
青色申告とは?白色申告との違いをわかりやすく解説!最大65万円の特別控除適用要件もご紹介
こんにちは!
toiroフリーランス編集部です。
「青色申告」という言葉を聞いたことはありますか?
フリーランスや個人事業主として働くみなさんにとって、確定申告は避けて通れない手続きの一つです。
でも、「青色申告って何がお得なの?」「白色申告とどう違うの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
確定申告には、青色申告と白色申告の2種類があり、それぞれに特徴があります。
青色申告は、帳簿付けが少し複雑になるものの、税制上の優遇措置が豊富に用意されていて、特に、最大65万円の特別控除は、節税効果を大きく左右する魅力的な制度です。
この記事では、青色申告の基本的な知識から、白色申告との違い、特別控除の適用要件、手続きの流れまでをわかりやすく解説します。
「青色申告に挑戦してみたいけど、何からはじめればいいかわからない」という方は、ぜひこの記事を読んで、一歩踏み出してみてください。
青色申告を理解することは、あなたのビジネスをさらに発展させるための力強い味方となるでしょう。
青色申告とは?わかりやすく基礎知識を解説
青色申告とは何か初心者向けに解説
青色申告とは、所得税の確定申告における申告方法の一つです。
日々の取引やお金の流れをきちんと記録した帳簿に基づいて行う申告方法で、白色申告に比べて事務作業はやや増えますが、その分、税制上のさまざまな特典を受けることができます。
例えるなら、青色申告は「詳細な家計簿をつけている人が受けられるご褒美」のようなものです。
きちんと記録することで、収入や経費が明確になり、税務署からの信頼も得やすくなります。
また、赤字が出た場合に翌年以降に繰り越せる制度や、家族への給与を経費として計上できる制度など、節税につながるメリットが多いのが特徴です。
青色申告を行うためには、事前に税務署に「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
この申請書を提出し、承認を受けることで、その年の所得から青色申告の特典を活用した確定申告ができるようになります。
はじめて青色申告に挑戦する方は、少し難しそうに感じるかもしれませんが、一つずつステップを踏んでいけば大丈夫です。
フリーランスや個人事業主が知るべき青色申告の特徴
フリーランスや個人事業主にとって、青色申告は事業を有利に進めるための強力な武器となります。
その特徴は多岐にわたりますが、特に注目すべきは「青色申告特別控除」です。
一定の要件を満たすことで、最大65万円もの所得控除を受けることができ、課税所得を大幅に減らすことが可能です。
これは、白色申告にはない大きなメリットです。
また、青色申告では、事業で生じた赤字を翌年以降3年間にわたって繰り越して、黒字と相殺することができ、業績が不安定な時期でも税負担を軽減できる可能性があります。
さらに、家族を従業員として雇っている場合、支払った給与を必要経費として計上できる「青色事業専従者給与」という制度もあり、家族の生活を支えながら節税もできるという、フリーランスや個人事業主ならではのメリットと言えます。
さまざまな特典を活用することで、手元に残るお金を増やし、事業の再投資や生活の安定につなげることができます。
青色申告は、単なる確定申告の方法というだけでなく、事業の成長をサポートする制度と言えるでしょう。
自分が「青色申告」か「白色申告」かわからない場合の確認方法
自分が青色申告で申告すべきか、それとも白色申告なのか迷う方もいるかもしれません。
最も確実な確認方法は、過去の確定申告書の控えを確認することです。
確定申告書の第一表にある「所得の種類」の欄に「事業所得(青色申告)」と記載されていれば、あなたは青色申告を行っています。
一方、「事業所得」とだけ記載されている場合は、白色申告である可能性が高いです。
また、税務署から送られてくる書類にも手がかりがあります。
青色申告を行っている場合は、税務署から青色申告に関する案内や書類が送られてくることがあります。
もし、そのような書類が届いていれば、青色申告者として登録されている可能性が高いです。
過去の申告書の控えが見当たらない場合や、税務署からの書類がない場合は、管轄の税務署に直接問い合わせるのが確実です。
電話や窓口で、過去の申告状況について確認することができます。
また、税理士に相談することも有効な手段です。
税理士は、あなたの状況に合わせて適切な申告方法をアドバイスしてくれます。
白色申告とは?青色申告との違いを比較
白色申告の基本と特徴をわかりやすく解説
白色申告は、青色申告に比べて簡易的な帳簿付けで済む確定申告の方法です。
複雑な複式簿記の必要がなく、単式簿記と呼ばれる比較的簡単な方法で日々の収入や経費を記録します。
これは、経理の知識があまりない方や、事業規模が比較的小さい方にとっては取り組みやすい申告方法と言えるでしょう。
白色申告の主な特徴は、手続きが簡単なことです。
青色申告のように、事前に税務署に承認申請書を提出する必要もありません。
確定申告の時期になれば、収入と必要経費をまとめて申告書を作成し、提出するだけで完了します。
ただし、白色申告には、青色申告のような税制上の優遇措置はほとんどありません。
例えば、青色申告特別控除のような大きな所得控除はなく、赤字の繰り越し制度や青色事業専従者給与の経費計上も認められていません。
白色申告は、あくまでシンプルな申告方法であり、節税効果を期待することは難しいと言えます。
青色申告と白色申告のメリット・デメリット比較
項目 | 青色申告 | 白色申告 |
---|---|---|
帳簿付け | 複式簿記(やや複雑) | 単式簿記(比較的簡単) |
特別控除 | 最大65万円の青色申告特別控除あり (一定の要件を満たす必要あり) | なし |
赤字の繰り越し | 最長3年間の繰り越し可能 | 不可 |
青色事業専従者給与 | 一定の要件のもと、 家族への給与を経費として計上可能 | 不可 |
事前申請 | 必要 (青色申告承認申請書の提出) | 不要 |
手続きの簡便さ | やや複雑 | 比較的簡単 |
税制上の優遇措置 | 豊富 | 少ない |
こんな人におすすめ | ・ある程度の事業規模があり、節税効果を重視 ・複式簿記に抵抗がない | ・事業規模が比較的小さい ・経理の知識があまりない ・手続きの簡便さを重視 |
この表からもわかるように、青色申告と白色申告は、帳簿付けの手間や税制上のメリット・デメリットが大きく異なります。
どちらを選ぶかは、事業の規模や経理の知識、節税への意識などによって変わってきます。
結局どっちがお得なのか?選び方とポイント
「結局、青色申告と白色申告のどちらがお得なの?」これは多くの方が抱く疑問でしょう。
一概にどちらが得とは言えませんが、一般的には、ある程度の所得がある方や、節税を積極的に行いたい方には青色申告が有利になることが多いです。
特に、最大65万円の特別控除は、課税所得を大きく減らす効果があります。
一方、事業をはじめたばかりで収入が少ない方や、経理作業に時間をかけたくない方にとっては、手続きが簡単な白色申告が適しているかもしれません。
ただし、事業が成長し、所得が増えてくると、青色申告による節税メリットの方が大きくなる可能性があります。
選び方のポイントとしては、まずご自身の事業規模や所得の見込みを考慮することです。
また、帳簿付けにどれくらいの時間を割けるか、経理の知識があるかどうかも重要な要素です。
もし、複式簿記に不安がある場合は、会計ソフトなどを活用することも検討してみましょう。
将来的には青色申告に移行したいと考えている場合でも、まずは白色申告からはじめて、事業の状況に合わせて徐々に青色申告の準備を進めるという方法もあります。
大切なのは、ご自身の状況をしっかりと把握し、最適な申告方法を選ぶことです。
青色申告・白色申告それぞれの必要書類と作成方法

確定申告書や帳簿など必要な書類の一覧
確定申告に必要な書類は、青色申告と白色申告で異なります。
書類名 | 青色申告 | 白色申告 |
---|---|---|
確定申告書B | 所得金額や所得控除、税額などを記載する基本的な書類 | 青色申告と同様 |
青色申告決算書 | 事業所得に関する収支内訳や貸借対照表などを記載する書類 複式簿記で記帳している場合はこの書類が必要 簡易簿記の場合は、収支内訳書を使用 | - |
収支内訳書 | - | 年間の収入や経費の内訳を記載する書類 |
各種所得控除に関する書類 | 生命保険料控除証明書、医療費控除の明細書など、所得控除を受けるために必要 | 青色申告と同様 |
本人確認書類 | マイナンバーカードや運転免許証のコピーなどが必要 | 青色申告と同様 |
青色申告の方が、提出する書類が多く、特に青色申告決算書の作成には複式簿記の知識が必要になります。
帳簿作成や記帳のやり方を解説
青色申告における帳簿作成は、複式簿記が原則となります。
複式簿記では、一つの取引を複数の側面から記録し、「借方」と「貸方」という2つの要素を使って記載します。
最初は難しく感じるかもしれませんが、会計ソフトを利用することで比較的簡単に行うことができます。
主な帳簿としては、「仕訳帳」や「総勘定元帳」などがあります。
仕訳帳は、日々の取引を発生順に記録する帳簿で、総勘定元帳は、勘定科目ごとに取引をまとめた帳簿です。
これらの帳簿を作成することで、事業の財政状況や経営成績を正確に把握することができます。
一方、白色申告の場合は、単式簿記での記帳が認められています。
単式簿記は、家計簿のようなイメージで、収入と支出を記録する簡単な方法です。
収入金額や必要経費を日付順に記録する「法定帳簿」と、それ以外の帳簿(任意)を作成・保存する必要があります。
どちらの申告方法を選ぶにしても、日々の取引を正確に記録することが重要です。
領収書や請求書などの証拠書類はきちんと保管し、定期的に帳簿に記帳する習慣をつけましょう。
書類の提出方法(e-Tax・郵送・窓口)
作成した確定申告書やその他の必要書類は、以下のいずれかの方法で税務署に提出します。
e-Tax(電子申告) | ・インターネットを通じてオンラインで申告・提出する方法 ・自宅やオフィスから手軽に手続きができ、郵送の手間や税務署の窓口に行く必要なし ・マイナンバーカードとICカードリーダー、またはe-Taxに対応したスマートフォンなどが必要 |
郵送 | ・作成した書類を封筒に入れ、管轄の税務署に郵送する方法 ・信書に該当するため、宅配便などは利用できない |
税務署の窓口 | ・作成した書類を管轄の税務署の窓口に直接持参する方法 ・その場で内容の確認や質問をすることができるが混雑している場合もあり |
e-Taxを利用すると、青色申告特別控除額が最大65万円になるための要件の一つを満たすことができます。
また、還付金がある場合は、郵送よりも早く受け取れることが多いというメリットもあります。
ご自身の環境や状況に合わせて、最適な提出方法を選びましょう。
青色申告に必要な特別控除と控除額の最大65万円の要件
青色申告特別控除とは?基礎知識をわかりやすく解説
青色申告特別控除とは、青色申告で確定申告を行う納税者が受けられる所得控除のことです。
この控除額には、10万円、55万円、65万円の3つの区分があり、適用される要件によって控除額が変わります。
この特別控除は、白色申告にはない青色申告の大きなメリットの一つであり、課税所得を減らし、節税効果を高めることができます。
特に、最大65万円の控除は、節税効果が非常に大きいため、多くのフリーランスや個人事業主が目指すところです。
この控除を受けるためには、一定の要件を満たす必要があり、日々の帳簿付けや確定申告の方法が重要になります。
青色申告特別控除は、事業所得、不動産所得、山林所得がある方が対象となります。
これらの所得があれば、青色申告を行うことで、所得金額から一定額を差し引くことができるのです。
特別控除額の条件と最大にするためのポイント
青色申告特別控除で最大65万円の控除を受けるためには、以下のすべての要件を満たす必要があります。
1.不動産所得または事業所得を生ずべき事業を行う方であること。
2.正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳していること。※1
3.上記2の記帳に基づいて作成された貸借対照表および損益計算書を確定申告書に添付して、確定申告期限内に提出すること。
4.e-Tax(電子申告)により確定申告を行う、または電子帳簿保存を行っていること。
※1日々の取引を借方と貸方の両面から記録し、総勘定元帳や仕訳帳を作成していることを意味します。
これらの要件を満たすことで、65万円の特別控除を受けることができます。
会計ソフトを利用することで、複式簿記での記帳や貸借対照表、損益計算書の作成、e-Taxによる申告が比較的容易になります。
55万円の控除を受ける場合は、上記1、2、3の要件を満たせば、e-Taxによる申告や電子帳簿保存は必須ではありません。
10万円の控除は、複式簿記での記帳を行っていない場合でも、簡易的な帳簿(単式簿記など)に基づいて確定申告を行う場合に適用されます。
最大65万円の控除を目指すのであれば、日々の正確な記帳はもちろんのこと、e-Taxを利用した申告、または電子帳簿保存に取り組むことが重要になります。
事前申請・承認申請や手続きの流れ
青色申告を行うためには、事前に税務署に「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
この申請書の提出期限は、新たに事業を開始した場合や、白色申告から青色申告に変更する場合は、原則としてその年の3月15日までです。
年の途中で事業を開始した場合は、事業開始日から2ヶ月以内が提出期限となります。
申請書は、税務署の窓口で入手するか、国税庁のWebサイトからダウンロードすることができます。
必要事項を記入し、管轄の税務署に提出(窓口への持参または郵送)します。
申請書を提出後、税務署で審査が行われ、承認されると青色申告を行うことができるようになります。
特に連絡がない場合は、通常承認されたとみなされ、承認されなかった場合はその旨の通知が届きます。
青色申告を継続して行う場合は、毎年の申請は不要で、一度承認されれば、その後も青色申告で確定申告を行うことができます。
ただし、事業の内容が大きく変わった場合など、再度申請が必要になるケースもあります。
青色申告・白色申告の会計ソフト・クラウド活用方法

freeeやマネーフォワード・弥生など会計ソフト比較
近年、確定申告を効率的に行うために、会計ソフトやクラウド会計サービスを利用する方が増えています。
代表的なサービスとしては、「freee会計」「マネーフォワード クラウド会計」「弥生会計オンライン」などがあります。
freee会計
初心者にも使いやすいシンプルなインターフェースが特徴です。銀行口座やクレジットカードと連携することで、取引データを自動で取得し、仕訳を提案してくれる機能が充実しています。青色申告に必要な複式簿記にも対応しており、確定申告書の作成もスムーズに行えます。
マネーフォワード クラウド会計
こちらも銀行口座やクレジットカードとの連携機能が充実しており、多様な金融機関との連携機能に加え、請求書の発行や経費精算など、バックオフィス業務を幅広くサポートする機能が特徴です。freee会計と同様に、青色申告に必要な帳簿や決算書の作成、e-Tax連携も可能です。
弥生会計オンライン
長年の実績と信頼がある弥生シリーズのクラウド版です。会計の知識がある方にとっては、より細かく設定できる点が魅力です。サポート体制も充実しており、安心して利用できます。青色申告に必要な機能も網羅しており、特に会計事務所との連携がしやすいという特徴もあります。
これらの会計ソフトを選ぶ際には、ご自身の会計知識のレベル、事業規模、必要な機能、そして予算などを考慮することが重要です。
多くのサービスで無料プランや無料お試し期間が用意されているため、実際に試してみて使いやすいものを選ぶのがおすすめです。
自動で記帳・入力できるおすすめの使い方
会計ソフトやクラウド会計サービスの大きなメリットの一つが、取引データの自動取得と自動仕訳機能です。
銀行口座やクレジットカード、電子マネーなどの情報を連携させることで、日々の入出金明細が自動的にソフトに取り込まれ、AIが勘定科目を推測して自動で仕訳してくれます。
手入力の手間が大幅に削減され、記帳ミスも減らすことができます。
おすすめの使い方としては、まず事業用の銀行口座とクレジットカードを会計ソフトに連携させることです。
これにより、事業に関わるお金の流れがほぼ自動的に記録されます。
また、Amazonや楽天市場などのECサイトの売上データや、SquareやAirPayなどの決済サービスのデータも連携できる場合があるので、活用しましょう。
領収書や請求書などの紙の書類は、スキャナーやスマートフォンのカメラで読み取り、画像データとして会計ソフトに保存・連携させる機能も便利です。
OCR(光学文字認識)機能により、日付や金額などの情報が自動で読み取られ、記帳の手間を省けます。
定期的に連携状況を確認し、自動仕訳された内容に誤りがないかチェックすることで、より正確な帳簿を作成することができます。
これらの機能を活用することで、簿記の知識が少ない方でも、効率的に日々の記帳を行うことが可能になります。
クラウド会計での提出や管理の手間軽減方法
クラウド会計ソフトを利用する最大のメリットの一つは、確定申告書の作成から提出までをオンラインで完結できる点です。
多くのクラウド会計ソフトはe-Taxと連携しており、作成した確定申告書データをそのままオンラインで送信することができます。
税務署への郵送や窓口への持参といった手間が省け、時間と労力を大幅に節約できます。
また、クラウド上にデータが保存されるため、パソコンが故障した場合でもデータが消失する心配がありません。
いつでもどこからでもアクセスできるため、外出先や移動中でも経理作業を行うことができます。
さらに、クラウド会計ソフトは、税制改正や法改正にも自動で対応してくれるため、常に最新の税法に基づいた処理を行うことができます。
バックアップも自動で行われるため、データ管理の負担も軽減されます。
顧問税理士がいる場合は、クラウド会計ソフトを通じて税理士とリアルタイムでデータを共有し、アドバイスを受けることも可能です。
より専門的な視点からのサポートを受けながら、正確な確定申告を行うことができます。
青色申告・白色申告で必要な経費・控除・関連費
どんな経費や関連費が計上できるか?
確定申告において、売上を得るために直接的または間接的にかかった費用は「必要経費」として計上することができます。
適切に経費を計上することで、所得金額を減らし、課税対象額を抑えることができます。
主な経費としては、以下のようなものが挙げられます。
費目 | 内容の例 |
---|---|
人件費 | 従業員やアルバイトへの給与、外注費など |
地代家賃 | オフィスや店舗の賃料 |
水道光熱費 | オフィスや店舗で使用する電気代、ガス代、水道代 |
通信費 | 電話代、インターネット回線使用料、郵送費 |
旅費交通費 | 出張費、通勤費、会議のための交通費 |
接待交際費 | 取引先との飲食代、贈答品代 |
広告宣伝費 | チラシ作成費、ウェブサイト運営費、広告掲載料 |
消耗品費 | 文房具、事務用品、10万円未満の備品 |
修繕費 | オフィスや設備の修理費用 |
租税公課 | 固定資産税、事業税など(※所得税や住民税は経費対象外) |
損害保険料 | 事業に必要な保険料 |
減価償却費 | 建物や車両、機械設備など、固定資産の価値の減少分 |
これらの経費として認められるためには、事業に関連する支出であることを明確にする証拠書類(領収書、請求書、契約書など)を保管しておく必要があります。
家族(専従者)や家事関連費の扱い方
青色申告では、「青色事業専従者給与」として、生計を一にする配偶者や親族に支払った給与を必要経費として計上することができます。
ただし、以下の要件を満たす必要があります。
- 青色申告者と生計を一にする配偶者や親族であること
- その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること
- その事業に常時従事していること
- 事前に「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出していること
- 実際に支払われた給与の金額が、その業務の内容や従事の程度から見て相当であること
白色申告の場合、配偶者控除や扶養控除はありますが、家族への給与を経費として計上することは原則としてできません。
また、自宅兼事務所の場合など、プライベートな支出と事業に必要な支出が混在する「家事関連費」についても、一定の要件を満たせば経費として一部を計上することができます。
例えば、水道光熱費や通信費、家賃などについて、事業に必要な割合を合理的に説明できる場合に、その割合に応じた金額が経費として認められます。
減価償却費・貸倒引当金など特例経費の計上方法
青色申告では、白色申告にはない特例的な経費を計上することができます。
減価償却費
建物、機械装置、車両運搬具などの固定資産は、年々価値が減少していくため、その減少分を「減価償却費」として経費に計上します。青色申告では、一定の要件を満たす中小企業者等について、取得価額が30万円未満の減価償却資産を一括で経費計上できる特例(少額減価償却資産の特例)があります。
貸倒引当金
事業を行っていると、売掛金などが回収できなくなるリスクがあります。青色申告では、将来の貸倒れに備えて、一定の金額を「貸倒引当金」として経費に繰り入れることができます。これにより、実際に貸倒れが発生した際の損失を平準化することができます。
これらの特例的な経費を計上するには、一定の計算方法や帳簿への記載方法を守る必要があります。
会計ソフトを利用すると、これらの計算や仕訳を自動で行ってくれるため、便利です。
青色申告の対象者・どんな人ができる?
個人事業主や副業・不動産所得者の対象要件
青色申告は、以下の所得がある方が行うことができます。
- 事業所得:物品の販売、サービスの提供など、事業から生じる所得
- 不動産所得:不動産の賃貸などから生じる所得
- 山林所得:山林の伐採・譲渡などから生じる所得
したがって、個人事業主はもちろん、副業として事業を行っている方や、アパートやマンションなどを賃貸して不動産所得を得ている方も、青色申告の対象となります。
ただし、青色申告を行うためには、事前に税務署に「青色申告承認申請書」を提出し、承認を得る必要があります。
また、原則として、正規の簿記の原則(複式簿記)に基づいて帳簿を作成し、その帳簿に基づいて確定申告を行う必要があります。
簡易的な帳簿(単式簿記)による申告も可能ですが、その場合は青色申告特別控除額が10万円に限定されます。
所得・年収・年間収入が未満の場合の対応
青色申告を行うための所得や年収、年間収入の金額に制限はありません。
たとえ所得が少ない場合や、赤字の場合でも、青色申告を行うことは可能です。
むしろ、所得が少ない場合や赤字の場合にこそ、青色申告のメリットを活かすことができる場合があります。
例えば、青色申告では、事業で生じた赤字(純損失)を翌年以降3年間にわたって繰り越して、黒字と相殺することができます。
これにより、将来的に所得が増えた場合に、過去の赤字と相殺して税負担を軽減することができます。
また、所得が少ない場合でも、青色申告特別控除を受けることで、課税所得をさらに減らすことができます。
したがって、「所得が少ないから白色申告でいいや」と安易に判断するのではなく、将来的な事業の成長や節税効果を考慮して、青色申告を選択することも検討する価値があります。
個人か法人で違いはあるのか?
青色申告は、主に個人事業主が行う確定申告の方法です。
法人の場合は、「法人税」の申告となり、個人の所得税の確定申告とは異なる手続きとなります。
法人の場合も、青色申告の承認を受けることで、税制上のさまざまな優遇措置を受けることができます。
法人の青色申告では、個人の青色申告と同様に、正規の簿記の原則に基づいて帳簿を作成し、決算書(貸借対照表、損益計算書など)を作成する必要があります。
また、法人税の確定申告書とともに、これらの決算書を税務署に提出します。
個人の青色申告と法人の青色申告では、適用される税法や控除の種類、申告書の様式などが異なります。
法人の場合は、税務や会計に関する専門知識が必要となるため、税理士などの専門家のアドバイスを受けることが一般的です。
デメリットや注意点・青色申告なのに白色申告で提出する場合
青色事業専従者や申告ミスによる影響
青色申告には多くのメリットがある一方で、注意すべき点もあります。
まず、「青色事業専従者給与」を計上する場合、事前に税務署に届出書を提出する必要があり、実際に支払った給与額が適正であると認められる必要があります。
不相当な高額な給与を計上した場合、経費として認められない可能性があります。
また、青色申告は、白色申告に比べて帳簿付けが複雑になるため、記帳ミスが発生しやすいという側面もあります。
帳簿の記載内容に誤りがあった場合、税務署から指摘を受け、修正申告が必要になることがあります。
悪質な場合には、加算税や延滞税が課される可能性もあります。
確定申告書の作成においても、記載漏れや計算ミスがないように注意が必要です。
特に、青色申告特別控除の適用要件を満たしているかどうかは、しっかりと確認する必要があります。
両方提出した場合・青色申告の承認取り消し時の対応
誤って青色申告書と白色申告書の両方を提出してしまった場合、基本的には青色申告書が有効となります。
ただし、税務署から内容について確認が入る可能性があります。
二重提出は混乱を招くため、避けるべきです。もし誤って両方提出してしまった場合は、速やかに管轄の税務署に連絡し、状況を説明しましょう。
また、過去の確定申告の内容に不備があった場合や、帳簿の記載方法が不適切であると税務署が判断した場合などには、青色申告の承認が取り消されることがあります。
承認が取り消されると、その年以降は白色申告で確定申告を行うことになります。
青色申告の承認が取り消された場合は、税務署からその旨の通知が届きます。
もし、承認の取り消し理由に納得がいかない場合は、税務署に異議申し立てをすることができます。
申告・提出期限や提出書類の保存期間に注意
確定申告の申告・提出期限は、原則として毎年2月16日から3月15日までです。
期限を過ぎてしまうと、加算税や延滞税が課される可能性があるため、必ず期限内に申告・提出を行いましょう。
e-Taxを利用する場合は、提出期限の最終日の23時59分まで提出が可能です。
また、提出した確定申告書や、帳簿、領収書などの証拠書類は、一定期間保存する義務があります。
青色申告の場合は、原則として7年間(繰越欠損金が生じた事業年度は10年間)、白色申告の場合は5年間の保存が必要です。
これらの書類は、税務調査が行われた際に提示を求められることがあるため、きちんと整理して保管しておきましょう。
節税や還付・節税効果を最大限活用する方法
青色申告の節税メリットとデメリット解説
青色申告の最大のメリットは、節税効果が高いことです。
最大65万円の青色申告特別控除をはじめ、赤字の繰り越し、青色事業専従者給与の経費計上など、白色申告にはない多くの税制上の優遇措置があります。
これらの特典を最大限に活用することで、課税所得を減らし、納税額を抑えることができます。
一方、青色申告のデメリットとしては、帳簿付けが複式簿記となるため、白色申告に比べて事務作業が増えることです。
簿記の知識がない場合は、会計ソフトの導入や学習が必要になることがあります。
しかし、近年では、使いやすい会計ソフトやクラウド会計サービスが登場しており、簿記の知識がなくても比較的簡単に青色申告を行うことができるようになっています。
初期投資や学習コストはかかるかもしれませんが、長期的に見ると、節税効果の方が大きい場合が多いと言えるでしょう。
実際の節税効果や還付があるケース
青色申告による節税効果は、所得金額や適用できる控除額によって異なります。
例えば、課税所得が300万円の方が65万円の青色申告特別控除を受けた場合、所得税率が10%だとすると、年間で6万5千円の節税になります。所得が高くなるほど、節税効果も大きくなります。
また、源泉徴収されている所得がある場合や、予定納税を行っている場合に、年間の所得金額や控除額を計算した結果、納め過ぎた税金がある場合は、確定申告によって還付を受けることができます。
青色申告を行うことで、より多くの控除を適用できる可能性があるため、還付金が増えるケースも考えられます。
例えば、医療費控除や生命保険料控除などの所得控除に加えて、青色申告特別控除を適用することで、課税所得が減り、結果的に還付金が増えることがあります。
赤字(純損失)の場合の繰越・相殺特例
青色申告の大きなメリットの一つに、事業で生じた赤字(純損失)を翌年以降3年間にわたって繰り越して、その年の黒字と相殺できる制度があります。
これにより、業績が不安定な時期でも、税負担を軽減することができます。
例えば、今年100万円の赤字が出た場合、翌年以降3年間の間に50万円の黒字が出たとすると、その50万円と過去の赤字50万円を相殺し、残りの50万円の黒字に対してのみ課税されます。
また、純損失が生じた年には、前年分の所得税額を上限として還付を受けることができる「純損失の繰り戻し還付」という制度もあります(一定の要件を満たす必要があります)。
これらの特例を活用することで、事業の安定化を図り、税金面でのリスクを軽減することができます。
青色申告に関するよくある質問と疑問
Q1. 青色申告をするには、必ず複式簿記で記帳しなければいけませんか?
A. いいえ、簡易的な帳簿(単式簿記など)での記帳でも青色申告は可能ですが、その場合の青色申告特別控除額は10万円に限定されます。
65万円または55万円の特別控除を受けるためには、原則として複式簿記での記帳が必要です。
Q2. 青色申告承認申請書の提出期限を過ぎてしまった場合、どうなりますか?
A. 原則として、その年は白色申告で確定申告を行うことになります。
青色申告は、翌年以降からとなりますので、改めて期限内に青色申告承認申請書を提出する必要があります。
Q3. 会計ソフトを使わなくても青色申告はできますか?
A. はい、会計ソフトを使わずに、手書きの帳簿やExcelなどで帳簿を作成し、確定申告書を作成することも可能です。
ただし、複式簿記での記帳や決算書の作成には、簿記の知識が必要になります。
会計ソフトを利用することで、これらの作業を効率化し、ミスを減らすことができます。
Q4. 副業でも青色申告はできますか?
A. はい、副業による事業所得、不動産所得、山林所得がある場合も、青色申告を行うことができます。
本業と副業の所得を合算して確定申告を行います。
Q5. 青色申告は税務署に目をつけられやすい?
A. 青色申告は、適正な帳簿に基づいて行う申告方法であり、白色申告よりも税務署からの信頼性が高いと言えます。
むしろ、不正確な白色申告の方が税務調査の対象になりやすい可能性があります。
Q6. 青色申告は手続きが非常に難しい?
A. 確かに、白色申告に比べると帳簿付けは複雑になりますが、会計ソフトやクラウド会計サービスの普及により、以前よりもずっと簡単に青色申告ができるようになっています。
Q7. 赤字がない場合は青色申告のメリットはない?
A. いいえ、赤字がない場合でも、青色申告特別控除を受けることで所得を減らし、課税対象額を抑えることができます。
また、青色事業専従者給与の計上など、節税につながるメリットがあります。
初心者向けのアドバイス
はじめて青色申告に挑戦する方は、まず青色申告の基本的な仕組みやメリットを理解することからはじめましょう。
そして、ご自身の事業規模や経理の知識に合わせて、会計ソフトの導入を検討することをおすすめします。
多くの会計ソフトには、無料プランや無料お試し期間があるので、実際に使ってみて使いやすいものを選ぶと良いでしょう。
日々の取引は、できるだけこまめに記帳する習慣をつけましょう。
領収書や請求書などの証拠書類はきちんと保管し、後で見返せるように整理しておくことが大切です。
もし、帳簿付けや確定申告書の作成に不安がある場合は、税理士などの専門家に相談することも有効な手段です。
専門家のアドバイスを受けることで、正確な申告を行うことができ、節税のポイントなども教えてもらうことができます。
焦らずに、一つずつステップを踏んでいけば、青色申告は決して難しいものではありません。
青色申告を味方につけて、あなたのビジネスをさらに発展させていきましょう。
まとめ
この記事では、青色申告とは何か、白色申告との違い、青色申告のメリット・デメリット、必要な手続きや書類、そして節税効果について詳しく解説しました。
青色申告は、帳簿付けがやや複雑になるものの、最大65万円の特別控除や赤字の繰り越しなど、税制上の大きなメリットがあります。
フリーランスや個人事業主の方にとって、これらの特典を活用することは、手元に残るお金を増やし、事業の成長を後押しする上で非常に重要です。
はじめて青色申告に挑戦する方は、会計ソフトの利用を検討したり、税理士などの専門家に相談したりしながら、一歩ずつ準備を進めていくことをおすすめします。
本コラムを参考に、青色申告を正しく理解し、適切に活用することは、あなたのビジネスをさらに発展させるための力強い味方となるでしょう。
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