資格が仕事や給与に繋がりやすいIT業界

IT業界は、常に進化や技術の進歩が目ざましい業界です。

そんなIT業界で働く人たちのことは「エンジニア」と呼ぶことが多いというのは周知の事実でしょう。

エンジニアの転職活動やフリーランスとしての案件獲得で重要といわれるのが「資格」です。

IT関連技術は、プログラミング言語やネットワーク系などそれぞれの技術で数多くの仕事が存在しています。

中には「国家資格」もあり、給与や案件の獲得のしやすさに直結することも少なくありません。


ITの国家資格は13種類

今回はそんなITの「国家資格」に注目していきます。

IPAが実施しているIT国家資格。

分野やレベルに応じて実施しており、その種類は13種類に及んでいます。

一般層にも有名なITパスポートや基本情報技術者試験もその内の1つです。


IT国家資格のおすすめランキング

今回は、13種類あるIT国家資格の中から特に役に立つ資格をピックアップしました。

ランキング形式にして5つを順番に紹介いたします。

種類が多く、どれから受けようか迷ってしまう方も多いかもしれません。

ぜひランキングを参考にしてみて、エンジニアとして魅力のある人材になれる資格獲得を目指していきましょう。


おすすめIT国家資格5位:情報処理安全確保支援士

情報処理安全確保支援士は、情報セキュリティに関する資格試験です。

合格率は18%程度となっています。


登録制

登録制という特殊な部分がありますが、セキュリティに関する自身の持つ高い資格・知識を証明することができます。

昨今のIT業界では、セキュリティへの意識が必要不可欠でとても重要視されている分野です。

そのため、セキュリティのスペシャリスト的資格である情報処理安全確保支援士を取得しておくことは重要だといえます。


セキュリティ関連の仕事へと繋がる

セキュリティの専門家としてプロジェクトの支援などを行えるため、様々な仕事へ繋げられる可能性が広がるといえる資格です。

また、他のレベル4に相当する高度情報処理技術者試験と比較すると難易度が低いといわれているのも魅力の1つといえるでしょう。


おすすめIT国家資格4位:システムアーキテクト

システムアーキテクト試験は、IT業界の上流工程で働くスキルを持っていることを証明できます。

合格率は12〜13%弱。


上流工程のエンジニアへ

元々「上流工程を主導できる上級エンジニアを育成する」という目的のもと設立された試験ということもあり、ITシステム開発の上流工程におけるスキルや知識の証明に繋がります。

具体的に上流工程の業務を円滑に進められるような理解度が問われる問題が出題されるため、生半可な知識で合格することはできないでしょう。

情報システム・組み込みシステムの両方に関する知識も問われるため、片方に特化していれば良い、というわけでもありません。

要件定義や汎用的モジュール利用への知識など、上流工程における幅広い知識・理解が必要となってきます。


プロジェクトを管理する側へ

また、プロジェクトリーダーにも繋がるようなスキルを問われる問題も用意されているため、実務に携わるエンジニアとして経験なども重要かもしれません。

専門的な分野に絞られて出題される他の国家資格と比較して試験範囲が広いともいわれており、給与アップやキャリアへも影響を与える可能性を持っている資格だといえるでしょう。


おすすめIT国家資格3位:システム監査技術者

システム監査技術者試験は、その名の通りITシステムの監査に関連する知識などが問われる試験です。

合格率は14%程度。

システム監査には、第三者的な立場からITシステムを監査・調査して評価するということに加えて関係者への説明なども関わってきます。

経営・マネジメントなどの知識も関わってくる試験なので、IT関連の知識だけでは太刀打ちできない資格試験ともいえるでしょう。

マネジメントはもちろん、法規や法務も試験範囲に含まれていることからもそれは明らかといえます。

幅広い知識が問われるため難易度が高い資格です。

しかし転職やフリーランス案件獲得の選択肢を増やすことに繋がる資格でもあるため、ぜひ挑戦したい資格です。


おすすめIT国家資格2位:プロジェクトマネージャ

プロジェクトマネージャ試験は、その名の通りプロジェクトのマネジメントスキルを問われる試験です。

もちろんIT国家資格ですから「システム開発プロジェクト」に関するマネジメントスキルだということはしっかり理解しておきましょう。

合格率は12〜13%。


名前通りプロジェクトマネジメントの問題が出題

プロジェクトを円滑に進めていくことや、メンバーのマネジメントに関することが問われます。

論述に力が入れられているため、国語力・文章力も必要となってくる試験ともいえるかもしれません。

実際のところ、プロジェクトマネジメントにおいて「コミュニケーション能力」が非常に重要です。

たとえ文面ではあったとしても、自分の考えなどを言語化してアウトプットできなければ伝わらず、意味がありません。

そういった意味でもこの試験はマネジメントスキルと繋がっていると捉えられるかもしれませんね。


キャリアに繋がる

転職やフリーランス案件を獲得する際には、自分のプロジェクトマネジメントに関する実力を証明できるでしょう。

既に経験があるのであればその経験と合わせて資格をアピールできますし、経験がなくてもプロジェクトマネジメントへの高いモチベーションを持っていることを示せます。

キャリアに必ずプラスになる資格だといえるでしょう。


おすすめIT国家資格1位:ITストラテジスト

IT系国家資格の中でプロジェクトマネージャ試験と並び、最も難易度が高いといわれているのがITストラテジストです。

合格率は例年14%前後となっています。


ITを活用する

企業の経営戦略をベースにしてITを活用した新事業や、情報活用を用いた企画などを行うスキルを証明できます。

マネジメントやメンバーの育成といった要素も絡んでくる資格であり、資格難易度の高さと幅の広さが分かるでしょう。

合格は非常に難しいですが、その分もし取得できれば他のエンジニアに対して明確な差を付けることができます。


難易度の高さは自分の武器になる

自分の力を明確に証明できる資格だといえるでしょう。

取得したことで周囲から評価されることにも繋がります。

他のIT系国家資格と平均年収という観点で比較してみても高いとされています。

自分の年収にも、エンジニアとしての魅力にも繋がるという明らかな「武器」となる資格だということは間違いありません。


ランキングには含まれなかった資格

今回のおすすめランキングは5つでした。

IT国家資格は記事冒頭でお伝えした通り13種類存在しているため、今回のランキング以外にもまだまだ8種類もの国家資格が実施されています。

ここからは残り8種類の中から更にピックアップして「年収アップ」「キャリア形成」に役立つ資格を紹介します。


ITサービスマネージャ

運用保守に携わるエンジニアのための資格とされるのが「ITサービスマネージャ試験」です。

合格率は14%前後。

平均年収が他の国家資格たちと比較してみても高め。

自分のキャリアや年収アップを目指す際に取得を目指したい資格といえるでしょう。

また「運用保守」にすでに携わっている方や、将来携わりたい方にとっても役立ちます。

キャリアを形成するのに適した資格だといえます。


データベーススペシャリスト

その名の通り、データベースのスキルや知識を証明できる国家資格です。

合格率は14%程度。

この資格は「データベースエンジニア」として働いている方にとって役に立つ資格です。

給与やより単価の高い案件の獲得、レベルの高い仕事を担当できるようになるでしょう。

また、データベースを専門にしたいと考えている方にとっても自分のキャリアを築いていくうえで役立つでしょう。

同じデータベース関連の資格ではベンダー資格「ORACLE MASTER(オラクルマスター試験)」も非常にメジャーです。

ORACLE MASTERは階級がBronze・Silver・Gold・Platinumと4階級に分かれています。

データベーススペシャリストは、ちょうどGoldとPlatinumの中間ぐらいの難易度とされているため、かなりハイレベルな試験であることが分かりますね。

そしてORACLE MASTERはベンダー資格特有の受験料の高さや、講習会の受講なども必要になってくることも少し面倒なポイント。

そのうえ、ORACLEデータベースのバージョンアップに伴って資格が「古く」なってしまうので常に最新バージョンの試験へ合格しなければならないという厄介な部分もあります。

自分の時間で、そして比較的小額な受験料で挑戦でき、基本的に一度取得してしまえば永続するデータベーススペシャリストはそういった面も魅力的です。


基本情報技術者試験について

一般知名度も高いIT国家資格である「基本情報技術者試験」ですが、IT業界で働くエンジニアとしては少し「弱い」資格です。

新卒や全くのIT業界未経験者が転職などをする際には役に立つかもしれませんが、現役のエンジニアが持っていても役に立つとはあまりいえないでしょう。

IT国家資格の中でも、4段階ある内のレベル2

今回の記事で紹介してきたITストラテジストやシステムアーキテクトなどは全て最上位のレベル4「高度情報処理技術者」にカテゴライズされるトップレベルの国家試験です。

対して、試験名にもある通り「基本」的な情報技術に関する問題が出題されるのが基本情報技術者試験。

決して役に立たない訳ではありませんが、エンジニアがエンジニアへ転職する、フリーランスとして独立する際には特にプラスにならない可能性が高い資格です。


IT国家資格の中で新しい情報セキュリティマネジメント試験

IT国家資格は時代に合わせて新たな資格試験を設けたり、出題内容や傾向を常に変更しています。

近年のIT業界ではセキュリティ意識がグングンと高まっていることもあり、2016年に新たに「情報セキュリティマネジメント試験」という国家試験がスタートしました。


情報セキュリティに特化

その名の通り情報セキュリティに特化しており、セキュリティ関連の問題で構成されている試験です。

合格率は変動が激しいですが、46〜50%程度となっています。

先ほど触れた基本情報技術者試験と同じレベル2に分類されています。


既にエンジニアの方にはプラスにならない可能性が高い

しかし、このセキュリティマネジメント試験も基本情報同様、既にエンジニアとして働かれている方にとって大きくプラスに作用する可能性は低い資格です。

基本情報は次のレベルである応用情報技術者試験へ問題内容や傾向などで繋げやすい面があるため入門としては非常に取っ付きやすいです。

反面、情報セキュリティマネジメント試験から応用情報へステップアップするのは、試験の毛色が若干異なる部分もあるため少し難しく感じるかもしれません。

そのため、既にエンジニアの方が情報セキュリティマネジメント試験を頑張って取得するメリットはあまりないということになります。


エンジニアにとってのスキル証明になる

今回は、ITの国家資格について注目してきました。

エンジニアは明確に「スキル」が必要とされる仕事です。

それはプログラマーでも、データベースエンジニアでも、プロジェクトマネージャでも同じこと。

では、自分のスキルを証明するために何が必要なのかということを考えたとき、資格が最も手っ取り早いといえるでしょう。

IT関連資格は、今回紹介してきた国家資格以外にも非常に数多くの資格試験が実施されています。

特にベンダー資格は、自分の普段から扱っている製品や技術、プログラミング言語の高いスキルや知識、専門性を証明するのに必ず役立ちます。

今回触れた国家資格も、その分野に関する幅広い知識や高い専門性、難易度の高い試験を取得することで他のエンジニアよりもリードした存在になれるでしょう。


資格で「武装」したエンジニアになる

ただ闇雲に資格を取ればいいというわけではありません。

自分のキャリアや仕事に関連する資格をしっかりと選んで取得することで、エンジニアとして「武装」できます。

そうすれば、自ずと仕事や年収のアップへと繋がっていくでしょう。

エンジニアとして魅力のある人材であり続けるためにも、資格の取得にチャレンジしてみてください。

まずは比較的難易度の低い資格から挑戦してみるのも選択肢の1つです。

合格することで自信に繋がり、次へのモチベーションを高めることができます。

とにかくエンジニアとして自分が輝けるよう、キャリアを描きながら努力を続けていきましょう。