近年は多様な働き方ができるようになり、エンジニアもフリーランスの幅が広がってきました。

しかしフリーランスは営業活動から契約確定申告と、メインの業務以外にも様々な業務を自分一人でやらなければなりません。

専門的な悩みはもちろん、経理や法務のトラブルなども起こります。

トラブルで困った時や気軽に意見を聞きたい時は、どこに相談すればいいのでしょうか?その相談窓口や相談できる先をまとめてみました。

フリーエンジニアの主な相談内容とは?

特にフリーランスエンジニアは、専門的な悩みが出てくるのではないでしょうか。

フリーエンジニアの悩みやトラブルをざっと分類すると、下記の3つにわけられます。

  • 契約など法律に関わる悩み
  • 確定申告などお金に関わる悩み
  • 働き方や案件などフリーランス全般に関わる悩み

会社に所属していた時と違い、専門分野の業務だけでなく他部署が担っていた業務も自分自身でやらなくてはなりません。

いわば営業から経理・総務まで、会社のすべての業務を行うことになります。

特に税務・法務など、専門知識が必要な手続きについてはなかなか一人では解決できないでしょう。

しかもフリーエンジニアはどうしても立場が弱くなりがちです。トラブルが起こると泣き寝入りせざるを得ないということにもなりかねません。

そんなことにならないよう、この3つの悩みについて悩み別に相談先をまとめてみました。

一つひとつ詳しく見ていきましょう。


契約など法律に関わる悩みの相談先

特にお金や契約の部分はトラブルが多く、立て替え金の未払い業務の丸投げなどフリーエンジニアへの負担が大きなトラブルが散見されます。

報酬の未払いなども、規模の大きな企業や業界でも有名な会社でもニュースになることがよくあります。相手が大企業だからといって安心はできません。

  • 納品したのにクライアントから報酬が払われなかった
  • 交通費を立て替えたのにその分を支払ってもらえなかった
  • 契約書に書いてあること以上の業務量を回された
  • 最初に取り決めた工数以上の仕事を行ったのに、追加報酬がなかった

このような業務委託契約など法律に関わるトラブルについては一人で解決しようとせず、速やかに法の専門家に相談しましょう。

相談できる専門家としては、弁護士行政書士、司法書士社会保険労務士などがいます。

知り合いにこのような専門家がいれば心強いのですが、誰しもつながりがあるわけではありません。

頼れる人がいない時は、これから紹介する相談窓口に連絡してみましょう。

ここではまず気軽な相談からできる、法律関係の窓口をご紹介します。


法テラス

法テラスは、国が設立した法的トラブル解決の総合案内所です。無料で24時間メール相談ができるほか、電話での相談も可能です。

また、トラブルに関わる分野に強い弁護士を紹介してもらうこともできます。

参照:日本支援センター 法テラス


日本弁護士連合会


日本全国には各エリアに弁護士会があり、そこでは無料の法律相談ができます。

個々の係争案件のほか、弁護士費用などが払えない場合や「弁護士保健制度」についての相談も受け付けています。

日本弁護士連合会のホームページからも相談することも可能ですが、各地の弁護士会に直接問い合わせても問題ありません。

参照:日本弁護士連合会


ひまわり相談ネット

24時間いつでも全国の法律相談センターに相談予約申込みができます。

電話のほかネットでも予約が可能です。そのため、急ぎの相談や休日に発生したトラブルもすぐ問い合わせができます。

参照:ひまわり相談ネット


紛争解決センター(ADR)

日本弁護士連合会

民事上のトラブルを柔軟な手続きと短い期間、合理的な費用、そして公正で満足のいくように解決する団体です。

著作権や個人情報に関わるものなど、個人と企業間によるトラブルの示談や仲裁などに向いている相談窓口です。

フリーエンジニアの仕事の特性上、「トラブルは起こっているが、今後とも取引していきたい相手のため穏便な解決がしたい」という方は多くいます。

紛争解決センターは、そういった場合の解決に向いているといえるでしょう。

参照:日本弁護士連合会 紛争解決センター(ADR)


法科大学院の無料相談

東京大学法律相談所

全国の法科大学院では、学問的研鑽と地域社会への貢献ということで、無料の法律相談を行っています。

注意したいのは、こちらはほとんどの場合が民事事件専門ということです。

税金に関する相談や刑事事件にからむトラブルなどは相談できませんのでご注意ください。

参照:東京大学法律相談所


確定申告などお金に関わる悩みの相談先

エンジニアに関わらず、フリーランスであれば必ずしなければならないのが「確定申告」です。

確定申告は慣れていないと分からないことがたくさんあるでしょう。その時は税務署に行くのが一番安心です。


税務署

まずは自分が住んでいる地域の税務署に相談に行くのが手堅い方法でしょう。

国税庁HPから税務署の所在地の検索が可能です。

参照:国税庁|税務署の所在地などを知りたい方


常時電話での相談も受け付けていますが、確定申告の時期は確定申告専門の相談窓口が開設される税務署もあります。

またよくある質問ページや確定申告特集ページなど、特設ページが用意されています。


国税庁HP内の確定申告に関わるページもある

対面で個別に相談したい場合には、税理士に相談するのが一番です。

とはいえ、なかなか普段の生活では税理士に会う機会はなかなかないでしょう。

そんな人にお勧めなのが、税理士会の「確定申告無料相談会」です。

全国各地の税理士会は、毎年1~2月の確定申告前~確定申告期間中に確定申告無料相談を行っています。

税理士に直接会って相談できる、一番手軽な方法となります。

各地域で開催される回数や開催場所は違いますので、各自治体の税理士会のホームページで確認してみましょう。


確定申告を税理士に任せたい場合

確定申告の作業を専門家に全部お任せしたいという人は、直接税理士事務所に依頼しましょう。

フリーランスの知り合いがいればその人から紹介してもらうか、先述した税理士会の確定申告無料相談所でお世話になった税理士さんにお願いする人もいます。

しかし自分で探す場合は、税理士情報検索サイトを使ってみましょう。

日本税理士会連合会に現在登録されている全ての税理士及び税理士法人の情報を検索できます。

地域や名称で検索することも可能ですが、主要取扱業種や業務など、お願いする条件を絞って検索することも可能です。

もちろん、税理士事務所にお願いする場合は有料となります。依頼する際には料金についても、きちんと確認しましょう。


日本税務研究センター

日本税務研究センターにも、電話による無料の相談窓口があるのでそこに相談しても良いでしょう。

「税務相談室」は、法人税所得税消費税資産税(相続税・贈与税及び譲渡所得)など、一般的な税務にかかわる相談を受け付けています。

注意したいのは、個別の案件についての相談は受け付けていないことです。

そのため、一人ひとりにあったアドバイスがほしいときなどはあまり向いていません。

長くフリーランスをやっていると、確定申告の書類作成でちょっとわからないことがあるということも起こるでしょう。

税理士に頼むほどでもないけれども専門家の意見が聞きたいなど、ある程度確定申告の作業に慣れた時期に利用するのに向いています。

参照:公益財団法人日本税務研究センター|講座・セミナーのご案内


会計ソフト・WEBの会計ツール

パソコン用の会計ソフトなど、電気量販店などで目にした方も多いのではないでしょうか。

最近では市販の会計ソフトのほかにもWEB上で使えるクラウド型の会計ツールなど、確定申告に便利なツールが充実しています。

クラウド型はネットがつながるところならどこでも作業ができるほか、バージョンの更新が自動で行われます。

そのため今までのように買い替える必要がありません。

特に税制・法改正した際にも自動でバージョンアップしますので、更新し忘れなどによる失敗も防止できます。

ここでは代表的なクラウド会計ソフトをいくつか紹介していきましょう。


弥生のクラウド確定申告ソフト

特に有名なのが弥生の会計ソフト。数ある会計ソフトの中でも高いシェアを占めるソフトです。

こちらのソフトは、カスタマーセンターが充実しています。

電話相談はもちろん、メールでの相談は24時間365日受付可能など、忙しいフリーエンジニアにうれしいメリットが多いです。

確定申告に特化した相談もできますので、おすすめのサービスといえます。

画面共有サポートもあるため、今作業がどんな状態かを言葉で説明しにくいときにも、コミュニケーションがとりやすく便利です。

参照:弥生|確定申告ソフト


会計freeeの確定申告ソフト

会計freeeのクラウドソフトもシンプルで簡単な使い勝手が人気です。

確定申告の書類作成はもちろん、電子申告・e-taxを使えばそのまま提出できます。

2020年からは電子申告をすると控除が上乗せになりますので、とてもお得なツールです。

チャット機能があるためメールと違い、わからないところを会話形式でやり取りすることができます。

注意したいのは、法人の場合決算書の別表1、2が出てきません。税理士に依頼する必要が出てきますので、その点だけ気を付けましょう。

参照:freee会計ソフト


そもそも確定申告とは

確定申告は年に一度、収入・経費など申告することで、払いすぎた税金を取り戻したり、また税金を納めたりする制度のことです。

所得が38万円以上ある個人事業主・副業の利益が20万以上の会社員などは、確定申告が必須になります。

期間は毎年大体2月16日から3月15日前後の期間です。期限を過ぎてしまうと、延滞税がかかってしまいます。

税金などについての会計知識を調べながら作業するのはもちろんですが、仕分け作業や書類の作成など、とても手間がかかります。

そのため、毎年2~3月はフリーランスの人々にとって気の重い時期ではないでしょうか。

特にフリーランス1年目にはわからないことが多く、不備や記入漏れが発生しがちです。

その場合は先に紹介した相談先で、詳しい人と相談しながら申告すると良いでしょう。


働き方や案件などフリーランス全般に関わる悩みの相談先

契約や税金面の悩み以外にも、働き方や案件対応・今後のキャリアなど、エンジニアに関わらずフリーランス特有の悩みはたくさんあります。

ちょっと気になることから、長い目で将来を考えたキャリア形成まで、相談したいことがたくさんあるでしょう。

そんなときは、大手のフリーエンジニア専門エージェントなどが開催している相談会や交流会がおすすめです。

参加して同じエンジニア仲間を見つけてみるのも良いでしょう。


フリーエンジニア向けの相談会とは?

フリーランスになりたいと考えている人から自分の市場価値を知りたいなど、幅広いエンジニアが参加するイベントです。

主に独立の手続きや収入・キャリアなど、業務上の事柄について相談できます。

フリーエンジニア初心者向けの説明会を含むものから、個別相談がメインのものまで内容は様々です。

こんな人におすすめ

  • フリーエンジニアへの転向を考えている
  • フリーエンジニアになるための準備や手続きについて知りたい
  • 収入や保険など、お金や万が一の備えについて不安がある
  • 確定申告やそのほかの手続きを不安に感じている


フリーエンジニア向けの交流会とは?

フリーエンジニア専門エージェントに登録している方が参加できるイベントとなります。

飲み会であったりランチ会であったりと、業務上の相談というより人と人とのつながりや交流を目的としたものです。

こんな人におすすめ

  • ちょっとした相談ができる同僚のような仲間がほしい
  • 業界や仕事に関わる情報交換などがしたい
  • 特に今悩みはないが、何かあったときに聞けるようなエンジニア仲間がほしい


まとめ

ここまでフリーエンジニア向けの相談先を悩み別にご紹介してきました。

働き方が多様化している近年では、よりフリーランスが利用しやすいサービスが増え、同時に相談できる先も増加しています

登録している専門エージェントはもちろん、公的機関や専門家の団体など、相談先はたくさんあります。

困ったときには遠慮せず、まず相談してみましょう。