【アンケート調査】フリーランスのインボイス制度の理解度・インボイス制度が与えた影響を解説!
2023年10月よりインボイス制度が導入されました。
現役のフリーランスの方のなかには「自分以外のフリーランスはどれくらいインボイス制度を理解しているのか」や「インボイス制度がフリーランスにどのような影響を与えたのか」など気になる方もいるのではないでしょうか。
そこで、現役のフリーランスの方々にインボイス制度に関する理解度やインボイス制度の登録状況、インボイス制度がフリーランスに与えた影響についてのアンケート協力を頂きました。
- インボイス制度についてどれくらい理解していますか?
- どのような方法でインボイス制度に関する情報を収集していますか?
- 適格請求書(インボイス)発行事業者に登録していますか?
- インボイス制度に登録した理由を教えてください。
- インボイス制度に登録していない理由を教えてください。
- インボイス制度はいつ頃登録予定ですか?
- インボイス制度の登録を未定にしている理由を教えてください。
- インボイス制度導入後、年間の売上や利益は上がりましたか?下がりましたか?
また、取引先の対応状況やインボイス制度への意見に関してもアンケートの協力を頂きました。
- 今まで取引先からインボイス制度の登録確認はありましたか?
- 今まで取引先から適格請求書(インボイス)発行事業者への登録依頼はありましたか?
- 今まで取引先とインボイス制度について協議をしましたか?
- インボイス制度について改善してほしいと感じる点はありますか?
- インボイス制度に賛成ですか、反対ですか?
本記事では、アンケート結果と合わせてフリーランスのインボイス制度への理解度やインボイス制度が与えた影響などについて解説します。
インボイス制度については、以下の記事で詳しく解説しています。
気になる方は参考にしてみてください。
フリーランスエンジニアに向けてインボイス制度を徹底解説!インボイス制度が与える影響と対策などについても紹介
インボイス制度に関するフリーランスの理解度
はじめにフリーランスがインボイス制度についてどれくらい理解度があるのかについて、以下のアンケートを取りました。
アンケート結果を交えて「インボイス制度に関するフリーランスの理解度」を紹介します。
- インボイス制度についてどれくらい理解していますか?
- どのような方法でインボイス制度に関する情報を収集していますか?
「インボイス制度についてどれくらい理解していますか?」
以下5つのうち、どの項目に当てはまるのかを回答してもらいました。
- 深く理解している
- だいたい理解している
- 一部理解している
- あまり理解していない
- 全く理解していない
アンケートを実施した結果、「深く理解している」と回答したのは10.7%、「だいたい理解している」と回答したのは55.0%と、全回答のうち半数以上がインボイス制度をある程度理解していることがわかりました。
「一部理解している」と「あまり理解していない」と回答したフリーランスの数を足すと34.4%になり、インボイス制度を理解していないフリーランスも一定数いることがわかりました。
インボイス制度が2023年に導入されたばかりの制度であることやインボイス制度の仕組みが複雑であることなどが、インボイス制度の理解が進んでいない理由として考えられるでしょう。
「どのような方法でインボイス制度に関する情報を収集していますか?」
次にフリーランスがどのような方法でインボイス制度に関する情報を収集しているのかについてアンケートを取りました。
以下のうち、どの項目に当てはまるのかを回答してもらいました。
- ニュースサイト・ウェブサイト
- フリーランスエージェント
- 同業者(知人・友人含める)との情報交換
- SNS
- セミナー・研修
- 業界紙・書籍
- その他
フリーランスがインボイス制度に関する情報を集める方法として、「ニュースサイト・ウェブサイト」がもっとも多いという結果になりました。
「ニュースサイト・ウェブサイト」では、インボイス制度に関する最新の情報が掲載されており、それらを通じてフリーランスはインボイス制度の動向や変更点などの情報を取得しているようです。
また、「同業者(知人・友人含める)との情報交換」や「フリーランスエージェント」といった方法からもインボイス制度に関する情報を集めているようです。
「同業者(知人・友人含める)との情報交換」では、実際の業務経験に基づく具体的なアドバイスや先行者の知見などを得ることができるでしょう。
「フリーランスエージェント」と回答したフリーランスの方は、エージェントや担当している案件を通じてインボイス制度に関する情報を取得しているようです。
「フリーランスエージェント」とは、フリーランスの方々を対象に、案件の紹介から契約交渉、案件稼働後のサポートまでを一気通貫で支援してくれるサービスです。
「その他」では、「税理士への相談」や「YouTubeの利用」といった回答がみられました。
インボイス制度に関する情報を1つの方法だけで取得しているのではなく、複数の方法を使い分けながら情報集めをしているフリーランスが多いようです。
インボイス制度の登録状況
フリーランスのインボイス制度の登録状況について 以下のようなアンケートを取りました。
- 適格請求書(インボイス)発行事業者に登録していますか?
インボイス発行事業者に登録しているかどうかや登録した理由、登録していない理由などについてアンケートを取りました。
「適格請求書(インボイス)発行事業者に登録していますか?」
54.2%名が「登録している」と答えたのに対して、33.6%が「登録していない」と回答しました。
全回答者のうち半分以上がインボイス制度に登録している結果になりました。
また、「今後登録予定」と回答した人が10.7%、「未定」と回答した人が6.8%でした。
「登録している」と回答した人に対して、以下のようなアンケートを取りました。
- いつ適格請求書(インボイス)発行事業者に登録しましたか?
- インボイス制度に登録した理由を教えてください。 (複数回答可能)
また、「登録していない」、「今後登録予定」、「未定」と回答した人に対しては以下のような質問をしました。
- インボイス制度に登録していない理由を教えてください。
- インボイス制度はいつ頃登録予定ですか?
- インボイス制度の登録を未定にしている理由を教えてください。
「いつ適格請求書(インボイス)発行事業者に登録しましたか?」
「登録している」と回答した人のうち、「インボイス制度開始前(2023年1月~9月)」と回答した人が最も割合を占め、64.8%でした。
また、「昨年登録(2022年)」は16.7%でした。
「インボイス制度開始前(2023年1月~9月)」、「昨年登録(2022年)」と回答した合計が約80%ととなり、インボイス制度が始まる前に登録している人が大半を占める結果となりました。
「インボイス制度に登録した理由を教えてください。 (複数回答可能)」
インボイス制度に登録した理由として、以下のどの項目に当てはまるのかを回答してもらいました。
- 取引先や仕事に影響するから
- 取引先から依頼されたから
- 売上が年間1000万円を超えている・超えそうだから
- インボイス制度を理由に取引先から仕事を拒否されたから・拒否されそうになったから
- その他
「取引先や仕事に影響するから」と回答した人が最も多く、51.2%いました。
クライアントとの取引を今まで通りに進めたいという考えや良好な関係を維持したいという考えなどからインボイス制度の登録を選ぶフリーランスがいるようです。
次に回答数が多い理由としては、「売上が年間1000万円を超えている・超えそうだから」になります。
売上が年間1,000万円を超えると必然的に適格請求書発行事業者になる必要があるという理由のためです。
このほかの回答理由として、「取引先から依頼されたから」や「インボイス制度を理由に取引先から仕事を拒否されたから・拒否されそうになったから」がありました。
「インボイス制度に登録していない理由を教えてください。」
インボイス制度に登録していない理由として、以下のような回答がありました。
- インボイス制度は不要と考えている
- インボイス制度に登録するメリットが見当たらない
- インボイス制度に登録しなくても仕事がある
- インボイス制度反対派である
- インボイス制度に登録することによって収入が減る可能性がある
- 経理などの事務手続きが大変になる
「インボイス制度は不要と考えている」や「インボイス制度に登録するメリットが見当たらない」、「インボイス制度に登録しなくても仕事がある」いった回答がありました。
「インボイス制度に登録することによって収入が減る可能性がある」といった回答や「経理などの事務手続きが大変になる」などの回答もありました。
インボイス制度に登録することによって、電子インボイスを導入しやすくなり作業効率化が図れることや正確な請求書の管理ができることなどが期待されている一方で、手続きの複雑さや収入面の懸念などからインボイス制度の登録を避けるフリーランスがいることがわかりました。
「インボイス制度はいつ頃登録手予定ですか?」
インボイス制度に「今後登録予定」と回答した人のうち、64.3%が「2024年1月〜3月」に登録しようとしていることがわかります。
また、「2024年4月〜6月」に登録予定と回答した人が28.6%、「2024年10月〜12月」に登録予定と回答した人が7.1%となっています。
「インボイス制度の登録を未定にしている理由を教えてください。」
インボイス制度の登録を未定にしている理由として、以下のような回答がありました。
- 様子見をしている
- 手続きに手間がかかる
- メリットがない
インボイス制度の登録を未定にしている人の中で、「様子見をしている」と回答した人が一定数いました。
また、「手続きに手間がかかる」と回答した人もいました。
インボイス制度の手続きがスムーズになれば、インボイス制度の登録者数が増える可能性はあるでしょう。
「メリットがない」と回答した人もいました。
非課税事業者にとっては、支払う税金が増えるため、収入や利益が減る場合があります。
上記のような理由において、インボイス制度への登録をためらっているフリーランスは少なくないようです。
インボイス制度がフリーランスに与えた影響
インボイス制度がフリーランスに与えた影響について、以下のアンケートを取りました。
- インボイス制度導入後、年間の売上や利益は上がりましたか?下がりましたか?
「インボイス制度導入後、年間の売上や利益は上がりましたか?下がりましたか?」
インボイス制度が売上や利益にどのように影響を与えているのか気になる方もいるのではないでしょうか。
上記アンケートの結果では、73.7%が「変わらない」と回答しています。
また、23.7%が「売上や利益は下がった」と回答しており、3.0%は「売上や利益は上がった」と回答しています。
次に「売上や利益が上がった」、または「売上や利益は下がった」と回答した方に具体的にいくら変動があったのかを聞くために以下の質問をしました。
- インボイス制度導入後、年間の売上や利益はどれくらい上がりましたか?
- インボイス制度導入後、年間の売上や利益はどれくらい下がりましたか?
「インボイス制度導入後、年間の売上や利益はどれくらい上がりましたか?」
「売上や利益は上がった」と回答した人のうち、75.0%は「1〜50万円上がった」、25.0%は「50万円以上上がった」と回答しました。
回答数が少なく、インボイス制度が売上や利益の増加に関係しているかはわからないため、あくまで参考としてください。
「インボイス制度導入後、年間の売上や利益はどれくらい下がりましたか?」
次にインボイス制度を導入してから、「売上や利益は下がった」と回答しているフリーランスに具体的に下がった金額を聞いてみました。
74.2%が「1万円〜50万円下がった」と回答しました。
25.8%は「50万円以上下がった」と回答しています。
上記と同様に回答数が少なく、インボイス制度が売上や利益の減少に関係しているかはわからないため、あくまで参考としてください。
取引先からのインボイス制度の登録確認
取引先が希望する場合、希望に応じてインボイス制度の登録をするかどうかの判断や交渉などがフリーランスには必要になるでしょう。
インボイス制度の導入に際して、取引先はインボイス制度の登録確認をフリーランスに行ったのでしょうか。
取引先がインボイス制度の登録確認を行ったのかどうかを把握するために、以下の質問をしました。
- 今まで取引先からインボイス制度の登録確認はありましたか?
- 今まで取引先から適格請求書(インボイス)発行事業者への登録依頼はありましたか?
- 今まで取引先とインボイス制度について協議をしましたか?
「今まで取引先からインボイス制度の登録確認はありましたか?」
76.3%が取引先からインボイス制度の登録確認が「あった」と回答しています。
登録確認後の取引先の具体的な対応などはわかりませんが、取引先からインボイス制度の登録確認が一定数あったことがわかります。
インボイス制度の登録確認が取引先からあったということは、インボイス制度を導入している可能性が高いでしょう。
フリーランスにとってはインボイス制度の登録をするかどうかの判断が求められた可能性があります。
「今まで取引先から適格請求書(インボイス)発行事業者への登録依頼はありましたか?」
今まで取引先から適格請求書発行事業者への登録依頼があったかどうかを質問しました。
35.1%が登録依頼が「あった」と回答しています。
64.9%が「なかった」と回答しています。
一定数の登録依頼が取引先からありましたが、インボイス発行事業者への登録はフリーランスに任せている取引先の方が多いようです。
インボイス制度が始まって間もないため、今後インボイス制度がさらに浸透した場合は、取引先からの登録依頼が増える可能性があるでしょう。
「今まで取引先とインボイス制度について協議をしましたか?」
取引先からインボイス制度について協議があったかどうかのアンケートを取りました。
72.5%が取引先と「協議をしたことがない」と回答しています。
また取引先と「協議をしたことがある」と回答した人が22.0%、「協議をしたことはないが今後行う予定」と回答した人が2.3%いました。
本アンケートの範囲では、取引先と協議をしたことがないフリーランスが多いようですが、今後取引先とインボイス制度について協議をする可能性もあります。
円滑に取引先と協議をするためにも、国税庁の「インボイスコールセンター」やフリーランスエージェントなどを活用してインボイス制度の最新情報を取得してみてはいかがでしょうか。
フリーランスのインボイス制度への意見
フリーランスのインボイス制度の意見として以下の質問をしました。
インボイス制度について改善してほしいと感じている点やインボイス制度に賛成しているのか、反対しているのかをグラフにまとめてお伝えします。
- インボイス制度について改善してほしいと感じる点はありますか?
- インボイス制度に賛成ですか、反対ですか?
「インボイス制度について改善してほしいと感じる点はありますか?(複数回答可能)」
フリーランスにインボイス制度について改善してほしいと感じる点について質問したところ、さまざま意見がありました。
「手続きが煩雑なので簡略化してほしい」と回答した人は15.3%、「より具体的なガイドラインが欲しい」と回答した人は23.9%でした。
また、「インボイスのフォーマットやサンプルを提供してほしい」と回答した人は14.1%、「専門家などへの相談窓口を増やしてほしい」と回答した人は23.9%でした。
「廃止して欲しい」という意見もあり、インボイス制度への否定的な意見を持っているフリーランスもいることがわかりました。
「インボイス制度に賛成ですか、反対ですか?」
インボイス制度に「賛成」、「反対」、「どちらでもない」かを回答してもらったところ、6.1%が「賛成」と回答しており、67.2%が「反対」と回答しています。
また、「どちらでもない」と回答した人が26.7%でした。
インボイス制度に反対しているフリーランスが多いことがわかりました。
インボイス制度に反対しているフリーランスが多いことの理由として、売上や利益が下がる可能性があることや事務手続きが増えることなどが挙げられそうです。
また、インボイス制度にどのようなメリットがあるのかが明確ではないということも理由としてありそうです。
まとめ
本記事では、フリーランスの方へのアンケート結果と合わせてフリーランスのインボイス制度への理解度やインボイス制度が与えた影響などについて解説しました。
インボイス制度をある程度理解している人が一定数いることや「変わらない」と回答した人がいる一方で、インボイス制度によって売上や利益に影響を受けた人が少なからずいることがわかりました。
インボイス制度は2023年10月にはじまりましたが、今後制度の状況が変わる可能性もあります。
本記事の情報を参考に、インボイス制度の動向を把握するような取り組みをしてみてはいかがでしょうか。