アセンブラとは?アセンブラの基本をわかりやすく解説!
需要が高まるソフトウェア業界ではアセンブラが強みになる
営業兼プログラマであるシステムエンジニアは設計者であり、時にはソフトウェア開発でも重要な役割を担います。
にもかかわらず、ますます需要が高まっているソフトウェア業界は、深刻な人出不足に見舞われています。
なぜなら、プログラミングの複雑化や流行の移り変わりの速さに反して、人材育成には時間がかかるためです。
企業間競争のはざまで優秀な人材として勝機をつかむためには、プログラミングの技術習得が必要となってきます。
今後はプログラミングの知識はもちろん、AIやクラウドといった最新技術に対しても敏感でいる必要があるでしょう。
時代の潮流に対して常に鋭いアンテナが必要となります。
そのためにも、いま設計者だけではなくソフト開発もできる設計者兼技術者の技術力が期待されているのです。
そしてその源泉はアセンブラにあるのです。
今後必要となるソフト開発力の基盤はアセンブラ
今後需要が高まるIT業界において、ソフト開発力そのものが企業間競争で受注力を増やす決め手となるといわれています。
ソフト開発において外すことのできない基礎がアセンブラです。
ソフト開発ができる技術者の育成が今後需要をかなえる最重要課題でもあり、仕事の発注数を増やす要でもあります。
自らも開発していくことエンジニアにとっても必要な技能となるのです。
ソフト開発にたずさわった経験があれば、設計者としても、プログラマに対して適切な指示を出すことができます。
技術者として核となる基礎は、短時間では習得できない技能だからこそ、将来必要とされる人材になるためには欠かせません。
航空業界で信頼と安全性を認められたアセンブラ
コンピュータ業界の発展とともに航空業界もサービスの発展、向上のためにいち早くアセンブラを導入してきました。
航空業界では国連専門機関である国際民間航空機関ICAOや国際航空運送協会IATAが、予約や発券などの各種サービスの仕様を規定しています。
CRSはその規定に沿ったものでなければなりません。
CRSはJavaScriptと似たスクリプト言語を使用する巨大なシステムです。
取り扱う量が膨大な航空チケットとも呼べるでしょう。
取引が高額で在庫の効かない予約チケットでは、常時それに絶えうる高速処理とフル稼働が要求されます。
そのような高い信頼性と保障を兼ね備えたCRSのプログラミング言語に最初に導入されたのがこのアセンブリ言語でした。
歴史も深く信頼性も高いアセンブリ言語の知識を土台におくと、秩序を保ちつつプログラムの実行処理能力も高速に管理可能。
容量も無駄なくおさめることができます。
性能と信頼性を最優先する制御系では、今でもアセンブリ言語が使われることが珍しくありません。
メリットは、処理時間が正確に予測でき、トラブルが起こった際にもひと目で分かるということです。
アセンブリ言語をしっかりと身につけ、アセンブラを駆使すれば、コンピュータの性能をフルにつかって管理ができるという実例といえます。
最終的には高水準言語で記述する専門的なプログラマでさえ、行き着く先に相違はありません。
メインフレームで活躍できる技術者はどこでも活躍できる
メインフレーム基盤系の技術者の価値
メインフレームはそのシステムの大きさゆえ、ハードもソフトも機能が多いです。
一方で、オープンフレームは組み合わせによるシステムのためメインフレームのサブセットになります。
メインフレームで活躍した生活の基盤系の技術者は解決能力が高いためトラブル発生時には特に強いです。
マニュアルをチェックし、時には自分で開発して対処をしたりすることもあります。
またメモリダンプを十分に解読。原因を追求することに長けた者ならオープンフレームでも充分に通用します。
高価なメインフレームでは、試行錯誤も安易に許されません。
十分に考えて答えを出さねばなりません。
何度も試行錯誤がゆるされ、時には原因を追求することなく解決するオープンフレームとは大きく異なります。
またオープンフレームは、トラブル発生時にはネットで原因を調査しなければなりません。
いわば手探り状態での原因解明に努めなければなりません。
コンピュータの内部構造との対話を深めることで問題を解決してきたアセンブラの技術者はオープンフレームでも十分通用するはずです。
基本はソフト開発の要ともなるアセンブラ
長年経験を積んだメインフレームの基盤系の技術者でさえ、これからの技術者に対してどうあるべきか、説いています。
メインフレームでの時代は、どういう仕組みか自力で考え徹底的に追及することで、原因解明に努めてきました。
今の時代に必要なソフト開発にも繋がるたしかなスキルを磨く基本はアセンブラの仕組みを知ることです。
その上で、アセンブラをひもとくための探求心が、技術者を育て、確かな技術となります。
時代を変えても生き残る基盤系の技術者を生み出しました。
肝心の仕組みがわからなければ設計や開発もできず、自力で問題も解決できないでしょう。
時代を重ねても技術者として高度な理解を深めたえず進化していくためには、早い段階から意識的に技術を磨くことが先決といえます。
どのような長い道のりにおいてもこの探求心こそが高度な技術者を生むきっかけになるのです。
最小の使用量で効率のいいプログラミング
メモリの使用量も少なく習得しやすいアセンブラ
アセンブリ言語は、命令文が少なく単純です。そのため、習得しやすいといえます。
アセンブリ言語を機械語に翻訳するソフトウェアがアセンブラです。
英語表記ではAssemblerとなり、「組立」を意味します。
アセンブリ言語を機械語に変換することをアセンブルと呼びます。
つまりアセンブリ言語の変換方法はアセンブルであり、C言語でいうこところのコンパイラとは異なるものです。
減少しつつも多用されるアセンブリ言語
初期のコンピュータの大部分はこの方法で行われており、言語が高級化するとともに減ってはきています。
しかし、現在でも直接ハードウェアを制御するマイクロコンピュータの世界ではアセンブリ言語が多用されています。
アセンブリ言語は、コンピュータの性能をフルに発揮可能です。
なおかつメモリは最小の使用量で済むためとても効率良くおこなえます。
主にマイクロコンピュータを使用した小規模システムで使われています。
アセンブラの核となる低水準言語の習得
人間にとって扱いやすく理解しやすい高水準言語
かつてコンピュータが普及するにつれプログラムの数も増え、それに伴い求められる技術者の数も増えてきました。
しかし、複雑かつ高度なプログラミングを機械語やアセンブリ言語を使いこなしてプログラミング・ソフト開発できる技術者は滅多にいません。
そのため、より簡単に習得できる言語が必要になりました。
それが有名なC言語をはじめ、C++、FORTRAN、BASIC、DELPHI、PASCAL、Javaなどの「高水準言語」です。
低水準言語である機械語とアセンブラ
一方で機械語やアセンブリ言語のことを「低水準言語」と呼びます。
この場合の高い低いは、機能の優劣のことではありません。
人間の言葉に近いほど「高水準」となります。
アプリケーションの開発には、高水準言語がつかわれています。
人間の言葉に近い英語の表現でプログラミングができるからです。
高水準言語で記述されたプログラムも機械語に変換されてから実行されます。
このように様々な言語が生まれたことでコンピュータとの対話が可能になる選択肢がより増えました。
結果的に、一層多くの技術者を生み出すきっかけにもなっています。
機械語をニーモニックで記述したものがアセンブリ言語です。
そのため高水準言語で記述されたプログラムであっても、最終的にはアセンブラのプログラムと同じ仕組みなのだといえます。
ソフトウェア開発に携わる技術者になるには、まずプログラミング言語の習得が必須です。
そして、高水準言語や低水準言語でも通用するアセンブラの仕組みを知ることが重要です。
設計のための言語習得とそれによるソフト開発は今後求められるエンジニアの目指す形でもあります。
アセンブラの起源と命令の種類
コンピュータのプログラムの正体は、機械語とよばれる2進数や16進数からなる数値の羅列です。
そのため長い記述のプログラムを求められるような大規模かつ複雑な業務ではとても困難です。
そこで、機械語それぞれに動作を表す英語のニックネームをつけることで人が記述できるプログラムに変える手法が提案されました。
それまでは、アセンブリ言語から機械語の変換を手作業で行っていました。これをハンド・アセンブルと呼びます。
ただしこの機械語の変換法は、誰が見ても明らかに作業効率が悪いです。
そこで、アセンブリ言語を機械語に変換するソフトウェア、アセンブラによってプログラミングを記述して翻訳。
パソコンにも解釈できるようにして実行させました。
コンピュータには一見膨大な量の機能が備わっていると考えがちです。
しかし実際には4つしかありません。
それぞれの動作を組み合わせることで、複雑かつ高度な機能にまで引き上げることができるのです。
ニックネームでプログラミングできるアセンブラ
先ほどのべたようにアセンブリ言語のひとつひとつの命令をニーモニックといいます。
機械語の数値の羅列だけではプログラムを書き込める人はいません。
先ほどお伝えした通り、機械語の命令にニックネームをつけて、プログラミングをする手法が提案されました。
そこで生まれたアセンブリ言語でかかれたプログラムは、英語の短縮形のようなニーモニックを書き連ねたものになります。
ニーモニックは1対1で機械語に対応している、CPUのハードウェア的な動作をするアセンブリ言語です。
ニーモニックで記述されたファイルを機械語のファイルに変換するプログラムがアセンブラとよばれるものです。
一方で、C言語をコンピュータの頭脳であるCPUに理解させるにはコンパイラと呼ばれる変換プログラムを使います。
機械語に変換しなければ、コンピュータは解釈・実行ができないということです。
レジスタはCPU内部に眠る貴重なデータの格納庫
アセンブラの命令の種類はすなわちコンピュータの頭脳、CPUにできることになります。
CPUの内部にはレジスタとよばれるデータや命令を格納する場所が用意されているのです。
ただし、ただのデータの収納庫ではありません。データを演算する機能も備わっています。
レジスタはCPUの中にあらかじめ決められた個数だけ用意されており、名前で区別されています。
アセンブラのプログラムでは、レジスタを名前で指名しましょう。
主プログラムと副プログラム
役割と連携
日常でつかうゲームやパソコンなどの大きなプログラムは、複数の小さな集合体として作られます。
小さなプログラムの中にプログラムの開始となる主プログラムがあり、その他のプログラムのことを副プログラムと呼びます。
そのときに実行されるアセンブラの命令は「CALL」です。主プログラムから副プログラムに流れを移します。
副プログラムから主プログラムに移行する場合には「RET」の命令がだされます。
RETはRETurnの頭文字であり「もどる」という意味です。
副プログラムの先頭には、位置を表すラベルをつけます。
CALL命令を実行する場合、呼び出す副プログラムのラベルを指定。
CALL命令をすると、主プログラムの流れが副プログラムに移ります。
副プログラムの最後にRET命令をだします。
その場合にはオペコードはいりません。主プログラムのメモリアドレスが自動的にデータを書き出すからです。
このように主プログラムからCALL命令を出されると、自動的にデータを書き出すPUSHがおこなわれます。
反対に副プログラムがRET命令を出すと、自動的にデータを読みこむPOPが連動しておこなわれます。
主プログラムから副プログラムへのデータの受け渡し方法1:レジスタ
最も簡単な方法の1つ目は、CPU内のレジスタを使うことです。
主プログラムで1つ目のレジスタと2つ目のレジスタにデータを格納。
副プログラムで演算した結果を3つ目のレジスタに格納し、主プログラムに返すことができます。
しかし、レジスタの数には限りがあります。
したがって、この方法はデータが多い場合には利用できません。
主プログラムから副プログラムへのデータの受け渡し方法2:スタック
よく利用される方法のふたつ目は、スタックを使うことです。要素を入れた順に一列にならべ、順に取り出すデータ構造です。
主プログラムでPUSH命令をつかってデータを格納。副プログラムでPOP命令をつかって呼び出します。
この方法が最も多くつかわれています。
必要な数だけデータを書き出し、同じ数だけ取り出せばいいため、余計な容量も使いません。
アセンブラの命令一覧
最後に、アセンブラの命令の一覧を記載します。
コンピュータにできることは「メモリの読み書き」、「I/Oとの入出力」、「CPU内部での演算」、「プログラムのながれの制御」の4つのみです。
メモリの読み書きをおこなう命令
ニーモニック | 意味 | 機能 |
LD | LoaD | メモリからCPUへデータを読み込む |
ST | STore | CPUからメモリにデータを書き出す |
LAD | Load ADress | CPUのレジスタに値を設置する |
PUSH | PUSH | スタックにデータを書き出す |
POP | POP | スタックからデータを読みこむ |
SVC | SuperVisorCall | I/Oとの入出力を行う |
CPU内部での演算を行う命令
ニーモニック | 意味 | 機能 |
ADDA | ADDArithmetic | 算術加算 |
ADDL | ADDLogical | 論理加算 |
SUBA | SUBtractArithmeti | 算術減算 |
SUBL | SUBtractLogical | 論理減算 |
AND | AND | 論理積(AND演算) |
OR | OR | 論理和(OR演算) |
XOR | eXclusive OR | 排他的論理和(XOR演算) |
CPA | ComPareArithmetic | 算術比較 |
CPL | ComPare Logical | 論理比較 |
SLA | ShiftLeft Arithmetic | 算術左シフト |
SRA | ShiftRightArithmetic | 算術右シフト |
SLL | Shift Left Logical | 論理左シフト |
SRL | Shift Right Logical | 論理右シフト |
プログラムの流れを制御する命令
ニーモニック | 意味 | 機能 |
JPL | Jump on PLus | 演算結果がプラスの場合に分岐 |
JMI | Jump on MInus | 演算結果がマイナスの場合に分岐 |
JNZ | Jump on Non Zero | 演算結果がゼロでないの場合に分岐 |
JZE | Jump on ZEro | 演算結果がゼロの場合に分岐 |
JOV | Jump on Overflow | 演算結果が桁あふれの場合に分岐 |
JUMP | JUMP | 無条件で分岐する |
CALL | CALL | 主プログラムから副プログラムを呼び出す |
RET | RETurn | 副プログラムから主プログラムに戻る |
一覧にあるたったこれだけの命令を組み合わせることで、高度で複雑なプログラムをつくることができるのは驚きです。
アセンブラを学んで価値あるエンジニアに
今回の記事ではアセンブラの基本的な部分を中心に解説してきました。
アセンブラは、プログラミングに興味のない人からは知られているといい難い言語かもしれません。
しかし、非常に可能性を秘めているものです。
「アセンブラはいいや」とはならず、ぜひアセンブラについても学習してみてください。
エンジニアとして、人材としての価値を高めましょう。
更に魅力のあるエンジニアとなり、今後ますます発展していくIT業界を牽引し、便利な世界を作り上げていきましょう。