今回の記事ではフリーランスのマイナンバー提出が必要な場面を解説していきます。

マイナンバーの拒否可能な場面や支払調書にマイナンバーが必要なケースも取り上げています。

マイナンバーは身近な存在ですが実はあまり詳しくは知らないという方も多いのではないでしょうか。

知らなかったでは済まされないマイナンバー事情なども紹介していますので是非最後までお読み下さい。

それではフリーランスのマイナンバーが必要な場面からはじめます。


フリーランスのマイナンバー提出が必要な4つの場面

フリーランスがマイナンバーを提出する4つの場面をまとめておきます。


1.確定申告をする場合

確定申告書を提出する際マイナンバーの記載が必要となります。

仕事の受注先の「支払調書」との照合を容易に済ませるためにマイナンバーの記載が必要となるためです。

行政側としては管理がしやすく便利な制度となっています。

申告者のマイナンバー記載によって行政側は申告漏れや申告の間違いが容易に判断できるようになります。

そのためフリーランスはこれらの申告作業を注意深く行うことが大切になります。


2.仕事を受注して報酬をもらった場合

仕事を受注して報酬をもらった場合において発注者は税務上の処理のため税務署に提出する「支払調書」を書く必要があります。

発注者が報酬の支払内容を記載した「支払調書」を税務署に提出する際に受注者のマイナンバーが必要になります。

税務署は「支払調書」に記載のマイナンバーとフリーランスが提出した「確定申告書」を照らし合わせ双方の照会を行います。

この「支払調書」と「確定申告書」の照会を簡潔に行うためマイナンバーが必要になっています。

マイナンバーを提出する際は免許証や保険証などの「本人確認」も必要となります。

このことによりマイナンバーを許可なく提出する人への防衛手段となっています。

マイナンバーカードの提出であれば「本人確認」は必要なくなります。

マイナンバーカードがあれば「住民票の写し」や「印鑑証明」が必要になった場合コンビニを利用して取得できます。


3.仕事を発注して報酬を支払った場合

仕事を発注した場合は発注した側が「源泉徴収者」となります。

この場合「源泉徴収者」は仕事を受注した者のマイナンバーを「支払調書」に記載する必要があります。

しかし「源泉徴収者」でない場合はその義務はありません。

自分ひとりでフリーランスとして働いている場合は「源泉徴収者」ではないので「支払報告書」を作成する必要はありません。

仕事を受注した側が法人の場合は「法人番号」を記載します。

「法人番号」はインターネット上に公開されていますので確認して記載します。

仕事を受注した側がフリーランスの場合はマイナンバーを直接教えてもらうことになります。


4.従業員を雇っている場合

フリーランスで従業員を雇っている場合は従業員本人だけでなく扶養している家族のマイナンバーの提出も必要になります。

給与支払報告書・源泉徴収票・社会保険関連の被保険者資格取得届などを提出する際にもマイナンバーの記載が必要となります。

マイナンバーは法律や条例で定められた手続きにのみ使用することが許されます。

そのためそれら以外でマイナンバーの提出を求めたり・収集したり・保管したりすることは許されません。


マイナンバーとマイナンバーカードの違い

マイナンバーの提出が必要な場合は「本人確認」が必要になります。

そのため通知カード(マイナンバー)と身元が確認できる免許証かパスポートが必要になります。

個人番号カード(マイナンバーカード)があれば「本人確認」は必要なくなります。

通知カード(マイナンバー)は「本人確認」が必要
個人番号カード(マイナンバーカード)は「本人確認」が不要

このように覚えておいて下さい。


通知カードの本人確認は2種類

通知カード(マイナンバー)の場合の2種類の本人確認方法をまとめておきます。


1.顔写真ありの本人確認書類

顔写真ありの本人確認書類は下記の5種類になります。

1.各種運転免許証
2.パスポート
3.在留カード
4.外国人登録証明書
5.住民基本台帳カード

上記5種類の中から1種類の本人確認書類が必要になります。


2.顔写真なしの本人確認書類

顔写真なしの本人確認書類は下記の4種類になります。

1.各種健康保険証
2.住民票
3.年金手帳
4.印鑑登録証明書

上記4種類の中から2種類の本人確認書類が必要になります。

【注意】本人確認書類は氏名・住所・生年月日の記載があるものに限られています。


マイナンバー提出が拒否可能な場合とは?

フリーランスがマイナンバー提出の拒否可能な場合の条件は受け取った報酬などの金額によって決まります。

フリーランスがマイナンバー提出の拒否可能な場合の報酬などの金額をまとめておきます。


報酬などの金額が5万円以下の場合

芸能プロダクションを営む個人や芸能人に支払う報酬または料金
原稿料または講演料
弁護士・公認会計士・司法書士などに支払う報酬または料金
プロ野球選手などへ一時に支払う契約金


報酬などの金額が50万円以下の場合

プロ野球選手・サッカー選手などに支払う報酬または料金
社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
バンケットホステス・コンパニオンなどに支払う報酬または料金
広告宣伝のための賞金
モデル・外交員・テニス選手などに支払う報酬または料金


報酬などの金額が75万円以下の場合

馬主に支払う競馬の賞金

報酬などを支払う側は上記の金額以上を支払った場合「支払調書」を税務署に提出しなければなりません。

しかし報酬などの金額が上記の範囲以下の場合税務署への「支払調書」の提出は不要になります。

「支払調書」の提出が不要な場合マイナンバー提出の拒否が可能となります。

その際は受け取った報酬・料金・賞金・契約金・原稿料・講演料・診療報酬が上記の範囲以下である必要があります。


フリーランスが頻繁にマイナンバーを使う理由

会社員は勤めている企業に入社した際マイナンバーを一度見せるだけでその後に提出する機会はほとんどありません。

それに比べフリーランスは担当案件によって複数の企業で働くためその都度マイナンバーを提出します。

これは企業側が税務上の手続きにを速やかに行うためのフリーランス側の「義務」となります。

これらの理由でフリーランスは正社員よりもマイナンバーを使う頻度が多くなります。


マイナンバー管理5つのポイント

マイナンバーを管理する上での5つのポイントをまとめておきます。


1.マイナンバーを紙や手帳にメモしない

マイナンバーをメモした際書いておいた紙や手帳を紛失したり忘れたりする可能性もあります。

更にはメモしている時に誰が見ているかわかりません。

最低限の注意は常にしておくべきです。


2.スマートフォンにマイナンバーをメモしない

スマートフォンを紛失したり忘れてしまった場合は大変危険です。

特に海外でそのような事態になった場合は早急に手を打たなければいけません。


3.提出先のセキュリティの確認

提出したマイナンバーがどのように管理されるのかは事前に確認した方がいいです。

提出した書類がデータで保存される場合はパソコンのセキュリティ対策が気になります。

事務所の棚や引き出しにしまわれる場合鍵の有無くらいは確認しておいた方がいいです。


4.提出先の担当者の確認

マイナンバーを提出する際は他の人には渡さず直接担当者に渡すべきです。

担当者以外の目には触れないようにしておくべきなのでメールやFAXなども使用しないようにします。


5.カードを持ち歩かない

通知カードや個人番号カードは普段は必要のないカードになります。

そのため免許証やポイントカードなどと一緒に財布に入れっぱなしにしない方がいいです。

必要な場合だけ持ち出し必要のない時は自宅などに大切に保管しておきます。


マイナンバーの漏洩について

誤ってマイナンバーを漏洩してしまった場合は罰則を受けることになります。

最も重いもので「4年以下の懲役か200万円以下の罰金またはその両方」となります。

マイナンバーの漏洩には気をつけることが大切です。


マイナンバーを記載しない場合の罰則について

先に触れたマイナンバー漏洩に関しては明確な罰則規定がありました。

  • マイナンバーを記載せず「法定調書」を作り提出してしまった場合はどうなるのでしょうか。
  • フリーランスや従業員がマイナンバー提出を拒んだ場合はどうなるんでしょうか。

これらについての罰則規定はどうなっているのでしようか。

ずばりその答えをいいますと「罰則規定はありませんが記載の義務はあります」ということになります。

マイナンバーの提出をお願いする側は提出を拒否している者に「提出を請求しそのことを記録しておく」としています。

更には「就業規則などに記載しておくこと」としています。

これもマイナンバーの提出拒否に対処するための1つの対策と言えます。


海外フリーランスが知っておくべきマイナンバー2つの注意点

海外で働くフリーランスが知っておくべきマイナンバーに関する2つの注意点をまとめておきます。


海外フリーランスがマイナンバーがないとできないこと

海外フリーランスの場合海外転出届を出した際同時に住民票も転出して働いている人がいます。

住民票も転出する理由としては国民年金や国民健康保険を支払わなくて済むからです。

海外で働きながら民間の海外保険を支払い更に国民年金や国民健康保険まで支払うことは大きな支出となります。

しかし日本国内に住民票がない時に困ることがあります。

それは「海外送金」なんです。

海外に拠点があっても収入は日本で発生する場合日本の銀行に振り込まれることになります。

日本の銀行から海外へ送金するにはマイナンバーが必要になります。

マイナンバーは「日本に住民票がある全ての人に発行される番号」になります。

このため住民票も転出している場合「海外送金」ができません。


海外フリーランスがマイナンバーを再取得する方法

海外送金をするためには日本で住民票登録をする必要があります。

日本に帰国し役所に行って書類を提出すれば住民票登録は完了で簡単にできます。

通知カードが3週間程で自宅に届くのでスマートフォンで通知カードを撮影し本人確認書類を取引銀行に送ります。

これで「海外送金」が可能になります。

海外でフリーランスを考えている方は覚えておいて下さい。

自治体によっては短期間の転居を断る場合がありますので事前に各自治体に確認を忘れないで下さい。


まとめ

いかがだったでしょうか。

フリーランスがマイナンバーを提出しなければいけない4つの場面をまとめておきます。

1.確定申告をする場合(「申告書」に記載)
2.仕事を受注して報酬をもらった場合(発注者の依頼により「支払調書」に記載)
3.仕事を発注して報酬を支払った場合(源泉徴収者の場合「支払調書」に記載)
4.従業員を雇っている場合(「必要な書類」に記載)

上記のようになっています。

マイナンバーを提出拒否するのが可能な場合は受取る報酬などの金額と「支払調書」提出の有無で決まります。

マイナンバーの提出は「義務」でありますが拒否をしても明確な罰則はありません

罰則がないからといって闇雲に提出を拒否することはおすすめできません。

雇用側が税務上の手続きに困り本来するべき業務以外のことで気を使うことになります。

そして雇用側や同僚との人間関係も今まで通りにはいかず働きにくい環境になっては誰も得をしません。

このようなことにならないようにマイナンバーの提出にはなるべく応じることが大切です。

闇雲にただ「義務」だからとマイナンバーを提出するのではなく「管理」も怠らないで下さい。

マイナンバー管理の5つのポイントは下記の通りでした。

1.マイナンバーを紙や手帳にメモしない
2.スマートフォンにマイナンバーをメモしない
3.提出先のセキュリティの確認
4.提出先の担当者の確認
5.カードを持ち歩かない

第三者の目に触れさせないセキュリティ管理情報を持ち出さないことがポイントとなります。
マイナンバーを記載しないことの罰則については「罰則規定はありませんが記載の義務はあります」となります。



海外のフリーランス(日本人)はマイナンバーがないと国内の銀行口座から「海外送金」ができず大変困ります。

「海外送金」をするには日本で住民票登録すれば可能になり若干日数はかかりますが簡単に手続きできます。

マイナンバーの提出を拒否している者には「提出を請求しそのことを記録しておく」としています。

更には「就業規則などに記載しておくこと」がマイナンバー提出拒否への対策となります。

誤ってマイナンバーを漏洩してしまった場合は「4年以下の懲役か200万円以下の罰金またはその両方」となります。

今回はフリーランスにおけるマイナンバーの解説でした。

知らないでは済まされない内容もありましたのでしっかり覚えておいて下さい。