MR(複合現実)でできることとは?仕組みや代表例を解説!
MR(複合現実)というものをご存じでしょうか。
「AR(拡張現実)やVR(仮想現実)なら聞いたことがあるけど、MR(複合現実)は聞いたことがない」
「医療現場でMR(複合現実)が活かされているのは知ってるけど、詳しいことはわからない」
そんなMR(複合現実)について全く何も知らない人も、この記事を読んで頂ければMR(複合現実)についての基礎知識を得ることが可能です。
- MR(複合現実)の特徴とは?
- MR(複合現実)の仕組みって?
- 代表的なMR(複合現実)って何がある?
- MR(複合現実)とVR・ARの違いとは?
- MR(複合現実)とSRの相違点は?
- MR(複合現実)の活用事例とは?
上記の疑問を払拭できる内容が詰まっています。ぜひご一読頂けますと幸いです。
MR(複合現実)について
MR(複合現実)とは、近年世界中から注目を浴びている最先端技術の1つです。
有名企業(SoftBankやMicrosoft、GoogleにFacebookなど)もこの最先端技術に対し、次世代を担う存在として興味を示しています。
FacebookのCEO・マーク・ザッカーバーグ氏もMRに注目している人物の1人です。
2017年春の開発者向けのイベントで「スマートフォンの次のPlatformを背負う存在になれるもの」としてMRの名を出したほど。
正式名称
MRの正式名称は「Mixed Reality」。日本語だと「複合現実」と訳します。
どういうものか?
現実と仮想がリアルタイムで混ぜ合わせる技術です。
現実の情報をカメラなどの機器を通し仮想世界に反映させる最先端技術になります。
1人だけがその情報を体験できるのではなく、その場にいる人全員が同様の情報を共有し、同じ体験をすることが可能です。
MR(複合現実)の特徴
この項目では、MR(複合現実)の特徴についてご紹介します。
現実世界と仮想世界をミックス
現実世界と仮想世界とが混ざり合い、複合現実を作り出します。
機器が現実にあるテーブルやイスなどの位置、形などを把握してCGを綺麗に重ね合わせます。
確認や操作したりもできる
MR(複合現実)は、現実と仮想とを合わせるだけではありません。
動作(手の動きなど)を機器のセンサーが感知し、ユーザーの動作とシンクロします。
たとえば、ホログラムを表示している地点を歩き回りながら確認することもできます。
MR(複合現実)の仕組み
この項目では、MR(複合現実)の仕組みについて触れます。
MR(複合現実)は現実世界と仮想世界がぴったりと合わせる技術と前項目で述べました。
どうやって2つの世界を混ぜ合わせているのかという疑問が浮かぶのではないでしょうか。
現実とバーチャルがぶれることなく重なっている理由は「2つの座標空間を精巧に重ねているから」です。
空間、時間、光学。これらの要素を現実世界と合わせることで複合現実を作り出しているのです。
MR(複合現実)を使った機器の代表例
日々開発競争が進んでいるMR(複合現実)。
この項目では、そんなMR(複合現実)を実現する機器の代表例についてご紹介します。
HoloLens
アメリカのMicrosoft社が開発したデバイスです。
「ホロレンズ」と読みます。
2016年、世界で初めて開発された単体で完結するグラフィックコンピューター。
OSにはWindows10を搭載しています。
自己完結型なので、パソコンや他の機器と接続する必要はありません。
現実世界に高い解像度を誇るCGを投影して操作することが可能です。
視線、動作、音声コマンドで操作をおこなえます。
非常に直感的な操作方法で誰にでも扱いやすいホスピタリティ溢れる製品です。
設計や試作現場において完成イメージ・動作を確認したり、建物や大型製品などの設計をする際、実物のスケールでチェックしたりすることができます。
環境のイメージを掴むため、室内に壁面へCGを投影することも可能です。
MREAL
日本のキヤノンが開発したMRシステムです。
「エムリアル」と読みます。
「ホロレンズ」同様にMR(複合現実)を使い、現実世界の中にCGを溶け込ませて表示することが可能です。
デジタルモックアップもまるで本物が目の前にあるような臨場感で表示されるため、初めて見る人は驚きに包まれることでしょう。
キヤノンのネットワークカメラ「WebView Livecam(VB)シリーズ」を併用すると、俯瞰的な視点からも映像を表示できます。
なお、MREALはいくつかのシステムを組み合わせて機能を活用する複合的システムを採用しています。
- MREALディスプレイ(ハードウェア)
- MREAL Platform(基盤ソフトウェア)
- MREAL表示アプリケーションソフトウェア(キヤノン株式会社製品・パートナー製品)
- MREALソリューションシステム
「MREALディスプレイ(ハードウェア)」は、光軸一致・ビデオシースルー方式の機器です。
ヘッドマウントディスプレイ(HMD、頭部装着タイプ)、ハンドヘルドディスプレイ(HHD、手持ちタイプ)があります。
これまでキヤノンが培ってきた映像・光学技術が惜しみなく詰め込まれており、歪みの少なさが注目すべきポイントです。
「MREAL Platform(基盤ソフトウェア)」は、全てのシステムの基盤となるソフトウェアです。
MREALディスプレイを動かすために必要となります。
使う分野・用途別にいくつかのエディションがあります。
「MREAL表示アプリケーションソフトウェア」はMREALディスプレイにCGデータを表示させるためのアプリケーション。
用途に合わせてベストな製品を選択しましょう。
「MREALソリューションシステム」は人物合成映像システムなど、MREALを活かしたソリューションを供給するシステムになります。
MR(複合現実)のメリット
この項目では、MR(複合現実)が持つメリットについて紹介します。
企業研修に使える
MR(複合現実)を使えば、立体的なCGを表示できるので多角的な研修をおこなうことができます。
紙資料などで口頭の説明を受けるよりも、実物を見たりするほうが理解も深まるでしょう。
現実にないものを確認できる
たとえば設計段階のものなどをCGを使って実物大で表現すれば、「ここはもっとこうしたほうが良い」などの意見が出やすくなります。
また、建築現場でゴーグルを着用し設計図を表示させたまま作業をするなど効率性を高めるのにも一役買います。
リアルタイムで合成できる
MR(複合現実)はリアルタイムの現実世界と仮想世界とを重ねることができます。それはこれまでの最先端技術にはなかった偉大な特長といえるでしょう。
MR(複合現実)とVRの違い
MR(複合現実)と同じ最先端技術に「VR」というものがあります。
この項目では、MR(複合現実)とVRの違いについて詳しくご紹介します。
VRとは
VR(Vertial Reality)とは日本語で「仮想現実」と呼ばれる最先端技術です。
仮想世界(映像世界)に入り込んだような体験ができます。
専用ゴール具を着用してCG、360度カメラが撮影した映像を見ることが可能です。
VRの活用で有名なのは映画やゲーム。専用ゴーグルを着けて自分が仮想世界に存在する感覚を味わえることから注目されている技術の1つ。
見えるものの違い
MR(複合現実)は現実とバーチャルを重ねて表示させる技術ですが、VRはバーチャルを表示させる技術です。
そのため、VRの場合は現実世界の風景などは一切考慮されません。
そこがMR(複合現実)との大きな違いになります。
MR(複合現実)とARの違い
MR(複合現実)とVRの違いが明らかになったところで、次は「AR」との違いについて解説します。
ARもMR(複合現実)やVRと同じ最先端技術です。
しかし、ARとMR(複合現実)には決定的で大きな違いがあります。
ARとは
AR(Augmented Reality)とは、日本語で「拡張現実」という意味を持つ技術です。
CGで作った3D映像などのバーチャルを現実世界に重ねて拡張します。
要は、現実世界にCGを表示させる技術です。
たとえば、スマホのゲームアプリ「ポケモンGO」や写真アプリ「SNOW」はこの技術を利用して作られています。
CGの操作ができるかの違い
MR(複合現実)は表示したCGを操作することができますが、ARはできません。
MR(複合現実)とSRの違い
ここまで、MR(複合現実)と他最先端技術の違いを解説してきました。
ラストを飾るのはMR(複合現実)よりも先にある技術といえるもの―SRとの違いです。
両者の違いをじっくりと見てみましょう。
SRとは
SR(Substitutional Reality)とは日本語で「代替現実」という意味を持つ技術です。
ヘッドマウントディスプレイを使って現実世界を過去映像に置き換えて映すことができます。
SRを使うと、過去に起こった出来事がまるで現在起こっている出来事のように感じるでしょう。
ただ、現在はまだ実験レベルの技術。
将来的には、人間の認知や心理に関係する実験に活かせるのではないかといわれています。
映像の違い
MR(複合現実)が映し出すのは現実世界と仮想世界です。
対するSRが映し出すのは過去の映像。
両者は全くの別物と考えて良いでしょう。
MR(複合現実)の活用
世界中から注目を浴びているMR(複合現実)。
そんなMR(複合現実)を活かせるのはどんなところなのかについて解説します。
医療現場
医療現場でMR(複合現実)を利用することによって、手術前に患者の臓器を医師たちが確認することが可能です。
どのような手術が最適かについて前もってシミュレーションできます。
また、歯科手術にもMR技術は活用されています。
実際に、株式会社モリタとリアライズ・モバイル・コミュニケーションズ株式会社は歯科手術トレーニングシステムを開発。
専用ゴーグルを通し、撮影しておいた本人の血管・神経・歯などの映像が現実の患者のものと重なって見えるというものです。
しかも、ゴーグルは手の動きを感知できるためカルテの呼び出しや映像の拡大なども自由自在におこなえます。
建築現場
建設会社・下請け業者・施工主…。
工事をおこなう際は、建設に携わる人々が集まって何度もミーティングをしたり、現地に何度も足を運んだりする必要がありました。
しかし、MR(複合現実)を利用することでそういった手間をぐっと減らすことができます。
MR(複合現実)を使えば、自社でゴーグルを装着してバーチャル環境でミーティングをおこなえます。
現場についてもCGで現実世界と重ね合わせることができるため、何度も工事現場へ足を運ぶ必要はなくなるでしょう。
また、工事に関係する設計図などの資料を1度データにしてしまえば、専用ゴーグルですぐ呼び出すことが可能です。
自動車メーカー
ボルボは新たな車を設計する際にMR(複合現実)技術を活かしています。
航空業界
航空機の操縦だったりエンジン整備の訓練をおこなう際に、MR(複合現実)技術を活かすことが可能です。
実際に日本航空が上記のような活用をしています。
新製品の発表
業界問わず、新製品を発表する時にMR(複合現実)を使うのは良い手です。
実物がなく開発段階だとしても、CG映像で人々にお披露目することができます。
まとめ
医療現場だけでなく、設計や試作、保守点検など様々な用途に使用されているMR(複合現実)。
この記事を通して、少しでもMR(複合現実)の価値を感じて頂けたでしょうか。
MR(複合現実)は様々なシーンに活かすことができる最先端技術です。
MR(複合現実)を利用すれば、本来なら見えない部分や情報を検討することもできます。
MR以外にもVRやARなどの最先端技術はありますが、記事内でも述べたようにMRはそれらの技術を進化させた技術です。
これから先、MR(複合現実)は今以上に活用されていくでしょう。
最先端技術の収集はエンジニアとして見逃してはならないこと。
これからMR(複合現実)がどう進化していくか、どんなふうにプログラム開発現場に活用されていくか―。
IT時代は激動の時代。
最新の情報だと思っていたことがすぐに古い情報になってしまうのが現代です。MR(複合現実)の情報もしかり。
乗り遅れてしまわないよう、MR(複合現実)を含む最先端技術の動向には特に目を光らせておきましょう。
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