ITパスポート取得のメリット・初心者にオススメの理由を紹介!情報系未経験でも独学での合格は可能?合格率や難易度も解説!
はじめに
パソコンにスマホ、タブレットなどのコンピュータ端末は職場や生活で欠かせない基本アイテムです。
またビッグデータやIoT、AI技術、ロボット技術などによる第4次産業革命が勢いを増す現在、社会人における基礎力にITリテラシーへの幅広い理解が要求されています。
特にIT系エンジニアとして活躍してこられた方々の中にはIT技術への専門性が高いにもかかわらず、国家資格といった明確なアピールポイントを持たないために望んだ職に就けないケースも少なくありません。
そこでおすすめなのがIT資格の登竜門とされるITパスポート試験です。
今回は初心者にも最適といわれるITパスポート試験のメリットから試験合格への勉強方法に至るまで、わかりやすくご紹介していきます。
IT系エンジニアがITパスポートを取得するメリット
IT初心者やIT業界未経験者でも受験するITパスポート資格をわざわざ現役のIT系エンジニアがトライする意味があるのか?という疑問がある方も多いでしょう。
その答えは、ずばりメリットありです。
ITパスポート国家資格をはじめとするIT系資格を取得するメリットは大きくわけて4つほどあります。
職場での存在価値がアップする
中年層のIT系エンジニアの方々には主だった資格を持たないために専門性の高いプロジェクトにつけないとか、リーダー的なポジションへの登用が少ないといった悩みがあるのは事実でしょう。
これ程までにIT技術が進歩したことによってもはやITの専門的なスキルや知識はあって当然、なければ能力が低いと評価されかねないのが現状です。
その問題点を払しょくする意味でも初級のIT資格を取得する意味は大いにあります。
ITパスポートは基本情報技術者試験へのプレ資格として有効
特に資格を持たなくても通用するIT業界ではありますが、ITパスポートは必須資格ともされている基本情報技術者試験へのステップアップになります。
基本情報技術者になればさらに専門性の高い職場を狙うためのアピールポイントを持つことができるでしょう。
ITパスポート試験の出題内容が基本情報技術者試験の筆記テストに大いに活用されている点にも注目できます。
まずはITパスポート試験をクリアしてから基本情報技術者試験を目指すエンジニアの方も少なくありません。
官公庁は基本情報技術者などの有資格者が多数いる会社を好んで発注する
発注先となる企業や官公庁ではSIer会社の有資格者数に注目して依頼先の選定を行っています。
よほど実績が評価されているSIer会社でない限り、国家資格の取得者人数など目に見える条件を基準としているのです。
特に官公庁では資格重視主義の側面を持っていて『発注先で有資格者が責任をもって担当するので、安心して任せられる』という意識を持っている傾向にあります。
そのためどれほど能力のある会社が入札しても有資格者の有無によっては受注できない可能性があるのです。
そこで個々のエンジニアには自主的にIT系資格を取得するメリットが出てきます。
つまり有資格者として勤務することでその会社の評価を間違いなくアップさせている事実があるのです。
その先駆けになるのがITパスポート試験であるといえます。
ITパスポート試験を受験することで更にIT基礎力のレベルアップになる!
ITパスポートのテスト内容にはネットワーキングのセキュリティシステムや利用モラルなどについての出題があります。
企業コンプライアンスや法令遵守、個人情報保護法といった法律面や企業戦略やポロジェクトのマネジメントついても出題されるため既に理解していると思われる分野でも改めて専門的な観点から学び直すことに大きな意義が出てくるでしょう。
まだ取得していないエンジニアの方々はこれを機に取得するようのもいいでしょう。
ITパスポート試験はIT未経験者でも合格できる初級レベルの国家資格
ITパスポートは経済産業省が情報処理系の法律に基づいて設定した最も基礎的なIT系国家資格の試験ですので、未経験者でも気軽にチャレンジできるのがポイントです。
実際にまったくIT技術の勉強をしたことのない方の中にも合格者が多数出ています。
IT系でエンジニアをしている方やエンジニアを目指している方々であればそれ程の難易度ではないといえるでしょう。
ITパスポート試験の難易度はどのくらい?
ITパスポート試験が始まった平成21年度の合格率は59.40%でした。
この時期はITに何らかの知識や経験がある方が多かったため6割近い合格者が出ています。
しかし翌年の平成22年度では47.40%、平成23年度が51.10%と平成30年度まではIT初心者の方々が多く受験する傾向があっても平均して合格率が50%前後で安定しています。
平均合格率に多少の変動がみられるのは問題内容が難しくなっているからではなく受験者にIT未経験者が増えたからだと推測されるため、既にIT知識のある方にとってITパスポート試験の合格率は少なく見積もっても60%ほどになるといえるでしょう。
IT系エンジニアの方なら平均20時間でクリアしている
SIer系エンジニアを目指す方や既にSIer系エンジニアとして実績のある方はそれなりに基礎知識を把握していることでしょう。
ただしストラテジ系やマネジメント系の専門部分ではよく分からないことや理解し損なっている部分があるかもしれません。
そのため受験勉強の際はもう一度改めて全体を勉強し直す必要があるといえます。
これまでIT知識を持っている方が合格した場合の平均的な勉強時間はおおよそ20時間前後なので毎日1時間、1月ほどの受験勉強を見積もっておけば十分です。
ちなみにIT系未経験の方でも平均50時間の受験勉強で試験をクリアしているため毎日2時間で2月ほどのスケジュールで受験に望めます。
ITパスポートは決して狭き門ではない点に注目できるでしょう。
受験勉強の方法は進学試験と同じでOK!
受験勉強の方法も学生時代から行なってきたやり方で問題なくこなすことができます。
エンジニアとして習得している基本知識をもう一度まとめつつ、重要ワードや専門用語などを反復練習で暗記していけばいいのです。
暗記レベルを確認するために過去問題集や模擬試験などでチェックして、覚えていない部分はさらに再勉強をしていくという勉強方法が効果的とされています。
ITパスポート試験には実技テストがありません。
情報処理の基礎知識レベルを確認するためのテストですから独学でも十分に対応できるのです。
ITパスポート試験の内容
ストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系の3部門
テクノロジ系とマネジメント系につきましては、IT系の職場で働いていた方であればおおよその理解があることでしょう。
しかしストラテジ系という言葉には多少なりとも戸惑うかもしれません。
ITパスポート試験ではストラテジ系の設問が100問中35問ほど出題されていますので、ここはしっかりと理解を深めておく必要があります。
IT業界におけるストラテジ系とは
ストラテジとは戦略を意味する単語で経営戦略やITのシステム戦略における知識やスキルを学びます。
よく経済ニュースで目にするCEOやCOOやCFOといった役職の名称が出題されたり、企業活動の手法となるブレーンストーミングやワークサンプリング法といった専門知識が問われ、企業活動における専門知識をしっかりと習得していく分野です。
また企業活動上で守るべき法務、ネット利用で問題視されている個人情報の扱い方や知的財産(産業財産権や著作権など)の保護、経営規範などがテーマとなって出題されます。
このように経営戦略・市場マーケティングを具体的にプロジェクトする上で必要となる分野を学ぶのがストラテジ系です。
IT事業の開発・プロジェクトにおけるマネジメント系は20問
システム開発や新規のソフトウェア・プロジェクトに取り組む際は、開発案件の定義からはじまりシステム設計やプログラミング、中間テストや試作、開発したソフトウェア保守まで技術開発の全体をマネジメントしていかなければなりません。
もちろん開発にかかる費用の見積もり方法においても理解が必要です。
マネジメント系のテストではこの開発技術・プロジェクトマネジメント(開発チームのマネジメント)・開発したITシステムの運用管理(サービスマネジメント)の3つのテーマから出題されます。
テクノロジ系に関する出題はITパスポートのメイン分野で45問
テクノロジ系ではITの基本知識をベースとしてコンピュータ技術で必要となる数学も併せて学びながら、パソコンやスマホの仕組みや安全保護管理のシステム、インターネットワーキングのロジックやデータベースのシステムにAI技術まで幅広くITテクノロジに関して出題されます。
エンジニアの方であれば、二進数による演算アルゴリズムやコンピュータのハード面の理論などコンピュタシステムの原理・原則などへの理解は十分でしょう。
専門分野なら改めて学ぶ必要もないかもしれません。
しかしITパスポート試験では全体をまんべんなく網羅する出題傾向となっているため、ここは基礎レベルでITテクノロジ全体の知識を総チェックすることが重要です。
思わぬ落とし穴にはまってしまう可能性もありますのでご注意ください。
ITパスポート試験の注意点
ストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系の3部門は35:20:45の比率で出題され、合格ラインは1000点満点中600点以上、6割以上の正解率でITパスポート試験をクリアできます。
ただしITパスポート試験では覚えておくべき注意点がひとつあるのです。
もし最新のクラウド系やAI系が苦手だったり経営戦略の知識に不安があったりして得意な分野だけを集中的に勉強したとしましょう。
偏った勉強方法で受験した結果、600点を超えても不合格になってしまう場合があります。
つまりITパスポート試験では3分野ともにバランスよく正解しないとトータルで600点をオーバーしていても落第する可能性があるのです。
ストラテジ系50点・マネジメント系150点・テクノロジ系400点のトータル600点でもストラテジ系が低すぎるため不合格というケースもみられますので注意しましょう。
ITパスポート試験の回答形式
PC画面上で回答するCBT試験
ITパスポート試験は最新式のPCベースのCBT試験を採用しています。
ペーパーの代わりにPC画面上で設問が表示されPC画面上で回答を進めていく形式です。
資格試験は120分100問のボリュームのあるテストですが、全てコンピュータ画面上で正解をクリックしていくCBT試験は比較的回答しやすいと感じるでしょう。
受験勉強において基礎知識と専門用語を正確に覚えることができれば合格に手が届きます。
ただし時間配分は十分に気を付けましょう。
1問40秒のペースで最初から最後まで流れるように解答すると時間配分が整います。
よくありがちな失敗としては悩んだときにその場で停滞してしまうことです。
その場合は次の問題へ飛んでリズムを崩さないのがコツとなります。
リラックスした状態をキープすることでしっかりと問題に集中でき、飛ばした問題は最後にやり直していきましょう。
そしてひとつずつ解答する度に選んだ番号が間違っていないかをチェックするのも重要です。
解答したらもう一度確認して次の問題へと進むと確実性もアップします。
CBT試験に充分に慣れておくのもポイント
マークシートのペーパーテストに慣れている方にとってもCBT試験は決して難しいテストではありませんが、キーボード操作やマウスの動きを練習しておくのも合格率をアップさせるポイントです。
なにしろ1問40秒ペースで回答していかなければなりませんので、入力操作に手間取っていては時間が足りません。
模擬試験を数回受けたりCBT式の過去問テストを自分で行ったりして十分に経験を積んでおくようにおすすめします。
ITパスポート試験に役立つ勉強法やテキスト・問題集
次にITパスポートの独学による試験攻略法や勉強法・おすすめのテキストについてご紹介していきます。
ITパスポート試験は暗記問題がメイン
ITの基礎知識は基礎用語・専門用語の暗記からはじまります。
わたしたちは中学・高校と英単語や歴史年表などの暗記を中心にテスト勉強をしてきました。
ITパスポート試験でも勉強方法の基本は変わりません。
いかに効率的に基礎用語を暗記できるかが、合格の成否を決める重要ポイントとなります。
皆さんは暗記の勉強をいままでどのように行ってきましたか?
単語帳を作って電車の移動中や休憩時間などにペラペラ単語帳をめくって暗記してきたことでしょう。
実はこの方法がITパスポート試験でも最も効果的です。
系列を気にせずにランダムにまんべんなく暗記していくことで記憶にしっかりと情報が蓄積されていきます。
おすすめの教材
この学習方法に最適な教材を2つご紹介します。
どちらもアプリ式の単語帳付きのため、いつでもどこでも勉強ができる点がおすすめです。
- かんたん合格 ITパスポート教科書 平成29年度 CBT対応
- (全文PDF・単語帳アプリ付)かんたん合格 ITパスポート過去問題集 令和元年度 秋期
参考書でじっくりと確実な理解を積み上げる勉強法
ITについて初心者の方は知識ゼロのままでいきなり専門用語や過去問で勉強をはじめてしまうとつまずくことも少なくありません。
もちろんIT系エンジニアの方も確認という意味でおさらいをしておくとプラスになります。
そこで重要なのが参考書で全体を把握しておく勉強法です。
ただし丁寧に掘り下げるのではなく評判の良いテキストを2~4度、ただ読み通す方が効果的といえます。
ここでもおすすめのテキストを2つご紹介します。
- 一番やさしいITパスポート
- 栢木先生のITパスポート教室
徹底的に過去問(問題集)を繰り返すこと
ITパスポート試験は平成21年度から始まった国家資格試験のため過去問題が非常に豊富です。
この過去問を徹底的に反復練習することで問題傾向を把握して頻繁に出題されているキーポイントが的確に分かってきます。
これも1問1答式のアプリを使って空いた時間で繰り返し練習することが効果的です。
- ITパスポート過去問道場(ITパスポート試験ドットコム)
- ITパスポート 全問解説 – 最新2019一問一答過去問題集
YouTube講義動画などで視覚・聴覚から理解するのもメリットあり!
YouTubeでもITパスポート関連のさまざまな講義動画がアップされています。
無料動画を利用してベッドに寝そべりながら気楽に学習するのもいいでしょう。
YouTubeではカテゴリー別の動画も多数アップされています。
かなり詳しい内容を分かり易く映像化しているためおさらいに使っても学習効果が高められるでしょう。
まとめ
ITパスポートは独学でも効率よく勉強すれば合格できる資格試験です。
現在SIer系のフリーランスエンジニアとして活躍されている方やこれからSIer系フリーランスになろうとしている方にとっても取得しておいて損はない国家資格といえます。
もちろんまったくのIT初心者の方でも将来的なメリットを考えて取っておくのもおすすめです。
ITパスポートの試験自体はそれ程難しいものではありません。
効果的な教材を使って勉強すれば1回目でも十分に合格できる可能性が非常に高いため、ぜひ参考にしてITパスポート試験に挑戦してみてください。