ITストラテジスト試験の難易度や合格率を徹底解説!合格に必要な勉強時間は?論文に役立つネタや過去問サイト・アプリもご紹介
IT系国家資格でも最難関の一角といわれる試験
IT業界では「資格」が重視されます。
というのも、日々移り変わるIT業界の新しい技術やフレームワーク・プログラミング言語などを「扱えるかどうか」という指標になるからです。
そしてIT業界は「転職が当たり前」ともいわれる業界。
そのため、エンジニアにとっても自分のスキル・知識を証明できる資格を取得しておけば、転職活動やフリーランスで働く上でとても役に立ちます。
そんなIT系資格には「国家資格」がいくつか存在しています。
その中でも今回の記事では、最難関といわれている「ITストラテジスト試験」という国家資格に注目していきます。
ITストラテジスト試験
IPA(日本情報処理推進機構)が実施している国家試験「ITストラテジスト試験」は、他のIT国家試験と比較して特に難易度が高いといわれる資格試験です。
上流工程の中でも更に上流、超上流工程を担当するような部分に関する問題が出題されます。
一体どうしてそこまで難易度が高いといわれているのでしょうか。
今回の記事ではITストラテジスト試験の難易度や合格率はもちろん「どうして難しいといわれるのか」というポイントにも注目。
加えて、論文問題や過去問について、合格までの目安となる勉強時間など「ITストラテジスト試験」について一気に解説していきます。
ITストラテジスト試験の難易度
それでは早速、ITストラテジスト試験の難易度についてです。
「難易度が高い」と感じさせる様々な要素を持っています。
試験は午前・午後に分けて行われる
ITストラテジスト試験は4部制。
午前の部として午前I・午前IIが、午後の部として午後I・午後IIが実施されています。
午前の部はI・II共に四択問題ですが、午後はIで記述問題、IIでは論文課題が出題されるので運任せでの合格は難しいでしょう。
合格者の平均年齢から読み取れるもの
そして合格者の平均年齢は39.0歳。
IT業界や現場で豊富な経験をしていなければ合格は難しい試験であることが分かりますね。
特に午後IIで出題される論文課題は実務経験をベースに論述を行わなければならないというこの試験独特の難しさを持っています。
IT業界は比較的年齢が若い人たちも多く、積極的に資格にトライしている人も多いです。
その中でこの平均年齢の高さは、やはり並大抵の試験ではないということの裏付けともいえるでしょう。
ITコンサルタント向けの資格である
その要因は、この試験がITコンサルタント向けの資格であるというポイント。
ITコンサルタントというと、IT関連技術の知識やスキルのみならず、経営に関する豊富な知識・理解も必要です。
つまり、いくら技術力やIT業界のシステム開発現場の経験が豊富であろうと、上流工程や経営戦略などに関する知識を持っていなければ問題が解けないということになります。
そういった背景もあり、非常に難易度が高いとされ「最難関」といわれているということです。
ITストラテジスト試験の合格率
さて、そんな「最難関」といわれているITストラテジスト。
合格率が公表されていますが、例年14〜15%程度といったところです。
実際のデータ
具体的な数字データを見てみましょう。
令和元年度に行われたITストラテジスト試験では、受験者数4,938名に対して合格者数は「758名」でした。
パーセンテージでいえば15.4%(小数点第2位以下繰り上げ)です。
最年少合格記録と最年長合格記録
余談ですが、この試験では最年少合格者記録と最年長合格者記録の両方が同時に更新されたそうです。
最年少は18歳、最年長は70歳というどちらもとてつもない大記録だといえるでしょう。
それでも合格者の平均年齢は39歳と発表されているので、やはり並大抵の試験ではないことが分かります。
合格の目安とされる勉強時間
さて、高難易度資格には大抵「目安の勉強時間」というものがあります。
当然ITストラテジストにも目安とされる勉強時間が存在するので、続いてはその面から注目していきましょう。
とはいえ、ITストラテジストは受験者の経験など背景に左右されるというのも大きな特徴です。
そのため、一概に「○○時間勉強すればいい」という明確な数字はありません。
人それぞれなため、30時間〜100時間ほどで合格したという人もいれば、3ヶ月〜半年を目処に中長期に渡って勉強をして試験に臨んだという方もいらっしゃいます。
やはり実際の経験や自分の持っている経営に関する知識、そして最後には「資格試験へのセンス」なども絡んでくるでしょう。
記述方式の問題や論文課題が出題されるということもあり、ある程度の国語力も求められる試験といえます。
単純に「知識を詰め込むだけの勉強」では合格は難しいでしょう。
午後試験では論文問題が出題される
さて、ここまでも触れてきましたが、午後試験の午後IIでは論文課題を解かなければなりません。
ここで苦戦する人が多いようです。
というのも、午後IIの論文は「ITストラテジスト」の立場として論文を書かなければなりません。
単純にITに関する知識や技術的な話だけを盛り込んだ論文ではなく、経営的な目線も盛り込まなければいけないということになります。
裏を返せば、それを意識して取り組むことで合格を一気に手繰り寄せられる人もいらっしゃるかもしれません。
ぜひ「経営的な目線(視点)」で論文を書くということを忘れず、勉強の際にもそれを意識して取り組むといいでしょう。
論文に役立つネタ
午後II試験の論文は、3つのテーマが出題されます。
その中から1つを選択して実際に論文を書くといった流れです。
さて、この論文の勉強方法は様々です。
過去問の傾向を紐解いて、様々な論文のサンプルなどをチェックしてみてもいいでしょう。
そして大切なのは論文のネタ集め。
様々な業界のIT導入事例などの記事をチェック・読むことが大切です。
地道な道ではあるかもしれませんが、その地道さが重要といえます。
ITストラテジスト試験の午後II試験の論文は、業界で優位になるようなIT戦略まで触れなければなりません。
そのため、実際の導入事例などをチェックしておくことが合格へ繋がります。
記述方式問題の午後Iも侮れない
ITストラテジスト試験といえば午後IIの論文課題のイメージが強く、実際かなり高い難易度を持っている部分です。
しかし、案外午後Iの記述方式問題も侮れません。
どうしても国語の試験に似た部分があるため、技術的な要素だけでは解けない問題ともいえます。
勉強をしていると、午後II試験の論文課題ばかりに比重を傾けがちになってしまうかもしれませんが、午後I試験についてもしっかりと対策を行いましょう。
過去問をひたすら解くのがおすすめ
さて、これはITストラテジストに限った話ではありませんが、IT系国家資格を受験する際には「過去問をひたすら解く」ことがおすすめです。
過去問を解くことで、試験の傾向や出題内容、実際の問題の雰囲気や形式に慣れ親しむことができます。
例え本番で初めて見た問題が出題されたとしても、それまでに解いてきた過去問を基に解き方が分かることもあるでしょう。
午前対策に最適
そして、過去問を解くことについては、特に午前試験対策として非常に有効です。
ITストラテジスト試験を含めIT系国家資格で何よりも特徴的なのが「過去問の流用がある」ということです。
これはそのままの意味で「過去に出題された問題と全く同じ問題が出題」されます。
つまり、過去問を予め解いておいてその問題の答えを知っていれば(記憶していれば)、一瞬で正答できてしまうということです。
試験時間との戦いにおいても大きなメリットにもなりますし、問題をときながら自分の精神面でも落ち着きを得ることができるでしょう。
コツコツ解いていく
そのため、ITストラテジスト試験の午前試験の対策勉強をする際には必ず過去問を解くようにしましょう。
午後試験対策に比重を置く場合は、毎日少しずつでもいいので勉強の始めか終わりなどでコツコツと過去問を解いていくのもオススメです。
ちなみに、この試験対策は他のIT系国家資格でも有効です。
過去問をたくさん解いて、万全の状態で午前試験に臨むように意識しましょう。
過去問練習におすすめのサイトやアプリ
過去問を解くということに関しては、様々な方法があります。
もちろん問題の解説が載っている参考書などを購入してじっくりと勉強してもいいでしょう。
しかしその分の参考書購入費用を午後試験対策の参考書に回せれば、より合格を近づけることができるのではないでしょうか。
過去問に関しては、費用をかけずとも無料でWebサイトやアプリを利用すれば取り組むことが可能です。
ITストラテジストの過去問掲載Webサイト
まずはWebサイトを紹介します。
1つ目は、以下のサイトです。
こちらのWebサイトでは、年度別、試験別(午前I・午前II)に出題された過去問を指定した問題数解くことができます。
5〜20問を気軽に解けるため、ちょっとしたスキマ時間や通勤時間などでも過去問に取り組めるでしょう。
寝る前などに「ベッドの中で毎日必ず20問は解いて寝る」といった勉強も、毎日欠かさず行えば確実に力になります。
もちろん全問まとめて解くこともできるため、ガッツリと集中して過去問を解くこともできます。
全試験からランダムに出題させることもできるため、特定の年度だけではなくストイックに全期間の勉強をしたいという方にもおすすめです。
公式で配布されている試験冊子PDF
ITストラテジスト試験を含めて、IT系国家試験は試験後PDFで問題が公開されています。
これは、問題というより「試験冊子」そのものが公開されているため、試験と同じレイアウトのPDFが手に入るといえるでしょう。
許諾や使用料も不要という旨が記載されているため、自分の勉強用途にフル活用しましょう。
もちろん解答も用意されているので、自己採点も可能です。
ただし、問題の解説はないため他のWebサイトなどでチェックする必要があるでしょう。
午前Iの過去問が解けるアプリ
続いてはスマートフォン向けアプリです。
午前Iは高度情報処理技術者試験で共通となっているため、午前IIとは別個でアプリがリリースされていることが多いです。
そのため、まずは午前I試験の過去問が解けるアプリを紹介します。
高度情報処理技術者試験 高度試験 共通 午前I 過去問(Google Play)
もちろん、このアプリは一例であって上記アプリ以外にも多数リリースされています。
自分の勉強スタイルなどにピッタリ合うアプリを見つけて、過去問で午前I対策を行いましょう。
午前IIの過去問が解けるアプリ
午前試験でITストラテジスト試験独自問題が出題されるのは、午前II試験です。
こちらのアプリなどを利用できるでしょう。
ITストラテジスト試験 午前II 過去問(Google Play)
午前I同様、他にも多数のアプリがリリースされています。
アプリ次第で過去問へ取り組むモチベーションも左右されるかもしれません。
ぜひ自分が勉強しやすく、気に入るアプリを見つけてみてください。
ITストラテジスト試験の取得を目指す
さて、今回の記事ではIT系国家資格でも最難関レベルだといわれることの多い「ITストラテジスト試験」について注目してきました。
合格率や「どうして難しいといわれるのか」という理由まで、様々な観点から解説を行いました。
やはりITストラテジストは評判に違わぬ非常に難しい試験であることが分かったかと思います。
ITコンサルタント向けの資格
ITコンサルタント向けの資格ということもあって、やはり「経営」面への豊富な知識や理解が必要になってきます。
特に論文などでは、「ITと経営」両方の要素を上手く絡めて他社より業界で優位に立てるような内容が必要なようです。
しかしそれだけ難易度が高く取得が難しい試験だということは、もし仮にITストラテジストを取得できれば「大きな武器」になることは間違いありません。
リードした存在になる
周りのエンジニアや同僚から、一歩・二歩もリードした存在になれることでしょう。
そして、ITコンサルタントはIT系の中でも憧れの存在ともいえる業種です。
ITストラテジストを取得することで、そういったキャリアへ繋げられる可能性も高いといえます。
難易度は高いかもしれませんが、挑戦する価値は間違いなくあるといえる試験です。
ぜひ自分の価値を高めるためにも取得を目指してみてはいかがでしょうか。