日々変化していく社会で生きていく上で「メンタルヘルス」や「メンタルケア」の重要度が増しています。

常にストレスを抱えている人が多く、心身ともに健やかに生活するためにはメンタルケアに気を配る必要があります。

職種の多様化に伴ってフリーランスの人口は年々右肩上がりですが、生活の不安定さからメンタル状態が悪くなる人が多いのも事実です。

今回、フリーランスで働く方々のメンタルケア方法やストレスチェックなどについてご紹介します。

はじめに

メンタルヘルスを損なって心の病気になってしまうと、治療が長期に渡り本人にとっても辛く家族や周囲を巻き込んでしまいます。

また、フリーランスに限らず学生や主婦、会社員などの職種や環境に関係なく誰にでもなりうるところが心の病気の怖いところです。

しかし、ちょっとした心がけや日常生活に注意することで心の病気を防ぐことができます。


メンタルヘルスとは

メンタルヘルスとは直訳すると「心の健康」といい、心の健康状態のことや健康管理についての意味を持ちます。

心の健康と同時に「心の健康を回復させること」や「維持させること」も含んでいるようです。

そして更に、その「健康状態を増進させること」を意味する場合もあります。

心の病気とは主に、うつ病などの精神系疾患のことです。

うつ病などの心の病気を発症してしまうと、症状を完治させるまでに長い年月を要して治療もとても難しくなります。

重い心の病気を発症してしまう前に、しっかりと自分でケアをして「メンタルヘルスケア力」を身につけましょう。


メンタルヘルスケアが注目されている

仕事に対するストレスや、働き方の変化に伴ってうつ状態や心の健康を損なう人々が近年増加傾向にあります。

そのことを背景に厚生労働省では、労働安全衛生法を改正して「職場におけるメンタルヘルスケア対策の推進」の内容を盛り込むことに決めました。

そのため企業ではメンタルヘルスに関するチェックや、産業医との面談の実施などでメンタル不調の早期発見に努めています。

これは、一人ひとりのメンタルヘルスをケアしていくことが健康に働いていく上で最も重要視されているからです。

この他にも労働時間が長時間になっていないか、仕事の分担は適切なのかなども検証して確認します。

適度な休憩や、休暇が取れるような「働きやすい職場環境作り」に取り組むことがメンタルヘルスの悪化を防いでいます。


フリーランスはメンタル不調になりやすい

会社の場合は、社内の規則に沿って常に管理された状態にあります。

しかし、フリーランスの場合は働き方が自由なので自分自身でこれら全てを管理していくことが必要です。

そのため、しっかりとした自己管理が出来ていないとメンタル不調になりやすい傾向にあります。

メンタル不調となってしまう原因として、次のようなことが挙げられます。


常に感じる孤独や不安

フリーランスだと家の外に出ず、人との会話をしなくても仕事ができてしまいます。

そのためコミュニケーションをとることなどの、人同士の関わりが極端に減ってしまうため「孤独感」を感じることが多くなります。

また、仕事に関する責任も全て自分が負わなければなりません。

上手くいかず思うようにできなかったことの対処をしながら、自分のメンタルをコントロールしていく力が必要です。

うまくコントロールできないと、思った以上に自分を責めてしまい「ストレスや不安感」となる原因になってしまいます。


労働時間の自己管理

自由な時間に仕事ができるフリーランスは、毎日の労働時間も自分で管理しなければなりません。

会社に勤めていれば、長時間労働になっている場合は会社の責任です。残業や所定内労働時間の管理も会社がしてくれます。

しかしフリーランスの場合は勤務時間を自分で決めれるので、納期の迫った時期は夜間まで長時間業務をこなして無理をしてしまうことも。

忙しい時期の仕事分担やサポートして貰える環境にある会社と違って、こなせる仕事配分などの働き方を自分で計画して考えていく必要があります。


不規則な生活

自由なフリーランスの生活は、食生活が乱れたり睡眠時間が不規則になったりしがちです。

好きな時間に食事をして、遅くに寝て起きる生活になると昼と夜が逆転します。

その結果、不規則になった生活によって全身状態の悪化が段々と悪化し、疲労感がでてきます。

このような不規則な生活を2~3か月続けていると、健康面からメンタル不調となって調子が悪くなってくるようです。


不安定な収入

会社勤めであれば、きちんと勤務時間に出勤している正社員は毎月必ずお給料がもらえます。

しかし、フリーランスだと仕事の依頼を受けてできあがったものだけが収入に繋がります。

そのため、仕事がきちんと獲得できなければ収入が全く無い状態になり、安定したお金を得ることができません。

クライアントとの信頼関係を築いて、お互いに安心して仕事のやり取りができるようになるまでには不安などで精神的に苦しく感じます。


メンタル不調の初期症状とは

メンタル不調になってしまうと、様々な症状がでてきます。

症状は多様なため、全てではありませんが大きく分けてこれらの4種類に分けることができます。

それぞれの一部をご紹介します。ここでもし、当てはまるものがあれば「メンタル不調初期症状の要注意サイン」です。


身体的な不調

  • 寝付こうとしても眠れなくてすぐに起きて寝不足になりがち
  • 食事が進まず、美味しく感じない
  • 身だしなみに気を配れず乱れている
  • 顔色が悪く、笑顔がない

メンタル不調になれば、見た目で分かる身体的な不調が多くでてきます。

自分で気づかず、他人から声をかけられて気づくのもこれらの症状の特徴です。

不眠や食欲不振によって、生活に張り合いがなくなるので身だしなみが乱れて表情も乏しくなってきます。


精神的な不調

  • イライラしてしまう
  • 急に悲しくなったり気持ちが不安定
  • 不安や焦っている気がする
  • 悲観的な気分になりがち

うつ病をはじめとする、精神的な疾患の前段階にあたる症状です。

気分が内向的になり、周囲との関わりが以前と比べてなくなってきたりします。

深く考え込んでしまい、何事もうまく行かないとマイナス思考にとらえて落ち込みがちです。


行動の変化

  • 対人関係がうまくいかない
  • 独り言が増えて落ち着きがなくなった
  • 人と関わるようなことが嫌に感じる
  • 挨拶をすることが減った

身体や精神の不調に関連して、行動にも違いがでてきます。

そわそわと落ち着きがなくなったり、逆に行動が敏感でなくなったりと不安定になります。

そのため、以前に比べて趣味や人と関わることなどの活動的なことをしたくなくなります。


仕事の変化

  • 注意力がなくミスや失敗が多い
  • 業務効率が悪くなり、納期に間に合わない
  • 疲れやすく、休憩時間が以前に比べて増える
  • 仕事にやる気が出ない

仕事に集中力や注意力がなくなるので、何度もミスしがちです。

そして、それぞれの作業にも時間がかかるので業務の質が低下してしまいます。


日常生活の注意点

メンタルの不調を防ぐには、日々の生活の上で注意していくことが大事です。

ひとりで仕事を行うことの多いフリーランスでは、特に自分でメンタルヘルスの管理をしていかなければなりません。


定期健康診断を受ける

会社では、労働安全衛生法で年に1回以上は定期的な健康診断を実施することと定められています。

メンタルヘルスの項目は、法定健診項目ではないため必要があれば健診の際に実施されることとなっています。

会社に所属しないフリーランスの場合は、医療機関や自治体が実施している定期健康診断を確認して毎年きちんと受けるようにしましょう。

その時に、医師に身体の不調や気になることを相談することで早期発見に繋がることもあります。


睡眠時間の確保と働き方の調整

睡眠不足になると、体調だけでなく精神面でも様々な不調をきたしてしまいます。

うつ病や精神疾患になるきっかけが、睡眠不足であることは少なくありません。

デスクワークで黙々と仕事をしているWEB制作関連の業務では、納期もある上に業務量も多いです。

仕事に没頭すると、睡眠をとることや休憩をとることを忘れがちになります。

まずは、生活が不安定でも規則正しく乱れをなくし、睡眠時間をしっかりと確保しましょう。

そのためにも、働き方の調整を行なって夜間まで長時間仕事をせず、適度に休憩をとれる仕事配分にすることが大事です。


ストレス発散と気分転換

仕事だけでなく、趣味の時間や旅行など自分が気分転換のできる事を積極的に取り入れましょう。

フリーランスで仕事を長く続けていく上で、オンとオフの気持ちを切り替えるタイミングを見つける事も必要です。

好きなことをする時間や軽い運動などをして外で身体を動かすことは、気分転換になって「うつ状態や精神的な不安の解消」に繋がります。


ストレスセルフチェック方法

ストレスの度合いをセルフチェックする方法はいくつかあります。

特に精神に関する病気を観る医療機関のホームページには、詳しいセルフチェック項目が記載されています。

チェックリストの質問に答えると、うつ病の程度を自己診断することが可能です。

その他には、臨床心理士やカウンセラーが常駐するカウンセリング事業を行なっている会社のページでもセルフチェック項目を公開しています。

ストレスセルフチェックを活用して、メンタル不調の早期発見や現在のストレス度の把握を定期的に行いましょう。


メンタル不調に気づいたら

セルフチェックなどを利用して、自分がメンタル不調であることに気づいたら早めに対策する必要があります。

早めに対処することで、治療期間が短くて済み早期に回復することが望めます。


なるべく周りに相談

メンタルに関することを話すのはとてもデリケートな内容で勇気がいることです。

いきなり医療機関に受診することが難しければ、まずは家族や親しい友人に相談してみましょう。

ひとりで抱え込まずに、人に悩みを話すことで気持ちが楽になり対応方法が見つかることもあります。

例え相談したことが解決しなくても、話を聞いてもらうだけでも気持ちがスッキリとして前向きな気持ちになれます。


医療機関を早めに受診

どんなにメンタルヘルスケアを意識して生活していても、不安やストレスに感じてしまうことは多いもの。

もし、気持ちに変化があって心の病気の初期症状に気づいた場合には、早めに医療機関を受診しましょう。

医師の診断と、必要があれば投薬などの適切な処置を受けることによって悪化することなく回復へ向かうことができます。


メンタルケア方法

風邪を引くように、誰にでもなってしまうリスクが高いからこそ自分で意識してケアをしていく必要があります。

そのためには、ストレス解消して溜め込まない様に自分の状態に合わせた適切なケアをしなければなりません。


自分のメンタル状態を把握する

まずは、メンタル状態がどうなのかを自分の心と向き合って把握することから始めましょう。

その状況によって、対応策を考えていかなければなりません。

もしもこの時点で少しでも辛い、初期症状があるように感じることがある場合は早めに対応を取るようにしましょう。

精神的に病むこととなった原因を考えて、回復のための対応策を考えます。


生活をうまくコントロールする

さまざまな誘惑や不安定な状況から自分をうまくコントロールしていく力を身に着けることはとても大事なことです。

自由にできるからと怠惰な生活を送れる誘惑に負けるのではなく、規則正しくて健全な毎日を送れるように努めます。

また、アルコールと精神疾患とは密接な関係にあるので注意が必要です。

寝つきが悪くストレスが溜まった時に発散させる方法として飲酒を選んでしまう場合があります。

習慣的になってしまうと、飲酒量が増えてしまい健康を損なう原因となるでしょう。

そして、小さな成功を積むことは自己肯定感がアップしてメンタルを安定させることができます。

仕事以外のことで、小さなチャレンジをして成功して成し遂げることもメンタルケアにとっては必要なことです。


まとめ

メンタルヘルスが重要視されてから、チェックリストなどで早期発見のための取り組みを行なっていても心の健康を損なうリスクはゼロではありません

検査で結果がすぐわかる病気の様にはっきりとしない分、心の病は気付きにくく知らぬ間に進行してしまいます。

身体を気遣うように心も健康でなければ、仕事は思うようにできません。

フリーランスは特に注意しなければならないことを念頭において、日頃からメンタルケアに取り組みましょう。