こんにちは!

toiroフリーランス編集部です!

フリーランスエンジニアとして活動しながらの子育て、特に「保活」とよばれる保育園の入園申請は、多くの方が頭を悩ませる大きな課題ではないでしょうか。

会社員とは異なる働き方だからこそ、

「申請で不利になるのでは?」

「どんな書類を準備すればいいの?」

といった不安は尽きません。

しかし、フリーランスであることが不利になるとは限りません。

むしろ、ポイントを押さえて戦略的に準備を進めることで、希望の保育園への入園は十分に可能です。

この記事では、フリーランスエンジニアが保育園の入園申請をスムーズにクリアするための方法を徹底解説します。

保育園の種類から、具体的な必要書類の入手方法、そして審査を有利に進めるためのコツまで、最新情報と筆者のリアルな体験談を交えてお届けします。

保育園の種類とそれぞれの特徴

まずは、どのような保育施設があるのか、その種類と特徴を理解することからはじめましょう。ご自身の働き方や家庭の状況に合った施設を見つけることが、保活の第一歩です。

認可保育園

申請先:市区町村

対象年齢:原則として0歳~就学前まで

国や自治体が定めた人員配置や施設の広さ、安全性といった基準をクリアし、公的に認められた施設です。最大のメリットは、保育料が各家庭の収入(住民税額)に応じて自治体によって決定されるため、比較的安価な場合が多いことです。延長保育や休日保育、障害児保育といったサービスが充実している園も多く、安定した保育環境を求める方に向いています。

一方で、特に都市部では入園希望者が殺到し、倍率が非常に高くなる傾向があります。入園の選考は、家庭の状況を点数化した「利用調整指数」によって行われるため、計画的な準備が不可欠です。

認可外保育施設(認可外保育所)

申請先:希望先の園

対象年齢:0歳~小学生以上まで幅広い(施設によりさまざま)

認可外保育施設は、国の基準とは異なる独自の基準で運営されている施設を指します。ベビーホテルや企業主導型保育事業などがこれにあたります。「認可外」と聞くと不安に感じるかもしれませんが、独自の教育プログラムや手厚いサービスを提供している質の高い施設も数多く存在します。

保育料は施設ごとに自由に設定されており、認可保育園より高額になることが一般的です。一時預かりや夜間保育、休日保育など、フリーランスの不規則な働き方にも柔軟に対応してくれる点が大きな魅力です。申し込みは園との直接契約となり、随時受け付けている場合が多いため、認可保育園の選考に漏れてしまった場合の受け皿としても重要な選択肢となります。ただし、施設によって保育の質や安全基準に差があるため、事前の見学や情報収集は必須です。

小規模保育事業

申請先:市区町村

対象年齢:原則として0歳~2歳まで

主に待機児童問題が深刻な0歳から2歳までの子どもを対象とした、定員6人から19人の少人数制の保育施設です。認可保育園と同様に市区町村が利用調整を行い、保育料も自治体の基準に沿って決まります。家庭的な雰囲気のなかで、一人ひとりの子どもに目が届きやすく、きめ細やかな保育を受けられるのが最大の特徴です。

3歳以降は連携施設である保育園や認定こども園へ優先的に入園できる制度を設けている場合が多いですが、必ずしも全員が希望通りに進級できるわけではないため、卒園後の進路についても事前に確認しておく必要があります。

事業所内保育施設

申請先:希望先の園

対象年齢:主に0歳~2歳(施設により就学前まで対応)

企業が従業員のために設置した保育施設ですが、多くの場合「地域枠」が設けられており、その企業の従業員でなくても利用できる可能性があります。通勤経路にある企業や、自宅近くの企業の施設を調べてみるとよいでしょう。

自社の従業員が主な利用者であるため、勤務形態に合わせた柔軟な預かり時間や、急な残業への対応が期待できます。また、病児保育室を併設している場合もあり、子どもの急な体調不良時にも心強い存在です。

認定こども園

申請先:希望先の園

対象年齢:原則として0歳~就学前まで

幼稚園と保育園の両方のよいところを併せもった施設で、教育と保育を一体的に提供します。保護者の就労状況に関わらず利用できる「教育部分(1号認定)」と、保育の必要性が認められた場合に利用できる「保育部分(2号・3号認定)」の枠があります。

フリーランスの場合、「保育の必要性あり」として2号または3号認定を申請することになります。幅広い年齢の子どもたちが集い、多様な教育プログラムを受けられる点が魅力です。

フリーランスと正社員、入園申請の違いは?

手続きをしているイメージ

保育園の入園申請において、フリーランスと正社員でもっとも大きく異なるのは「就労状況の証明」です。この違いが、フリーランスの保活をむずかしく感じさせる一因となっています。

フリーランスと正社員で異なる点

正社員の場合、勤務先に依頼すれば「就労証明書」をスムーズに発行してもらえます。勤務時間や場所が明確で、雇用が安定しているため、自治体側も就労状況を客観的に評価しやすいのが実情です。

一方、フリーランスは自身で就労状況を証明しなければなりません。勤務時間や収入が毎月変動することも多く、客観的な「証明」のハードルが上がります。この「証明しやすさの違い」こそが、両者の根本的な差異といえるでしょう。

フリーランスと正社員で異なる必要書類

  • フリーランス向け
    • 就労証明書(就労実績):自治体指定の様式に、自身で事業内容や就労時間を記入します。
    • 開業届の控えのコピー:事業を開始したことを証明する公的な書類です。
    • 前年の確定申告書の控えのコピー:所得と事業実態を証明するもっとも重要な書類です。
    • 業務委託契約書のコピーや仕事依頼書:継続的な仕事があることを証明します。
  • 正社員向け
    • 就労証明書:勤務先が発行します。
    • 在職証明書:就労証明書と一体化している場合が多いです。

こども家庭庁からの最新通達

国も多様な働き方の実態に対応すべく、制度の見直しを進めています。コロナ禍を経てリモートワークやフリーランスという働き方が一般化したことを受け、こども家庭庁は就労証明書の様式を標準化し、フリーランスや自営業者でも記載しやすい項目を追加しました。

※就労証明書の標準化を策定したのは厚生労働省と内閣府ですが、2023年4月以降はこども家庭庁が引き継いでいます。

例えば、月ごとの就労日数や時間の実績を具体的に記入できる欄が設けられるなど、フリーランスの実態をより正確に伝えやすくなっています。自治体によっては古い様式を使っている場合もあるため、申請前には必ず最新の様式を確認し、不明な点は窓口で相談することが重要です。

認可保育園入園審査の内容と基準

入園の可否をわける審査の仕組みを理解し、自身の状況を客観的に把握することが、効果的な対策につながります。

審査の点数化について

認可保育園の入園選考は、「利用調整指数」と呼ばれる点数制度で機械的に行われます。これは、保護者の就労状況や家庭環境など、保育の必要性の高さを点数化して評価する仕組みです。

この点数(指数)は、「基準指数」「調整指数」の合計で決まります。基準指数は保護者の就労時間や日数によって決まり、調整指数はひとり親家庭であるか、兄弟姉妹が同じ園に在籍しているか、といった個別の事情によって加点または減点されます。

✓ この基準は各自治体によって大きく異なるため、必ずお住まいの市区町村のホームページや
窓口で「入所選考基準」を確認してください。

基準点数・収入と点数の関係

「収入が低い方が保育園に入りやすい」という話を聞いたことがあるかもしれませんが、これは必ずしも正確ではありません。多くの自治体では、選考基準において収入の多寡を直接の点数評価には含めていません。基本的には「月〇〇時間以上、週〇日以上働いている」といった就労状況が重視されます。

ただし、保育料の算定基準となる住民税額が同点の場合の優先順位を決める要素として考慮されることはあります。まずは、自治体が定めるフルタイム勤務相当(多くは月120時間以上)の就労実績を証明することが、高い基準点数を得るための鍵となります。

都市部(都心)の審査基準

東京都心部をはじめとする都市部では、保育園の需要が供給を大幅に上回っており、審査基準は非常に厳格化しています。両親ともにフルタイム勤務(最高点)であっても、さらに調整指数による加点がなければ入園がむずかしいケースも少なくありません。

入園のボーダーラインとなる点数は毎年変動し、自治体のホームページで前年度の実績が公開されていることが多いです。自身のもち点を計算し、希望する園のボーダーラインに届いているかを確認することが、現実的な園選びにつながります。

必要な書類とその取得方法

フリーランスの保活は、書類準備が9割といっても過言ではありません。

抜け漏れなく、かつ自身の状況を最大限アピールできる書類を揃えましょう。

必要書類について詳細をご説明します。

就労証明書(就労実績)

保育園の申請準備で、誰もが避けては通れないのが「就労証明書」の作成です。これは、会社員・フリーランスといった働き方を問わず、保育の必要性を証明するために必ず提出しなくてはならない重要な書類です。

会社員の方であれば、勤務先にお願いすれば人事や総務の担当者が作成してくれます。一方で、フリーランスや自営業者は、ご自身の事業内容や就労時間を証明するために、この書類をすべて自分で書き上げなければなりません。ここが、フリーランスの保活における最初のハードルかもしれません。

自治体によってフォーマットに多少の違いはあるものの、記入すべき項目は全国的にほぼ共通しています。まずは、お住まいの自治体のホームページなどで公開されている記入例をじっくりと参考にしながら、ご自身の働き方を一つひとつ具体的に記述していきましょう。

【フリーランスエンジニア向け就労証明書の書き方】

✓ 業務内容欄には「Webサイト制作」「システム開発」など、ITエンジニアとしての専門性がわかるように具体的に記載します。

✓ 就労時間は、1日の平均的な労働時間と週の労働日数を掛け合わせて算出します。波がある場合は、直近3ヶ月程度の平均時間を記載するのが一般的です。

✓ 委託元・取引先の欄には、主要なクライアントの名称や連絡先を複数記入することで、事業の安定性をアピールできます。

開業届の控えのコピー

税務署に開業届を提出した際の「受付印」が押された控えが正式な書類です。もし紛失してしまった場合は、税務署で「保有個人情報の開示請求」を行うことで再発行が可能です。e-Taxで提出した場合は、受信通知(メール詳細)が控えの代わりになります。

もしまだ開業届を出していないのならば、ぜひとも済ませておきたい手続きの一つに「開業届」の提出があります。実はこの一枚の書類が、保活においても、そして今後の事業においても、あなたの強力な味方になってくれるでしょう。

「開業」と聞くと、「法人を設立するわけじゃないし…」「なんだかむずかしそう…」と、少し身構えてしまうかもしれません。開業届は、お住まいの地域を管轄する税務署に「フリーランスとして仕事をはじめました」と届け出るだけの、驚くほどシンプルな手続きです。もちろん、費用は一切かかりません。

この書類がなぜ重要かというと、保活の場面では、就労証明書などの公的な書類で、ご自身の証明者欄に「〇〇(屋号) 代表 △△(氏名)」と、堂々と記載できるようになります。

単なる“個人”としてではなく、“一つの事業主”として見られるため、公的な手続きの場でぐっと信頼性が増します。いわば、フリーランスとしての社会的信用度を上げてくれる、心強いお守りのような存在といえるでしょう。

もし、まだ手元にないという方は、この機会にぜひ準備を進めてみてはいかがでしょうか。

節税メリットの大きい「青色申告」をするために不可欠な書類でもあります。

開業届を出さずに申請を行う場合:

開業届がなくても保育園の申請が可能なケースもあります。

各自治体によって判断がわかれるため、事前に問い合わせてみてください。

前年の確定申告書の控えのコピー

開業届と同様、税務署の受付印がある控えが必要です。e-Taxの場合は、申告データと受信通知をセットで印刷しておきましょう。こちらも紛失した場合は、開示請求手続きで入手できます。

税務署の受付印が押された青色申告書の控えには、あなたの「前年度の所得」が公的に記載されています。これをコピーして提出すれば、「フリーランスとしてきちんと事業を営み、収入を得ている」という何より客観的な証明になります。

もし現在、白色申告をされているのであれば、保育園の申請を機に「青色申告」へ切り替えることをぜひ検討してみてください。「青色申告はなんだかむずしそう…」と感じるかもしれませんが、保育園の申請においては、これ以上ない強力な武器となってくれるのです。

青色申告をはじめるには、事前に「開業届」「青色申告承認申請書」を税務署に提出するだけです。

もしまだ事業をはじめたばかりで前年の確定申告書が手元にないという場合でも、諦める必要はありません。取引先からの入金履歴がわかる「通帳のコピー」を提出することも、あなたの活動実績を示す有効な手段の一つです。

業務委託契約書のコピーや仕事依頼書

確定申告書で示せるものは「過去の実績」です。次に「この先の仕事」についての証明も必要になります。

そんなときに必要になるものはクライアントと交わした「業務委託契約書」や「仕事依頼書」のコピーです。

これらの書類は、単に仕事をしたという事実だけでなく、「いつからいつまで」「どんな内容で」仕事がつづくのかという“この先の仕事”を証明してくれます。特に、数ヶ月にわたる長期の契約書があれば、「この先も安定して就労するため、継続的な保育が必要です」というあなたの主張に、何よりも強い説得力をもたせることができるのです。

また、ご自身で記入した「就労証明書」の内容が、単なる自己申告ではなく、客観的な事実に基づいていることを示す強力な裏付けにもなります。

フリーランスとして活動するなら、どんなに小さな案件でも契約書を交わす習慣をつけておくと、こうした公的な手続きの際に本当に役立ちます。もし正式な契約書がない場合でも、発注内容や期間がわかるメールの文面などを印刷しておくだけで、大切な証明資料になります。

普段から案件ごとにクリアファイルへまとめておけば、いざという時に慌てずに済みます。

その他のアピールに使える材料

作業日報など実績の証明
任意提出の場合が多いですが、日々の業務時間を記録したタイムシートや作業日報を添付すると、申告した就労時間の裏付けとなり、説得力が増します。

契約書コピー
長期の業務委託契約書など、今後の就労の安定性を示す書類は強力なアピール材料です。

取引明細、請求書の提出
クライアントとの金銭的なやりとりを示す請求書や入金履歴がわかる通帳のコピーは、有効な実績証明になります。

収入見込証明
開業して間もなく確定申告の実績がない場合、今後の収入見込みを証明する書類を提出できる場合があります。

自治体によっては、在宅で業務を行っていることを示すための追加書類(自宅の間取り図や仕事場の写真など)を求められることがあります。事前に自治体の要項をよく確認しておきましょう。

申請書類は直接提出が効果的

郵送でも受け付けてもらえますが、可能であれば自治体の窓口に直接出向いて提出することをおすすめします。担当者に直接、フリーランスとしての働き方の詳細や、書類だけでは伝わりにくい家庭の状況を口頭で補足説明できる貴重な機会です。その場で書類の不備をチェックしてもらえるため、修正によるタイムロスも防げます。

✓ 契約書など、機密事項を記載している書類を提出資料として使用する場合は、
事前に契約先の担当者へ保育園の申請に使う旨で許可をとるようにしてください。

フリーランスが入園審査をクリアするコツ

検討しているイメージ

ここからは、フリーランスが入園審査を有利に進めるための、より実践的なコツをご紹介します。

実績をつくっておく

保育園の申請を見据え、できるだけ早い段階から仕事の実績を積み重ねておくことが重要です。特に、単発の仕事だけでなく、複数のクライアントと継続的な取引があることを示せると、「事業が安定しており、継続的な保育が必要である」と判断されやすくなります。

入園しやすい自治体・園を選ぶ

お住まいの自治体だけでなく、隣接する市区町村の保育園情報もリサーチしてみましょう。自治体によって選考基準や待機児童の状況は大きく異なります。場合によっては、少しエリアをずらすだけで格段に入園しやすくなることもあります。引っ越しも視野に入れた、柔軟な地域選びが功を奏することもあります。

企業常駐案件で働くメリット

もし可能であれば、一時的にでも企業に常駐する(客先常駐)案件を受けるのも一つの戦略です。常駐先企業から就労証明書を発行してもらえるケースが多く、勤務時間や場所が明確になるため、正社員とほぼ同等の評価を得やすくなります。就労状況の安定性を強力にアピールできるでしょう。
※就労証明書の発行可否は事前に常駐先企業へ確認したうえで相談・調整が必須です。

0歳児クラスからの申込の利点

多くの自治体では、0歳児クラスの募集定員がもっとも多く設定されています。また、上の子が在園している場合の「兄弟加点」をもつ申込者がまだ少ないため、純粋な点数勝負になりやすく、比較的競争率が低い傾向にあります。育児休業からの復職予定で申請する会社員も多いですが、フリーランスでも条件を整えれば十分に入園のチャンスがあります。

どうしても保育園がむずかしい場合の選択肢

最大限の努力をしても、希望の保育園に入れないことは残念ながらあり得ます。しかし、選択肢は保育園だけではありません。

幼稚園を検討する

近年は、保育時間の後に「預かり保育」を実施している幼稚園が非常に増えています。夕方遅くまで、また夏休みなどの長期休暇中も預かり対応している園を選べば、フリーランスの働き方にも十分対応可能です。まずは近隣の幼稚園の預かり保育の実施状況を調べてみましょう。

認定こども園や地域型保育とは

前述した「認定こども園」は、保育園としての機能ももっているため有力な選択肢です。また、「小規模保育」「事業所内保育」といった地域型保育事業は、空きがあれば年度途中でも入園しやすい場合があります。視野を広くもち、さまざまな施設の情報を集めてみましょう。

子育てと仕事、自分らしいバランスの見つけ方

保育施設だけに頼らず、ベビーシッターやファミリー・サポート・センター、祖父母の協力など、利用できる社会資源や人的リソースを総動員するのも一つの方法です。在宅ワークのメリットを活かしつつ、外部のサポートを組みあわせることで、あなたとご家族にとって最適な「子育てと仕事のバランス」を見つけることができるはずです。

保育園に入園後、フリーランスへ転向する場合の審査事情

会社員からフリーランスに転向した場合、すでに入園している保育園をどうすればよいか、継続して利用できるのか頭を悩ませることもあるでしょう。

結論から申し上げますと、手続きを正しく行えば、すぐに退園になるケースは稀です。 しかし、働き方が変わるため、必ず自治体(市区町村)への届け出と再審査が必要になります。

重要なのは、「保育の必要性」が継続していることを、フリーランスという新しい働き方で改めて証明することです。

✓ 条件や手続きは自治体によって異なります

✓ 必ずお住まいの各自治体に確認してから決断するようお願いします

やるべきことリスト

  1. 【最優先】自治体の保育課に事前相談する。
  2. 空白期間ができないよう、退職日と開業日を計画的に調整する。
  3. フリーランスとしての活動証明書類(開業届、契約書など)を事前に準備しておく。
  4. 自治体から指示された書類を、期限内に不備なく提出する。

以下に、具体的な手続きの流れと注意点をまとめました。

1. 【最優先】自治体の保育課へ連絡・相談

まず、退職する前、あるいはフリーランスへの転向を決めた段階で、お住まいの自治体の保育課(子育て支援課など、保育園の入園手続きを担当する部署)に必ず連絡・相談してください。

その際に、以下の点を確認しましょう。

  • 会社員からフリーランスになる旨を伝える
  • 必要な書類の詳細(就労状況変更届、新しい就労証明書など)
  • 書類の提出期限
  • フリーランスの場合の就労時間の計算方法・申告方法
  • 現在の保育園は継続可能か、継続できないケースはどういう場合か

自治体によってルールや必要書類が異なるため、自己判断で進めず、公式な情報を得ることがもっとも重要です。

2. 手続きの流れと必要書類

一般的に、働き方が変わった場合は以下の手続きが必要です。

  1. 「教育・保育給付認定変更申請書(兼 届出事項変更届)」の提出
    多くの場合、就労状況が変わったことを届け出るための公式な書類です。自治体の窓口やホームページで入手できます。
  2. 新しい「就労証明書」の提出
    会社員の場合は勤務先が作成しますが、フリーランスの場合はご自身で作成します。 事業内容、1日の労働時間、週の労働日数などを具体的に記入します。
  3. フリーランスとしての活動を証明する客観的な書類の提出
    ご自身で記入した就労証明書の信憑性を高めるため、以下の客観的な証拠書類の提出を求められることがほとんどです。
    • 開業届の控えのコピー: 税務署に提出したもの。「事業主」であることを示す公的な証明になります。
    • 業務委託契約書のコピー: 継続的な仕事があることを証明する強力な書類です。
    • 直近の売上や入金がわかる通帳のコピーや請求書・領収書の控え
    • 事業内容がわかるホームページやポートフォリオなど

3. 注意すべき重要なポイント

就労時間

保育園を継続できるかどうかの最大のポイントは「保育を必要とする就労時間を満たしているか」です。多くの自治体では、月64時間以上などの下限が設けられています。会社員時代と同等の就労時間(例:月120時間以上など)を証明できると、審査上は有利になります。

「求職期間」の扱い

会社を退職してからフリーランスとして活動をはじめるまでに期間が空いてしまうと、一時的に「求職中」の扱いになることがあります。求職期間には2〜3ヶ月程度の期限が設けられており、その期間内に新しい就労を証明できない場合は退園になってしまう可能性があるため、注意が必要です。空白期間を作らず、スムーズに移行することが理想です。

再審査(再度の利用調整)

提出された書類をもとに、自治体はあなたの家庭の「保育の必要性」を再度審査します。フリーランスとしての就労時間が、会社員時代より大幅に減ってしまうと、保育の優先順位を示す「点数」が下がる可能性があります。ただし、在園中の場合、この点数低下がただちに退園につながることは少ないですが、年度替わりのタイミングなどで影響が出る可能性はゼロではありません。


まとめ

フリーランスは会社員と比べて働き方が多様なため、書類の準備が少し大変に感じるかもしれません。しかし、きちんと準備をして「これだけの時間、仕事をしているので保育が必要です」という実態を誠実に伝えれば、保育園の継続は十分に可能です。まずは、お住まいの自治体の窓口へ相談することからはじめてみてください。

【体験談】フリーランス夫×会社員妻のリアル保活レポート

実際にフリーランスの夫と会社員の妻という組み合わせで保活を乗り越えた、編集部スタッフのリアルな体験談をご紹介します。

【家族プロフィール】

  • : フリーランスエンジニア(歴1年10ヶ月)
  • : 会社員(3年目)
  • 子ども: 長男(1歳10ヶ月)、長女(0歳4ヶ月)※4月入園時点

STEP1:まずは夫婦で役所へ 徹底した情報収集

何よりも先に、夫婦そろって市の保育担当窓口へ相談に行きました。そこで、入手した情報が以下になります。

✓ 近隣の保育園マップ

✓ 入園月ごとの申込スケジュール

✓ フリーランスと会社員、それぞれの必要書類

✓ 申し込みから結果通知までの期間

【Point!】
この最初のステップを夫婦で共有したことで、その後の準備やスケジュール調整が驚くほどスムーズになりました。認識のズレを防ぐためにも、ぜひパートナーと一緒に行くことをおすすめします。

STEP2:「我が家の基準」を決めて、見学園を絞り込み

次に、膨大な数の保育園からどこを見学するか、我が家なりの「ものさし」を決めました。

園選びの優先順位: ①清潔感 > ②先生や園の雰囲気 > ③家からの距離

施設タイプの希望: 認可保育園 > 認可外保育園 > 小規模保育所

下の子がまだ小さいこともありもし希望の園に落ちたら1年間は見送ろう」と、夫婦で覚悟を決めていたのもポイントです。

【Point!】
いきなり見学予約をするのではなく、まずは候補の園のまわりを実際に歩いてみました。通園路の安全性や距離感、駐車場の有無などを確認し、「ここなら無理なく通えそう」と感じた3園に絞り込んでから、見学を申し込みました。

STEP3:いざ申請!フリーランスと会社員の提出書類

3園の見学後、「この園に通わせたい」と夫婦の意見が一致する第一希望の園が決定。「ここがダメなら育休延長」と思えるほど、理想的な園でした。

4月入園を目指し、11月の申込期間に合わせて書類を準備。フリーランスの夫と会社員の私で、それぞれ用意したものは以下の通りです。

  • 夫(フリーランス)が準備したもの
    • 就労証明書(自身で作成)
    • 直近の確定申告書の控えのコピー
    • 開業届の控えのコピー
    • 現在進行形の業務委託契約書
    • 1日の働き方を示すタイムスケジュール表(市様式)
  • 妻(会社員)が準備したもの
    • 就労証明書(会社が作成)

【Point!】
書類は郵送せず、窓口へ直接提出しました。その場で担当の方に中身を確認してもらい、「これで大丈夫です」といってもらえたので、不備の心配なく安心して結果を待つことができました。

結果:兄弟そろって、第一希望の園へ

2月中旬、無事に内定通知が届き、無事に兄弟そろって第一希望の園に通えることになりました。

計画的な情報収集と夫婦での協力体制が、満足のいく結果につながったと感じています。フリーランス家庭の保活、ぜひ計画的に進めてみてください。

まとめ:情報収集~内定通知~入園までのスケジュール 

我が家は余裕をもったスケジュールではありましたが、子供がいると何事も思うように進まないことも多いです。
事前に簡単なスケジュールだけでも立てて保活を進めるとスムーズに進めることができます。

かかった日数行動
5月前半1日未満市の保育担当窓口へ相談
5月後半3日3つの保育園を見学
10月10日必要書類の準備
11月1日未満必要書類の提出
2月-内定通知を受領
3月3日入園に対して必要書類の準備
4月-入園

フリーランスの「保活」は、孤独な戦いになりがちです。しかし、あなたの働き方や状況を正確に、そして誠実に伝える準備をすれば、道は必ず開けます。情報戦を制するために、まずはできるだけ早くお住まいの自治体の窓口に相談することからはじめてみてください。あなたらしいワークライフバランスを実現できることを心から応援しています。

フリーランス保活|課題別・解決策 早見表

フリーランスの保活では、会社員とは異なる特有の壁に直面します。ここでは、代表的な課題とそれを乗り越えるための具体的な解決策を、分かりやすい早見表にまとめました。ご自身の状況に合わせて、今すぐできるアクションを確認してみましょう。

課題1.就労実態の証明のむずかしさ

【解決策】
書類で「見える化」する

【具体例】

就労証明書を具体的に書く「Web制作」だけでなく「クライアントA社のECサイトの保守・運用(月間20時間)」のように、業務内容を詳細に記述する
タイムシート/作業日報を添付する任意提出でも、日々の労働時間を記録したものを添付すると、申告内容の信憑性が格段にアップする。
客観的な証拠を揃える業務委託契約書、請求書・納品書の控え、クライアントとの業務連絡メールなどをセットで提出する。
ポートフォリオ事業サイトを提示する制作実績や事業内容がわかるURLなどを資料に記載する。

課題2.保育指数(点数)が低い

【解決策】
加点を積極的に狙い、不利をカバーする

【具体例】

認可外保育施設などの利用実績をつくる事前に認可外保育施設やベビーシッターと契約・利用し、その実績(契約書・領収書)を提出する。多くの自治体で加点の対象となるもっとも有効な戦略の一つ。
まずは基準点を満たす自治体が定めるフルタイム勤務相当(例:月120時間以上)の就労時間を証明し、基本となる点数を確保する。
0歳児クラスを狙う募集枠がもっとも多く、兄弟加点などの影響も少ないため、比較的競争率が低い傾向にある。
自治体の加点項目を隅々まで確認する「ひとり親家庭」「兄弟姉妹の同時申込」以外にも、自治体独自の加点項目がないか「募集要項」を熟読する。

課題3.収入の不安定さへの懸念

【解決策】
「継続性」と「安定性」をアピールする

【具体例】

長期の業務委託契約書を提出する単発の仕事だけでなく、複数社と継続的な契約があることを見せ、「この先も仕事がある」ことを証明する。
安定した入金履歴を示す事業用口座の通帳コピーを提出し、毎月継続して入金がある実績を示す。
確定申告書で事業実態を示す特に「青色申告」を行っている事実は、本格的に事業を営んでいるという強力な証明になる。
収入見込証明書を作成する開業直後で実績がない場合、受注書などをもとに「今後の収入見込み」を作成し、事業計画を提示する。

課題4.開業届の未提出

【解決策】
いますぐ「事業主」になる

【具体例】

税務署に開業届を提出するもっとも簡単かつ確実な解決策。費用はかからず、手続きもシンプル。控えのコピーは必ず保管する。
屋号(事業の名称)を決める開業届に屋号を記載することで、就労証明書の発行者欄に「〇〇(屋号)代表」と記載でき、公的な信頼性が増す。
青色申告承認申請書も同時に提出する保活でのアピールに加え、節税メリットも大きい。事業への本気度を示す材料になる。

課題5.自治体ごとに対応が違う

【解決策】
情報の中心を「公式」と「地域」に置く

【具体例】

役所の保育課窓口へ直接相談に行くインターネットで調べる前に、まずはお住まいの自治体の窓口へ行き、担当者から直接、最新かつ正確な情報を得ることがすべての基本。
「入園のしおり」「募集要項」を熟読する公式サイトから最新年度版をダウンロードし、特に「選考基準(指数表)」のページは印刷して何度も確認する。
地域の子育て支援センターなどを活用する同じ自治体で保活を経験した先輩保護者から、リアルな情報を得られる可能性がある。
引っ越しも視野に入れ、隣接する自治体の情報を比較する自治体によって、フリーランスへの理解度や待機児童の状況は大きく異なるため、柔軟な視点をもつ。

保活でよく使われる用語集

用語意味・説明
保活(ほかつ)子どもを保育園に入れるために保護者が行う一連の活動のこと。情報収集、見学、書類準備、申請などを指す。
認可保育園国や自治体が定める設置基準(施設の広さ、職員数など)を満たし、認可された保育施設。保育料は世帯の所得に応じて自治体が決定する。
認可外保育施設認可保育園以外の保育施設全般のこと。独自の教育方針やサービス、柔軟な保育時間が特徴。保育料は各施設が独自に設定する。
認定こども園幼稚園と保育園の両方の機能をあわせもつ施設。保護者の就労状況に関わらず利用できる教育部分と、保育が必要な子どもが利用する保育部分がある。
利用調整(指数)希望者が定員を上回った場合に、保育の必要性が高い家庭を優先するため自治体が行う選考のこと。家庭状況を点数(指数)化して入園の優先順位を決める。
基準指数利用調整で使われる点数のうち、保護者の就労時間・日数など、基本的な保育の必要度を示す土台となる点数。
調整指数基準指数に加えて、ひとり親家庭や兄弟姉妹の状況など、各家庭の個別の事情を反映して加点・減点される点数。
就労証明書保護者が働いていることを証明する書類で、保育の必要性を判断するための最重要書類の一つ。会社員は勤務先、フリーランスは自身で作成する。
教育・
保育給付認定
保育施設の利用にあたり、保育の必要性の有無やその度合い(就労時間など)を自治体から認定してもらうこと。「1号・2号・3号」の区分がある。
待機児童認可保育園への入園を申し込んでいるにもかかわらず、施設の空きがないために利用できずに待機している状態の子どものこと。
慣らし保育入園後、子どもが新しい環境や生活リズムに少しずつ慣れるために設けられた期間。預かり時間を数時間からはじめ、徐々に通常の保育時間へと延ばしていく。
延長保育定められた通常の保育時間を超えて、早朝や夕方以降に子どもを預かってもらえる制度。利用には別途申請や追加料金が必要な場合が多い。

フリーランスエンジニアの保活 Q&A

Q1. 就労証明書はどうすればいいですか?

A. 自治体指定の様式に、ご自身で事業内容や就労時間を記入します。「開業届」や「確定申告書」の控えなどを添付し、客観的な裏付けとします。

Q2. 収入が不安定ですが、審査で不利になりますか?

A. 収入額の多寡より「継続的に就労しているか」が重視されます。安定した取引先との契約書や、継続的な入金実績で就労の安定性を示しましょう。

Q3. 開業したばかりで、確定申告の実績がありません。

A. 「開業届の控え」に加え、「業務委託契約書」や「仕事の受注書」、今後の「収入見込証明書」などを提出して就労実態を証明します。

Q4. 在宅ワークは通勤している人より不利になりますか?

A. 多くの自治体では、在宅か通勤かの区別なく「就労時間」で評価されます。ただし、独自の基準がある場合もあるため、必ずお住まいの自治体の募集要項を確認してください。

Q5. 審査の点数を上げるコツはありますか?

A. 自治体が定めるフルタイム勤務相当(例:月120時間以上)の就労実績を証明することが基本です。また、認可外保育施設の利用実績を作ると加点対象になる場合があります。

Q6. 会社員と比べて、何が一番大変ですか?

A. 就労状況の「客観的な証明」です。会社員は勤務先が証明してくれますが、フリーランスは契約書や請求書など、多くの書類を自分で集めて証明する必要があります。

Q7. 企業常駐(客先常駐)の案件だと有利ですか?

A. はい、有利になることが多いです。勤務時間や場所が明確になるため、会社員に近い評価を得やすくなります。

Q8. 「屋号」はあった方がいいですか?

A. はい。開業届で屋号を登録しておくと、就労証明書の証明者欄に「屋号+代表」と記載でき、個人名のみの場合より事業としての信頼性が高まります。

Q9. 審査に落ちてしまった場合はどうすればいいですか?

A. 認可外保育施設、ベビーシッター、ファミリー・サポート・センターなどを検討します。また、預かり保育が充実している幼稚園や認定こども園も有力な選択肢です。

Q10. 保活、まず何からはじめたらいいですか?

A. お住まいの市区町村の役所(保育課など)へ相談に行くことからはじめましょう。そこで、正確な必要書類、スケジュール、地域の保育園事情を入手するのが最初のステップです。

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