。


オープンソースの使い方①コストを抑えたい時

オープンソースの使い方として、コストを抑えたい場面での利用するのがおすすめです。

オープンソースのソフトウェアは無料で使用することができます。

有償ソフトウェアの場合、数万円~数十万円などライセンス利用料を請求されます。

そのため、どうしてもコストを抑える必要がある時にはオープンソースのソフトウェアを使用するのがベストな選択肢といえます。

「安かろう悪かろう」というのはオープンソースには当てはまりません。

良質なオープンソースのソフトウェアはたくさんあります。

実際に使っているユーザーの声や評価などをチェックし、自分の使用目的に合うオープンソースのソフトウェアを探してみると良いでしょう。


オープンソースの使い方②手間をかけずに自社用ソフトウェアを作りたい時

自社用のソフトウェアを作りたいと考えた時、最初からソフトウェアを開発するとしたら時間もコストもかなり高くなってしまいます

そういう時に役立つのがオープンソースです。

オープンソースは既に完成しているソフトウェア

しかもソースコードが一般公開されているので、自社で使いやすいように改変することができます。

有償ソフトウェアでは実現できない自由なカスタマイズがオープンソースなら実現可能です。

何もないところからプログラム開発を始めるよりも、オープンソースを使った開発のほうが手間もコストもかかりません。


有名なオープンソースソフトウェア

オープンソースには知名度が高いものが多数あります。

この項目では、オープンソースの中でも特に有名なものをピックアップしてご紹介します。


WordPress

WordPress(WP)は全世界で一番使われているCMSです。

有名なオープンソースの中でも、1位2位を争う知名度を誇ります。


OpenOffice

有償ソフトウェアであるMicrosoft Officeと同じく、文書作成や表計算などができるOfficeソフトです。

Microsoft Officeとほとんど同じ機能が使えます。


Linux

OSの1つ。UNIXとの互換性を持っています。


Firefox

「え、これもオープンソースなの?」と驚く人もいるかもしれません。

Webブラウザとして多くの人に使用されているFirefoxも正真正銘、オープンソースです。


オープンソースの将来性

IBMがオープンソースであるLinuxに対し、2001年に10億ドルもの投資をおこなったことをご存じでしょうか。

そうすることでLinuxを使っている企業などを相手に新たな市場を広げようとしました。

世界中に名が知れている企業がそういった投資をおこなうくらい、オープンソースは世の中に染み渡っています。

近年、海外だけでなく日本でもオープンソースを導入する企業や個人などが増加傾向にあります。

オープンソースの未来は明るいといえるでしょう。


まとめ

以上、オープンソースについて解説しましたがいかがだったでしょうか。

ソースを公開しているという安心感は格別です。

しかも、自分でソースをいじることができるのも嬉しいところでしょう。

開発したいものに合わせてカスタマイズすることができるので、通常のソフトウェアに比べて使い勝手が良いです。

商用利用もできるオープンソースもたくさんあります。

ただ、自由度が高い半面セキュリティバグなどのデメリットがあることも覚えておかなければなりません。

マニュアルやサポートに関しても整っているとはいいがたいでしょう。

それでも、オープンソースはソフトウェア開発をおこなうにあたって魅力的なものであることには変わりありません。

バグや問題点に関しては、有名なオープンソースのソフトウェアなら他ユーザーや開発元が修正してくれます。

バグが見つかった場合に自分で対応できるか不安なら、比較的有名なオープンソースを使用するようにすれば良いでしょう。

ライセンスやバグなどの問題点に注意しつつ、ぜひオープンソースを利用してみてください。