統合開発環境(IDE)という存在

プログラミングなどをして情報システムやアプリケーションを開発するためには、様々なツールやソフトウェアを使用する必要があります。

実際にソースコードを記述するのに用いるエディタや、コンパイラ・デッバガーなど、多岐に渡ります。

それらの機能を全て備え、一つのソフトで完結させるのが統合開発環境(IDE)です。

「統合」というその名の通り、コーディングはもちろん、コンパイル、ビルド、デバッグ、プログラムの実行までを統合開発環境1つで実行可能。

統合開発環境はプログラミング言語などに応じて様々なものがリリースされており、豊富な選択肢が用意されています。

言語である程度絞ることはできても、その先は何を基準にしていいのか分からないという方も少なくないのではないでしょうか。


NetBeansというIDE

今回の記事では、数ある統合開発環境の中でもNetBeansというオープンソースのIDEに注目していきます。

主にJava向けの統合開発環境として有名なNetBeansは、Java以外にもCやC++などもサポートしているのはご存知でしょうか。

NetBeansの使い方をJava入門者に向けて紹介していきます。

ダウンロード・インストールから、NetBeansの基本的な操作まで、一気にチェックしましょう。

NetBeansの備えている便利な機能についても注目します。


NetBeansが対応している言語

NetBeansはJava用のIDEとして有名ですが、実は他にも数多くのプログラミング言語に対応しています。

  • JavaScript
  • PHP
  • C言語
  • C++
  • Ruby
  • Python
  • …etc

上記は一例で、対応している言語は他にもあります。

様々な言語を利用したシステム・アプリケーション開発を担えるIDEだといえるでしょう。


NetBeansの環境を構築する

それでは早速、NetBeansをパソコンにダウンロード・インストールする手順を解説していきます。

日本語版サイトも存在しているNetBeansですが、実は日本語版サイトにはver9以降が存在していないので注意が必要です。

今回は英語サイトを利用してみましょう。


NetBeansインストーラのダウンロード

それでは早速、NetBeansのインストーラをダウンロードします。

先ほど触れた通り、こちらの英語版NetBeans公式サイトからダウンロードしてください。

NetBeans英語版公式サイト

公式Webページを開くと、オレンジ色のダウンロードボタンが画面右側に表示されているので、クリックしてください。

ApacheのNetBeansダウンロードページページへジャンプします。

ここでバージョンを選択してダウンロード可能です。

基本的には最新版である「Latest version of the IDE」と書かれているバージョンをダウンロードすればいいでしょう。

最新版のダウンロードボタンを押すと、更に新しいページへジャンプ。

ここでは「Installers」と書かれている箇所から、ご利用のOSに応じたものを選択・ダウンロードしましょう。

これでダウンロード作業は完了です。


過去のバージョンをインストールしたい場合は「Older releases」から

もちろん、必要に応じて過去のバージョンをダウンロードしても問題はありません。

過去のバージョンが欲しい場合は「Older releases」にある「Find out more」をクリックしましょう。

過去にリリースされたNetBeansを選択できるページにジャンプ可能です。


実際にNetBeansをインストールする

インストーラのダウンロードができたら、実際にパソコンへインストールを行います。

特に難しい操作は必要ありません。

インストーラを立ち上げて、画面の指示に従い進めていきましょう。

これでインストールも完了です。

実際にNetBeansを利用できるようになりました。


NetBeansの基本的な使い方をチェック

ここからは、NetBeansについてより具体的にチェックしていきましょう。


プロジェクトの作成

NetBeansに限ったことではありませんが、Javaで何かアプリケーションやシステムを開発する際には「プロジェクト」を作成する必要があります。

NetBeansでプロジェクトを作成する際には「File」から「New Project」を選択してください。

新規プロジェクト作成ウィザードが表示されます。

数多くの選択肢が表示されていますが、一般的なJavaアプリケーションを開発する場合は「Java Application」を選択しましょう。

Webアプリケーションの場合「Web Application」を選択します。

また、Webページの開発の場合は「HTML5/JavaScript」をチェックしてください。

適宜選択したら「Next」で次の画面に進みます。

続いてはプロジェクト名やプロジェクトの保存場所などプロジェクトの詳細情報を記入します。

記入が完了したら「Finish」をクリックし、プロジェクト作成完了です。


Javaクラスを作成する

プロジェクトを作成できたら、実際にソースコードを記述する「Java Class」を作成します。

パッケージ名が表示されている部分を右クリックして「New」内にある「Java Class…」を選択してください。

先ほどのプロジェクト情報を記入する画面と同じようなダイアログが表示されます。

「Class Name(クラス名)」を記入し、Finishをクリックすれば、Javaクラスファイル(ソースファイル)の作成が完了です。

これで、実際にコーディングを行えるようになりました。


試しに「Hello, World!」してみる

Javaクラスが作成できたら、早速Javaプログラムを記述してみましょう。

先ほど作成したJavaクラスファイルの中に、こちらの記述部分があるはずです。

  1. public class Main{

  2. }

上記コード中にある「{}の間」に、以下のコードを記述してください。

  1. public static void main(String[] args){
  2.     System.out.println(“Hello, World!”);
  3. }

先ほどのコードと組み合わせると、以下のようになります。

  1. public class Main{
  2.     public static void main(String[] args){
  3.         System.out.println(“Hello, World!”);
  4.     }
  5. }

このコードを実行してみましょう。

出力ウィンドウに「Hello, World!」と出力されたら大成功です。

先ほど記述したソースコードの「Hello, World!」の部分を好きなテキストに変更することもできます。


NetBeansの持つ特徴や機能

続いては、NetBeansの持っている特徴や、備えている機能に注目していきましょう。


GUIビルダー

NetBeansにはGUIビルダーが搭載されています。

この機能を利用すれば、視覚的にアプリケーションのUI設計を行うことが可能です。

コードだけで書いてUIを設計・組み立てるのは敷居が高いと感じられている方でも安心してUI設計にチャレンジできるでしょう。

フリー・デザイン方式をサポートしており、任意の位置に配置してフォームをビルド可能です。

自動的にコードを生成してくれます。

もちろん、自分で自動生成されたコードに手を加えて修正したり、改良することもできるでしょう。

非常に気軽に、手軽に、そして楽しみながらUIをデザインすることが実現しています。


Javaで実装されている

NetBeansはJavaで実装されている統合開発環境です。

これが何を意味するかというと、Javaで実装されているということは「Java VM上で動く」ということになります。

つまり、OSを問わず「Java VMが稼働するOSであればNetBeansを使える」ということです。

マルチなプラットフォームに対応しているというのは、大きなメリットの1つだといえるでしょう。


学習コストが低い

NetBeansは使いやすく、さほど時間をかけずとも操作方法や使い方に簡単に慣れることができるでしょう。

いくら優秀で多機能な統合開発環境が存在していようと、使いこなすまでに時間を要し、システムやアプリケーションの開発が進まなければ意味がありません。

そういった意味で、NetBeansはスムーズに開発に取り組める可能性が高いIDEと称すことができるかもしれません。


Java IDEとしてメジャーなEclipseとの比較

さて、Java用の統合開発環境といえばEclipseが非常に有名です。

こちらもNetBeans同様無料でオープンソースという特徴を持っていますが、どのような違いがあるでしょうか。


プラグイン

Eclipseはプラグインの数が非常に多いです。

コミュニティも活発であるため、常に新しいプラグインがリリースされています。

対して、NetBeansも優秀なプラグインやモジュールは存在していますが、Eclipseには敵わないでしょう。


学習コスト

先ほどNetBeansの学習コストの低さについて触れた通り、Eclipseは機能が多いため若干学習コストが高いです。

NetBeansのシンプルで洗練されているUIは、Eclipseと比較すると簡単に利用できるでしょう。

もちろん、Eclipseも基本的な機能であれば簡単に利用できます。

しかし、豊富に用意されているカスタマイズメニューなどを使いこなすためには、それなりに時間をかける必要が生じるでしょう。


Java IDEとしてメジャーなIntelliJ IDEAとの比較

続いてもJava用IDEとして有名な統合開発環境との違いに注目してみましょう。

JetBrains社の「IntelliJ IDEA」とNetBeansを比較してみます。


料金

NetBeansは無料で使用可能な統合開発環境です。

しかし、IntelliJ IDEAは有料のライセンス方式

個人向けプランでも、1年目のライセンスが「¥17,200」、もしくは月額「¥1,720」に設定されています。

年間ライセンスの場合は2年目「¥13,800」、3年目以降は「¥10,300」と徐々に料金が下がっていくものの、初心者の方が気軽に払える金額ではありません。

そのため、Java初心者の方や「これから挑戦してみたい」と考えている方にとってIntelliJ IDEAはハードルの高い統合開発環境だといえます。


コーディングの快適さ

IntlliJ IDEAは、コーディングにおける快適さがNetBeans、Eclipseと比較して群を抜いています。

範囲選択をしていなくても行単位のコピー・カットが行えたり、クリップボードの履歴、強力な補完機能や、カーソルの自動移動などを搭載。

ソースコードを記述している際に「あったら嬉しい機能」、「快適な機能」が備えられているため、気持ち良く快適にコーディングが行えるでしょう。

また、IntelliJ IDEAはJetBrains社がリリースしている他のIDEとUIなどの共通点が非常に多いです。

そのため、他のJetBrains社製IDEに触れたことがあるという方にとっては、同じような感覚で使いこなすことができるでしょう。


NetBeansは初心者でも使いやすいIDE

今回の記事ではIDEの中でも「NetBeans」に注目してきました。

NetBeansはシンプルで非常に使いやすい統合開発環境です。

学習コストも低いため、Javaやプログラミング初心者の方でも安心して取り組むことができるでしょう。


「手に馴染む」統合開発環境を使って開発を行う

NetBeansが使いやすいとはいえ、IDEにも人によって当然向き・不向きがあります。

NetBeansを少し触ってみて「合わないな」と感じたら、無理して使い続ける必要はありません。

EclipseやIntelliJ IDEAなど他にもJava用の優れたIDEは数多く存在しています。

自分の手に馴染む「楽しくプログラミングができる」IDEを見つけてください。

もちろんコーディングはIDEでなくエディタで行うという選択肢もあります。

楽しんだり、やり甲斐を見つけられなければ、せっかくプログラミングに挑戦しても長続きしないでしょう。

ぜひ、NetBeansだけでなく様々なIDEやエディタを試してみてください。