資格を取得するかべきか悩むフリーランスエンジニアは多くいます。

難易度の高い資格を取得する場合は、半年や1年ほど時間をかけて資格のための勉強をしなければなりません。

フリーランスエンジニアにとっては、あらゆる時間が収入を上げるための時間になりえます。

しかし知名度があり難易度の高い資格の場合は、収入面でのメリットが期待できます。

世界的に通用する資格としておすすめなのが、CIW資格です。

CIW資格の概要や種類・取得難易度、そして資格を取得するメリットなどを解説します。


CIW資格とは

CIW資格についてはまだ聞き馴染みのない方も多いのではないでしょうか。

Certified Internet Web Professionalといい、アメリカのCertification Partner社によって運営されている資格です。

まずは資格の概要と特徴から紹介します。


CIW資格の概要

CIWは1990年代中盤から始まりましたが、現在は全世界で20万人以上の資格取得者がいます。

CIW資格は特定のベンダー資格ではなく、WindowsやLinuxなど業界標準の技術や知識を対象として試験を実施しています。

つまりCIW資格を取得することは、ある特定の製品に特化した知識ではなく、その分野の技術や知識を総合的に持っているという証明になるのです。

この試験は学生や既にIT業界で働いている方も対象としたものであり、今では国際的に通用する資格の一つといえます。

将来的に海外でエンジニアとして活躍することを視野に入れている方にはおすすめの資格の一つです。

ちなみにCIW資格に有効期限はありません

将来を見据えて時間のあるときに取得する、あるいは英語の勉強も兼ねて海外で働く直前に取得するなど取得のベストタイミングは人それぞれでしょう。


CIW試験の特徴

CIW資格には複数の種類がありますが、全試験共通で受験料は150米ドル(約16,000円)です。

またどの試験にも受験資格はありません

CBT方式のテストで、全国の試験センターで受験できます。また試験終了後すぐに合否がわかります。

なかには英語での試験があるため、英語に苦手意識がある場合は注意が必要です。


CIW資格には4つの種類がある

CIWの資格には4つの種類があります。

  1. 基礎分野
  2. デザイン分野
  3. 開発分野
  4. セキュリティ分野

各分野の中でも、更に職業やレベルによって試験は分けられます。


基礎分野

90問90分の試験で、63%以上の正答率で合格です。

合格率は発表されていません。

出題範囲は幅広いですが、基礎的な内容のため取得しやすい資格といえるでしょう。


デザイン分野

デザイン分野には「Webデザインスペシャリスト」「eコマーススペシャリスト」の2つの試験があります。

「Webデザインスペシャリスト」は70問75分の試験で、70%以上の正答率で合格です。

Webサイトの開発基礎やWebデザイン要素、そして基本的なHTMLやXHTMLを使用したWebページの開発などの内容です。

「eコマーススペシャリスト」は72問75分、68%以上の正答率で合格となります。

この試験ではeコマースサイトの開発やセキュリティ、それにeコマースビジネスに関する知識が問われます。


開発分野

開発分野には「JavaScriptスペシャリスト」「データベース設計スペシャリスト」「Perlスペシャリスト」の3つの試験があります。

「JavaScript」は50問75分で、75%以上の正答率で合格です。

JavaScriptを使ったサイト構築など、JavaScriptの基本的な使い方を問われます。

「データベース設計スペシャリスト」は50問90分で、75%以上の正答率で合格です。

データベースの構築や運用の基礎的な内容が問われます。

「Perlスペシャリスト」は50問75分で、75%以上の正答率で合格です。

Perlの基礎からデータベースへの接続、それにプログラムフロー制御の問題が出題されます。

なかでもトレース問題や出力結果を問う問題が比較的多いといわれています。


セキュリティ分野

セキュリティ分野には「セキュリティスペシャリスト」試験があります。

セキュリティスペシャリスト試験は62問90分で、76%以上の正答率で合格です。

企業のネットワークセキュリティポリシーからハッカー侵入の防止と管理などの内容です。


総合資格

総合資格とは、いくつかのCIW資格を取得したときに認定される資格です。

例えば「Webデザインスペシャリスト」と「eコマーススペシャリスト」を取得した場合、自動的に「Webデザインプロフェッショナル」という資格が授与されるのです。

その分野について幅広く深い知識がある専門家であることを証明できます。


「基礎分野」の難易度

CIWの全試験で合格率は発表されていないため、CIWの英語サイトから出題範囲や傾向を見ての推測となります。

基礎分野の試験に関しては難易度は低いです。

そのため現在は企業でも新入社員に向けた社内研修の一環として、取得を推奨しています。

内容は広範囲にわたりますが、基礎的な問題が多いため、しっかりとテスト対策をすれば資格取得はさほど難しくありません。

情報技術者試験に合格するレベルがあれば、十分だといわれています。


「デザイン分野」の難易度

「Webデザインスペシャリスト」も「eコマーススペシャリスト」の試験の難易度もそこまで高くないといえるでしょう。

CIWのサイトによれば、デザイン分野の試験の対象者はデザインについて学び始めた人からその分野を専門にしている人まで、基礎知識がある人向けの試験とされています。

デザイン分野についての基礎知識とCIWが用意する公式テキストで受験する科目について学べば問題ないでしょう。


「開発分野」の難易度

開発分野の3つの試験も、言語やデータベース、Perlの基礎的な知識や技術を問うものです。

そのため資格取得のために多くの時間を割く必要はないでしょう。

とはいえ何の対策もなく挑むよりは、問題の傾向を知るためにもCIWの公式テキストをチェックしましょう


「セキュリティ分野」の難易度

セキュリティ分野の試験は、実践的なセキュリティの構築や運用のスキルを保持していることを示すものです。

ターゲットは基礎知識のある人としており、難易度は高くないといえるでしょう。

こちらの資格を取得する場合には、公式テキストで勉強しておくことが無難です。


CIW資格の合格のために必要な知識

紹介してきたように、CIWはベンダーに依存しない業界標準の知識やスキルを問う試験であるため、そこまで深い知識は必要とされません。

反対に実務経験はあっても、その業界や分野について体系的な学習ができていないと厳しいといえます。

例え実務経験があったとしても、一度は公式テキストを利用してCIWの問題のレベルを知っておきましょう。


CIW試験の傾向

CIWの試験はベンダー試験でないため、各分野広範囲に基礎的な問題が出題されます。

これはどの分野の試験にも共通します。

そのため受験する分野について偏りなく勉強し、わからないところは実際にコードを書いたりすることが有効です。


CIW資格を取得するための勉強方法

CIW資格を取得するためにはどんな勉強方法があるのでしょうか。

主な勉強方法として、下記の4つがあげられます。

  • 公式テキストで勉強する
  • 本で勉強する
  • オンラインサービスを利用する
  • スクールに通う

各勉強方法のメリットとデメリットを合わせて解説します。


公式テキストで勉強する

CIWの公式テキストでの勉強が最もおすすめといえるでしょう。

メリットは公式テキストであるため、試験の出題傾向や問題の形式をテキストで確認できることです。

現在CIWは過去問を販売しておらず、また受験者も日本国内ではまだ少ないため試験の具体的な情報は少ないといえます。

それだけ出題傾向や形式を確認しておくことは重要なのです。

デメリットは最新の公式テキストが英語版であることです。

ITの専門用語は基本的には英語から日本語にされたものが多いため、単語レベルで理解できても文章の意味がわからなければ勉強は難しいといえます。

CIWの試験にも英語による出題があるため、事前に英語をある程度読むことができるレベルにはしておきましょう。

Amazonでも過去のテキストは販売されていますが、出題範囲や傾向が変わっている可能性もあるため最新のもので学習することがおすすめといえます。

最新の公式テキストはCIWの公式ホームページで450米ドル(約5万円)から販売しています。


本で勉強をする

本を使っての勉強方法のメリットは、知識を体系的に学ぶことができる点です。

また案件を抱えて忙しいフリーランスエンジニアも本であれば自分のペースで、好きな時間に勉強することが可能です。

本で勉強するデメリットは、本のなかでわからない部分や疑問に思う部分があるときには自分で解決をしなければならない点です。

また体系的に知識を勉強できますが、学んだことをすぐに実践できないこともデメリットの一つです。


オンラインサービスを利用する

オンラインサービスで勉強するのも効果的な勉強方法といえます。

スクールに通わずともオンラインで自分のペースで勉強でき、実践形式で学べることもメリットといえるでしょう。

またスクールに通って勉強するよりも比較的安く済むといえます。

反対にデメリットは、モチベーションの維持が難しいこと。

スクールの場合は同期や知人がいるため不明点を共に解決したり、切磋琢磨できます。

しかしオンラインサービスも勉強は基本的に一人。または講師と一対一での学習となるため、しっかりと自分なりの目標を設定することが大切です。


スクールに通う

スクールに通うメリットはわからないことや疑問点をすぐに解決できる点、そしてモチベーションの維持ができる点です。

疑問に思ったことはその場で講師や同期に尋ねることができるため、効率的に学習ができます。

また同期や知人がいることでお互いに学習を助け合ったり、切磋琢磨したりなどモチベーションを維持しやすい環境になるのです。

反対にデメリットは費用が高いことでしょう。

公式テキストを購入、またはオンラインサービスの利用と比べると費用は倍以上かかることもあります。


CIW資格を取得するメリット

最後にCIW資格を取得するメリットを解説します。


海外でも知識やスキルを示せる

CIWはアメリカのIT標準に準拠した国際資格です。

そのため、言語に関わらず世界各国で通用する資格であるといえるでしょう。

フリーランスエンジニアにとって海外で働くことは、収入を上げるための選択肢の一つにもなります。

海外の企業に就職する際などポートフォリオや国際資格を持っていれば、多少言語で不自由をしても客観的にスキルのレベルを伝えることができるため便利なのです。


スキルを客観的に証明できる

資格を取得することでスキルを客観的に証明できることもメリットです。

資格を取得していることで、自身の体験談ベースではなく客観的にスキルや知識をもっていることを証明できるのです。

CIWの日本での認知度はまだそれほど高くはありません。

しかしNECや富士通などの大手企業も研修に導入していることから、企業から注目を浴びる資格の一つになってきています。

資格の認知度が高まれば高まるほど、案件を取得する際にも、転職をする際にも、資格はより有効になるのです。


成長意欲をアピール

資格を取得することは、実は自身の成長意欲のアピールにもつながります。

IT業界は技術の発達が目まぐるしく、スキルにも「流行」がついてまわるのが特徴です。

そのため常に学び続ける姿勢は、個人で仕事をするフリーランスエンジニアには特に欠かせないものといえます。

フリーランスエンジニアが案件を受注するには、ビジネスマッチングサイトやエージェントサービスの利用など様々な方法があります。

しかし会社という看板がない以上、どの方法で案件を取るにせよ自らのスキルを客観的に示せる指標があることは大変重要なのです。

将来的に海外で働いて収入を上げようと考えている人、特定のベンダーに特化した資格ではなく業界標準の資格が欲しい人。

そしてWeb業界の総合的な知識が欲しい人にはCIWを検討すると良いでしょう。