ITサービスマネージャの試験対策を徹底解説!試験の難易度や合格率は?スピード重視の午後1対策と論文ネタ・書き方もチェック
ITサービスマネージャ試験というIT系国家資格
IT系には、IPA(日本情報処理推進機構)が実施しているITパスポートや基本情報技術者試験といったメジャーなものをはじめとし、国家資格試験が幾つも実施されています。
最高レベルとされる4は分野ごとに細分化された試験となり、それぞれで各分野に特化した内容が問われることで知られています。
今回注目するのはそのレベル4に位置している「ITサービスマネージャ試験」です。
試験の難易度や合格率といった気になる部分をはじめとし、午後Iや午後II試験の記述・論文問題についてもチェック。
ITサービスマネージャの試験対策方法を解説していきます。
運用保守を担当するエンジニアに向いている資格試験
IT系国家資格のレベル4に設定されている試験は、どれも特定分野に特化しているということは既にお伝えしました。
ITサービスマネージャも同様で、こちらの試験は「運用・保守」などサービス運用者向けの試験になっています。
システムの導入や維持など、まさに「サービスマネージャ」と呼ばれる業種に関する問題が出題される試験です。
運用保守と関連性の高い情報セキュリティに関わる知識や、障害対応・ITサービス改善方法など、様々な知識が問われます。
IT系国家資格の中でITサービスマネージャの難易度はどの程度のレベル?
IT系国家資格は同じレベル4でも、更に難易度に差があることがよく知られています。
ITストラテジスト試験やプロジェクトマネージャ試験はレベル4国家資格の中でも最難関の一角といわれており、その難しさは折り紙付きです。
ITサービスマネージャ試験の難易度は比較的低い
そうなってくると気になるのが「ITサービスマネージャ試験」の難易度です。
実は、レベル4の中でもそこまで難しい試験ではないといわれています。
そのため、ITストラテジスト試験などと比較すれば難易度は低いといえるでしょう。
十分に難しい試験といえる
とはいえ、あくまで最難関の試験と比較して低いだけであって、レベル4の高度情報処理技術者にカテゴライズされているという事実に変わりはありません。
他のレベル4、つまり高度情報処理技術者試験と同様、午前・午後でそれぞれI・II試験が実施され、計4部の試験を1日でこなすことになります。
1日を通して精神的・体力的どちらにも負担のかかる試験だということです。
適当に勉強すれば合格できる簡単な国家試験ではないことはしっかりと意識して勉強に取り組みましょう。
ITサービスマネージャの合格率をチェック
先ほど比較的難易度が低いとはお伝えしましたが、ここでITサービスマネージャの合格率をチェックしてみましょう。
ITサービスマネージャの合格率は、例年「13%〜14%」程度の割合に収まっています。
例年およそ4,000人弱が受験し、合格するのは大体500人程度です。
比較的難易度が低いとはいえ、合格率という観点で見れば決して簡単な試験ではないということが分かります。
やはり、ITサービスマネージャ試験は並大抵の試験ではありません。
午後Iはスピードが大事?
それでは実際にITサービスマネージャ試験の試験対策方法に注目していきます。
まずは記述式となる午後試験の午後Iからチェックしていきましょう。
記述する時間を意識する
午前試験は四択問題ですが、午後I試験は記述で解答を進めていかなければなりません。
そのため、問題が解けたとしても「記述する時間」というものが発生します。
通常の四択問題などであればマークシートを塗り潰すだけなので答えを編み出してから解答に要する時間は2〜3秒。
しかし、実際に文字や文章を筆記しなければならない記述では明確な個人差が生じてきます。
普段の問題演習からスピードを意識する
そのため、過去問などを実際に通して解いてみて「早く、丁寧に」解答するテクニックを養うことも必要です。
問題を解ききれずに試験時間が終了してしまうといった事態に陥らないよう、早く解く力を付けておきましょう。
問題に登場する数値は早く、丁寧に
また、ITサービスマネージャ試験の特徴として「数値」を扱う問題が出題されます。
実際に問題中に登場している数値を利用して解答したり、計算を行わなければなりません。
そういった数値が関わってくる問題をいかに早く、正確に解くかというのも午後I試験における重要な要素の1つといえます。
ミスを恐れて慎重になり過ぎれば時間を浪費してしまい、かといってあまり雑でも誤答を招きます。
早く正確に解けるようにするためにも、実際に過去問などを利用して問題を解く試行回数を増やしておきましょう。
ITサービスマネージャの午後II試験では論文が出題される
さて、ITサービスマネージャ試験で誰もがハードルを高く感じるのが「午後II試験」でしょう。
午後II試験では合計で2,000〜3,400文字の論文を書かなければなりません。
400字詰め原稿用紙でいえば5枚〜8枚半という文量です。
そして、試験時間である2時間(120分)以内に完成させる必要もあります。
論文の内容・量・質・スピードが問われるのが午後II試験だといえるでしょう。
知識や経験のみならず、合格のためには一定の「国語力」も必要不可欠だということが分かります。
ITサービスマネージャ試験の論文問題では「インシデント管理」や「改善に関する内容」、「移行」などをテーマとした問題が出題されます。
「経験を論述」する必要も出てくるため、実際にサービスマネージャやエンジニアとして実務で経験していなければ解答すら難しい場合も生じ得るでしょう。
そのため、予め論文のネタや決まった書き方のようなフォーマットを自分の中で用意しておくことが重要になってきます。
論文で使えるネタを探す
さて、午後II試験で論文を書く上で必要となってくるのが「ネタ」になります。
ネタとはいえど、一体どのようなものを利用できるのでしょうか。
運用業務経験がある場合は実体験を役立てる
運用業務などを既に経験されている方であれば、実経験が役に立ちそのまま論述できるというパターンもあるかもしれません。
実経験をそのままネタとして利用できるため、やはり経験豊富なマネージャ・エンジニアの方は有利です。
経験のないエンジニアはネタ探しが必須
しかし経験のないエンジニアの方は、どうにかネタを利用して自分で論文を書き上げなければなりません。
そのためにまず使えるのが、午後I試験です。
午後I試験で出題された問題をネタとして利用し、うまく論文に落とし込んでしまうという方法があります。
他にも応用情報技術者試験で出題されている問題をネタとして利用することもできるでしょう。
また、参考書を活用するというのも1つの方法です。
ITサービスマネージャ試験の論文対策参考書をよく読み込み、勉強することで論文のネタ集めができるかもしれません。
インターネットで過去の受験経験者やサービスマネージャの経験をチェックしてみるという方法も取れます。
普段からいかにして情報やネタを集めようと行動しているかが午後II試験の論文において重要だといえるでしょう。
論文の書き方・コツを頭に入れておこう
午後II試験で出題される論文には「書き方」や「コツ」があります。
続いては論文を書く上で重要となってくる「書き方」や「コツ」に注目していきましょう。
重要だと判断したことと根拠を示す
まず大切なのが「重要だと判断したこと」とその「根拠」を示すこと。
論文そのものの質を上げることに繋がるでしょう。
何か課題に直面した際のことを記述する際には「どんな問題点があって、どう対応策を検討したか」まで論述しましょう。
エンジニア視点ではなく「マネージャ視点」で論述していく
また、ITサービスマネージャ試験という名前の通り「マネージャ視点」で論文を書くことも重要です。
エンジニア目線で書くと、つい自分で作業したような論文になりがち。
しかし、マネージャは自分では作業せず、指示を行ったり実際に対応策などを練る立場になります。
そのため、いかに「マネージャ」という立場に基づいた論文を書けるかどうかという部分も重要になってくるということです。
どうしても「エンジニア目線」になりがちですから、よく注意してマネージャという立場を意識しながら論文を書きましょう。
論文対策を行う際にこの点を注意しながら取り組むことで「マネージャ目線で論述するクセ」を付けられるかもしれません。
午前試験を侮らない
ITサービスマネージャ試験に限らず、高度情報処理技術者試験はどれも「午後試験」の勉強に比重を置きがち。
午後Iで出題される記述方式の問題と、午後IIの論文問題がやはり受験者にとっての大きな壁となるため、どうしても午後試験ばかりを勉強してしまいがちです。
しかし、四択の選択問題だからといって午前試験を侮ることはできません。
午前・午後全てをクリアしなければならない
仮に午後試験(午後I・午後II)が完璧だったとしても、午前試験の午前I・午前IIどちらかを落としただけでITサービスマネージャ試験は「不合格」という結果になってしまいます。
そのため、ある程度の午前試験対策は重要になってきます。
とはいえ午前試験対策はシンプルな方法で問題ありません。
それは「過去問をとにかく解く」という至って単純な方法です。
過去問をひたすらに解くことの重要性
というのも、IT系国家資格の午前試験は基本情報技術者試験を含め「過去問が流用」されています。
もう少し詳しく解説すると以前に出題された問題と全く同じ問題が出題されるということです。
つまり、過去問を解いていれば問題を見ただけで「答えが分かる」ようになっていくということになります。
そのため過去問を解いていれば午前試験への対策は十分だといえるでしょう。
新しい問題も出題されるので注意
とはいえ、全てが流用ではなく当然新しい問題も出題されます。
そのため、やはり「午前問題を自力で解ける基礎知識」は必要です。
ただし、午後試験の勉強を行っていれば午前問題も自力で解けるようになっていくと考えられます。
そのため、わざわざゼロから基礎部分を勉強し直すといった必要はないでしょう。
基本的には午後I・午後IIの勉強をしつつ、足りないと思った部分を参考書などを読み返して埋めていくといった流れがおすすめです。
もちろん過去問を解くのも忘れずに、毎日過去問1回分、場合によっては数十問だけでもいいので欠かさずに「過去問を解く時間」を設けましょう。
ITサービスマネージャ試験は1日かけて行われる試験だということを忘れない
今回の記事では、IT系国家資格の中でも最高レベルである4に位置するITサービスマネージャ試験について注目してきました。
いわゆる高度情報処理技術者試験となるITサービスマネージャ試験。
最難関とされる試験などと比較すれば難易度は低いと記事冒頭で紹介しましたが、それでも並大抵の試験ではないということも同時に分かりました。
精神的にも体力的にもタフな試験
ITサービスマネージャ試験は、午前I・午前II、午後I・午後IIの合計4部を1日通して行われる非常にタフな試験です。
最終的には当日の体調面も試験の結果を大きく左右することになります。
実際に受験する際には、体調管理の徹底も重要です。
前日だからといって焦ってしまい、詰め込んで夜遅くまで勉強…場合によっては徹夜で勉強して試験に臨む方もいらっしゃるかもしれません。
コンディションを調整する
しかし、結局コンディションが悪い状態で試験に臨めば、本来の力や知識を発揮することはできません。
特に午後試験は午後Iで記述を、午後IIでは論文を書かなければなりません。
1日かけて行われる試験にバッドコンディションで望めば、結果が付いてくる可能性はその分低くなってしまいます。
ぜひ無理な勉強はせず、試験日にベストな状態を持っていけるよう、うまくコンディションを調整して臨むようにしましょう。
国家資格1つで満足しないようにする
仮にITサービスマネージャ試験に合格したとしても、それで満足しないようにしましょう。
次はぜひ、他のレベル4に区分されるIT系国家資格に挑戦してみてください。
また、ベンダー資格などに挑戦してみるのも1つの選択肢です。
国家試験1つで満足せず、複数の高難易度資格を有しておくことで、エンジニアとしての力量や持っている知識の豊富さ、スキルの高さを誇示することができます。
エンジニアとして魅力のある人材になるためにも、国家資格やベンダー資格を複数取得していきましょう。