こんにちは!

toiroフリーランス編集部です。

「AI、触ってみたいけど、PythonばかりでJavaエンジニアの出番は…?」

そう思っているあなた! もしかして、Javaの堅牢性と開発効率を愛するあまり、AI開発に一歩踏み出せずにいませんか?

ご安心ください! ついにJavaエンジニアがAI開発の最前線に躍り出るときが来ました。

2025年5月20日に開催されたGoogle I/O 2025で満を持してリリースした「Google Agent Development Kit (Java ADK) v0.1.0」を使えば、慣れ親しんだJavaでパワフルなAIエージェントを開発できるようになります。

この記事では、Java ADK v0.1.0の仕組みから具体的な使い方、そしてJavaエンジニアがAIエージェント開発で活躍するためのヒントまで、まるっと解説します。

あなたのJavaスキルを活かして、AIの世界へ飛び込みましょう!

JavaではじめるAIエージェントとは?

AIエージェントの定義とJavaを用いる利点

AIエージェントとは、特定の目標を達成するために自律的に判断し、行動するソフトウェアプログラムを指します。

例えば、ユーザーの質問に答えたり、情報を収集したり、特定のタスクを自動化したりと、まるで人間のように振る舞うことができます。

AIエージェントは自律的に動作し、環境の変化に反応し、目標達成に向けて行動を選択する能力をもっています。

では、なぜAIエージェント開発にJavaが適しているのでしょうか?

その理由は、Javaがもつ強力なメリットにあります。

大規模かつ複雑なシステム開発において高い安定性と信頼性を誇るJavaは、長期的な運用が求められるAIエージェントにとって非常に有利です。

オブジェクト指向によるコードの再利用性や保守性の高さも、複雑なAIロジックを構造的に記述する上で大きな強みとなります。

さらに、「Write once, run anywhere」の原則により、さまざまなOSや環境でAIエージェントを動作させられる点も魅力です。

豊富なライブラリと活発なコミュニティに支えられていることも、JavaがAI開発に新たな選択肢を提供できる理由といえるでしょう。

Google ADKの役割と影響

Google ADKは、JavaでAIエージェントを開発するための画期的なフレームワークです。

Googleが提供する強力なAIモデル(Geminiなど)との連携を容易にし、エージェントの構築からデバッグ、デプロイまでを一貫してサポートしてくれます。

Java ADK v0.1.0の登場は、Javaエンジニアにとってまさにゲームチェンジャーです。

これまでPythonが主流だったAI開発の領域に、Javaエンジニアが自身の堅牢なスキルセットを活かして参入できる道が開かれたのです。

これにより、エンタープライズ領域におけるAI導入がさらに加速し、より信頼性の高いAIシステムが、多くの企業で構築されることが期待されています。

Google ADK v0.1.0の概要

ADKの基本構造と主な機能

Java ADK v0.1.0は、AIエージェント開発を効率化するために設計された、いくつかの重要なコンポーネントとAPIから構成されています。

その中心となるのは、エージェントの基本的なロジックを管理し、外部システムとの連携を仲介するエージェントコアです。

また、特筆すべきは、AIエージェントが特定のタスクを実行するために利用する外部サービスやAPIとの連携を抽象化するツールキットの存在です。

開発者は複雑なAPIの扱いを意識することなく、エージェントの機能に集中できるようになります。

さらに、モデルインターフェースを通じて、GoogleのAIモデルとの通信が担われ、プロンプトの送信やレスポンスの受信が円滑に行われます。

エージェント内外で発生するさまざまなイベントを処理するためのイベントハンドリングメカニズムも備わっています。

Java ADK v0.1.0の主な機能は、Google AIモデルとのシームレスな統合です。

Geminiのような強力なAIモデルをエージェントに簡単に組み込むことができます。

また、外部APIや既存システムとの連携を容易にするための抽象化レイヤーも提供されており、Web API、データベース、RPAなど、多種多様な外部リソースをエージェントの能力として活用できるのです。

ユーザーとの対話履歴を管理し、より自然で文脈に沿った会話を実現する会話管理機能や、エージェントの起動・停止といったライフサイクル全体を管理するフレームワークも含まれています。

どのように進化してきたか

Google ADKは、AIエージェント開発の分野におけるGoogleの継続的なとり組みの集大成といえるでしょう。

初期のAI関連ライブラリやAPI(例えばGoogle Cloud AI Platformの一部機能)から発展し、より汎用的でJava開発者に特化した形で提供されるようになりました。

特に、近年目覚ましい進化を遂げているLLM(大規模言語モデル)の登場は、エージェントの自律性や複雑なタスク処理能力を高めるための機能強化を促しました。

そして、今回リリースされたv0.1.0は、その記念すべき最初の安定版であり、今後のさらなる進化に大きな期待が寄せられています。

AIエージェントの作成手順

PC開発環境セットアップのイメージ

開発環境のセットアップとプロジェクト初期設定

AIエージェント開発をはじめるには、まず適切な開発環境を整えることからスタートです。

最新の安定版Java Development Kit (JDK)、特にバージョン21以降の利用が推奨されます。

次に、IntelliJ IDEA、Eclipse、VS Codeといった使い慣れた統合開発環境(IDE)を準備しましょう。

プロジェクトのビルドと依存関係の管理には、GradleまたはMavenのいずれかを選びます。

本コラムではGradleを前提に進めていきます。

新しいGradleプロジェクトを作成したら、build.gradleファイルにJava ADKの依存関係を追加します。

必要なライブラリが自動的にプロジェクトに組み込まれ、開発の準備が整います。

Gradle

plugins {
    id 'java'
}

group 'com.example'
version '1.0-SNAPSHOT'

repositories {
    mavenCentral()
    // Google ADKのリポジトリを追加する場合
    // maven { url 'https://maven.pkg.dev/google/snapshots/maven/' } // 最新は公式ドキュメントでご確認ください
}

dependencies {
    // Google ADK Core
    implementation 'com.google.cloud.adk:adk-core:0.1.0'
    // Google AIモデルとの連携(例: Gemini API)
    implementation 'com.google.cloud:google-cloud-aiplatform:0.1.0' // ADKと共に利用する場合
    // ロギングフレームワーク
    implementation 'org.slf4j:slf4j-api:2.0.7'
    runtimeOnly 'ch.qos.logback:logback-classic:1.4.14'

    testImplementation 'org.junit.jupiter:junit-jupiter-api:5.10.0'
    testRuntimeOnly 'org.junit.jupiter:junit-jupiter-engine:5.10.0'
}

test {
    useJUnitPlatform()
}

機能実装のステップ:エージェントのモデル構築から実行まで

エージェントの核となるロジックは、Agentインターフェースを実装したクラスで定義します。

ここで重要なのは、エージェントが達成すべき目標を明確にし、その目標のために実行できるアクション(外部ツールの使用や情報検索など)を具体的に定義することです。

Google AIモデルに渡すプロンプトの設計も欠かせません。

エージェントの役割、提供する情報、そして期待する出力形式を具体的に記述することで、AIモデルはより的確な応答を生成できるようになります。

Java

import com.google.cloud.adk.core.Agent;
import com.google.cloud.adk.core.Tool;
import com.google.cloud.adk.core.Context;
import com.google.cloud.adk.core.Result;
import java.util.List;
import java.util.Map;

public class WeatherAgent implements Agent {

    private final WeatherService weatherService; // 外部の天気サービス

    public WeatherAgent(WeatherService weatherService) {
        this.weatherService = weatherService;
    }

    @Override
    public String getName() {
        return "WeatherAgent";
    }

    @Override
    public String getDescription() {
        return "指定された都市の天気情報を提供します。";
    }

    @Override
    public List<Tool> getTools() {
        return List.of(
            Tool.builder()
                .name("get_current_weather")
                .description("指定された都市の現在の天気情報を取得します。")
                .inputSchema(Map.of("city", "string")) // 入力スキーマを定義
                .action(args -> {
                    String city = (String) args.get("city");
                    return Result.success(weatherService.getCurrentWeather(city));
                })
                .build()
        );
    }

    @Override
    public Result handle(Context context) {
        String query = context.getQuery();
        // ここでGoogle AIモデル(Geminiなど)にプロンプトを送信し、
        // ユーザーの意図を解釈して適切なツールを呼び出すロジックを実装します。
        // ADKの内部でLLMとの連携が抽象化されているため、直接LLM APIを叩く必要はありません。
        // 例: queryに基づいて"get_current_weather"ツールを呼び出す
        if (query.contains("天気") && query.contains("都市")) {
            String city = extractCityFromQuery(query); // クエリから都市名を抽出するロジック
            if (city != null) {
                return context.callTool("get_current_weather", Map.of("city", city));
            }
        }
        return Result.failure("天気情報を取得できませんでした。都市名を明確に指定してください。");
    }

    private String extractCityFromQuery(String query) {
        // クエリから都市名を抽出する具体的なロジックを実装
        return "東京"; // 仮の実装
    }
}

// 簡単なWeatherServiceのモック
class WeatherService {
    public String getCurrentWeather(String city) {
        return city + "の天気は晴れ、気温は25度です。";
    }
}

外部サービスと連携するためのAPIクライアントの実装も重要です。

Java ADKのToolインターフェースを活用すれば、天気情報APIやデータベース、CRMシステムといった外部APIをエージェントの能力としてシームレスに組み込むことができます。

セキュリティ面では、Google AIモデルや外部APIにアクセスするための認証情報を安全に管理することが求められます。

サービスアカウントキーやDefault Application Credentials(ADC)を利用し、本番環境ではIAMのベストプラクティスに従うことが強く推奨されます。

APIキーは環境変数やシークレット管理サービスに保管し、コードに直接書き込むのは避けましょう。

エージェントの実行は、Java ADKのAgentRuntimeを利用して行います。

開発したエージェントを登録してランタイムを構築し、ユーザーからの入力やトリガーとなるイベントをランタイムに渡します。

その後、エージェントが実行した結果を受けとり、適切に処理することで、AIエージェントとして機能するようになります。

Java

import com.google.cloud.adk.core.AgentRuntime;
import com.google.cloud.adk.core.Result;

public class Main {
    public static void main(String[] args) {
        WeatherService weatherService = new WeatherService(); // 実際のサービスを初期化
        WeatherAgent agent = new WeatherAgent(weatherService);

        AgentRuntime runtime = AgentRuntime.builder()
            .addAgent(agent)
            .build();

        String query = "東京の現在の天気は?";
        Result result = runtime.process(query);

        if (result.isSuccess()) {
            System.out.println("エージェントの応答: " + result.getValue());
        } else {
            System.err.println("エラー: " + result.getErrorMessage());
        }
    }
}

Java ADKの活用方法と実践事例

生成AIイメージ1

具体的なプロジェクト例とエラー処理のヒント

Java ADKは、その堅牢性と柔軟性から、さまざまなAIエージェントの開発に活用できます。

たとえば、社内ヘルプデスクエージェントとして、社員のよくある質問に自動で回答したり、関連ドキュメントを検索して提供したりするシステムを構築できます。

既存の社内システムとの連携も容易なため、業務効率化に大きく貢献するでしょう。

また、顧客サポートチャットボットとして、顧客からの問い合わせに対してFAQベースの回答や、CRMデータに基づいたパーソナライズされた情報を提供するエージェントも実現可能です。

さらに、データ分析アシスタントとして、自然言語でデータ分析の指示を受け付け、SQLクエリの生成やレポートの作成を自動化するエージェントも考えられます。

IoTデバイス連携エージェントとして、スマートホームデバイスや産業用IoTデバイスからのデータを解析し、異常検知や自動制御を行うといった応用も期待できます。

AIエージェント開発において、エラー処理は特に重要です。

ユーザーからの予期せぬ入力や、AIモデルが誤った解釈をした場合のエラーハンドリングは必須といえるでしょう。

外部APIの呼び出しに失敗した場合の再試行ロジックや、フォールバック処理の実装も不可欠です。

エージェントの動作ログを詳細に記録し、エラー発生時に迅速に原因を特定できるよう監視システムを構築することも忘れてはいけません。

成果の管理と分析、そして今後の展望

エージェントのパフォーマンスを向上させるためには、適切な管理と分析が不可欠です。

エージェントの回答に対するユーザーの満足度を測定し、改善点を見つけ出すことは、よりよいエージェントを育てる上で欠かせません。

エージェントが処理したクエリ、呼び出したツール、生成した応答などを分析し、エージェントのパフォーマンスやボトルネックを特定することも重要です。

A/Bテストを通じて異なるエージェントのバージョンやプロンプトを比較し、より効果的なものを特定する試みも有効でしょう。

そして、これらの分析結果に基づいてエージェントのロジック、プロンプト、ツール連携を継続的に改善していくことが、エージェントを成長させる鍵となります。

Java ADKはまだv0.1.0の段階ですが、今後のバージョンアップでさらに強力な機能が追加されることが予測されます。

より高度な会話管理機能や、複雑な会話フロー、深い文脈理解をサポートする機能が強化されるでしょう。

また、テキストだけでなく、画像、音声、動画といった多様な入出力に対応するマルチモーダル対応も期待されます。

複数のエージェントが協調してより複雑なタスクを解決するフレームワークの提供や、エージェントの応答速度やリソース消費をさらに効率化するパフォーマンス最適化も、今後の進化の方向性として考えられます。

Google ADKの登場は、AI開発市場に大きな影響を与えるでしょう。

JavaエンジニアがAI開発の最前線に立つことで、Javaエコシステム全体が活性化され、エンタープライズAIの導入が加速する可能性を秘めています。

これは、AIを活用した新たなアプリケーションやサービスの開発を促進し、新たなビジネス機会を生み出すことにも繋がるはずです。

そして、このような新しい技術が普及するためには、開発者コミュニティの存在が不可欠です。

情報交換や知識共有を通じて開発効率が向上し、フィードバックと貢献を通じてADKの改善が加速されます。

コミュニティが活発になることで、チュートリアル、サンプルコード、フォーラムなどの学習リソースが充実し、新規参入者がスムーズに学習できるようになるでしょう。

Java ADK v0.1.0のよくある質問10選

Q1. Java ADK v0.1.0は商用利用可能ですか?

A. はい、基本的には商用利用可能です。ただし、Google Cloudの各サービス(Gemini APIなど)の利用規約や料金体系に従う必要があります。詳細については、Google Cloudの公式ドキュメントをご確認ください。

Q2. Javaのどのバージョンに対応していますか?

A. Java ADK v0.1.0は、Java 17以降のLTSバージョンでの利用が推奨されています。最新のJava機能とパフォーマンス最適化を最大限に活用できます。

Q3. PythonのAIライブラリ(TensorFlow, PyTorch)と比べてどうですか?

A. Java ADKは、Google AIモデルとの連携に特化しており、AIエージェントの構築を効率化するフレームワークです。TensorFlowやPyTorchのような深層学習ライブラリとは目的が異なります。ADKは、これらのAIモデルをJavaから活用するための「橋渡し」のような役割を果たし、既存のJavaシステムとの統合が容易になる点が大きなメリットです。

Q4. オンプレミス環境で利用できますか?

A. Java ADK自体はJavaライブラリなのでオンプレミス環境で動作可能ですが、Google AIモデル(Geminiなど)の利用には通常、Google Cloudへの接続が必要です。一部のモデルはエッジデバイスで動作するものもありますが、ADKはクラウドベースのAIモデルとの連携を主眼としています。

Q5. どのような種類のAIエージェントが開発できますか?

A. 会話型AI(チャットボット)、タスク自動化エージェント、情報検索エージェント、推薦システム、ゲームAIなど、多岐にわたるAIエージェントを開発できます。外部ツールとの連携が容易なため、実世界のタスクを自動化するエージェントの構築に適しています。

Q6. 学習データはどのように扱いますか?

A. Google ADK自体は、AIモデルの学習データセットの管理や学習プロセスを直接提供するものではありません。ADKは、学習済みのGoogle AIモデル(例: Gemini)をエージェントに組み込むためのフレームワークです。独自のデータでモデルをファインチューニングする場合は、Google Cloud AI Platformなどのサービスを利用します。

Q7. エージェントのデバッグはどのように行いますか?

A. 標準的なJavaのデバッグツール(IDEのデバッガなど)を利用できます。また、ADKはロギング機能をサポートしており、エージェントの内部処理やAPIコール、AIモデルとのやりとりなどを詳細にログに出力することで、デバッグを効率的に行えます。

Q8. パフォーマンスはどの程度期待できますか?

A. Javaのもつパフォーマンス特性に加え、Google ADKは効率的なAPI連携とAIモデルとの通信を考慮して設計されています。AIモデル自体の応答速度にも依存しますが、堅牢でスケーラブルなAIエージェントの構築が可能です。

Q9. 他のGoogle Cloudサービスとの連携は必須ですか?

A. Google AIモデル(Geminiなど)を利用する場合は、Google Cloudへのアクセスと認証が必要です。しかし、ADKは汎用的なエージェント開発キットであるため、必ずしもすべてのGoogle Cloudサービスとの連携が必須というわけではありません。外部ツールとして既存のWeb APIや社内システムと連携することも可能です。

Q10. 学習リソースはどこで探せますか?

A. Google Cloudの公式ドキュメント、GitHubリポジトリのサンプルコード、Google Cloudブログ、そしてJava開発者コミュニティのフォーラムなどで情報を見つけることができます。将来的には、より多くのチュートリアルやハンズオン資料が提供されることが期待されます。

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